新民謡「西野浦小唄」(蒲江町西野浦)

☆雨は小粒の真珠の雨か ならぶ筏に降りかかるヨー

 沖は一本釣イカ・サバ・ハマチ 磯はアワビの片想い

 エーサヨイヨイ西野浦

☆吹くや涼風 権現様の 御輿ゃ総持ち浜伝い

 明ける短夜 長江寺様の 空を鳴きゆくほととぎす

☆秋も色づく裏山狭山 みかん摘む娘のふりのよさ

 晴れて登れば遠見の山よ 四国ほのぼの夢を呼ぶ

☆満ちる潮に中の洲見えぬ 思う小舟ももう見えぬ

 通い舟ならことづてしょうか 海は暮れゆく灯がともる

 

新民謡「西野浦音頭」(蒲江町西野浦)

☆後ろにゃ仙崎 前にゃ海 サノ前にゃ海 入江うるわし西野浦 トサイサイ 西野浦

☆天然自然の平和郷 サノ平和郷 ここにいそしむ村人は トサイサイ 村人は

☆近く宮崎また対馬 サノまた対馬 遠く南洋に雄飛する トサイサイ 雄飛する

☆進取の心や勤倹の サノ勤倹の 美風を培う我が郷土 トサイサイ 我が郷土

☆気候温和に海凪ぎて サノ海凪ぎて 出船入船にぎわしや トサイサイ にぎわしや

☆とれど尽きせぬ海の幸 サノ海の幸 みどり豊けし畠の幸 トサイサイ 畠の幸

☆年毎に建つ家並みは サノ家並みは 村の栄えのしるしぞや トサイサイ しるしぞや

☆鎮守の森のうぶすなは サノうぶすなは 我らの永遠の守りなり トサイサイ 守りなり

☆自然のかたに生を受け サノ生を受け 神の訓えを鑑とし トサイサイ 鑑とし

☆いざや努めん人の道 サノ人の道 いざや磨かん我が心 トサイサイ 我が心

 

新民謡「揃うた揃うたよ」(蒲江町西野浦)

☆揃うた揃うたよ ホラ 櫓拍子が揃うたよ 網のモジより ホラ なおよく揃うたよ

 用意は程よくできて ホラ 今日こそ大漁よ  青海原は広々飛び交う都鳥

 ヒラヒラヒラヒラ 海原 舳先をかすめて 海面に集めて遊ぶよ

☆揃うた揃うたよ ホラ 櫓拍子が揃うたよ 網のモジより ホラ なおよく揃うたよ

 空は青々晴れて ホラ 今日こそ大漁よ 向こうハチマキ勇ましい唄さえ嬉しげに

 ジョーヤラジョー ジョーヤラジョー 船端たたいて 櫓拍子を揃えてヨンサヨ

 

新民謡「西浦八景小唄」(蒲江町西野浦)

☆洲崎 州の原よそには聞かぬ 貝の名どころ歌どころ

 トントン ほんにそうじゃが そうじゃがえ

☆潮の満干に魚群れ集う 網代一だよ古川瀬 ほんにそうじゃが そうじゃがえ

☆今年ゃ出来秋 村人笑顔 笑顔道理でお関様 ほんにそうじゃが そうじゃがえ

☆土佐のモ島も日向の灘も ひと目見渡す遠見山 ほんにそうじゃが そうじゃがえ

☆寺の積翆 御堂はあらた 法の御灯あかあかと ほんにそうじゃが そうじゃがえ

☆肌の白さがよう似たものは 因野大根と村娘 ほんにそうじゃが そうじゃがえ

☆松の緑を入り江に映す 海は鏡の越野浦 ほんにそうじゃが そうじゃがえ

☆木々の緑を茜にそめて 紅葉ゆかしい名護屋鼻 ほんにそうじゃが そうじゃがえ

 

新民謡「佐伯音頭」(佐伯市)

☆ハー 佐伯音頭の櫓の太鼓 どんと踊ればヨ 輪に輪が咲いて

 月も浮かれる 月も浮かれる サッサヨイヨイ たばこ山

☆沖にゃ漁火 番匠は夜風 どんと踊れば上げ潮揺られ 娘心を 娘心を呼ぶ帆影

☆粋な若衆は御城下育ち どんと踊れば夜霧も晴れて 桜瀬に散る 桜瀬に散る三の丸

☆出船入船 岬の逢瀬 どんと踊れば工場の煙 別れ惜しんで 別れ惜しんでまたなびく

メモ:佐伯市内で盛んに踊られている。特に佐伯市街地においては地踊りが衰退気味で、供養踊りのときにも「佐伯音頭」や「佐伯小唄」などのレコード音源に合わせて踊ることが多い。

 

新民謡「佐伯音頭」(佐伯市)

☆ハー 思いこがれて番匠が明けりゃ アリャセ 映る城山ヨー

 花盛り 人に見せたい サッサヨイヨイ あだ姿

☆情け濃岡の朝霧晴れりゃ 銀の翼がゆらゆらと 主はかわいや国の花

☆泣くなかずらの浮き寝の鴎 出舟出しなにさめざめと 情け深さの岸柳

☆恋の架け橋渡れとかけて 逢いに池田は日ごと来る なぜに女島は舟便り

☆花の吹雪に城山暮れりゃ いとし情けの煙草山 逢いに来たよな月が出る

メモ:こちらは現在、唄われていない。


新民謡「佐伯小唄」(佐伯市)
☆両の城山濡れては通う ホロロきぎすか笹越えて 番匠川原の笹越えて
☆小魚白魚いたいたのぼりゃ 逢瀬断たれて網代笠 暮れりゃ浮名を流すもの

新民謡「佐伯小唄」(佐伯市)
☆明ける城山 桜が招く 松の翠のあいあいに
 煙草山かよ番匠の水に かすむ姿のほのぼのと
☆峠越えれば島々浮かぶ 南風の日和の波が立つ
 闇の深さにかがり火燃えて 沖の夜釣りの様恋し
☆堅田踊りの輪に輪が咲けば 揃う手拍子足拍子
 潮が満ち来る稲舟小舟 狭霧隠れに櫓が響く
☆何か鳥影 真砂をよぎる 落ち葉焚く日の養賢寺
 雪の降る夜の葛はかなし おぼこ紀州に降りかかる

新民謡「上浦音頭」(上浦町)
☆ハー 彦のお山に朝日がさせば 入江々々の甍が光る
 浪太鼻から蒲戸の岬 何と上浦広いじゃないか サテヨーイヨーイトナ
 島の根かげにゃポンポン蒸気 磯にゃ潮の香 ユーカリ 浜木綿
 海の上浦よいところ サテヨーイヨーイトナ
☆桜咲いたよ瀬会の丘に 花の吹雪で渚は潮干
 沖の小舟の釣りする人に 春日かすんで鴎も眠る
 生簀磯崎 鯛釣り上げて さあさ飲みましょ唄いましょ
☆小春日和にゃ蜜柑が熟れる 蜜柑とる娘は美し優し
 揃う唄声 姐さんかむり 夜の海には夜焚の火影
 遠く近くの波間に燃えて 想うあの娘の 胸まで焦がす
☆伊予に立つ雲 入道雲の 嶺の頂豊後にかかる
 浅海井浦には絵日傘 日傘 あでな水着は緑に赤に
 暮れりゃ二見に月影淡く 明けりゃ暁嵐 白糸 小糸
☆櫓声ゆたかに船べり漕いで 水綱とる船 大漁幟
 相撲に鍛えた若衆の肌に 吹くは浦風 浦風千鳥
 汽車はポッポとトンネル越えて 昔なつかしホツモは薫る

新民謡「新上浦音頭」(上浦町)
☆ハー 花は浜木綿 ソレソレ ハー 岬は蒲戸
 そよぐ潮風南風 夢の上浦 西から東 一目千両のこの眺め
 心ウラウラ上浦ウララ よいところ よいところ
☆津井の桜は七分が見頃 残る三分もまた見頃
 彦のお山に風立つ朝は 散りはせぬかと気にかかる
☆豊後二見に寄せては返す 波に緑の夫婦松
 ぬれて嬉しい暁嵐滝に うつす二人の恋すがた
☆みかん色づきゃ高平山も 紅葉錦に衣替え
 旅のお方の船追いかける 小田の千鳥のいじらしさ
☆豊の海原 溢れる光 四季が絵になる歌になる
 情け一夜がつい身にしみて いつか三つ石 福泊

新民謡「上浦小唄」(上浦町)
☆夢が欲しさに椰子の実さえも 想いはるばる黒潮越えて
 流れ着きます 流れ着きます上浦へ チョイトチョイトお寄りよ上浦へ
☆豊後二見はあなたと私 松木待たす気切れそで切れぬ
 仲を結んだ 仲を結んだ注連飾り
☆津井の夜桜花びら添えて 送りましょうか旅路の人に
 またの逢う日の またの逢う日の恋便り
☆ほんに最勝海その名の通り 岩の見事さ入江の碧さ
 忘れられよか 忘れられよか三つ石を
☆可愛い浜木綿上浦育ち するめ肴に地酒をくめば
 しみる情けの しみる情けの海の宿

新民謡「蒲戸音頭」(上浦町蒲戸)
☆蒲戸よいとこ綱引くところ ソリャ 引くところ
 不景気知らずのよいところ ソジャソジャ よいところ
☆大浜 納ヶ内 蒲戸 福泊 網代めぐり
 海からお金が湧いて出る 湧いて出る
☆海と空とが霞みに煙り 霞に煙り
 潤む灯台ありゃ水の子よ 水の子よ
☆波が高うても南風吹く日でも 南風吹く日でも
 蒲戸男の子にゃ鉄の腕 鉄の腕
☆男浪女浪は魚族を乗せて 魚族を乗せて
 太平洋から寄せてくる 無尽蔵
☆ハンマ発破の音にぎわしく 石山は
 納ヶ内 背平 三ツ石 塩屋浦
☆義理も人情も知らない人は 知らない人は
 蒲戸気質に来て染まれ 来て染まれ
☆夏が嫌なら蒲戸にござれ 皆おいで
 涼み万国 夏知らず 夏知らず
☆米がないなど思し召さるな 思し召さるな
 九十九浦の筆頭よ 田の広さ
☆白砂青松 見事な校地 その運動場は
 日本一だよ最勝海校 日本一

新民謡「直川音頭」(直川村)
☆ハー 地味でナ 地味で愛嬌のわしらが在所 懐しその名も 懐しその名も直川村
 ソレ手拍子揃えて ヨイトサノサ ナー ソレソレ ヨイトサノセ
☆清く 清く流るる久留須の川にゃ 番匠上りの 番匠上りの鮎が住む
☆今日も 今日もカラコロ荷馬車の音に 下り行くのが 下り行くのが直見杉
☆蚕 蚕どきかよチラリと見えた 桑摘む乙女の 桑摘む乙女の姉かぶり
☆茜 茜雲射す山峡小田に 老も若きも 老も若きも野良仕事
☆なじょで なじょな心で今年も暮れりゃ 谷の間々 谷の間々 梅が咲く

新民謡「チャンチャカ節」(宇目町木浦)
☆産土神の御加護で 日々に栄える錫の里 木浦の富士の一帯は
 無尽の宝 埋蔵す チャンチャカチャンチャカ チャンチャンチャン
☆昼夜機械の動きいる 選鉱場より眺むれば
 同じ形に創られし 囲ハン場に月清し
☆除 中岳や西山に エノハ山鳥 猪や鹿
 松茸 椎茸 山の幸 自然の恵 豊かなり
☆落水部落に変電所 建ちてこの方 文化の灯
 深山の界を照らすなり 夢育むや茶の香

新民謡「宇目小唄」(宇目町)
☆桜吹雪につい誘われて 越える三国の峠路 あわれ
 あわれ草生す隼人の塚に むせぶ思いの むせぶ思いの花が散る
☆粋な馬子唄 駅路の鈴も 今は遥かな史の跡
 並ぶ甍よ名も小野市の 床し風情をさながらに
☆香る石楠花 傾晴れて 阿蘇の煙もほのぼのと
 聖いお山よ四王子山は 雲の上まで木が茂る
☆宇目の渓間の夕焼け頃は 子守乙女の唄喧嘩
 あやす背の子 指さす空に 明日も日和の一つ星
☆萌える青葉の中岳川に 登る若鮎 奔る水
 仰ぐきりぎし轟く瀑に スイと糸引く岩つばめ
☆宇目は七谷 峠は七つ 七つ不思議な七名所
 国は豊後よ河流は日向 ほんに不思議な夢の郷
☆稔る稲穂に秋の陽映えて 交わす笑顔の椿原
 笛も太鼓もたかどや様の 森にしゃぐまの毛が揺れる
☆昔岡様 七万石の 富を支えた錫の山
 木浦よいとこいやます栄え 進むキリハが国の糧
☆拓く傾き 尽きせぬ原生林 延びる軌道に湧く希望
 走るトロリー命の瀬戸よ 下は岩咬む矢の激流

新民謡「木浦音頭」(宇目町木浦)
☆宇目はナー 宇目は七谷 朝霧夜霧 アーヨーイトヨイト
 咲いたつつじも チョイト 咲いたつつじも朧染め
 アラ唄うち踊っち夜が更けり サテらんらんらんとまたひと踊り
☆荒れてくれるな傾おろし 嶺の石楠花また散らす
☆熟れるいちごの紅かねよりも 私ゃ緑の茶の香
☆夏も涼しや千人間府の 水は黄金のとけた水
☆揺れる波間の瓢箪淵に 月も砕ける春の宵
☆祖母はしぐれる傾ゃ晴れる 宇目の谷間にゃ虹がたつ

新民謡「宇目の絵馬唄」
☆晴れりゃ三国の花吹雪 降れば酒利の松並木 広重画く東海道
 五十三の錦絵に 写すや風情 その姿
 おっとここらは 宇目で名高い旧街道
☆源遥か傾の 深山に積もる白雪や 流れも清き田代川
 小長谷の渓に今もなお 伝えも悲し荷かい淵
 おっとその名は 十五夜姫の物語
☆春まだ浅き宇目の里 騒ぐ水辺に蜘蛛の糸 怪しき力 巌が根も
 たちまち砕く間の姿 スルリとひとり鞘ばしり
 おっとばっさり 蜘蛛切丸とはその刀
☆二八の乙女 真心を 誘う恋路の唄げんか
 薩摩なまりの旅人に ついほだされてウカウカと 漏らしゃ矢数刀数
 おっと危ない 相手は津島のまわしもの
☆一本立ちの萩薄 一年栗の不思議さよ 田の面に浮ぶ塩華や
 満干の塩井 蛤と いまだに残る御霊石
 おっとびっくり 宇目の谷間の七不思議

 

新民謡「米水津讃歌」(米水津村) 
☆キシメキ崎に鶴御崎 サノ鶴御崎

 米水津湾を抱きます トサイサイ 抱きます
☆かもめ夢見る波の上 波の上 金鱗銀鱗 魚とる舟 魚とる舟 
☆蚕飼いの妹のくたれ髪 くたれ髪 真玉白玉 まゆの玉 まゆの玉
☆浦代峠の山桜 山桜 松の緑に花の雲 花の雲
☆おっと米水津に秋が来りゃ 秋が来りゃ 嶺のオレンジ黄金色 黄金色
☆元越山の秋の月 秋の月 薄の原に鹿の声 鹿の声
☆浦曲に響く黄昏の 黄昏の 鐘に白帆が帰り来る 帰り来る
☆お国の栄え粟島の 粟島の 神に願かけ千代八千代 千代八千代

メモ:佐藤千夜子が唄って全国的に流行した「紅屋の娘」の替え唄。

新民謡「古里」(米水津村)
☆後に元越前には入り江 右の松切り左に押出
 両に抱いた米水津港 釣の小舟がちらほら見ゆる 
☆五千の村人平和な里に 袈裟も大漁の漁船が戻りゃ

 加工工場の煙がのぼる 
☆続く畑のみかんの中に 採取鋏の手も手も動く
 姉さんかむりの話がはずみゃ 乙女唄うか豊年音頭 

新民謡「新トンネルに寄せて」(米水津村)
☆花のトンネル浦代峠 咲いた桜の花見の宴で

 唄った踊ったあの思い出も それは昔の夢でした
☆今じゃ木も枯れ桜はまばら 七折八折の危ない道を 車で通るも今しばらくだ
 唄って踊って分かれる日まで それはすぐだよ夢じゃない 
☆坂もゆるやか新トンネルに 今日もハッパが谷間に響く
 瀬戸の山々紅葉でそめる くるぞ観光米水津湾に それは本当だ夢じゃない 

新民謡「色利の盆踊りに寄せて」(米水津村)
☆国は豊後の米水津色利 戸数二百四十平和な郷よ
 区長頭に二十の班は 家族同様和気藹々と 春は鎮守のきざはしの花 
 夏は入り江の海水浴よ 盆の踊りをみな楽しみに 
☆三年に一度の弔い踊り 祭壇飾り香たきこめて 前に遺族がずらりと座る 
 傘に香たき着物を吊るし 喪主がかついで静かに廻る 
 故人偲びて涙がほろり 踊りはずみて浜いっぱいに 
☆遠く異郷に働く人も 家で留守守る老人方も 今日の踊りを皆楽しみに 
 ドンと合図の太鼓が鳴れば 広い浜辺に皆集まりて 調子そろえて手足も軽く 
 うちわかざしてしなよく踊る 踊りしまれば五重も六重も 
 ふけゆく空に太鼓は響く 
☆踊る皆さん 囃しの方も 今夜大変ご苦労でした またのお盆を楽しみに 
 秋の黄金の玉もろともに 盆の踊りはいついつまでも 
 踊り伝えて楽しみましょう ながく伝えて楽しみましょう 

新民謡「公民館の落成を祝って」(米水津村)
☆米水津湾の一画に 朝日を浴びてそそり立つ

 郷土の誇りの公民館 今日落成のめでたさよ 
☆春は鎮守の桜花 南に大師の山仰ぎ 湖水のごとき入り江には

 四季を通じて海の幸 緑の山に囲まれて 紺碧の海 水清し 
☆秋にはみかんの黄金色 かかるよき地に生まれきて

 朝な夕なに感謝しつ 長く生きよう百までも

 

唱歌「修学旅行唱歌~大分・別府~」(佐伯市下堅田)

<佐伯~大分>

 ☆龍王山や堅田川 眼ざめもやらぬ朝まだき いく山河にあこがれて 出で立つ旅のうれしさよ

 ☆汽笛一声佐伯駅 楽しき旅に出で立てば 見よや右手に窓ちかく 大入島も眼覚めたり

 ☆狭霧消えゆく海の上 浮かぶ白亜の工場に めぐる文化の回転炉 焼くやセメントおびただし

 ☆海崎駅も早や過ぎて 去年の卯月の末の頃 魚貝ひろいて遊びたる 浅海井の浦なつかしや

 ☆走る列車の窓あけて 眺めは明かし津久見湾 町はセメント空けぶり 黄金に匂うみかん山

 ☆臼杵の海の波しずか 沖にあゆらし津久見島 並ぶいらかの賑わいや 海にのぞめる城の址

 ☆熊崎下ノ江早や過ぎて トンネル出づれば幸崎や 煙突高し製錬所 関の港もほど近し

 ☆うち開けたる坂ノ市 大在過ぎてほどもなく とどろく橋は大野川 源はるか山幾重

 ☆流れを汲める鶴崎は 踊り名高し夏の宵 高城駅にほど近く おわすは子安観世音

 ☆行く手に高崎由布鶴見 かすむ山々眺めつつ 鉄路のきしり音高く 汽車は着きけり大分市

<大分>

 ☆ああ大分市 新興の 商工業の賑わしや のびゆく街は西東 人口五万八千余

 ☆名も美わしき白雉城 石垣高く塀高く めぐらす濠の水やせて 偲ぶ古城の面影や

 ☆英傑大友宗麟が 遺業の跡を訪ぬれば 上野ヶ丘の春早み ただ音高し松の風

 ☆つとに文化の華咲きし 神宮寺浦いずこぞや 春日の浦の砂白く 寄せては返す波の音

 ☆春日神社の杜蔭に やさしき鹿の群れあれば 池のほとりに佇みて 仰ぐも高し忠魂碑

 ☆赤き心やますらおの たむろするなり歩兵営 征戦三度 外つ国に 功かがやく聯隊旗

 ☆練兵場の草の色 燃ゆる陽炎 春のどか かける兵士の影見えて 銃音絶えじ射的場

 ☆雪のユフタを血に染めし 田中大隊三百の 将士は眠るとこしえに 名は朽ちせじな志手ヶ丘

 ☆いま九州の東岸の 門戸となりて拓けゆく 規模も大なり大分港 突堤遥か海の上

 ☆日豊線の道遠く 山また山の豊肥線 大湯線のつどい来て 水路いそがし南北

<別府>

 ☆海に迫るは高崎の 牛の臥したる姿かな そびゆる山は鶴見岳 雪にかがやく由布の嶺

 ☆鏡のごとし別府湾 瀬戸の内海 水はるか 霞める伊予の山々や また国東や日出の里

 ☆かがやく甍 湯の町は 山と水とにはぐくまれ 出で湯に育ち恵まれて 名に背かじな別天地

 ☆海岸通り流川 また松原や浜脇や 街の通りの賑やかに 行き交う人の足繁し

 ☆ケーブルカーにうち乗りて 上る乙原山の上 眺めは清しイタリヤの ナポリにすらも劣らじな

 ☆石垣原の古戦場 つわものどもの夢いずこ 実相寺山 松黒く 姿うるわし扇山

 ☆のぼる煙は海地獄 坊主地獄か血の池か 地獄めぐりの遠ければ ただ訪ねみん鶴見園

 ☆鶴見地獄の湯のたぎち たぎる湯玉のものすごさ 地軸に響きとどろきて 壮観尽きじ類なし

 ☆地獄をあとに下りゆく 足の運びのかろければ 訪ねてゆくや大仏の 胎内めぐり許せかし

 ☆砂場のほとり宿とりて 夜の憩いの嬉しさよ 夢路は辿る明日の旅 わがふるさとよ待てしばし

メモ:昭和6年3月、下堅田尋常高等小学校六年生の大分・別府修学旅行に際して、担任の羽柴弘先生の作詞作曲されたもの。

 

唱歌「郷土唱歌」(南海部地方全域)

☆九十九浦の名も高く ふるき先祖の昔より われらが住める郷土の歌 いざや歌わん声あげて

☆西に南に道ひらけ 葛の港 遠からず 佐伯の町はうるわしく 南海部の首府なるぞ

☆北に聳ゆる城山や 南を流る番匠川 山の姿も川の瀬も 流れは清く森深し

☆森にちなめる毛利氏が 世々のあとなる天主台 松の木の間にほの見えて 今まも残れり城の址

☆河にかかれる池舟の 橋のあなたは大師山 山々青くとりかこみ 長瀬 池田の野は広し

☆川より山の裾かけて 立ち並びたる家々や 市は縦横正しくて くまなきまでに栄えたり

☆ところ治むる郡役所 いうも更なりさまざまの 役所 銀行 商店は ここに集いて賑わしく

☆大路小路の端々に 諸宗の寺も数多く 今はひらけし学校に 昔のことも思いみよ

☆馬場の大松色深く 並木のはぜは紅葉する うぶすな神の明神ぞ そこら近くに見ゆるなり

☆女島 長島 大江灘 わきてゆかしき岡の谷 春の桜の花の香に かたみの石も匂うらん

☆春秋ごとの眺めよく 人の心はいと清し 四季の気候もほどを得て 心も白雪見るは稀

☆仰げば遠き文禄の 朝鮮役に従いて 江原一道なびかせし 高政公の名は高し

☆君がいさおの徴とて つくりなしたる鶴谷城 矢筈毛利の礎を 築き伝えて香ばしき

☆源林公に寛龍公 いずれ劣らぬ英主にて 訓えを遺す四訓堂 文武の誉 世に響く

☆筑蔭 米華 芳洲や 秋月伯起その外に 人材出でし佐伯藩 祖先の誉 忘るるな

☆峰々多く連なりて 平野はうちに少なきも 田畑ひらけて村々の 土地には出づる産物のあり

☆蒲戸岬と宇土崎と 中をつつめる佐伯湾 大浦小浦数々の 海には尽きぬ宝あり

☆山越え野越え里越えて 港入江に舟浮かべ 見つつ過ぎんか幾村を 知れる郷土こそ楽しけれ

☆葛港を立ち出でて 行けば上浦 八幡村 沖にたゆとうあまさ舟 霞ヶ浦に波白し

☆瀑に名を得し浅海井や 二栄 津井は家繁く 祭りにぎわう八幡の 戸穴は誰も知りつらん

☆ここより見ゆる大入島 波に横たう島影に 守護 石間はいと近く 塩内は地洲のあるところ

☆神武の帝 東征の かしこし跡を記されし 日向泊も島のうち 帝の井戸は今もあり

☆八幡まわれば鶴岡の 村におかしき白潟ぞ むかし網引きしところとて ここら辺りは海なりき

☆変われば変わる世の中よ 古市村は佐伯氏の 城下の跡と聞こゆれど 盛えしあとの影もなし

☆名のみ残れる栂牟礼の 年経し杉に言問えど 峯の嵐の夢を吹く 音にも今は知られじな

☆早瀬を下る筏舟 土器屋河原は香魚もよく 龍護寺村の観音や 久武の大師は霊地なり

☆弥生は山の賑わいて 里の菜種も美しく 皐月は藤の樫野村 秋は上岡 脇の野ぞ

☆床木の隧道と伊賀越を 出でつ越ゆれば明治村 民は豊かに里ひらけ 鶴岡村に続くなり

☆霊験しるき尺間岳 御山のぼりは絶え間なく 麓の宮の愛宕社も 年の祭りは賑わえり

☆朝な朝なに牛曳きて 木の身をひさぎ薪売る 業につとむる里の女は 似たり都の大原女

☆上野 中野は人も知る ここは製紙の名産地 その名産の名を上げし 野々下翁の名を知るや

☆小倉と江良の別れ道 馬子の唄聞く藪かげや 番匠磧はその昔 罪人斬りしところなり

☆穴居の跡と伝え言う 風戸の岩窟は奥深く 岩窟通える丁子口 小川は蕎麦の名どころぞ

☆因尾は道も遠けれど 紅葉の錦敷く頃は 行きても見よや彼の谷に 史にもしるき古戦場

☆川原木村に出で来れば 上れば行かん日向路や 下れば帰る直見村 畑の山地もひらけたり

☆路は直見か切畑か 須垂の坂を界にて ここぞ十年の修羅のあと 祇園神社はこの先ぞ

☆廻れば戻る元の道 池船橋をうち渡り 隧道の中山抜け行けば 堅田 青山道遠し

☆龍王山は峩々として 数河を流るる堅田川 流れに沿える柏江は 昔天領なりしとか

☆松風清き江国寺 鐘の響きを野に聞きて 夕べ静かに暮るるとき 人は家路に急ぐなり

☆宇山 城村 岸河内 話に残る波越坂 夏草しげる大越は つわものどもが夢の跡

☆梅に名高き石打の 野道を右に入り込めば 西野河原は水かれて 向かいの畑に森見ゆる

☆空を蔽える大杉の 蔭に立ちたる墓標 昔忘れていまわしも 弔う人もなかるらん

☆哀れ朽ちたる石碑に 苔むし草は繁れども 四百余年のあと留むる これぞ惟治父子の塚

☆武名四隣に隠れなく 大友一の旗頭 惟治ほどの武士も ああ天なるか命なるか

☆無実の罪に落とされて 尾高知山の露と散る 蕾もともに千代鶴が 残る怨みは幾何ぞ

☆同じ流れの惟定が 薩摩隼人を破りたる 府坂の奥や長瀬原 世に勇ましき跡はここ

☆花は桜木 人は武士 その武士の名を記す 桜の名所 黒沢は 谷の河鹿の声もよし

☆煙のどけき炭焼きの 山口のぼる轟坂 峠の山路踏みみんも 道のたよりぞ後にせん

☆木立通いを待ち受けて 乗れば船路のおもしろや 松の露はう茶屋が鼻 網打つ舟はぼらうちか

☆大野大根や芝薪 山深ければ鹿もすむ そこの入江に川岸に 鯊を釣りすもこの村よ

☆元越山は近けれど まずは船路を中浦に 行きてもみんか吹 松浦 羽出 中越 丹賀浦

☆いざ梶寄に舵寄せて 坂を伝えば鶴見崎 岬はるかに尽き出でて 見よ望楼はそこにあり

☆見渡す方は涯もなく 四国の山も中国も 島影遠くうち霞み 浪に白帆もちらちらと

☆眼下に見ゆる大島の 砂は真白く松青く 沖につき立つ灯台は 音に聞こえし水の子ぞ

☆中浦越せば米水津の 竹の浦わに網曳くや 名も懐かしき宮野浦 色利と呼ぶはおかしけれ

☆浦代村は繁華の地 峠の桜 春はよく 小浦の神社 粟島と ここの閻魔は名も高し

☆きしめき崎や芹崎や 湾広き入津村 諸国の船はとまがかり 沖に浦人 釣すなり

☆かしこき帝の舟泊めて 御旗なびけし畑野浦 いつき祀れる御社を 仰ぐもいとど尊けれ

☆楠本 河内 西野浦 昔語りのうつろ舟 話に聞きて早や行けば 残るは蒲江 名護屋村

☆八日薬師に行きみんか 佐伯に続く蒲江港 町の形も整いて 港に船の影繁し

☆沖に霞める深島は 罪人やりしところとか ここらの海は漁場にて 屋形の島は景色よし

☆岬めぐれば猪串の 湾深く港よく 先は森崎 丸市尾 いまこそ着きね葛原

☆長めに続く眼鏡岩 砕けて散るか波の花 浜の蛤 味清き 波当津浦はわが涯ぞ

☆村々多く土地肥えて 野にも浦にも宝庫 九十九浦と古くより 伝え伝えし佐伯藩

☆今ぞ昔に勝りたる われらが郷土を忘るべき 誉れの後を受け継ぎて 勤め励まんいそしまん

メモ:この唱歌は昭和6年に作られたもので、当時、現在の宇目町(小野市村・重岡村)は大野郡に属していた。そのため、この唄の中には一切出て来ない。