神踊り(佐伯市大字青山字黒沢 冨尾神社)
「イレハ」
☆天岩戸のその初め 隠れし神を出ださんと
 八百万の神遊び これぞ神楽の初めなり
○松の隙より海面見れば 霧にまじわる淡路の島より 漕ぎ来る舟は面白や 舟人
○タカス通いは物凄や 沖の鴎と波の打つ音 夜明けの鐘は物凄や 舟人
○ここは住吉のお前でござる いざや人々 宮参りを始めて
 神をも涼しめ宮参りしょう 舟人
◇忍ぶその夜は雨なら愛し お山のイヤ 露は雨まさり
◇鴉が啼けばもう去のとおっしゃる 月夜のイヤ 鴉いつも啼く
 蓑着て来い 笠着て来い 小笹のイヤ 露は雨まさり
△十七八は木綿の袴 身にしとしととつきゃ愛し
△りんちょうじ別れ 匂いある人に別れて面白や
 いつまでもお泊り 朝の道急ぎたまえ候
△かの山見さえこの山見さえ いただきつれた小原木を
「お伊勢踊り」
☆イヤ お伊勢踊りハー 踊り踊りて慰みぬれば
 イヤ 国も豊かに 千代も栄ゆるめでたさや
 イヤ 東は関東奥までも 東は関東奥までも
  老若男女おしなみて 参り下向のめでたさや
 イヤ 榊小枝にシデ切り掛けて イヤ お伊勢踊りのめでたさや
☆お伊勢踊り 踊り踊りて慰みぬれば 国も豊かに 千代も栄ゆるめでたさや
 西は住吉天王寺 西は住吉天王寺 四国筑紫の人までも
 参り下向のめでたさや 榊小枝にシデ切り掛けて お伊勢踊りのめでたさや
☆お伊勢踊り 踊り踊りて慰みぬれば 国も豊かに 千代も栄ゆるめでたさや
 南は紀州 御熊野の 南は紀州 御熊野の お里の末の人までも
 参り下向のめでたさや 榊小枝にシデ切り掛けて お伊勢踊りのめでたさや
☆お伊勢踊り 踊り踊りて慰みぬれば 国も豊かに 千代も栄ゆるめでたさや
 北は越前 能登や加賀 北は越前 能登や加賀 越後信濃の人までも
 参り下向のめでたさや 榊小枝にシゲ切り掛けて お伊勢踊りのめでたさや
「籠踊り」
☆ハイヤ 籠召せ籠召せ鳥籠を ハイヤ ヤマガラの
 籠の内での怨み言 ハイヤ 籠が小籠でノー サテ遊ばれん
☆籠召せ籠召せ鳥籠を 武蔵野の 草の葉の数思えども 縁が薄いか添いはせん
☆籠召せ籠召せ鳥籠を 七尾七瀬の 砂の数ほど思えども 君に添わねば清くもなや
「ふた道」
☆ハイヤ ふた道かけじゃ我が仲を ハイヤ思えども
 君は思わん振りを召す ハイヤ 心ばかりで嘆かるる
☆ふた道かけじゃ我が仲を 糸ススキ 引かば靡けよ糸ススキ 枯れ穂になりては要らぬ身を
☆ふた道かけじゃ我が仲を 秋鹿が 恋に焦がれて野に出でて 妻呼ぶ声は味気なや
「朧月夜」
☆ハイヤ 朧月夜は山の端に ハ 誰が情けぞ村雨
☆萩やくのきりきく菊の花 お呼びなければ見たばかり
☆とどろとどろと鳴る神は 音は桑原 よも落ちん
「名所踊り」
☆イヤ 名所踊りを踊るよ イヤ 春雨の 晴れゆく今朝を眺むれば
 寂しかるらん春は来にけり アラおもしろの名所や
☆名所踊りを踊るよ 逢坂の 関の戸さしの音果敢ない
 音に科なや 音は科なや アラおもしろの名所や
☆名所踊りを踊るよ 三井寺の 鐘の響きに目が覚めて
 鐘に科なや 鐘に科なや アラおもしろの名所や
「せめて見る目」
☆ハイヤ せめて見る目をうらうらと ハイヤ 情けなや
 われに心を置く人見れば よそに打ち解けて 怨み葛葉のきりぎりす
☆せめて見る目をうらうらと 思うこと 色に見せまい紅のよそに
 散りては靡かせん 我が身一つはいかにせん
☆せめて見る目はいらいらと 情けなや 顔と目許は桜花
 振りと形は青柳の 怨み葛葉のきりぎりす
「葛の裏葉」
☆ハイヤハ 葛の裏葉か我が恋は ハイヤハ うろめてとやる玉章は
 はらほろほろはらと出づる ハイヤハ 誰が情けぞおむろさみ
☆他人の嫁御になる人は 取れば名の立つ玉章は
 はらほろほろはらと出づる 誰が情けぞおむろさみ
☆狭い小路に踏み入りて 取らぬものじゃよ玉章は
 はらほろほろはらと出づる 誰が情けぞおむろさみ
「りん箱」
☆イヤ 思う方より イヤ りん箱を得たが イヤ 身より蓋より掛けごより
 中の イヤ じんよりその身や大事エ よしやしろりしやおのう
○イヤ 思う君様を イヤ そのお里で見れば
 イヤ 情けなえ よしやしろりしやおのう
○イヤ どこに寝よか イヤ あの山中に妻を
 イヤ しきぬにたださ イヤ まえろえ よしやしろりしやおのう
「たちは並び」
☆ハイヤハ たちは並べどものが言われん ハイヤハ 富士や浅間の煙とともに
 ハイヤハ 背に伏して帰る朝は袖絞る
☆たちは並べどものが言われん 摂津の国の浪速津ともに 背に伏して帰る朝は袖絞る
☆たちは並べどものが言われん 富士や浅間の煙とともに 背に伏して帰る朝は袖絞る
「ほのぼの」
☆ハイヤ ほのぼのと ハイヤ 明石が浦の朝霧に
 イヤ 君も棹寄らす我もおりす ハイヤハ それは情けのすりぎりか
☆伊勢の国 吹き来る嵐あきしくて 君も棹寄らす我もおりす それは情けのすりぎりか
☆西の国 吹き来る嵐あきしくて 君も棹寄らす我もおりす それは情けのすりぎりか
「龍田」
☆ハイヤ 恋は龍田の薄紅葉 ハイヤハ 紅に
 心を染めて世を忍びしが 君は情けなや 寝ても覚めても忘られん
☆恋は龍田の薄紅葉 足曳の 山にわが身を捨つるとも
 君が情けの深きこそ 落つる涙もせきあえぬ
☆恋は龍田の薄紅葉 朝顔の 花の露ほど添いはせで
 立ちしわが君は駿河なる 富士の山よりなお高い
「花夜に咲け」
☆ハイヤハ 花夜に吹けば風も色あり ハイヤハ 君のあたりの大雨ならば
 袖に降るとも 袖は濡るるとも辛からじ
☆花夜に吹けば風も色あり 君のあたりの大雨ならば
 花に吹くとも 花は散るとも辛からじ
☆花夜に吹けば風も色あり 踏みも散らさでただ忍ぶ
 忍び得たとておよるなよ 我も大事の身を忍ぶ
「後朝」
☆ハイヤ 後朝 鳴く夜の虫の声々は ハイヤ 暮るれば君を待つ虫の声
 ハイヤハ 添わで帰ろか逢いも見せで
☆後朝 鳴く夜の虫の声々は 鮑の貝の片思いして 添わで帰ろか逢いも見せで
☆後朝想えわがために 暮るれば君を待つ虫の声 添わで帰ろか逢いも見せで
「鈴鹿」
☆ハイヤハ ここは鈴鹿の宮川か ハ 身をも清めていざ参る
 ハ 今は神代のありがたや
☆伊勢のような巫女達の 鈴や神楽を舞い上ぐる 今は神代のおもしろや
☆天岩戸の御戸開く 日本輝くありがたや 今は神代のありがたや
「高砂」
☆ハイヤ 高砂の 松の春風も吹き暮れて 尾上の鐘も響くなりけり
 ハイヤ 落ち葉衣の袖添えて 木陰の塵を 掻こよ落ち葉や掻き候
☆高砂の 尾上の鐘も音すなりけり 暁かけて霜や置くらん
 落ち葉衣の袖添えて 木陰の塵を 掻こよ落ち葉や掻き候
☆高砂の この浦舟に帆を上げて 月諸共に出づるなりけり
 落ち葉衣の袖添えて 木陰の塵を 掻こよ落ち葉や掻き候
「ヒキハ」
☆イヤ 権現の 御前の松は千代の松 枝差し優り 陰で遊ばん
☆世の中は ようやの闇となりしとき 通わぬきらく 天岩戸を
○ハイヤ 沖のとなかで櫓が折れて 櫓では遣らいで唄で遣る 唄で遣るのう うき人
○何を嘆くか川柳や 水の出ばなを欺き候 面白やのう うき人
○とても篭らば清水にや 花の都を見下ろして 面白やのう うき人
△愛宕参りに袖を引かれたも これも愛宕の御利生かな 面白やのう うき人
◇イヤ 文をしゃんと投げたは愛しな お愛しい
 お文愛しさは駿河なる イヤ 富士の山ほど
▽イヤ 弓矢八幡 身に添い候にうかろ うつつ夢か
 あんらしょうだいらしやの 人の心をうからかす
メモ:冨尾神社で4月に行われるお祭りのときに歌い踊られる一連の組歌。
   各踊りの前後には必ず「イレハ」と「ヒキハ」がつく。
   イレハには踊りとの対応が定まっているものがあり、下記の通り。
   「天岩戸の」→「お伊勢踊り」
   「ここは住吉」→「鈴鹿」
   「十七八は」→「忍べづく」
   「りんちょうじ」→「りん箱」
   その他のイレハは、特にどの踊りとは決まっていないとのこと。

稚児踊り(直川村上直見 肘切神社・富尾神社)
「波打つ」
☆(ハーハンニャーハーハー)

 波打つ磯辺を出てみれば(ハーハンニャーハーハー) 走り出て
 みれども島には舟もなし(ハーハンニャーハーハー)

 元の港に漕ぎ戻す(ハーハンニャーハーハー)

 元の港に漕ぎ戻す(ハーハンニャーハーハー)

☆波打つ磯部を出てみれば 鴎立つ 沖は白波見えもせぬ

 われは閨にて夜を明かす われは閨にて夜を明かす
☆波打つ磯辺に出てみれば ほのぼのと 明かし兼ねたる長き夜を

 われは怨みて夜を明かす われは怨みて夜を明かす
「小町踊り」
☆(ハーハンニャーハーハー)

 われはうれそのかわうれそ(イヤハー) われはうれそのかわうれそ(イヤハー)

 あいこのうてはえにゃつかぬ(ホイ) えにゃつかぬ(イヤハー)

 小町踊りはひと踊り(ホイ) ひと踊り
○(ハーハンニャーハーハー)

 堺北の丁に札が立ったとのう(イヤハー) 人の嫁後をとるなとらすな(ホイ)

 とるなとらすな(イヤハー) 小町踊りはひと踊り(ホイ) ひと踊り
○堺過ぐれば住吉の 松にそなえて縁恋しや
 数ほど想えども 君はつれなや逢いもせぬ
メモ:稚児踊りには「小町踊り」「波打つ」「恋踊り」「とりて悔し」
   「あじき」「五色」「念仏踊り」の7種類があったが、
   今は「波打つ」「小町踊り」「恋踊り」のみ踊っている。

 

風流(弥生町尺間 尺間神社)

「千早振る」

ここは伊勢住吉のお前でござる いざや人々の宮めぐりを始めて

神々をもすずしめの宮参らん しょうなりと

☆(ハイヤー)

 千早振る(ハイヤー) 千早振る(ハイヤー) 熊野参りを急がれて(ハイヤー)

 おとなし河原へ早や着きにける(ハイヤー) 早や着きにける(ハイヤー)

 エダヤ オヤマウ キヨメノエダヤ キヨメノ

☆愛宕山 愛宕山 参り下向のめでたさに みかえしずかえ守り給えや 守り給えや

☆嬉しやの 嬉しやの 身をも清めて参ろうやの 美須のお山をめぐり給えや めぐり給えや

☆飛び来つる 飛び来つる 思いの鷹を落として おもてかえすは身にはそえつる 身にはそえつる

○(ハイヤー)

 これもとうの(ハイヤー) これもとうの(ハイヤー) ぬかず形もゆるぎ出て

 佐伯を治め氏を守らん(ハーイヤ どうでもこうでもとまらにゃ清水のイヤー

 花の都の汗を 花の都を見下ろせば)

メモ:尺間の風流踊りには、ほかに山は崎、丸踊り、苧環、天照大神がある。

 

神踊り「神歌」(弥生町門田 八坂神社)

☆八雲立つ 出雲八重垣 妻ごめや 八重垣作るその八重垣 アーサイトーサイト

 祇園囃子の下河原 氏子栄えていつまでも 参り下向のめでたさや

 ハーチョーイチョイ ハンヤーハーおもしろや 今は神代やありがたや

 ハーサイトーサイト いざや神に参らんや 神に参らんや