器量口説

家の娘は良い器量の娘 背戸の小川で青菜を洗う そこへ旦那が馬乗り通り
「この娘良い娘じゃよい器量の娘よ ちょいとでかけりゃ妻にもするが

なりが小そうて妻にも出来ず」 そこで娘さんの言う事聞けば

「お前さ旦那さん何云わしゃんす 物の譬えで申そうならば
山の中にも大山小山 山が小さいとて担がりゃせまい 石の中にも大石小石
石が小さいとて歯が立つものか 川の中にも大川小川

川が小さいとて手じゃ止められぬ 針の中にも大針小針

針が小さいとて呑まれもせまい 橋の中にも大橋小橋
橋が小そうても人通りゃでかい 鳥の中にも大鳥小鳥 鳥が小そうても天立ち登る」
そこで旦那が理屈に困りゃ 「立てりや芍薬座れば牡丹 五月野に咲く姫百合の花
御縁あるなら又会いましょう」