目連尊者口説(さあさ皆さん)

さあさ皆さんよく聞きなされ 盆の踊りの由来の口説 昔インドの国主に生まれ
何の不自由もないその人が 娑婆の無情を心に感じ 地位も名誉もかなぐり捨てて
山に登りて修行をなさる 長い月日の修行のために 成就なされしその御教えは
今に伝わる仏の道よ 数多御弟子のあるその中に 殊に名高い目連尊者
母と二人の暮しの中に 思いがけない病にかかる 医者よ薬と尽くしたけれど
ついに甲斐なくあの世の人よ 野辺のおさめも済まされまして

七日七日の弔いも為し 四十九日の弔いあげる ある日目連心に思う

母は今頃どうしておろと 仏の極意秘法をもちて 花の浄土を眺めたけれど

母の姿は相見えません 地獄眺めて見ましたけれど 母の姿は相見えません

ついに餓鬼道を眺めたならば 見るも哀れな母御の姿 これを見るより目連尊者

水を持ち行き茶碗に注いで 母に差し出しゃ茶碗が燃ゆる

ご飯持ち行きゃまた火と燃ゆる そこで目連詮方なさに 恥を忍んでお師匠さんに

母の有様お話しなさる 「すまぬけれどもお助け頼む」

言えば釈迦牟尼申することにゃ 「己ができざる御法の極意

以後は必ず使うてならぬ 母は私が助けてやろ」と 数多御弟子を一堂に集め

事も厳か施餓鬼会なさる 餓鬼にたくさん施したれば その役徳で母上様は

餓鬼道上りて花降る浄土 楽に毎日暮らされまする そこで目連喜びまして

稚児を集めて蓮の葉かぶせ 盆を叩いて祝いの踊り これが伝わりこの盆踊り

一つ手を振りゃ千部の供養 二つ手を振りゃ万部の供養

千部万部の供養のために 誰もどなたも踊りておくれ
今宵一夜は夜の更けるまで 皆揃うて踊ろじゃないか