新民謡「耶馬溪小唄」(本耶馬溪町)   作詞:野口雨情
☆春の耶馬溪谷間の桜 三日見ぬ間に色がつく
 ヤレチコナーチコソレチコナ ソレチコナーチコヤレチコナ
☆秋の耶馬溪お洒落なところ 山は紅葉の化粧する
☆耶馬の谷間に朝立つ霧は 雨とならずに雲となる
☆寺じゃ羅漢寺 滝ゃ玉簾 景じゃ八景 紅葉谷
☆鮎の子でさえ早瀬にゃもまれ 上りつめなきゃ流さるる
☆豊前中津を素通りなさる 二度とこの地に来ぬ気やら
メモ:赤坂小梅がレコードに吹き込んだ。「チコ」は強意の接尾辞。かつては中津市内の盆踊りなどで唄われていたが、今ではあまり踊られていない。多分、レコードを流して踊っている集落もあるのではないかと思うが…

新民謡「耶馬溪小唄」(耶馬溪町)   作詞:山下彬麿
☆春は若葉の萌黄の谷よ 花はらんまん小鳥はのどか
 深山谷間のうす鏡 奇岩奇勝の耶馬の渓
☆夏は濃緑 谷間にゃ河鹿 光る蛍に夕べの涼み
 雨の朝にこもる霧 奇岩奇勝の耶馬の溪
☆秋の夕焼け谷間を残し 深山の紅葉に炭焼く煙
 清き流れにゃ珠が散る 奇岩奇勝の耶馬の渓
☆冬は木枯らし谷間の木立 夕べの深雪は朝日に映えて
 岩間梢の花つらら 奇岩奇勝の耶馬の溪

新民謡「耶馬溪小唄」(本耶馬溪町)
☆峰に谷間に鶯啼いて 耶馬の日和の旅ごころ
 ひびく瀬音に散る山桜 暮れておぼろの春の宿
☆昔しのべば禅海さまの 青の洞門 虹がたつ
 河鹿涼しや山国川に 月は砕けて鮎となる
☆燃ゆる紅葉の競秀峰よ 狭霧 朝霧 来て濡らす
 桔梗 刈萱 尾花が招く 招く情けの篤い里
☆吹くな木枯し 羅漢寺道を 行くは雲華か山陽か
 酒はうま酒ほろろと酔うて 雪のひと夜の宿恋し

新民謡「耶馬溪民謡」(本耶馬溪町)   作詞:山下彬麿
☆山陽の 筆のしずくに色ます紅葉 昔ながらの渓の耶馬 渓の耶馬
☆耶馬の洞門 通れば響く 今も禅海 槌の音 槌の音
☆耶馬の村雨 急げば濡れる しばし待つ間を羅漢寺へ 羅漢寺へ
☆耶馬の溪水 流れて落ちて 浮かぶ筏は中津まで 中津まで
メモ:「久住高原」や「瀬戸の島々」と同じく、山下弁護士の作である。

新民謡「三光音頭」(三光村)
☆ハー 深秣・山口・真坂の地区が ヨイショ とけてなごんでしっかりしゃんと
 結ぶ三光わしらが里よ 三光 三光 三光ナ ヨイトセー
 ほんによいよいわしらが里は ソレ やれさほんとに住みよいところ
 そうちこ ほんとによいところ サテ よいところ
☆四方八方どこから見ても 同じ姿の八面山が いつもやさしく守ってござる
☆箭山太郎に佐知姫とかや 仲を取り持つゆかしい長谷の 観音様だよ拝みましょ
☆村の溜池 荒瀬の水の お陰様ですこの植え付けも にごり祭りのお神酒がまわる
☆箭山神事に斧立まつり 五穀豊穣祝って秋は 笛や太鼓に心も躍る
メモ:昭和29年に深秣村、山口村、真坂村が合併して三光村が発足した記念に作られた唄ではないかと思う。

新民謡「真坂音頭」(三光村)
☆ハー 真坂よいとこ チョイト 羅漢のそばよ ヨイヨイ
 耶馬の清流 ソイ 耶馬の清流あおあおと
 サテ ヤートナーソレヨイヨイヨイ ヤートナーソレヨイヨイヨイ
☆山は緑よ川瀬が響きゃ 飛んで行きたい 飛んで行きたい鮎帰り
☆春は菜種よ蚕のさかり 娘蝶々で 娘蝶々で飛び回る
☆涼みがてらに真坂においで 真坂踊りは 真坂踊りは花じゃもの
☆盆の十六日 踊りを踊りゃ 月は箭山の 月は箭山の屋根の上
☆北は中津よ南は耶馬よ 音頭とる子は 音頭とる子は真ん中に
☆竹があるなら真坂にゃ送れ 佐知の細工は 佐知の細工は日本一
メモ:「東京音頭」の替唄である。戦前に作られたと思われる。多分、踊り方は東京音頭と同じだったのだろう。東京音頭は県内でもかなり流行したようで、地踊りの余興として杵築市や別府市などでよく踊られていたようだ。

 

新民謡「臼木音頭」(三光村臼木)

☆祭り浴衣でヨイショヨイヨイ ひと風呂あびてヤッコラサノサ(サノヤッコラサノサ)

 踊りましょうよ盆踊り ホンニヤレコノ盆踊り

 サテサテサテ ヨイショヨイヨイ(サテサテサテ ヨイショヨイヨイ)

☆北は中津よ 三波は耶馬よ 音頭とる子は真ん中に 真ん中に

☆臼木よいとこ 小高い丘で 人の情けが身に染みる 身に染みる

メモ:レコード化を伴う商業的な新民謡ではなく、臼木地区の人々が唄い踊って楽しむための唄である。昭和の中ごろまでは盆踊りでも踊られていたが、長らく途絶えていた。それが、2000年代に入ってから復活し、盆踊りのときに旧来の「六調子」などと同列に唄い踊られている。伴奏は太鼓のみ。唄の一節に踊りの手の一巡するのがぴったり合うように振りつけられているため、手数が多い。所作はごく簡単だし、同じことの繰り返しばかりなので覚えるのは容易。 


新民謡「中津小唄」(中津市)   作詞:山下彬麿
☆花に青葉に扇の城よ 千代に輝く尊き訓え
 仰ぐ独立 自尊の碑 豊前中津はよいところ
☆偲ぶ鶴市 井堰の人柱 清き山国流れの末は
 稔る沖田井 五万石 豊前中津はよいところ
☆浜は闇無 朝日に晴れて 沖は大量じゃ白帆が戻る
 戻りゃ祇園の朝山車 豊前中津はよいところ
☆英彦夕焼け 箭山は小焼け 耶馬は暮れたか夕日の街に
 響く鐘の音 大雅堂 豊前中津はよいところ

新民謡「中津小唄」(中津市)
☆中津よいとこ南に耶馬溪 朝は気軽なヨ 日も昇る
 中津ぁ十万石 咲け咲け花と 花と咲け
☆桜町には桜は咲かぬ 粋な姿を花と見る
☆中津公園あやめの花は 雨の降るのに濡れて咲く
☆箭山颪は火の国からか 空に火を吐く阿蘇からか
☆囃せどんたく祇園の祭り 中津中津と呼びかける
☆夏は涼しく金谷の堤に 風もそよそよそよと吹く
☆私ゃ心と闇無浜は 月は出ずとも闇はない


新民謡「観光中津音頭」(中津市)
☆ハー 豊前中津は城下の町よ ハヤットサノサ チョイト 桜花咲く塀の道
 ソレ 香る若葉に福澤翁を ヨイトサッサ しのぶ土蔵の明かり窓 シャント
 中津よいとこ城下町 チコソウチコ城下町
☆月の闇無浜辺にうつる 祇園車の絵巻物
 いさみ太鼓に鉦の音さえて 沖は夜明けの夏祭り 中津よいとこ華の町
☆実る沖代黄金の花は 三口大堰母子草
 秋は夕月池面に浮かぶ 薦の社の宵参り 中津よいとこ詩の町
メモ:今でも広く親しまれている。途中で後ろ向きになる踊り方でなかなかおもしろいが、近年は簡略化して前を向いたまま踊るところもあるようだ。

新民謡「中津大津絵音頭」(中津市)
☆時は天正夏のころ 中津の城主黒田候は ハソジャソジャ
 扇の城を築かんと 大工左官や石工をば はるばると
 播州姫路より 春夏秋冬年を経て 築きあげたるその祝い
 犠牲者の霊をも慰めんと ハソジャソジャ 踊りはじめた大津絵を
 ハソジャソジャ 郷土の誇りと姫路町 ハヨイトサッサ
 伝え伝えて今もなお 後の コリャサ 世までも名を残す
 ハヨイトサッサッサ
☆中津祇園の夏祭り かわいい子どもの手を引いて 宮居涼しき闇無の
 老松茂る古池に 鶴と亀と 共に舞い遊び 沖には白帆が数見ゆる
 浜の並木は白雲か 雲かと見ればよ白鷺の 雛を育てて舞い遊ぶ
 祇園囃子や鉦太鼓 神を慰めどっとやれ 町は豊かに栄えゆく
☆文の文言あらあら申しましょうえ 綴りがための蠣瀬口
 入れば豊後町 桜町 多く塩町あるなかを 船場町 北門通りすぎ
 姫路町 米町積み込んで どっと漕ぎ出す船町までも
 わたしゃ妙蓮寺さんに宝連坊 一生の別れは松岩寺
 共に袋町ゅ握るとも 連れて行きゃんせ枝町までも 通り抜けたが新博多町
☆正月二日の初夢に 薦の社の楠木を 木挽き頼んで板にして
 大工頼んで船にする 船は白銀 櫓は黄金 船のみよしに松立てて
 金襴緞子の帆をあげて 沖の嵐は帆で受ける 飲めや大黒歌えや恵比寿
 あいのお客は福の神 飲めや大黒歌えや恵比寿 あいのお客は福の神
メモ:盆踊り唄「大津絵」の字脚を揃え、歌詞を4節に整理したもの。

新民謡「吉吾どん」(中津市)
☆往こか銀杏町 戻ろか船場 ヨイショ ここで思案の吉吾どん
 ドントヤレヤレ 私ゃ行く気は山々なれど ハーヤッコラサト
 胸の財布がままならぬ チョイト ほんにソーチコ ソージャチコ
☆吉吾さんの天昇りゃ危ねえものよ 皆よろうち土がため
 好きなさよちゃんを嫁御にもろうち 晴れち二人の新住居
☆化粧する間も心が弾む 祇園車の鐘が鳴る
 絞り浴衣に桃割れ結うち 主に見せたや艶姿
☆水になりたや たまる屋の井戸の 愛しおくらさんの化粧水
 私ゃ十万石 御城下育ち 肌も白うて器量良し
メモ:吉吾さんとは、県央の吉四六さんのような存在である。子供を中心に杓文字を叩いて踊る。レコードになったようで、その音源はお祭りのときに聴いたことがある。島倉千代子の若い頃の歌声によく似ているのだが、どうも島倉千代子ではないようだ。

新民謡「彦山ガラガラ節」   作詞:野口雨情
☆九州ナー 九州彦山 ハヨイヨイ 夜明けの風は ホイホイ
 六十 ノンシコラ 六十余州の空に吹く 空に吹く
 彦山ガラガラは出世のさきがけ 毛谷村助六は武勇で名高い オーサマダマダ
☆誰が 誰が染めたか彦山様の 秋は紅葉の色のよさ 色のよさ
☆夏の 夏の彦山 気も晴々と 山に緑の雨が振る 雨が降る
☆石の 石の階 桜の馬場に 春はちらちら花吹雪 花吹雪
☆雨も 雨も凍って彦山様は 冬の枯れ木に花と咲く 花と咲く
☆英彦山 英彦山から東を見れば 雲の中から日が昇る 日が昇る
☆月の 月の出頃か千本杉に 啼くは彦山ほととぎす ほととぎす
☆天狗 天狗落としか二天の中所 山も木も鳴る谷も鳴る 谷も鳴る
☆地蔵 地蔵坂越しスキー場越して 杉の下行きゃ豊前坊 豊前坊
☆空の 空の雲さえ彦山様と 夜は来て寝て朝帰る 朝帰る
☆本宮 本宮参りにゃ俗体越しも 鉄の鎖も厭わりょか 厭わりょか
メモ:赤坂小梅がレコードに吹き込んだ。

新民謡「鶴居音頭」(中津市鶴居)
☆自治の巣立ちは宮殿までも 村名とどろく鶴の声
 鶴居七支部北斗のごとく さとす七星 七光 アライエサカサカエ
☆驕り怒りは身をやく炎 消えて儚き長者跡
 耶馬は山陽 山陽は雲華 ゆかり古城の正行寺
☆二千余年の法華寺の鐘は 山の桜が咲いて散る
 松尾初夏さみどり越しに 飾る流鏑馬 騎手姿
☆昔温泉の湯屋ちょうしるし 湯気のかたちの葱がある
 これもその名を瑞泉寺の墓は 香の煙の絶え間ない
☆春は鶴市 地頭の桜 幹は朽ちても名は朽ちぬ
 水をたたえた大井出堰は 神のさながら鏡池
☆三口流れて群れ飛ぶ蛍 神幸あかしの真似をする
 もとは河原だ真田と稔り 小麦七石名も高い
☆金時人参束ねて積めば 昔龍王の犠牲の形
 官幣御渡御の宮瀬の秋は 白衣与丁の水の鳥
☆音も高瀬の水さえ落ちて 鮎も瀬張りに苦労する
 豊前市場の栄えはいつか 金に縁ある賃わたし
メモ:上州小唄の替唄。盆踊りやお祭りのときなどに盛んに唄い踊られた。

 

唱歌「耶馬溪鉄道唱歌」   作詞:鴛海国陽

☆頼山陽の筆により 天下に名高き耶馬溪の

 奇景勝景探らんと 今ぞ降り立つ中津駅

☆独立自尊と訓えたる 福翁出所の中津町

 昔を偲ぶ記念碑は 扇城 城址そびえたる

☆耶馬軽鉄の列車にて 汽笛一声勇ましく

 沖代平野を右左 名僧雲華の古城駅

☆郡中一の大貞の 宮居は高し杉の杜

 鯉のひれ振る薦池 映るや辺りの八つの景

☆常盤の松に色そえて 春は桜に秋紅葉

 美談を残す鶴市や 八面登山は上の原

☆真坂は杉と兎とび 餅に名を得し野路の駅

 宇佐に所以の斧立社 過ぐれば変わる郷の態

☆耶馬七景の清流を 一つに注ぐ鮎返

 山の姿や水の色 眺めおかしき仏坂

☆樋田の民家を眺めつつ いつしか珀水湛えたる

 樋田大堰の鉄橋を 渡る響きは雷か

☆水に映ろう隧道は 昔時狐客の禅海が

 三十余年の辛酸に 掘りしといえる洞門よ

☆羅漢寺駅を降り立てば 法道仙人唐土より

 来たりて開きし羅漢寺へ 道のり僅か十五町

☆手の平返し針の耳 五百羅漢や宝物館

 地獄極楽ひとめぐり 洞鳴の滝も遠からず

☆駅のほとりの青の里 眺め尽きせず山陽が

 一夜を明かせし絶勝地 近くに流れの犬走り

☆競秀峰を眺めつつ スタンプ付きの絵葉書や

 耶馬溪焼の三猿を 記念の土産に買うもよし

☆千筋の滝の蕨野に 三日月神社の杜蔭や

 賢女ヶ嶽の岸壁は 河の彼方にただ一目

☆見よや此方の冠石 名にちなみたる冠石野の

 駅を過ぐれば厳洞山 麓に刀自売の久福寺

☆平田城址や西浄寺 彼方を眺めて立ち止まり

 城井の神社を伏し拝み 枝垂れの松の鶴の坂

☆床しき声の鶯は 彼方此方の山の嶺

 机は本線最長の 隧道刹那は暮れの闇

☆酔仙巌や高城山 川を隔てて秀麗の

 烏帽子ヶ嶽に机淵 廻ればいつか津民駅

☆幽遂閑雅の桧原山 誦経の声を聴きながら

 昔を偲ぶ正平寺 これより僅か一里半

☆奇岳の麓 西東 翠轡清水眺めては

 瑞西の景もかくもこそ ロッキー山峡かくもこそ

☆柿坂駅の勝景は 文にも画にも尽くされず

 筆をなげうち山陽が 称揚したる擲筆峰

☆ここは耶鉄の終点地 寺宝に名ある袈裟懸の

 名号を有する善正寺 詣でて旅労を忘るべし

☆これより馬車や車にて 三里あまりを辿りなば

 山霊水伯秀麗の 深耶馬溪に至るべし

☆芝石岩や鳶の岩 竜鼻岩にこしき岩

 七福岩と鴫良滝 くしき眺めは数多し

☆英彦登山は本渓の 青葉若葉に花紅葉

 四季の眺めに七里半 山容水色限りなし

☆途にて姫の花房や 毛谷六助 豊前坊

 武術を鍛いし岩見らの 史跡を探るも妙ならん