作業唄

(はじめに) 返しの型の表記について

この記事において、近世調の字脚(7・7・7・5)の返しを表示する際、順に(abcd)と置き換えて示すことにする。たとえば「a腰の痛さよ bこの田の長さ c四月五月の d日の長さ」であれば、abcd-cdなら「腰の痛さよこの田の長さ 四月五月の日の長さ 四月五月の日の長さ」となる。

ほかの約束事として、’をつければその半ばで反転させることにする。たとえば上の文句で

b'とすれば「五月の四月」となる。また、"をつければ3字を欠いたものとする。b"ならば「この田の」、c"ならば「五月の」である。

以下、全てこのルールに則って表示する。

農村

 

俚謡「苗取り唄」

1、返しのあるもの(abcd-c'cd型)

 (挾間町挟間)

  ☆小麦五升どま唄でもするが(アズレズレ) 後の粉ばなしゃ嫁恋し

   (ヤレ粉ばなしゃ後の) 後の粉ばなしゃ嫁恋し

  ☆わしとお前は茶碗の水よ(アズレズレ) 誰が混ぜても濁りゃせぬ

   (ヤレ混ぜても誰が) 誰が混ぜても濁りゃせぬ

2、返しのあるもの(abcd-d-cd型の返し)

 (久住町白丹)

  ☆五月三十日ゃ寝てさよ眠い さぞや眠かろ妻持ちは

   サンヤレ妻持ちはさぞや 眠かろ妻持ちは

  ☆五月ながせに絞らぬ袖を 今朝の別れに袖絞る

   サンヤレ袖絞る今朝の 別れに袖絞る

3、ドッコイセ節

 (久住町)

  ☆萎えた男に苗取らすればヨ 苗は取らずになえなえと

   ハ ドッコイセジャ ヨイコラ よいならば

  ☆あなたさんさえその気であればヨ わしも縄でも蔓でも

   ハ ドッコイセジャ こらまたどうするな

メモ:苗取り作業で唄われた唄だが、田植唄や田の草取り唄と共通のものばかりである。たった3曲のみだが、実際は紹介した以外でも、苗取り作業で唄う例はあっただろう。しかし、それが盆踊りの口説の練習を兼ねていたり、または田植唄と共通の唄を口ずさむ程度であったので採集から漏れたと思われる。

 

俚謡「田植唄」

1、返しのないもの

 (山国町)

  ☆一つ出しましょか藪から笹をヨー ヨイトナー つけておくれよ短冊を

  ☆様と植えたる前田の稲はヨー ヨイトナー 丈に六尺穂に五尺

  ☆腰の痛さにこの田の長さヨー ヨイトナー 四月五月の日の長さ

 (中津市福島)

  ☆腰の痛さよナー この田の長さヨ

   四月五月のナー 日の長さヨ(ヨイショヨイショ)

 (宇佐市長洲)

  ☆田植小噺ゃエー 田主の嫌いヨー アラ唄うて植えましょヨー 品良くにヨー

  ☆五月五月雨にエー 乳飲み子が欲しやヨー アラ畦に腰掛けヨー 乳のましょヨー

  ☆五月五月雨にエー 白足袋雪駄ヨー アラあげな妻持ちゃヨー 恥ずかしやヨー

 (安心院町)

  ☆田植小噺ゃ田主の嫌いヨ 歌うて植えましょ楽々と

  ☆唄い声する鼓の音するヨ 間にゃ殿御の声もする

  ☆恋で九つ情けで七つヨ 合わせ十六様の年

 (院内町原口)

  ☆腰の痛さやこの田の長さヨ 四月五月の日の長さヨ

  ☆田植小話ゃ田主の嫌いヨ 唄うて植えなれ楽々とヨ

 (国見町千灯)

  ☆私ゃろうそく芯から燃える あなた松明 上の空

  ☆あなたよう来た何しに来たか わしに心根を持つのかえ

  ☆様は来るはず なぜ様遅い どこに心をとめたやら

  ☆好いておりゃこそ朝夕通う 嫌な思いをするじゃない

  ☆思いますぞや あなたのことを 山で木の数 茅の数

 (豊後高田市河内)

  ☆いつも五月の田植ならよかろ ハー様の手前で植ようものに

  〇様の手前で植えたる稲は ハー丈が三尺穂が二尺

   ハー三尺丈が 三尺穂が二尺

  〇恋し小川の鵜の鳥見やれ ハー鮎を咥えて瀬を登る

   ハー咥えて鮎を 咥えて瀬を登る

  ☆唄い声する鼓の音する ハーあいに殿御さんの声もする

  ☆今年初めて田の草とれば ハーどれが草やら田稗やら

 (山香町)

  ☆腰の痛さよこの田の長さ 四月五月の日の長さ 日の長さ

  ☆田植え小話ゃ田主の嫌い 唄うて植えましょ科よくに 科よくに

 (大分市坂ノ市)

  ☆かわいお方と田植えをすえば(サノヨイヨイ) 涼し風吹け空曇れ

  ☆由布は五千石お米は一よ(サノヨイヨイ) 昔ゃお殿の御前米

  ☆五月三十日ゃ泣く子が欲しや(サノヨイヨイ) 乳を飲ませて腰をのす

 サンサオ(大分市上戸次)

  ☆さても珍しい臼杵の城はナーエ 地から生えたか浮き城か サンサオ

  ☆さんさ振れ振れ六尺袖をナーエ 二十歳過ぎたら何を振る サンサオ

 (庄内町)

  ☆田植田植と(ヨイヨイ) 好んで来たが(いとし殿御は)

   ヨイヨイ(ヤレ代田かき)

  ☆切れた切れたよ(ヨイヨイ) 音頭の綱が (腐れ縄かや)

   ヨイヨイ(ヤレまた切れた)

  ☆腐れ縄でも(ヨイヨイ) 取りようがござる(お手を回して)

   ヨイヨイ(ヤレ柔らかに)

  ☆音頭取る娘が(ヨイヨイ) 橋から落てて(橋の下から)

   ヨイヨイ(泣き音頭)

 (湯布院町中島)

  ☆ハーラ わしが想いは湯ノ岳山の 朝の(ヨイヨイ) 霧よりゃまだ深い

  ☆ハーラ 宵にちらりと見たではならぬ うちにゃ(ヨイヨイ) 子もあるカカもある

 (佐伯市木立)

  ☆今年ゃ満作ヨー 穂にゃ ハーヨイヨイ 穂が立ちてノー ハエイトーエ

   ヤレ道の小草にゃサーナー ナーヤレヨー 米がなる

  ☆米のなる木がヨー ひと ハーヨイヨイ もと欲しやノー ハエイトーエ

   ヤレ植えて育ててサーナー ナーヤレヨー 様にやる

 (上浦町)

  ☆ここは田の畦 滑るなお為 転ばしゃんすな半蔵さん

  ☆雨は降ってくる洗濯物濡れる 子供は食いたがる気は急ぐ

  ☆これが今日のしまいの田植え 牛も暇やり自分も休む

 (宇目町)

  ☆植えてひどるな一本苗をヨ ソコ

   天の恐れで子が差しぬ チョイサセ チョイサセ

  ☆さんさ振れ振れ三尺袖をヨ ソコ

   袖が三尺 身が五尺 チョイサセ チョイサセ

  ☆様の三度笠引き上げて被れヨ ソコ

   少しゃお顔も見とござる チョイサセ チョイサセ

  ☆ござれ来いよとは言葉の飾りヨ ソコ

   行けば納戸の戸を閉める チョイサセ チョイサセ

  ☆あんたどう言うても誠にならぬヨ ソコ

   袂すがりの子がござる チョイサセ チョイサセ

  ☆伊豆の山には名所がござるヨ ソコ

   籠で水汲むこれ名所 チョイサセ チョイサセ

  ☆昔ゃ松の葉に五人は寝たがヨ ソコ

   今は芭蕉葉にただ一人 チョイサセ チョイサセ

  ☆さても見事な上方道はヨ ソコ

   松に柳を植え混ぜて チョイサセ チョイサセ

  ☆行ったな行ってみたな上方道をヨ ソコ

   松と柳が植えてある チョイサセ チョイサセ

  ☆松に柳は植えまいものをヨ ソコ

   柳枯れたら松ばかり チョイサセ チョイサセ

 (直川村仁田原)

  ☆腰の痛さよこの田の長さ(コラノーエ)

   四月五月の日の長さ(エーイソリャ チャボチャボ)

 (久住町)

  ☆腰の痛さにヨイヨイ この田の長さヨ

   四月五月のヨイヨイ ヨイサ日の長さエ

  ☆五月三十日やヨイヨイ 寝てさよ眠いヨ

   さぞや眠かろヨイヨイ ヨイサ妻持ちはエ

  ☆五月ながせにヨイヨイ 絞らぬ袖をヨ

   今朝の別れにヨイヨイ ヨイサ袖濡らすエ

  ☆五月三十日やヨイヨイ ヤヤ欲しうござるヨ

   乳を飲ませてヨイヨイ ヨイサ腰休めエ

 (朝地町坪泉)

  ☆腰の痛さにこの田の長さ エソーレ(ソレーソレ)

   四月五月の アレサ日の長さエー(ソーレソレ)

  ☆こよさ一夜はぜひ泊まりゃさんせな エソーレ(ソレーソレ)

   川の流れも アレサ堰きゃ止まるエー(ソーレソレ)

 (大野町酒井寺)

  ☆今日の苗取りゃ(ヨイヨイ) ヨイサ若手の揃いエ

   どこで約束(ヨイヨイ) ヨイサして来たなエ

  ☆どこで約束(ヨイヨイ) ヨイサしちゃ来ぬけれどエ

   道の辻々(ヨイヨイ) 出合うて来たよエ

 (久住町)

  ☆祝いめでたでヨイヨイ 植えたる稲は 殻が一丈でヨイヨイ ヤンレ穂が五尺

  ☆今年ゃ豊年ヨイヨイ 穂に穂が咲いて 道の小草にヨイヨイ ヤンレ米がなる

  ☆切れた切れたよヨイヨイ 音頭が切れて 腐れ綱かやヨイヨイ ヤンレまた切れた

 (竹田町植田)

  ☆揃うた揃うたよ ソレソレ 植手が揃うたヨ

   秋の出穂より ソレソレ なおよく揃うたヨ

  ☆今日の田植えに ソレソレ 親方ないかヨ

   もはや止め頃 ソレソレ あがり頃ヨ

2、返しのあるもの(abcd-d-cd型)

 (庄内町阿蘇野)

  ☆腰の痛さにこの田の長さ 四月(ヨイヨイ) 五月の日の長さ

   (サンヤレ日の長さ 四月) ヨイヨイ(五月の日の長さ)

  ☆様はさぬやの三日月様よ 宵に(ヨイヨイ) ちらりと見たばかり

   (サンヤレ見たばかり 宵に) ヨイヨイ(ちらりと見たばかり)

  ☆お月様さよ黒雲ばかり 私ゃ(ヨイヨイ) 二人のよやばかり

   (アンヤレよやばかり 私ゃ) ヨイヨイ(二人のよやばかり)

  ☆五月五月雨にヤヤ子が欲しや ヤヤに(ヨイヨイ) 乳飲ませ腰をのす

   (サンヤレ腰をのす ヤヤに) ヨイヨイ(乳飲ませ腰をのす)

 (庄内町野畑)

  ☆ハー わしが思いは宇曽さん山の ほかに(ヨイヨイ) 木はない松ばかり

   (サンヤレ松ばかり ほかに) ズレズレ(木はない松ばかり)

  ☆ハー ぼんさん山道 破れた衣 肩にゃ(ヨイヨイ) かからず木にかかる

   (サンヤレ木にかかる 肩に) ズレズレ(かからず木にかかる)

 いろは川(湯布院町川上、挾間町谷)

  ☆お月様さえ黒雲ばかり 私ゃ(ヨイヨイ) 二人の夜ばかり

   (サンヤレ夜ばかり 私ゃ) ヨイヨイ(二人の夜ばかり)

  ☆様は三夜の三日月様よ 宵に(ヨイヨイ) ちらりと見たばかり

   (サンヤレ見たばかり 宵に) ヨイヨイ(ちらりと見たばかり)

  ☆星か蛍かぴかぴか光る 照らし(ヨイヨイ) 輝くイロハ川

   (サンヤレイロハ川 照らし) ヨイヨイ(輝くイロハ川)

  ☆音頭取る娘が棚から落てた 棚の(ヨイヨイ) 下から泣き音頭

   (サンヤレ泣き音頭 棚の) ヨイヨイ(下から泣き音頭)

 (湯布院町中川)

  ☆ハー 田植小話ゃ田主の嫌い 唄うて(ヨイヨイ) 植えなれしょぼしょぼと

   (アラサンヤレしょぼしょぼと 唄うて) ヨイヨイ(植えなれしょぼしょぼと)

 (野津原町辻原)

  ☆腰の痛さにこの田の長さ 四月(ヨイヨイ) 五月の日の長さ

   (サンヤレ 日の長さ 四月)ヨイヨイ (五月の日の長さ)

  ☆わしに通うなら裏から通え 前は(ヨイヨイ) 車戸で音がする

   (サンヤレ 音がする 前は)ヨイヨイ (車戸で音がする)

  ☆音がするなら大工さんを雇うて 音の(ヨイヨイ) せぬよにしてもらえ

   (サンヤレ してもらえ 音の)ヨイヨイ (せぬよにしてもらえ)

  ☆わしが思いはネコ岳山の 朝の(ヨイヨイ) 霧よりゃまだ深い

   (サンヤレ まだ深い 朝の)ヨイヨイ (霧よりゃまだ深い)

 (九重町)

  ☆ハー 田野じゃ北方 湯坪じゃ挟間 夏の ヨイヨイ 涼しさ地蔵原

   サンヤレ地蔵原 夏の ヨイヨイ 涼しさ地蔵原

  ☆ハー 田主旦那どんと心安うすれば 決めた ヨイヨイ 日傭よりゃ袖の下

   サンヤレ袖の下 決めた ヨイヨイ 日傭よりゃ袖の下

 (九重町田野)

  ☆田植々々と好んで来たが いとし(ヨイヨイ) 殿御は代田掻き

   (アラサンヤレ代田掻き いとし) ヨイヨイ(殿御は代田掻き)

 (九重町飯田)

  ☆田植小噺ゃ田主さんの嫌い 唄うて(ヨイヨイ) 植えましょしなやかに

   (アラサンヤレしなやかに 唄うて) ヨイヨイ(植えましょしなやかに)

 (九重町南山田)

  ☆腰の痛さよ この田の長さ 四月(オイオイ) 五月の日の長さ

   (アラホントニ 日の長さ 四月) オイオイ(五月の日の長さ)

 (玖珠町山浦)

  ☆わしとあなたはしょうけの水よ 入れて(ヨイヨイ) もちゃぐりゃたまりゃせぬ

   (サンヤレたまりゃせぬ 入れて) ヨイヨイ(もちゃぐりゃたまりゃせぬ)

  ☆わしがこの田を植えおくからにゃ 後で(ヨイヨイ) 噂をしておくれ

   (サンヤレしておくれ 後で) ヨイヨイ(噂をしておくれ)

 (上津江村上野田)

  ☆田植田植と楽しゅで来たら 様は(ハイハイ) 代掻きわしゃ田植

   (サンヤレわしゃ田植 様は) ハイハイ(代掻きわしゃ田植)

  ☆腰の痛さよこの田の長さ 四月(ハイハイ) 五月の日の長さ

   (サンヤレ日の長さ 四月) ハイハイ(五月の日の長さ)

 (上津江村川原)

  ☆様に会おうとて田植に出たが 様は ハイハイ 代掻き わしゃ田植

   サンヤレ わしゃ田植 様は ハイハイ 代掻き わしゃ田植

  ☆様は来て待つ出るこたならぬ 繋ぎ ハイハイ 舟とはわしがこと

   サンヤレ わしがこと 繋ぎ ハイハイ 舟とはわしがこと

 (天瀬町本城)

  ☆五月男のどこ見て惚れた 代田(ハイハイ) 上がりの濡れ姿

   (サンヤレ濡れ姿 代田) ハイハイ(上がりの濡れ姿)

 (直入町長湯)

  ☆様よあれ見よ御岳山にゃ みかん ヨイヨイ 売り子が灯を点す

   サンヤレ 灯を点す みかん ヨイヨイ 売り子が灯を点す

  ☆みかん売り子じゃ主ゃなけれども 家が ヨイヨイ 難渋で灯を点す

   サンヤレ 灯を点す 家が ヨイヨイ 難渋で灯を点す

 (挾間町朴木)

  ☆籠の鳥じゃと悔やむな娘(ハーズレズレ) 籠の破れる節が来る

   (ヤレ節が来る) ハーズレズレ(籠の破れる節が来る)

  ☆夢の夢まで忘れぬ人を(ハーズレズレ) 夢と思わす無理な親

   (ヤレ無理な親) ハーズレズレ(夢と思わす無理な親)

  ☆嫁をかわいがれ嫁にこそかかる(ハーズレズレ) いとしわが子は他人の嫁

   (ヤレ他人の嫁) ハーズレズレ(いとしわが子は他人の嫁)

3、返しのあるもの(abcd-d-c"d型)

 (香々地町)

  ☆恋の気狂い迷いの保名 (アライヤサコサイサイ) まだも思うか

   ヤレ葛の葉を (ソラ 葛の葉を) 思うか ヤレ葛の葉を

4、返しのあるもの(abcd-d-c'-cd型)

 はんぶし(大野町)

  ☆唄えはん節 ヨイヨイ さらりと上げて 桧板屋に ハーヨイヨイ

   ヨイサ 響くほどエ ヤー響くほど 板屋の桧エー

   桧板屋に ハーヨイヨイ ヨイサ響くほどエ

  ☆様の来る道 ヨイヨイ 粟キビ植えて 逢わず帰れば ハーヨイヨイ

   ヨイサ きびがよいエ ヤーきびがよい 帰れば逢わずエー

   逢わず帰れば ハーヨイヨイ ヨイサ きびがよいエ

5、返しのあるもの(abcd-c'cd型)

 (山国町槻木)

  ☆腰の痛さやこの田の長さ はやくこの田が終わりゃよい この田がはやく

   はやくこの田が終わりゃよい(トコサイサイ)

  ☆わしが唄えば栄耀じゃとおしゃる 栄耀じゃござらぬ苦のあまり

   ござらぬ栄耀じゃ 栄耀じゃござらぬ苦のあまり(トコサイサイ)

 (豊後高田市)

  ☆生まりゃ山国育ちは中津 (命ゅ捨て場が博多町)

   捨て場が命ゅ (命ゅ捨て場が博多町)

  ☆博多町をば広いとは言えど (帯の幅ほどない町じゃ)

   幅ほど帯の (帯の幅ほどない町じゃ)

  ☆帯にゃ短し たすきにゃ長い (お伊勢編み笠の緒にゃよかろ)

   編み笠のお伊勢 (お伊勢編み笠の緒にゃよかろ)

  ☆お伊勢編み笠をこきゃげて被りゃ (少しお顔が見とござる)

   お顔が少し (少しお顔が見とござる)

  ☆見ても見あかぬ鏡と親と (まして見たいが忍び妻)

   見たいがまして (まして見たいが忍び妻)

  ☆忍び妻さま夜は何時か (忍びゃ九つ夜が七つ)

   九つ忍びゃ (忍びゃ九つ夜が七つ)

  ☆七つ八つから櫓は押し習うた (女郎抱くみちまだ知らぬ)

   抱くみち女郎 (女郎抱くみちまだ知らぬ)

  ☆女郎抱くにも抱きようがござる (左手枕 右で締め)

   手枕左 (左手枕 右で締め)

  ☆締めてよいならわしゅ締め殺せ (親にゃ頓死と言うておきゃれ)

   頓死と親にゃ (親にゃ頓死と言うておきゃれ)

 (久住町久住)

  ☆四月五月は ソレソレ 寝てさよ眠い さぞや眠かろ ソレソレ

   ヨイサ妻持ちは 眠かろさぞや さぞや眠かろ ソレソレ ヨイサ妻持ちは

 (竹田市会々)

  ☆腰の痛さにこの ソレソレ 田の長さソーレ 四月五月の ソレソレ 日の長さ

   五月や四月 四月五月の ソレソレ 日の長さ

 (竹田市今)

  ☆腰の痛さにこの田の長さ ソーレ 四月五月の ソレソレ 日の長さ

   五月の四月 ソーレ 四月五月の ソレソレ 日の長さ

  ☆西が曇れば雨ではないな ソーレ 雨じゃござらぬ ソレソレ ヨナ曇り

   ござらぬ雨じゃ ソーレ 雨じゃござらぬ ソレソレ ヨナ曇り

  ☆五月三十日植えたる苗は ソーレ からが一丈で ソレソレ 穂が五尺

   一丈でからが ソーレ からが一丈で ソレソレ 穂が五尺

 (緒方町)

  ☆腰の痛さに ソレエーソレエ この田の長さ

   エイソーレ 四月五月の ヤレノー日の長さ

   ヤレ五月にゃ四月 エイソーレ 四月五月の ヤレノー 日の長さ

  ☆祝いめでたで ソレエーソレエ 植えたる苗が

   エイソーレ 幹が一丈で ヤレノー穂が五尺

   ヤレ一丈で幹が エイソーレ 幹が一丈で ヤレノー 穂が五尺

 (緒方町小宛)

  ☆祝いめでたで植え(ヤレーソレ) たる稲は

   エイソーレ(からが一丈で) ヤレノー(穂が五尺)

   ヤレ一丈でからが エイソーレ(からが一丈で) ヤレノー(穂が五尺)

 (三重町大白谷)

  ☆祝いめでたで植え(ソレソレ) たる苗は エイソーレ

   からが一丈で(ソレソレ) 穂が五尺

   ハー 一丈でからが からが一丈で穂が五尺

 (直入町長湯)

  ☆雨は降り出す ヨイヨイ 心は急ぐエ 急ぐ心が ヨイヨイ アノままならぬエ

   そのうち戻せ 急ぐ心が ヨイヨイ アノままならぬエ

  ☆腰の痛さに ヨイヨイ この田の長さエ 四月五月の ヨイヨイ アノ日の長さエ

   そのうち戻せ 四月五月の ヨイヨイ アノ日の長さエ

 (前津江村大野)

  ☆田植小噺ゃ田主が アラドッコイ嫌う ノンホーヨイサー

   唄うて コラ植えましょしなやかに

   植えましょ唄うて ノンホーヨイサー 唄うて コラ植えましょしなやかに

6、返しのあるもの(abcd-bcd型)

 (山国町宇曽)

  ☆田植小話ゃ田主が嫌う(ハーヨイトナー) 唄うて植えましょしなやかに

   (唄うて植えましょしなやかに ハーヨーイナー)

  ☆唄うて植えたる前田の稲は(ハーヨイトナー) 秋にゃ黄金の穂が稔る

   (秋にゃ小金の穂が稔る ハーヨーイナー)

 (上浦町浅海井)

  ☆様の江戸行きの浴衣を縫えば(サマノーエー アーソコソコ) ヤレ 涙じゅめりで

   ヤレ糸がこぬ(浴衣を縫えば サマノーエー) ヤレ 涙じゅめりで ヤレ糸がこぬ

 (上浦町津井)

  ☆植えて下んすな ひと(もと苗をサマノーエー) ソコジャ(エイソージャ)

   ヤレ いつか穂に(ホーイ出て ヤレ乱れあう) ひともと苗をサマノーエー

   (ソコジャ エイソージャ) ヤレ いつか穂に(ホーイ出て ヤレ乱れあう)

 (久住町)

  ☆今日の田植は(ソレソレ) 皆雌鶏な(時を知らぬな)

   ソレソレ(ヨーイサ唄わぬなエ) ア知らぬか時をエ(時を知らぬな)

   ソレソレ(ヨーイサ唄わぬな)

  ☆腰の痛さに(ソレソレ) この田の長さ(四月五月の)

   ソレソレ(ヨーイサ日の長さエ) ア五月の四月エ(四月五月の)

   ソレソレ(ヨーイサ日の長さ)

  ☆四月五月は(ソレソレ) 寝てさよ眠い(さぞや眠かろ)

   ソレソレ(ヨーイサ妻持ちはエ) ア眠かろさぞやエ(さぞや眠かろ)

   ソレソレ(ヨーイサ妻持ちは)

7、返しのあるもの(abcd-c"c'd型)

 (山国町平小野)

  ☆田植小話ゃナ 田主の(ソレソレ) 嫌いヨーヨイヨナ

   (唄うて植えましょしなやかに) アイサ植えましょナ 植えましょ

   (ソレソレ) 唄うてナーヨイヨナ(唄うて植えましょしなやかに)

  ☆唄いなされよナ お唄い(ソレソレ) なされヨーヨイヨナ

   (唄は仕事のはかがゆく) アイサ仕事のナ 仕事の

   (ソレソレ) 唄はナーヨイヨナ(唄は仕事のはかがゆく)

 (宇目町重岡)

  ☆揃うた揃うたよ(ソコ) 田植衆が揃うたナ(秋の出穂よりなおそ 揃うた)

   出穂よりヨ(ソコ) 出穂より秋のナ(秋の出穂よりなおそ 揃うた)

  ☆五月ひと月ゃ(ソコ) 乳飲み子が欲しやナ(乳を飲ませて腰を を伸す)

   飲ませてヨ(ソコ) 飲ませて乳をナ(乳を飲ませて腰を を伸す)

8、盆口説の転用

 三勝(山香町立石)

  ☆わしがしばらく唄うてみろか(ヤレショー ヤレショー)

   イヤそうじゃな 唄うてみろか(ヨーイサー ヨイヨナー)

  ☆わしが口説は石橋土橋(ヤレショー ヤレショー)

   イヤ飛んでは また先の石(ヨーイサー ヨイヨナー)

 三勝(別府市東山)

  ☆アー わしの思いは鶴見の山の(ヨイトセーヨイヨイ)

   ほかに木はないただ待つばかり(アヤーンソレソレ ヤンソレサ)

  ☆アー 鶴見谷間に咲いたる花も(ヨイトセーヨイヨイ)

   人が通わにゃ盛りも知れぬ(アヤーンソレソレ ヤンソレサ)

 きそん(大分市坂ノ市)

  ☆関の権現さんにゃ エーイコリャサンサ サマエーイエーイサンサ

   お水ができた 諸国諸人の オイトセ 病みう治す ハレワエー

  ☆安芸の宮島 エーイコリャサンサ サマエーイエーイサンサ

   まわりが七里 浦が七浦 オイトセ 七えびす ハレワエー

9、流行唄の転用

 ぼんさん忍ぶ(山国町槻木)

  ☆坊さん忍ぶにゃ闇がよい ア月夜には 頭がぶーらりしゃーらりと

   コチャ 頭がぶーらりしゃーらりと コチャヤレコチャヤレ

  ☆お前さんの物が太いとて ア彦山の  講堂の柱にゃなりゃすまい

   コチャ 講堂の柱にゃなりゃすまい コチャヤレコチャヤレ

 しょおが婆さん(姫島村)

  ☆しょおが婆さんな焼餅好きで ゆんべ九つ そうじゃろ

   中りもせねど 今朝の七つは アノ食中り

メモ:大分県で唄われた田植唄を集めた。県教委の調査報告書その他の資料にあるのはどれも近世調以降のもので、それ以前の形態を残すものは残念ながら採集されていないようだ。しかし、一口に近世調とはいっても県内の田植唄はバラエティに富んでおり、特に返しのつけ方に特徴がある。そこで、この項では返しの種別に分類してみた。そのため地域がとびとびになってしまったが、字脚に注目して検討してみると、また地域性が見えて来ることもあるので、比較の助けとなればと思いこのようなまとめ方をとった。ところで、かつては盛んに唄われていた田植唄も、戦後にはすっかり姿を消してしまっている。一つには手作業で共同作業をしていたのが、田植機などを使うようになったため田植唄を唄わなくなったというのもあるだろうが、それだけではないようだ。事実、昭和30年代にはまだ田植機の普及していないところもたくさんあり手間替え・マクリで手植えをする例も多く見られたが、そんな中でも田植唄は消えてしまっていた(記憶にとどめている人はあっても唄われることは稀になっていた)。レコード歌謡の氾濫などにより、作業しながら唄を唄うという文化が消えてしまったのだろう。現在、大分県内の俚謡のうち生活の場で実際に唄われることがあるのは盆踊り唄や祭礼唄、一部のわらべ唄程度になっており、田植唄をはじめとする数多くの作業唄は愛好者により親しまれることはあっても、生活に根差した唄としては壊滅状態である。

 

俚謡「田の草取り唄」

1、ものすり唄など他の作業唄の転用

 (大田村田原)

  ☆山は焼けても山鳥ゃ立たぬ コリャサノサ なんの立とうか子を捨てて

  ☆恋が九つ情けが七つ コリャサノサ 合わせ十六わしの年

  ☆鳴くな鶏 まだ夜は明けぬ コリャサノサ 明けりゃお寺の鐘が鳴る

 (山香町山浦)

  ☆唄いますぞえはばかりながら 当たり障りはソーラ さらごめん

  ☆切れた切れたよ音頭の綱が 腐れ縄かよソーラ また切れた

 (大分市坂ノ市)

  ☆ハー 細はよいとこ磯崎海で 波に揺られて鯛を釣る

  ☆ハー 行こか神崎戻ろか大平 ここは思案の中ノ原

  ☆ハー 唄いなされよお唄いなされ 唄でご器量はさがりゃせぬ

  ☆ハー 唄でご器量がさがるとあらば 洗うてやりましょ大川で

 (挾間町谷)

  ☆嫁をかわいがれ 嫁にこそかかれ いとし我が娘は ヤレ 他人の嫁

 (臼杵市)

  ☆アー 好いたお方と田の草取りは 芝居見るより面白い

  ☆来るか来るかと待つ夜にゃ来んで 待たぬ夜に来て門に立つ

2、盆口説の転用

 六調子(安岐町糸永)

  ☆今度出たのをかいとらまえて(ヤレナーヨイヨイ)

   合うか合わぬかそりゃ知らねども(ヤレナー ヤレヨイヨイ)

  ☆合えば義経千本桜(ヤレナーヨイヨイ)

   会わにゃ高野の石堂丸よ(ヤレナー ヤレヨイヨイ)

 三勝(別府市東山)

  ☆アー わしの思いは鶴見の山の(ヨイトセーヨイヨイ)

   ほかに木はないただ待つばかり(アヤーンソレソレ ヤンソレサ)

  ☆アー 鶴見谷間に咲いたる花も(ヨイトセーヨイヨイ)

   人が通わにゃ盛りも知れぬ(アヤーンソレソレ ヤンソレサ)

 田の草(大分市賀来)

  ☆親の意見と茄子の花は ヨイトセードッコイセ

   千に一つの ソレ徒がない ハヨヤサノセーヨーヤーセー

  ☆わしとあなたは惚れてはいるが ヨイトセードッコイセ

   二階雨戸で ソレ縁がない ハヨヤサノセーヨーヤーセー

 田の草(大分市国分)

  ☆好いて好き合うて行きゃこそ縁じゃ ヨイトヤードッコイセ

   親のやる先ゃ ソレ義理の縁 ハミヤサノセー ヨーヤーセー

  ☆寝ても眠たい寝たならよかろ ヨイトヤードッコイセ

   様と寝たなら ソレなおよかろ ハミヤサノセー ヨーヤーセー

 田の草(大分市国分)

  ☆一の門越え二の門越えて ハドッコイセー ドッコイセー

   三の門から御詠歌を流す ハヨヤサノセー ヨーヤロセー

 田の草(挾間町来鉢)

  ☆盆の十六日 おばんかて行たりゃ(ヨイトコセー ドッコイセ)

   なすび切りかけ 不老の煮しめ(ハラ ヨヤサノセー ヨーイヤセ)

  ☆お前さんとなら戸はムシロでも(ヨイトコセー ドッコイセ)

   帯はカンネの ソレかずらでも(ハラ ヨヤサノセー ヨーイヤセ)

 田の草(挾間町朴木)

  ☆綾や錦に巻かるる姫は(ヤレショー ドッコイショ)

   うつろ舟にて身を流さるる(アラヨヤサノセー ヨーヤーセー)

  ☆国は薩州 薩摩の国よ(ヤレショー ドッコイショ)

   灘を隔てた鹿児島領の(アラヨヤサノセー ヨーヤーセー)

  ☆国は知行は三万石を(ヤレショー ドッコイショ)

   お取りなさるる御大将の(アラヨヤサノセー ヨーヤーセー)

メモ:田の草取りは重労働で、3番草まではどこでも取ったが、まめな家では4番草まで取ることもあったという。集められた唄を見ると、ものすり唄の転用か盆口説の転用ばかりで、田の草取り専属の唄というのは見当たらない。田植のように一斉に作業するわけでもないので、めいめいに好きな唄を口ずさむ程度だったのかもしれない。盆口説の転用が目立つのは、ちょうど田の草取りの時季が盆踊りの季節にかかっているので、作業をしながら口説の練習をすることが多かったのだろう。その中で「田の草」と表示したのは「田の草踊り」という踊りの口説で、一見すると田の草取り唄を盆踊り唄に転用したかのように見えるが、おそらく「田の草踊り」の呼び名は踊り方からきているのではないかと思う。節回しは明らかに「三勝」の系統であって、元の「三勝」の節から別れた方の節を呼び分ける符牒として、踊り方から「田の草」と呼んだのが正しいのではあるまいか。

 

俚謡「麦打ち唄」(豊後高田市呉崎)

☆ヤーレ 山の木茅は風が吹きゃなびくヨー

 私ゃあなたがノーヤレ 来りゃなびくヨー(ドスコイドスコイ)

☆ヤーレ 殿御さんたちゃ御兄弟連れでヨー

 唄の稽古にゃノーヤレ 上方へヨー(ドスコイドスコイ)

☆ヤーレ 思い出すよじゃ惚れよが薄いヨー

 思い出さずにノーヤレ 忘れずにヨー(ドスコイドスコイ)

☆ヤーレー 親はお伊勢に子は島原にヨー

 落ちる涙はノーヤレ なぞなかにヨー(ドスコイドスコイ)

 

俚謡「唐箕唄」(宇佐市長洲)

☆沖の鴎にナーヨー 潮時ょ問えばヨ 私や立つ鳥波にゃ問えエ ヨイヤーエー

☆波に問やまたナーヨー 荒瀬に問えとヨ 荒瀬なければ波ゃ立たぬエ ヨイヤーエー

☆来るか来るかとナーヨー 雨戸に書けばヨ 待てば甘露の雨が降るエ ヨイヤーエー

☆傘を貰うたじゃナーヨー 柄のない傘をヨ 末はお医者の手にかかるエ ヨイヤーエー

☆娘島田にナーヨー 蝶々がとまるヨ とまるはずだよ花じゃものエ ヨイヤーエー

メモ:唐箕はハンドルを回して風を起こし、お米と砕け米とゴミを選ったりするときに使う道具で、今なお使っている家もある。この唐の字は「便利な」とか「文明的な」などの意で、「唐天竺」つまり智恵の海山の発明品といった程度の響きである。唐箕はその名の通り便利な道具で労力も少なく、作業唄を伴うほどに時間もかからなかったためか、県内では「唐箕唄」の例は少ない。

 

俚謡「ものすり唄」

1、返しのないもの

 ものすり唄(山国町)

  ☆アー いちぜ後家でも塩売ゃするな どこの角でもしおしおと

  ☆アー 一夜泊りとうちゃ言うて出たが どこの小女郎が泊めたやら

  ☆アー 臼はすれすれ すりにこ来たよ 小言こまごと聞きにゃ来ぬ

  ☆アー わしとあなたのこのよい仲を 誰が横槍ゅ入れたやら

  ☆アー 私ゃあなたに千夜の願い 千夜叶わにゃただ一夜

 ものすり唄(中津市東浜)

  ☆アー 今晩来れん臼ぁ身持ちでないかヨ(アラヨイヨイ)

   中の白いのが粉でないかヨ(アラギッコン ギッコン)

  ☆アー わしが心と大奥山はヨ(アラヨイヨイ)

   他に木はない松ばかりヨ(アラギッコン ギッコン)

  ☆アー 様は三夜の三日月様でヨ(アラヨイヨイ)

   宵に見初めて見たばかりヨ(アラギッコン ギッコン)

  ☆アー 好いて好き合うて行く子の縁よヨ(アラヨイヨイ)

   親のやるのは無理な縁ヨ(アラギッコン ギッコン)

 臼すり唄(中津市東浜)

  ☆ハわしの心とナ 大貞山はヨ(アラヨーイヨイ)

   ほかに木はない松ばかりヨ(アラギッコンギッコン)

  ☆ハ腰の痛さよナ この田の長さヨ(アラヨーイヨイ)

   四月五月の日の長さヨ(アラギッコンギッコン)

  ☆惚れて通えばナ 千里が一里ヨ(アラヨーイヨイ)

   逢わず帰ればまた千里ヨ(アラギッコンギッコン)

  ☆様は三夜のナ 三日月様かヨ(アラヨーイヨイ)

   宵に来初めてすぐ帰るヨ(アラギッコンギッコン)

 ものすり唄(山国町中摩)

  ☆臼をすり来たすらせてヨーイ おくれ(ヨイヨイ)

   尾越え山越えヨーイ 来たほどに

  ☆尾越え山越え草踏みヨーイ 分けて(ヨイヨイ)

   茅じゃ足ゅ切るヨーイ その痛さ

  ☆臼は石臼やれ木はヨーイ 堅木(ヨイヨイ)

   臼の元ずりゃヨーイ お染さん 

 臼すり唄(山国町槻木)

  ☆お月ゃ山端にヨー 操の鑑ヨー 私ゃ手桶の水鏡ヨー

  ☆臼をすり来てヨー すらん様帰れヨー 臼の音も立ちゃ腹も立つヨー

  ☆重い義理じゃとヨー さす盃はヨー 中は御酒やら涙やらヨー

 臼すり唄(中津市福島)

  ☆お寺に参りょかナ 臼すりござれヨ

   二升と三升すりゃ後生になるヨ ギッコンギッコン

  ☆声はすれどもナ 姿は見えぬヨ

   主は深野のきりぎりすヨ ギッコンギッコン

  ☆わしが死んでからナ 誰が泣いてくりょかヨ

   裏のお山の蝉が鳴くヨ ギッコンギッコン

 籾すり唄(宇佐市山本)

  ☆待つがよいかよ別れがよいかヨ 同じことなら待つがよいヨ

  ☆主は三夜の三日月様かヨ 宵にちらりと見たばかりヨ

 ものすり唄(国見町千灯)

  ☆思い出すまいとは思えども 思い出しては袖絞る

  ☆ろくなこたないとは思えども 今にいてみよ 嫌じゃない

  ☆好いて好かれて行くのこ縁じゃ 親のやる先ゃ義理の縁

  ☆唄は唄えど心の内は 二十九日の深の闇

  ☆かわゆがらりょもまた憎まりょも ひとたあなたの心から

 ものすり唄(国東町見地)

  ☆おばんすり来たすらせておくれヨ おばんすりましょ 夜明けまで

  ☆おばんすり来てすらんよな奴はヨ いんでくたわけ朝のため

  ☆小癪言うた竹んかえ包うじヨ 水の出端にゃかえ流せ

 ものすり唄(姫島村)

  ☆船に乗るとも高い帆は巻くな 風に情けはないほどに

   風に情けがないとは嘘じゃ 上り船には西がよい

  ☆西に吹かせて早う上らんせ またの下りを待つばかり

   様は下りたか百二十七艘 様もござろかあの中に

  ☆船は出て行く帆巻いて走る 宿の娘は出て招く

   娘招くなあの船とまらぬ 思い切れとの風が吹く

 ものすり唄(姫島村西浦)

  ☆わしが思いはあの山のけて(ハヨーイヨーイ) 様の暮らしが見とうござる

  ☆様よ来てみよ疑いあらば(ハヨーイヨーイ) ひとり丸寝の袖枕

  ☆わしは姫島荒浜育ち(ハヨーイヨーイ) 色の黒いはごめんなれ

  ☆ごめんなれとはせがれのことか(ハヨーイヨーイ) ごめんなるまいこのせがれ

  ☆雨の降る日にゃござるなよ殿御(ハヨーイヨーイ) 濡れてござればなおいとし

  ☆一夜なりとも一日なりと(ハヨーイヨーイ) お前女房と言われたい

 ものすり唄(豊後高田市佐野)

  ☆臼をすり来たすらせておくれ 野越え山越えすりに来た

  ☆臼をすり来てすらんで帰りゃ 後で名も立つ腹も立つ

  ☆臼はまいますきりりとしゃんと 想う主さんが挽くほどに

  ☆様は三夜の三日月様よ 宵にちらりと見たばかり

  ☆宵にちらりと見たではすまぬ ソーリャよいかと出てござれ

  ☆声はすえども姿は見えぬ 様はどこかのきりぎりす

  ☆山は焼けても山鳥ゃたたぬ 何でたたりょか子を捨てて

  ☆臼は重たい相手は眠る 眠る相手は嫌じゃもの

  ☆隣のばあさんな欲なこた欲な 臼はすらせて餅ゃくれぬ

  ☆嫌じゃけれども義理づくなれば アイと返事もせにゃならぬ

 臼すり唄(豊後高田市呉崎)

  ☆臼をするなら身を揺り込んで 思う力をみな入れて(ギッコンギッコン)

  ☆臼をすれすれ すらんもんな帰れ 家の名が立つ損が立つ(ギッコンギッコン)

  ☆臼は石臼 するのは小麦 中に出るのは粉じゃないか(ギッコンギッコン)

  ☆暑や苦しや手拭い欲しや 様の浴衣の袖欲しや(ギッコンギッコン)

 ものすり唄(大分市坂ノ市)

  ☆ハー しばし間はわしゅかてなされ

   しばし間は頼みます(アーヨイショヨイショ)

  ☆ハー 二里も隔てて三川も越えて

   浅い思いで通わりょか(アーヨイショヨイショ)

  ☆ハー 廻りさんなら唄わにゃならぬ

   唄うて廻しましょ次の人(アーヨイショヨイショ)

  ☆ハー 唄え唄えと責めかけられて

   唄は出もせで汗が出た(アーヨイショヨイショ)

 ものすり唄(大分市丹生)

  ☆闇夜おそろし月ならよかろ 親と月夜はいつもよい

  ☆十九立待 二十日の寝待 二十三夜のお月待

  ☆まさか違えば二足の草鞋 主にはかせてわしもはく

  ☆髪の結いだち洗いのしだち カネのつけだちゃいつもよい

 ものすり唄(大分市鶴崎)

  ☆花と見られて咲かんのも卑怯な(アーヨイショヨイショ)咲けば実がなる恥ずかしや

  ☆姉がさるなら妹もさせる(アーヨイショヨイショ) 同じ蛇の目の傘を

  ☆忍び妻さん夜は何刻だ(アーヨイショヨイショ) 夜這い九つ夜は七つ

 ものすり唄(大分市国分)

  ☆小麦五升どま唄でもするが かすの粉ばなしゃ嫁こびし

  ☆嫁をかわいがれ嫁にこそかかる かわい娘は人の嫁

 ものすり唄(大分市坂ノ市)

  ☆小麦五升すりゃへこすり破る またとすりまい御所小麦

  ☆小麦すりなら宵からおいで 夜中過ぐればカスばかり

  ☆小麦五升どま唄でもするが 後の小話ゃわしゃ知らぬ

  ☆来るか来るかと川下見れば 川にゃ柳の陰ばかり

  ☆北と思うたらまたマジの風 風さよ恋路の邪魔をする

  ☆小麦すりならすらせておくれ 野越え山越え来たわしに

  ☆日頃早いのに今夜は遅い どこの姉さんが止めたのな

  ☆どこの姉さんも止むれはせぬで 宵の丸寝に寝忘れた

  ☆寝ては夢見る起きては思う さらぬ忘れる暇がない

  ☆思いなさるな思うたとても 枯木茶園で縁じゃない

  ☆私ゃ姉さにゃ惚れてはいても 惚れて姉さにゃ主がある

  ☆主がありても添いたきゃ添わしょ 神の森木も虫がさす

  ☆そうじゃそじゃそじゃその気でなくば 一生末代添わりゃせぬ

  ☆様はよう来た五里ある道を 三里笹薮 二里の川

  ☆思うて通えば千里が一里 逢わで帰ればまた千里

  ☆逢うて嬉しや別れの辛さ 逢うて別れがなくばよい

  ☆臼杵五万石 縦縞ならぬ 碁盤格子のアラレ織り

  ☆肥後は御殿役 からかさならぬ 似合うたバッチョ笠 横かぶり

 米すり唄(臼杵市津留)

  ☆お米五升すりゃへこすり破る(ハーショッショコ ショッショコ)

   二度とするまや五升米を(ハーショッショコ ショッショコ)

  ☆津留の前には瀬が二つある(ハーショッショコ ショッショコ)

   思い切る瀬と切らぬ瀬と(ハーショッショコ ショッショコ)

  ☆思うて通えば主さんがとこよ(ハーショッショコ ショッショコ)

   五里も十里も変わりゃせぬ(ハーショッショコ ショッショコ)

 臼すり唄(鶴見町羽出浦)

  ☆臼杵五万石大豆にゃ切れた ヨイヨイ 狭い佐伯に豆詮議 ハーヨイショヨイショ

  ☆佐伯内町米屋のおよし ヨイヨイ 目許ばかりが天女かな ハーヨイショヨイショ

  ☆主は今来てもう帰るのか ヨイヨイ 浅黄染めより紺がよい ハーヨイショヨイショ

 籾すり唄(直入町)

  ☆鳴くな鶏まだ夜は明けぬ アラヨイサ ヨイヨイ 明くりゃお寺の鐘が鳴る

   オモシロイナ イヤヒョウタンエー アリャサ ヨイヨイ

2、返しのあるもの(abcd-c'-cd)

 ものすり唄(耶馬溪町深耶馬)

  ☆臼はすれすれすりにこ来たよ 臼はやめまい夜明けまで

   やめまい臼は 臼はやめまい夜明けまで

  ☆思うて来たのに去ねとは何か 秋の田をこそ稲と言う

   田をこそ稲と 秋の田をこそ稲と言う

  ☆思うて七年通うたが五年 そばに添い寝がただ一夜

   添い寝がそばに そばに添い寝がただ一夜

  ☆恋の小刀身は細けれど 切れて思いは太うござる

   思いは切れて 切れて思いは太うござる

 ものすり唄(香々地町見目)

  ☆鯛は周防灘 港は香々地 海も情けも深いとこ

   情けも海も 海も情けも深いとこ

  ☆深い情けに命をかけて しけりゃ漕ぎ出す助け船

   漕ぎ出すしけりゃ しけりゃ漕ぎ出す助け船

  ☆助け上げられ抱き締められて 寝たがその子の名は知らぬ

   その子の寝たが 寝たがその子の名は知らぬ

  ☆浜の娘は藻に咲く花よ 波の間に間に夫婦岩

   間に間に波の 波の間に間に夫婦岩

3、返しのあるもの(abcd-cd)

 ものすり唄(山国町宇曽)

  ☆臼はナー 石臼やれ木は堅木 そばにいるのがエー 忍び様

   アーすれたなすれたな そばに そばにいるのが忍び様

  ☆臼のナー 元ずりゃなりふりゃいらぬ 襷つめかけエー 引き回せ

   すれたなすれたな 襷 襷つめかけ引き回せ

  ☆臼はナー 引きゃまう引かねばまわぬ 引かでまうのはエー 風車

   すれたなすれたな 引かで 引かでまうのは風車

  ☆好かぬナー 男がまた来て失せた 破れアシナカのエー 音がする

   すれたなすれたな 破れ 破れアシナカの音がする

 ものすり唄(真玉町臼野)

  ☆臼はすれすれすりにこ来たれ(ア小言こまごた聞きに来ん)

   アソジャソジャ ほんに(小言こまごた聞きに来ん)

  ☆唄は唄いたし唄の数知らぬ(ア大根畑のくれがやし)

   アソジャソジャ ほんに(大根畑のくれがやし)

  ☆大根畑のあの菜を見やれ(ア誰を待つやら青々と)

   アソジャソジャ ほんに(誰を待つやら青々と)

  ☆ヤーレこの臼はすり上げの臼よ(ア臼にゃ暇やるみな休め)

   アソジャソジャ ほんに(臼にゃ暇やるみな休め)

4、返しのあるもの(abcd-d-cd)

 ものすり唄(香々地町)

  ☆香々地ゃナ よいとこ海山近い 娘器量よし仕事好き

   器量よし 娘器量よし仕事好き

  ☆目見の長崎ナ 香々地の尾崎 仲を取り持つみやの山

   みやの山 仲を取り持つみやの山

5、返しのあるもの(abc”d-c”c'-c”d)

 ものすり唄(宇佐市四日市)

  ☆ハー 臼はよしな臼ヤーレ やり木は堅木ヨー 中挽きゃ忍び妻

   アリャ 中挽きゃヤーレ 中挽きゃ臼の 中挽きゃ忍び妻

  ☆ハー 見下げしゃんすなヤーレ 泥田にゃ住めどヨー きれいな蓮の花

   アリャ きれいなヤーレ きれいな咲いて きれいな蓮の花

  ☆ハー わしが唄えばヤーレ 空飛ぶ鳥もヨー 休めて声を聴く

   アリャ 休めてヤーレ 休めて羽を 休めて声を聴く

6、返しのあるもの(abcd-d-c'-cd)

 小麦すり唄(緒方町今山)

  ☆ハー 小麦五升すりゃ(ヨイヨイ) まだ夜は明けぬヨイ

   (明けりゃお寺の)ヨイヨイ (ヨイサ鐘が鳴るエ) 鐘が鳴る

   お寺の明けりゃヨイ(明けりゃお寺の)ヨイヨイ (ヨイサ鐘が鳴るエ)

 小麦すり唄(緒方町小宛)

  ☆小麦五升すりゃ(ヨーイショヨイショ) まだ夜は明けぬエー (明けりゃお寺の)

   ヨーイショヨイショ(ヨイサ鐘が鳴るヨ) 鐘が鳴る お寺の明けりゃエー

   (明けりゃお寺の)ヨーイショヨイショ (ヨイサ鐘が鳴るエ)

7、口説

 ものすり唄(国見町千灯)

  ☆臼はヒョンなものつまんで入れて(ドッコイショ)

   入れて回せば粉が出来る(ヨイトサノ ヨイヨナー)

  ☆なんとしましょかこの月ゃ三月(ドッコイショ)

   梅が食べたいスユスユと(ヨイトサノ ヨイヨナー)

  ☆わしが御門はひぐらし御門(ドッコイショ)

   見ても見飽かぬ添い飽かぬ(ヨイトサノ ヨイヨナー)

  ☆様よ来て見よ疑いあれば(ドッコイショ)

   一人丸寝の袖枕(ヨイトサノ ヨイヨナー)

 ものすり唄(国東町横手)

  ☆ものをすり来たすらせちゃおくれヨ 小言細言聞きにゃ来ん

   (ヨイトサー アリャヨイヨナ アラキコンキコン)

  ☆あんたよう来たよう来ちくれたヨ わしが思いの届いたか

   (ヨイトサー アリャヨイヨナ アラキコンキコン)

  ☆ものをすらせちだらせち寝せちヨ 後ぢ歯がゆがりゃきびが良い

   (ヨイトサー アリャヨイヨナ アラキコンキコン)

  ☆ものをすり来ちすらんような奴はヨ いっそ来なよい失すらよい

   (ヨイトサー アリャヨイヨナ アラキコンキコン)

  ☆ものをするならやり来をしゃんとヨ 押して回せば粉はすれる

   (ヨイトサー アリャヨイヨナ アラキコンキコン)

  ☆裏の小池の鴨さや憎やヨ 鴨が立たなきゃ人は知らぬ

   (ヨイトサー アリャヨイヨナ アラキコンキコン)

  ☆俺がもとすりゃお前は裏をヨ 調子揃えば臼はまう

   (ヨイトサー アリャヨイヨナ アラキコンキコン)

 ものすり唄(国東町大恩寺)

  ☆ものをすり来ちすらんような奴はヨ(ヨイヨイ)

   いんでくたわけ朝のため(ヨイトサ ヨーイヤナ)

  ☆これがこうじゃとわけさえ立つりゃヨ(ヨイヨイ)

   坂を車を押すじゃない(ヨイトサ ヨーイヤナ)

 ものすり唄(国東町中田)

  ☆うちのおかかは所で名取ヨ 何が名取か高菜採り ヨイトサーノ ドッコイショ

 ものすり唄(武蔵町糸原)

  ☆ヤレ出しましょ藪から笹をヨ(ヤレヨイ)

   つけておくれな短冊を(ヨイトナー ヤレヨイヨイ)

  ☆ヤレつけてあげましょ七月七日ヨ(ヤレヨイ)

   思い思いの短冊を(ヨイトナー ヤレヨイヨイ)

  ☆ヤレわしが思いはあの山のけてヨ(ヤレヨイ)

   ながの暮らしが眺めたい(ヨイトナー ヤレヨイヨイ)

  ☆ヤレながの暮らしはいつ来てみてもヨ(ヤレヨイ)

   たすき前かけシュスの帯(ヨイトナー ヤレヨイヨイ)

  ☆ヤレ臼はひょんなものつまんで入れてヨ(ヤレヨイ)

   すればするほど粉ができる(ヨイトナー ヤレヨイヨイ)

  ☆ヤレできたその粉は誰が粉かわかるかヨ(ヤレヨイ)

   団子丸めて食うてしまえ(ヨイトナー ヤレヨイヨイ)

 ものすり唄(安岐町両子)

  ☆ものをすり来てすらない人はヨ(ヨイヨイ)

   早くお帰り朝のため(ヨーイトサーノ ヨーイヨナ)

  ☆ものをすり来た すらせておくれヨ(ヨイヨイ)

   野越え山越え来たわいな(ヨーイトサーノ ヨーイヨナ)

  ☆野越え山越え来るよな方はヨ(ヨイヨイ)

   村で人気のないお方(ヨーイトサーノ ヨーイヨナ)

  ☆わしとあなたはアイコの松でヨ(ヨイヨイ)

   ともに落ちても二人連れ(ヨーイトサーノ ヨーイヨナ)

  ☆裏の窓からダイダイ貰うたヨ(ヨイヨイ)

   抱いて寝よとの判じ物(ヨーイトサーノ ヨーイヨナ)

  ☆今日も朝から柱で頭ヨ(ヨイヨイ)

   あいたかったと目に涙(ヨーイトサーノ ヨーイヨナ)

 臼すり唄(杵築市三川)

  ☆臼をすり来たすらせちゃおくれ(サノヨイ)

   私ゃやり木の番にゃ来ぬ(アーヨイトコリャサッサノ ヨイヤサノサイ)

  ☆色は竹田で情けは杵築(サノヨイ)

   情けないのは日出府内(アーヨイトコリャサッサノ ヨイヤサノサイ)

  ☆千里奥山あの水車(サノヨイ)

   誰を待つやらくるくると(アーヨイトコリャサッサノ ヨイヤサノサイ)

  ☆臼にゃ好かねど臼元様の(サノヨイ)

   入れる手じなにわしゃ惚れた(アーヨイトコリャサッサノ ヨイヤサノサイ)

  ☆惚れてみなされ器量こそ悪い(サノヨイ)

   心吉野の最上一(アーヨイトコリャサッサノ ヨイヤサノサイ)

  ☆今宵別嬪さんの臼する姿(サノヨイ)

   枕屏風の絵にゃ欲しゅい(アーヨイトコリャサッサノ ヨイヤサノサイ)

  ☆男ぶりよりゃ器量よりゃ心(サノヨイ)

   心よいのに誰も好く(アーヨイトコリャサッサノ ヨイヤサノサイ)

  ☆お月様のよな気のまん丸い(サノヨイ)

   心冴えたる様欲しゅい(アーヨイトコリャサッサノ ヨイヤサノサイ)

  ☆臼はすれすれ挽かねばならぬ(サノヨイ)

   挽かでまうのは水車(アーヨイトコリャサッサノ ヨイヤサノサイ)

 臼すり唄(大田村波多方)

  ☆来いよ来いよと待つ夜にゃ来んでヨ(ヨーイヨイ)

   待たぬ夜に来て門に立つ(ヨーイサーノ ヨヤサーノサ)

  ☆臼をすらしょどち袖引く手引くヨ(ヨーイヨイ)

   しまやご苦労と戸を立つる(ヨーイサーノ ヨヤサーノサ)

  ☆風も吹かんのに豆ん木が動くヨ(ヨーイヨイ)

   どこかテレやんが来ちょるじゃろ(ヨーイサーノ ヨヤサーノサ)

 臼すり唄(大田村田原)

  ☆臼を摺りきて摺らんよな奴はヨ(ハヨイヨイ)

   いんでくたわけ朝のため(サノナー ヨイトサノサ)

  ☆臼を摺りきて摺らせておくれヨ(ハヨイヨイ)

   わしは山越え来たわしじゃ(サノナー ヨイトサノサ)

 臼すり唄(大田村田原)

  ☆臼を摺りにきた 摺らせておくれヨ(ヨイヨイ)

   臼がマ 重いかと言うてござれ(アーとんとこ富山の入れ薬)

  ☆臼はひょんなもの つまんで入れてヨ(ヨイヨイ)

   入れてマ まわせば粉がでける(アーうんとしてはらまにゃしょうけぼぼ)

  ☆様に別れて 松原行けばヨ(ヨイヨイ)

   松のマ 露やらしずくやら(サノサー ドッコイショ)

 ものすり唄(山香町広瀬)

  ☆臼をすり来たすたせておくれヨ(ヨーイヨイ)

   様の口説を聞きにゃ来ぬ(ヨーイヨーイ ヨイヤサノサ)

  ☆唄を唄いなれどなたも様もヨ(ヨーイヨイ)

   唄でご器量が下がりゃせぬ(ヨーイヨーイ ヨイヤサノサ)

  ☆姿かたちは自慢にゃならぬヨ(ヨーイヨイ)

   味が自慢の吊るし柿(ヨーイヨーイ ヨイヤサノサ)

  ☆あんた嫌うてもまた好く人がヨ(ヨーイヨイ)

   なけりゃ私の身が持たぬ(ヨーイヨーイ ヨイヤサノサ)

  ☆わしの来るのは鶯のようにヨ(ヨーイヨイ)

   野越え山越え川渡り(ヨーイヨーイ ヨイヤサノサ)

  ☆唄の切れ間と殿御さんの留守はヨ(ヨーイヨイ)

   寂しゅござんす唄いなれ(ヨーイヨーイ ヨイヤサノサ)

  ☆臼がまいます下臼までもヨ(ヨーイヨイ)

   唄にあわせてよう回る(ヨーイヨーイ ヨイヤサノサ)

 ものすり唄(日出町豊岡)

  ☆臼をすり来たすらせておくれヨ(ハヨーイヨーイ)

   小言こまごと聞きにゃ来ぬ(アラ ソーダワ ソージャロヨー)

  ☆様よ来てみて疑いあればヨ(ハヨーイヨーイ)

   一人丸寝の袖枕(アラ ソーダワ ソージャロヨー)

  ☆思い返して来る気はないかヨ(ハヨーイヨーイ)

   鳥も枯木に二度とまる(アラ ソーダワ ソージャロヨー)

 粉挽き唄(日出町豊岡)

  ☆連れて行くなら一夜も早く(ハヨイヨイ)

   心変わりのせぬうちに(アラサーヤレヨイヨイ)

  ☆連れて行くから髪をときなおせ(ハヨイヨイ)

   島田くずして丸まげに(アラサーヤレヨイヨイ)

  ☆連れて行たとて難儀はみせぬ(ハヨイヨイ)

   着せて食わせて抱いて寝る(アラサーヤレヨイヨイ)

  ☆抱いて寝もせにゃ暇もくれぬ(ハヨイヨイ)

   つなぎ船とはわしがこと(アラサーヤレヨイヨイ)

  ☆ついておいでよこの提灯に(ハヨイヨイ)

   けっして苦労はさせはせぬ(アラサーヤレヨイヨイ)

8、田の草(盆口説)

 籾すり唄(大分市国分)

  ☆揃うた揃うたよ臼挽揃うた(ヨイトコセードッコイセ)

   秋の出穂よりゃ品よく揃うた(アーヨイヤサノセー ヨイヤーセー)

  ☆さあさやりましょ仕掛けてみましょ(ヨイトコセードッコイセ)

   どうせ臼挽きゃヨヤセでなけりゃ(アーヨイヤサノセー ヨイヤーセー)

9、麦搗き(盆口説)

 籾すり唄(大分市宗方)

  ☆ヤレ臼はナ(ハイ) 台でもつ(アラヨーイサヨイヨイ) なかご(ハイ)

   で締まる(ハラヨーイヤナ) イヤ早野ナ(ハイ) 勘平さんな

   (アラヨーイサヨイヨイ) 勘平さんな ノーエヤセー(ハイナーソコ)

   お軽で締まる(セーヨ ソコ ヨヤセーヨ ヨーヤセー)

  ☆ヤレ関でナ(ハイ) 女郎買うて(アラヨーイサヨイヨイ) うちの(ハイ)

   カカ見れば(ハラヨーイヤナ) イヤ千里ナ(ハイ) 奥山

   (アラヨーイサヨイヨイ) 奥山 ノーエヤセー(ハイナーソコ)

   古だぬきナ(セーヨ ソコ ヨヤセーヨ ヨーヤセー)

  ☆ヤレ主がナ(ハイ) 振舞う(アラヨーイサヨイヨイ) 霜消(ハイ)

   し酒に(ハラヨーイヤナ) イヤやり木ナ(ハイ) 持つ手に

   (アラヨーイサヨイヨイ) 持つ手に ノーエヤセー(ハイナーソコ)

   また汗が飛ぶ(セーヨ ソコ ヨヤセーヨ ヨーヤセー)

  ☆ヤレ引けやナ(ハイ) 引け引け(アラヨーイサヨイヨイ) 籾す(ハイ)

   り済めば(ハラヨーイヤナ) イヤ済めばナ(ハイ) 霊山

   (アラヨーイサヨイヨイ) 霊山 ノーエヤセー(ハイナーソコ)

   礼参りよ(セーヨ ソコ ヨヤセーヨ ヨーヤセー)

 籾すり唄(大分市上戸次)

  ☆イヨー お前マ(ソコソコ) 加古川(サーヨーイサヨイヨイ) アー本(ソコ)

   蔵が娘(サノヨーヤナ) イヨー力哉(ソコ) さんとは

   (ハーヨーイサヨイヨイ) アーさんとは ヨーヤレーサ(アイナーソコ)

   二世の縁(コラセーノ ヨーヤセーヨ ヨーヤセー)

  ☆イヨー 関のマ(ソコソコ) 小花は(サーヨーイサヨイヨイ) アー千(ソコ)

   尋立つが(サノヨーヤナ) イヨーわしの(ソコ) 思いは

   (ハーヨーイサヨイヨイ) アー思いは ヨーヤレーサ(アイナーソコ)

   まだ深い(コラセーノ ヨーヤセーヨ ヨーヤセー)

 籾すり唄(大分市坂ノ市)

  ☆アー安岐の宮島(アーヨーイサヨイヨイ) まわりが

   アラまわりが七里(アラヨーヤナ) 浦がナー 七浦 七浦 浦が

   (ハイナーソレ) 七えべす(トコセーヨ ヨヤーセーヨ ヨーヤセ)

  ☆アー水の流れと(アーヨーイサヨイヨイ) 人間

   アラ人間の身は(アラヨーヤナ) どこのナー いずくに いずくに どこの

   (ハイナーソレ) とまるやら(トコセーヨ ヨヤーセーヨ ヨーヤセ)

 ものすり唄(挾間町谷) 

  ☆臼はナ(ソコ) 台でもつ(サノヨイトサノヨイヨイ) なかごで締まるナ

   (サノヨーヤナ) 早野ナ(ソコ) 勘平さんな(サノヨイトサノヨイヨイ)

   勘平さんな早野ナ(サノヨーヤナ) お軽さんで締まる(セーヨ)

   ソコ(ヨーヤセーヨ) ソコ(ヨーヤーナー)

10、伊勢音頭

 籾すり唄(挾間町谷)

  ☆伊勢にゃ七度(ヨイヨイ) 熊野にゃ三度(アラソーコセー ソーコセー)

   愛宕ホホンホー 様には(ヨイヨイ) ヤンサ月まいり

   (ソラ ヤートコセーノ ヨーイヨナ アレワイセ コレワイセノ ナンデモセー)

11、ドッコイセ節

 ものすり唄(武蔵町)

  ☆今は梅干じゃ 昔は花じゃヨ 鶯止まらせた節もある アドッコイサ よう来たな

  ☆今宵や良い晩 嵐も吹かでヨ 梅の小枝も折りよかろ アドッコイサ よう来たな

 籾すり唄(佐伯市)

  ☆唄え唄えとせき立てられてヨー ヨイトサッサ

   唄は出もせで汗が出た(ドッコイサノセー ヨイヤマカナー)

  ☆唄う心は湧かないけれどヨー ヨイトサッサ

   胸の曇りを唄に出す (ハどしたらお前さんと 添わりょかね)

 臼すり唄(佐伯市木立)

  ☆唄う心はわしゃないけれどヨー ヨイトサッサ

   胸の曇りを唄に出す(アラどうしたならお前さんと 添わりょかな)

  ☆承知ないのに盃さしてヨー ヨイトサッサ

   そして私を困らかす(ヨンヤドッコイセノセー 承知かな)

12、エンヤーエー(池普請唄)

 籾すり唄(庄内町阿蘇野)

  ☆今宵はノー ヨイヨイ 今宵は日もよい エンヤーエンエ エンヤーエンヤ

   アレワイサーノヨイ アソコジャイ ソコジャイ

  ☆こうすりゃノー ヨイヨイ こうすりゃようまう エンヤーエンエ エンヤーエンヤ

   アレワイサーノヨイ アソコジャイ ソコジャイ

メモ:碾き臼を回すときに唄った作業唄で、農村部の夜なべ小屋で盛んに唄われた。その文句の種別が多岐にわたっているのが特徴で、節を見ても盆口説や池普請唄の転用、ドッコイセ節やよしこの節等の流行小唄の転用が多い。碾き臼の作業は多岐に亙り、まず籾摺りがあげられる。これは、木臼や土臼で行うが、やり木や引き綱をとって回すのに大抵は2人組で行う。ほかには製粉があり、こちらは石臼で行うが小型のものは1人で、大型の臼ではやはりやり木を2人でとった。これらの作業は、目的も違えば対象の穀物も小麦、お米、粟、稗、大豆その他多岐に亙るが、その作業唄は共通の唄を使いまわしたために一般に「ものすり唄」と呼ぶことが多い。昔はお米を節約するために「かて飯」にするのが当たり前だったし、「ほうちょう」「打ち込み」「うどん」また子供のおやつで「だんご」「やせうま」「ひやき」なども作った。粉を使う機会が多かったといえる。農村部ではワケーモン宿や夜なべ小屋に近隣の娘が集まり、唄ったり喋ったりしながら作業を行った。するとそこには村の若い男性が遊びに来て作業を手伝ったり、中にはそのまま馴染みの中になる組もあったので、辛い仕事でありながらも田舎の若い男女にとっては、娯楽の場でもあったそうだ。「ものをすり来てすらんような奴は…」云々の文句が広く残っているが、これは作業を手伝いに来たふりをして意中の娘にべらべらと話しかけてばかりで全く手伝おうともしない若者への、当てこすりの文句である。生活様式の変化で、懐かしい思い出を連れて来る「ものすり唄」も廃れて久しい。

 

俚謡「もの搗き唄」

1、返しのないもの

 米搗き唄(安心院町佐田)

  ☆米を搗き来た搗かせておくれ 野越え山越え搗きに来た

  ☆野越え山越え三坂越えて 遠いここまで搗きに来た

  ☆様と米搗きゃ中トントンと 糠がはぼ散りゃおもしろさ

  ☆わしに通うなら裏からござれ つつじ椿を踏まぬよう

  ☆つつじ椿は踏んでもよいが うちの親たち踏まぬよに

  ☆うちの親たちゃどうでもよいが 村の若い衆の知らぬよに

 台唐踏み唄(香々地町堅来)

  ☆アラ歳はヨー いたれど アラ江戸の吉原のヨー

   アラ女郎のヨー 手枕は アラミナサン忘りゃせぬヨー

  ☆アラうちのヨー お殿さん アラ長崎鼻でヨー

   アラ波にヨー 揺られて アラミナサン鯛を釣るヨー

  ☆アラ香々地ゃヨー よいとこ アラ海山近いヨー

   アラ娘ヨー 器量良し アラミナサン仕事好きヨー

  ☆アラ月はヨー 重なる アラお腹は太るヨー

   アラなんとヨー しましょか アラミナサン忍び妻ヨー

  ☆アラ静ヨー 御前の アラ初音の鼓ヨー

   アラ打てばヨー 近寄る アラミナサン忠信がヨー

  ☆アラ台唐ヨー 踏め踏め アラ踏まねばならぬヨー

   アラ踏まにゃヨー お米が アラミナサン白うならぬヨー

 台唐節(別府市)

  ☆山は晴れても麓は時雨 里のもみすりゃまだ済まぬヨー

2、米搗き(盆口説)

 米搗き唄(庄内町)

  ☆搗けど小突けどこの米はノー 搗けんエーイノナントショ

   踏まにゃ夕餉の間に合わんヨー

  ☆嫁に来るなら寒風にゃノー あてんエーイノナントショ

   鶴見おろしは由布ではねるヨー

  ☆おどまバカじゃろ天保銭のナー 子じゃろエーイノナントショ

   一厘銭から笑われたヨー

3、麦搗き(盆口説き

 麦搗き唄(久住町久住)

  ☆臼にヨーナ(ドッコイ) 麦を入れ(サマヨイヤサノヨイヨイ)

   ぬかづくときはエ(サマナーヨイヤナ) 五尺ナ(ドッコイ) アー男が

   (サマヨイヤサノヨイヨイ) 男が五尺ナ(サマナーヨイヤナ) ハーコイタ

   乱れゆくエー(サマーヨーナ) ドッコイ(ヨーイヤセーヨーナ)

   ソレソレ(ヨーイヨナ)

 麦搗き唄(竹田市会々)

  ☆ハー 臼にゃドッコイ 麦を入れ ハーヨイヤサノヨイヨイ

   おかぶくノー ときにゃ サマーヨイヤナ 五尺ナードッコイ 体が

   ハーヨイヤサノヨイヨイ 体のナー 五尺 サマーヨイヤナ

   乱れゆく サマセーヨ ヨーイヤセーナ ヨーイヤセー

メモ:こちらは精米・精麦の作業で唄われたもので、碾き臼を使うときの「ものすり唄」とは区別されている。今はコイン精米などがあり簡単にできるが昔の名残で、精米することを「お米を搗く」とか「お米を踏む」ということが多い。古くは竪臼に竪杵や横杵で行ったがあまりに効率が悪く、「台唐」とか「唐臼」という道具が次第に普及した。これはシーソーのような道具で、綱につかまって板の端をバタンバタンと踏みつけると、反対側についた杵がお米や麦を搗くという道具で、一般に夜なべ仕事で行われたものである。この「唐」の字は、「唐箕」と同じく文明的な、便利なといった程度の意味である。いずれにしても効率の悪いことにはかわりがなく、地の利を生かして水車小屋を作り、人力に頼らずに行うことも古くから見られたようだ。そのこともあってか精米屋・精麦屋が村々に見られたようで、「ものすり」作業ほどには共同で行う機会が多くなかったのか、唄の種類もずっと少ない。

 

 

俚謡「草刈唄」

山行き小唄(山国町)

 ☆様が来たじゃろヨー 上野の原にヨー 駒のいななく鈴の音ヨー

 ☆駒は七匹ヨー 馬方一人ヨー 駒の沓打つ暇はないヨー

 ☆わしとお前とヨー 立てたる山をヨー  誰が切るやら荒らすやらヨー 

 ☆逢うて話しましょヨー 小松の下でヨー  松の葉のよにこまごまとヨー 

 ☆思うて通えばヨー 千里が一里ヨー  逢わで帰ればまた千里ヨー 

 ☆富士の山ほどヨー 登らせおいてヨー  今は釣瓶の逆落としヨー 

 ☆花の奥谷ヨー 流れちゃならぬヨー  植えた木もありゃ花もあるヨー 

(宇佐市横山)

 ☆今宵さ行くぞと目で知らすれど 竹の継穂で気が付かぬ

 ☆思い山々どの山見ても 霧のかからぬ山はない

(宇佐市麻生)

 ☆アー待つがよいかよ別れがよいかヨ(別れよ待つがよいヨ)

  別れが嫌なヨ(別れよ待つがよいヨ)

 ☆アー待つの辛さに出て山見ればヨ(かからぬ山はないヨ)

  かからぬ霧のヨ(かからぬ山はないヨ)

 ☆アー声はすれども姿が見えぬヨ(深野のきりぎりすヨ)

  深野の様はヨ(深野のきりぎりすヨ)

草切唄(山香町山浦)

 ☆千夜通うたら一夜はなびけ 一夜情けは誰もある

  寄れ寄れ 右寄れ 左はホキじゃよ 危ないとこじゃよ

草切唄(弥生町)

 ☆堅田行くならお亀にゃよろしゅ 行けば右脇高屋敷 トコススヤ

 ☆川に立つより立ち聞きしよと ごめんなされと寄るがよい トコススヤ

 ☆川に立たせて待たしておいて 内でダツ編みゃ手につかず トコススヤ

朝草切唄(上津江村川原)

 ☆なんぼ通うても青山もみじ 色の 色のつかぬが是非もない ホイホイ

 ☆あんたよう来たよう来てくれた わしの わしの思いの届いたか ホイホイ

 ☆様は来る来る栗毛の馬で 私ゃ 私ゃ逢お逢お あおの駒 ホイホイ

 ☆私ゃあなたに惚れてはいるが 二階 二階 雨戸で縁がない ホイホイ

 ☆七里墓わら栗山道を 様は 様はよで来てよで帰る ホイホイ

メモ:草を刈るときではなく、秣や萱などを刈る行き帰りの道中で唄ったものである。昔は集落の入会地で、飼料等に使う草や屋根の葺き替えに使う萱を刈っていた。早い者勝ちなので朝食前の暗いうちから馬や牛を曳いて行き、何把も刈って帰ったという。その道中でここの紹介したような唄を唄ったというが、特別の唄ではなく盆踊りの口説を練習しながら歩いたという話もよく聞く。ちょうど季節が重なっていることもあるのだろうが、盆口説は盆踊り本番だけでなく、草刈り、ものすり、田の草取りその他、たくさんの仕事に伴って(練習のために)唄われるものであったようだ。

 

俚謡「木綿引き唄」

1、ソレソレ節

 (蒲江町)

  ☆エー わしが木綿引きゃヨー お馴染みさんがヨー ソレソレ

   寝ろや寝ろやと糸を切らすヨー トコハイ トノエイ ナニュエイ ソレソレ

  ☆エー 木綿引く引くヨー 居眠りなさるヨー ソレソレ

   糸のでるのを夢に見たヨー トコハイ トノエイ ナニュエイ ソレソレ

2、ドッコイセ節

 (佐伯市木立)

  ☆木綿ひきひき眠りどまするなヨーイ 眠りゃ名が立つ宿の名が

   アドッコイショーノショー こりゃよかろ

  ☆木綿ひくひく眠りどまするなヨーイ 眠りゃ伽衆がみな眠る

   アドッコイショーノショー こりゃよかろ

  ☆寝ても眠たい夏の夜にヨーイ 木綿ひけとは親が無理

   アドッコイショーノショー こりゃよかろ

メモ:糸繰りの夜なべ仕事で口ずさまれたもので、1は「ソレソレ節」の一種である。この種の唄は瀬戸内沿岸部のあちこちで盛んに唄われたもので、その中でも特に岡山県下津井のものが三弦化し固有の文句もつけられたため観光客向にも盛んに宣伝され、今では「下津井節」として全国的によく知られている。2は「ドッコイセ節」で、流行小唄「春は嬉しや」の元唄「ドッコイショ節」と同種のものである。この種のものは県内で広く流行し、座興唄や作業唄として盛んに唄われた。

 

俚謡「茶摘み・茶揉みの唄」

(久住町)

 ☆茶山戻りは皆菅の笠 どれが姉やら妹やら

 ☆姉が二十に妹が十九 どんど妹が十二でござる 

(玖珠町)

 ☆ハーヤーレ 茶山茶山と楽しんで来たら 上り下りの坂名所 ハーヤレ揉めヤレ揉め

 ☆ハーヤーレ あなた帰るならついて行きましょか ついて行きましょかどこまでも

 ☆ハーヤーレ 様の手拭ゃ山形ヤの字 どこの紺屋で染めたやら ハーヤレ揉めヤレ揉め

 ☆ハーヤーレ 様は三夜の三日月様よ 宵にちらりと出たばかり

(津江地方)

 ☆ハヤーレ 縁がないなら茶山においで アリャサイサイ

  茶山 茶どころ 縁どころ ハー押さされ引かされ

 ☆ハヤーレ お茶を揉むときゃ腰ょ折りかけて アリャサイサイ

  腕に力を入れて揉め ハー揉まされ揉まされその気で揉むなら

  石でも粉になるしっかり揉まされ

 ☆ハヤーレ 茶山だんなさんながらがら柿よ アリャサイサイ

  見かけ良けれど渋うござる ハー押さされ引かされ

 ☆ハヤーレ 茶山だんなさんと懇ろすれば アリャサイサイ

  決めた給金よりゃ袖の下 ハー揉まされ揉まされ

  常にゃ来んけん来たときゃ寄らさい 道端じゃあけん団子して待っちょる

(日田市)

 ☆ヤーレ 縁がないなら茶山においで 茶山 茶処 縁処

(前津江村柚木)

 ☆ハーヤーレ 縁がないなら茶山にござれ(トコサイサイ)

  茶山茶どころ縁どころ(ハー揉ましゃれ揉ましゃれ トコサイサイ)

 ☆ハーヤーレ 今年初めて茶山に来たら(トコサイサイ)

  お茶の摘む道ゃまだ知らぬ(ハー揉ましゃれ揉ましゃれ トコサイサイ)

 ☆ハーヤーレ 今年ゃこれきりまた来年の(トコサイサイ)

  八十八夜のお茶で会お(ハー揉ましゃれ揉ましゃれ トコサイサイ)

(前津江村大野)

 ☆ハヤーレ 茶山旦那さんなガラガラ柿よ 見かきゃよけれど渋うござる

 ☆ハヤーレ お茶は揉め揉め 揉みさよすれば どんな柴茶も濃茶となる

 ☆ハヤーレ 矢部がよいかな星野がよいか 矢部で妻持ちゃ矢部がよい

(中津江村合瀬)

 ☆ヤーレ 一つだしましょかはばかりながら 声の悪いのはみなごめん

 ☆ヤーレ 茶山戻りはみな菅の笠 どれが姉やら妹やら

(中津江村栃野)

 ☆ハヤーレ 茶山茶山と楽しうで来たが(やれ揉めやれ揉め)

  なんのよかろか坂ばかり(やれ揉めやれ揉め)

(上津江村川原)

 ☆インヤーレ 茶山戻りのあの菅の笠

  どれが姉やら妹やら(やれ揉めやれ揉め)

 ☆インヤーレ 茶摘ゃしまゆるじょうもんさんな帰る

  私一人が残される(やれ揉めやれ揉め)

 ☆インヤーレ あんた帰るかと袂にゃすがる

  離せまた来る来春は(やれ揉めやれ揉め)

 ☆インヤーレ どうせ帰るなら日田まで送ろ

  日田から互いに泣き別れ(やれ揉めやれ揉め)

(上津江村上野田)

 ☆ヤーレ 声のよさよさ細谷川の(コラサイサイ)

  すすき小藪の蝉の声(やれ揉めやれ揉め)

 ☆ヤーレ こんなやわい茶は五貫どま摘まにゃ(コラサイサイ)

  様のかんざしゃ何で買う

(天瀬町五馬市)

 ☆ヤーレ 茶山茶山とみな言うて登る

  津江は茶どころ縁どころ(アーやれ揉めやれ揉め)

 ☆ヤーレ 揉めた揉めたは柴茶が揉めた

  揉めた柴茶の味のよさ(アーやれ揉めやれ揉め)

(大山町西大山)

 ☆茶摘み茶摘みとみな言うて来たが お茶の摘み道ゃまだ知らぬ

 ☆お茶の摘み道ゃ知らんならおしゆ 古葉残して新芽摘む

(上津江村)

 ☆ヤーレ 今年初めて茶山に来たら(トコショイショイ)

  お茶の摘みようがまだ知れぬ

 ☆ヤーレ お茶の摘みようを知らぬなら教うよ(トコサイサイ)

  わずか残してしんに摘も(アーヤレ揉めヤレ揉め)

 ☆ヤーレ お茶は揉め揉め揉まねばよう出ぬ(トコショイショイ)

  揉めばシバ茶も濃茶となる

メモ:日田郡を中心に、茶摘みや茶揉みのときに気晴らしに唄われた。同種のものは大分・福岡・熊本の鼎立する山間部に広く残っており、特に福岡県八女のものはレコード民謡・ステージ民謡としても全国的に広く知られている。大分のものも節回しはそれと大同小異である。日田郡の中でも津江地方は製茶業が盛んで、三番茶、四番茶はまだしも、一番茶の茶摘みは目の回るような忙しさ、それにもまして骨が折れたのが茶揉みだったという。昔は時季になると近隣の娘が連れだって茶山に働きに行くことが多かったそうだが、仕事の忙しさの割には賃金はあまりよくなかった由。その関係で「茶山々々と楽しゅうで来たら…」云々や「茶山旦那さんとねんごろすれば」云々の、当てこすりともとれるような文句が多く残っている。

 

俚謡「桑摘み唄」(山香町)

☆昼はとんとん床替えばかり 晩は桑摘み眠たかろ

☆蚕飼い上げまぶしにゃ入れて 様とおおぼの湯に行こや

☆花はいろいろ五色に咲けど 主に見返す花はない

☆花になりたやジュクロの花に 花は千咲く実は一つ

メモ:山香町では昔、養蚕が非常に盛んだったとのこと。養蚕の仕事は5月から9月頃で、ちょうど稲作の農繁期と重なるため、養蚕をしている家庭はこの時季目の回るような忙しさで、夜なべ仕事もざらだったという。きっと、眠気覚ましや調子付けにこの唄を唄ったのだろう。ここで紹介したものは流行小唄「オヤマカチャンリン節」の転用で、さして古いものではない。きっと、他の流行小唄や、または「ものすり唄」などを転用する例もあったと思う。

 

俚謡「夜なべ唄」(竹田市玉来)

☆一つ出しましょ藪から笹を つけて下され短尺を

☆どうかふらふら眠りがついた いずれ夜前の長話

☆わしが唄えば人さま笑う 笑うはずだよ下手だもの

☆月は山端におうこ星ゃ西に もうは止めごろ上がりごろ

メモ:何々の作業と限定することなく、夜なべ仕事のときに眠気覚ましで口ずさまれたもの。作業小屋などで近隣の若者が連れだって作業したときなど、自由にいろいろな文句を唄ったのだろう。

漁村

 

俚謡「海老打ち唄」(宇佐市長洲)

☆ヤーレ 豊前長洲のエビ打つ音がヨ(ますぞえノーヤレ 向こうが島ヨ)

 ますぞえ ますぞえ聞こえヨ(ますぞえノーヤレ 向こうが島ヨ)

☆ヤーレ 打てど叩けどこの海老ゃはげぬヨ(打瀬のノーヤレ 涙海老ヨ)

 打瀬の 打瀬のこれがヨ(打瀬のノーヤレ涙海老ヨ)

☆ヤーレ 寒の師走も日の六月もヨ(勤めもノーヤレ せにゃならぬヨ)

 勤めも 勤めも辛いヨ(勤めもノーヤレ せにゃならぬヨ)

☆ヤーレ 七つ下がればわしゃ目が見えんどヨ(殺したノーヤレ その咎かヨ)

 殺した 殺した鳥をヨ(殺したノーヤレ その咎かヨ)

☆ヤーレ 鳥も通わぬ玄界灘はヨ(ヤレそじゃノーヤレ 通うて来るヨ)

 ヤレそじゃ そじゃそじゃそれがヨ(ヤレそじゃノーヤレ 通うて来るヨ)

☆ヤーレ 船が来たぞえ三ばい連れでヨ(新造がノーヤレ わしが様ヨ)

 新造が 新造が中のヨ(新造がノーヤレ わしが様ヨ)

☆ヤーレ 沖の鴎に汐時ゅ問えばヨ(立つ鳥ノーヤレ 波に問えヨ)

 立つ鳥 立つ鳥 私ゃヨ(立つ鳥ノーヤレ 波に問えヨ)

☆ヤーレ 波に問やまた荒瀬に問えとヨ(なければノーヤレ 波ゃ立たぬヨ)

 なければ なければ荒瀬ヨ(なければノーヤレ 波ゃ立たぬヨ)

☆ヤーレ 波に問うのはいと易けれどヨ(白波ゃノーヤレ 物言わぬヨ)

 白波ゃ 白波ゃ沖のヨ(白波ゃノーヤレ 物言わぬヨ)

☆ヤーレ 風呂屋の看板にゃ松竹梅と書いてヨ(うめうめノーヤレ 温かったてヨ)

 うめうめ うめうめ熱かヨ(うめうめノーヤレ 温かったてヨ)

☆ヤーレ 思い出しゃせんか泣きゃせんか殿御ヨ(出しゃせぬノーヤレ 泣きもせぬヨ)

 出しゃせぬ 出しゃせぬ思いヨ(出しゃせぬノーヤレ 泣きもせぬヨ)

☆ヤーレ 月夜月夜にわしゅ連れ出してヨ(捨てるかノーヤレ 闇の夜にヨ)

 捨てるか 捨てるか今はヨ(捨てるかノーヤレ 闇の夜にヨ)

☆ヤーレ エビシャ小屋では色事ぁでけぬヨ(碁盤でノーヤレ 目が多いヨ)

 碁盤で 碁盤で将棋ヨ(碁盤でノーヤレ 目が多いヨ)

メモ:長洲で盛んに生産された「カチ海老」の殻を剥ぐ作業のときに唄ったもの。作業小屋(エビシャ)に集まって、干し上げたエビを木槌でトントントンと素早く叩き続ける、根気のいる作業だった。カチ海老は県内外、はては大陸までも運ばれ、網元や「エビシャ」の親方は大変に潤ったという。最も景気のよかった頃には長洲だけでは作業が追い付かず、美濃崎(杵築)でもカチ海老の生産を行っていた。長洲から来た「親方」が現地の漁師の妻や娘を期間雇用していたというが、美濃崎では「海老打ち唄」は唄われなかったとのこと。小刻みに木槌を動かす作業なのでテンポの速い、軽快な唄になっている。下の句の頭3字を伏せるのは宇佐地方の俚謡によく見られる特徴で、特にこの唄では、最初伏せて唄っていた3字が、返しのところで初めてあらわれるというところに面白味がある。あまり知られていないが、レコード化されたり、ステージ民謡として取り上げられたこともある。ところが三味線等の伴奏をつけたためか、作業唄として唄われたときの威勢のよさや軽やかさが失われてしまい、凡庸な曲になってしまっている。この種の唄を「民謡」として取り上げるときは、下手に三味線や尺八などを加えるよりも、無伴奏か、せいぜい鳴り物だけの伴奏にした方がずっとよいと思う。

 

俚謡「マテ突き唄」(国東町北江)

1、元の節(3拍子)

 ☆アリャ嫌じゃかかさんヨーイ マテ突きゃ嫌じゃヨーイ

  アリャドッコイショドッコイショ アリャ色も黒うなりゃヨーイ

  腰ゃかがむヨーイ アリャヨイコラヨーイヨーイヨーイ

 ☆アリャ豊後北江のヨーイ マテ突き音頭ヨーイ

  アリャドッコイショドッコイショ アリャあとが続けばヨーイ

  皆勇むヨーイ アリャヨイコラヨーイヨーイヨーイ

 ☆アリャ寒い北風ヨーイ 冷たいあなじヨーイ

  アリャドッコイショドッコイショ アリャ吹いて温いのがヨーイ

  まじの風ヨーイ アリャヨイコラヨーイヨーイヨーイ

 ☆アリャ泣いてくれるなヨーイ 出船のときはヨーイ

  アリャドッコイショドッコイショ アリャ烏鳴きでもヨーイ

  気にかかるヨーイ アリャヨイコラヨーイヨーイヨーイ

2、レコードの節(2拍子)

 ☆アリャいやじゃかかさんヨーイ マテ突きゃ嫌じゃ アリャ色も黒うなりゃ

  腰ゃかがむ コリャサッサノヤレコノヨーイヨーイヨーイ

メモ:マテ突き漁のときに唄われたもの。マテをとるとき、家庭で食べる程度ならば砂浜を少し鍬で掻いて、菱形の穴に塩を入れて出てきたマテを引き出すやり方をするが、漁業としてのそれはやり方が全く違い、大変な重労働だった。漁船の左右からカギ爪のたくさん着いた重たい漁具を上げ下ろしし、海底のマテを突き刺して引き上げるが、漁具の重さと風の冷たさが身にこたえたという。元の節は3拍子(8分の6拍子)である。国東半島のうち中央から東部にかけて、盆踊り唄(六調子、豊前踊り、二つ拍子など)やものすり唄その他に3拍子のものが散見される。この3拍子は国東半島ならではのリズム感であって、ズンタッタズンタッタと単純に3つ打ちを刻むのではなしに、やや食い気味に拍子を取る例もまま見られる。それはシンコペーションというほどのものではないが、一種独特の拍子感覚はなかなか真似できない。そのこともあってかレコードやステージ民謡としては2拍子にアレンジされたものが普及されたが、こちらは元唄の独特のリズム感が完全に損なわれている上に、唄の内容に全くそぐわない編曲がなされていることが多く、興ざめの感がある。

 

俚謡「一本釣り唄」(佐賀関町関)

☆関の一本釣りゃナー 高島のサー沖でナー  波にゃゆられて

 サーよう言うたノー 鯛を釣るわいの  ハーヤンサノゴッチリゴッチリ

 船頭 鰤かな鯛かな 鯛じゃい鯛じゃい

☆釣って釣り上げてナー ナマイヨにゃサー立ててナー 大阪ジャコバの

 サーよう言うたノー 朝売りじゃいの ハーヤンサノゴッチリゴッチリ

 船頭 鰤かな鯛かな 鯛じゃい鯛じゃい

☆コンタンベーが下らすときゃ 腰の紺手ぬぐいどま置きゃれ 様を見る見る

 サーよう言うたノー 顔を拭くわいの ハーヤンサノゴッチリゴッチリ

 船頭 鰤かな鯛かな 鯛じゃい鯛じゃい

☆平瀬小瀬戸にゃナー 白帆がサー見ゆるナー 上の釣り船が

 サーよう言うたノー 今が下りじゃいの ハーヤンサノゴッチリゴッチリ

 船頭 鰤かな鯛かな 鯛じゃい鯛じゃい

 鯛ならはね込め 鰤なら釣り込め

メモ:節を整えて「関の鯛釣り唄」としてレコード民謡・ステージ民謡として全国的に知られている。いま民謡歌手等に唄われている節にくらべると、元の節はずっと素朴である。一本釣りのときだけでなく船を漕ぐときなどにも、同種の節回しのものが盛んに唄われたとのころで、それは佐賀関に限ったことでなく、近隣でも広く行われたという。佐賀関ではこの唄に行進踊り風の振りをつけたものが普及しており、毎年9月頃には「関の鯛釣り踊り大会」が催され盛況である。手拭い踊りで鯛釣りの様子をうまく表現してあるが、さして古いものではないようだ。

 

俚謡「ワラ打ち唄」(佐賀関町一尺屋)

☆一つエー出しましょ(ヨイヨイ) ヤブから笹を(ヨーイヨーイ ソラセーイ)

 つけてくだんせ ヤンレ 短冊を(ソラヨイヤセー ヨイヤセー

 ヤレ打てナー ソレ打てナー ナンデモセー)

☆親のエーすねをば(ヨイヨイ) 離れてみたが(ヨーイヨーイ ソラセーイ)

 日々の暮らしは ヤンレ 楽じゃない(ソラヨイヤセー ヨイヤセー

 ヤレ打てナー ソレ打てナー ナンデモセー)

☆俺はエー船なし(ヨイヨイ) 磯部の千鳥(ヨーイヨーイ ソラセーイ)

 海を眺めて ヤンレ 鳴くばかり(ソラヨイヤセー ヨイヤセー

 ヤレ打てナー ソレ打てナー ナンデモセー)

☆わしのエー音頭に(ヨイヨイ) ハマチや鯛も(ヨーイヨーイ ソラセーイ)

 浜の藻ぎわで ヤンレ 舞い踊る(ソラヨイヤセー ヨイヤセー

 ヤレ打てナー ソレ打てナー ナンデモセー)

☆さあさエー打て打て(ヨイヨイ) 縄綯いましょよ(ヨーイヨーイ ソラセーイ)

 沖にゃ鰯が ヤンレ 寄せて来る(ソラヨイヤセー ヨイヤセー

 ヤレ打てナー ソレ打てナー ナンデモセー)

△ハヨイヤセー ヨイヤセー ホイ ホイ ホイ ホイ ホイ

メモ:一尺屋はみかん山と漁業で生計を立てた地域である。漁の季節の前に、漁に使う縄を綯うために、砂浜で木槌などで藁を叩きながら唄った。単純だが時間のかかるこの作業には、子供からお年寄りまで総出で行ったという。節は伊勢音頭の転用。

 

俚謡「櫓漕ぎ唄」

櫓押し唄(臼杵市)

 ☆ヤレー 器量の悪いのに声なと良けりゃヨー(コラサッサーコラサノショッショ)

  声で一夜のヤレー なびかしょにヨー(アーコラショッショ コラショッショ)

 ☆ヤレー 船は新造で乗りよいけれどヨー(マカショ マカショ マカショのコリャ

  田舎造りでヤレー あかがいるヨー(ショッショ ショッショのショッショで)

 ☆ヤレー 男情なし寝たときばかりヨー(コラセ コラセ)

  起きて帯すりゃヤレー ふたごころヨー(アードッコイ ドッコイショとドッコイ)

(臼杵市津留)

 ☆やれー押せ押せ 船頭さんもかかもヨ(ハーねじ込め ねじ込め)

  押せば港はノーヤレ 近くなるヨ(ハーねじ込め ねじ込め)

 ☆津留はよいとこお城を前にヨ(ハーねじ込め ねじ込め)

  臼杵あらせをノーヤレ そよそよとヨ(ハーねじ込め ねじ込め)

 ☆あらせまともに今朝出した舟はヨ(ハーねじ込め ねじ込め)

  どこの港へノーヤレ 着いたやらヨ(ハーねじ込め ねじ込め)

 ☆瀬戸にゃ瀬はない 音戸の瀬戸にゃヨ(ハーねじ込め ねじ込め)

  一丈五尺のノーヤレ 櫓がしわるヨ(ハーねじ込め ねじ込め)

上荷唄(佐伯市)

 ☆ヤーレ 私ゃ佐伯の灘村生まれヨー(ハーヨイサノサッサイ)

  朝も疾うからノーヤレ 上荷取りヨー(ハー ゴトリンゴトリン)

 ☆ヤーレ 沖の暗いのに白帆が見ゆるヨー(ハーヨイサノサッサイ)

  あれは佐伯のノーヤレ 宝重丸ヨー(ハー ゴトリンゴトリン)

  ハーヨイサノサッサだ ヨイショの固まりゃ小判の端じゃい

 ☆ヤーレ 押せよ押させよ船頭さんもかかもヨー(ハーヨイサノサッサイ)

  押さにゃ上がらぬノーヤレ この瀬戸はヨー(ハーゴトリンゴトリン)

 ☆ヤーレ 船がいっぱい来りゃ蒸気船か思うてヨー(ハーヨイサノサッサイ)

  三島お源さんがノーヤレ 出て招くヨー(ハーゴトリンゴトリン)

ヨイヨイ節(蒲江町)

 ☆ヤレー わしが思いはイサゴの浜のヨーイ 松の数よりノーヤレ まだ多いヨーイ

 ☆ヤレー 恋し恋しと待つ蝉よりもヨーイ 泣かぬ蛍がノーヤレ 身を焦がすヨーイ

 ☆ヤレー 千秋万々歳で思うこた叶うたヨーイ 末は鶴亀ノーヤレ 五葉の松ヨーイ

メモ:漁に出るときに小さな漁船を漕いだり、または荷揚げその他で伝馬船を漕いだりするときに唄われた。大勢の船子が乗るような船ではなく、一人か二人で漕ぐような舟である。それぞれ節回しがかなり変化しているが、いずれも「ヨイヨイ節」の類である。長洲の「海老打ち唄」もこれと同種で、ほかに池普請唄としても同種の節回しのものが採集されている。この種のものは四国や瀬戸内沿岸部で広く行われたようで、おそらく有名な「音戸の舟唄」もこれと同種であろう。

 

俚謡「シャコ曳き唄」(蒲江町畑野浦)

☆ヤーレ 天が狭いのか三つ星ゃ並ぶヨ 海が狭いのか

 ノーヤレ エビゃかがむヨ

☆ヤーレ 引けどしゃくれどシャコの子も乗らぬヨ お手を広げた

 ノーヤレ タコばかりヨ

メモ:シャコ漁で網を曳くときに唄ったようだが、シャコ以外のときにも同様のものを唄ったのではないだろうか。すぐ上で紹介した櫓漕ぎ唄と全く同種の唄で節回しに地域性は感じられないが、文句がおもしろい。

 

諸職

俚謡「青海苔とり唄」(中津市)

☆何の因果やでヨー 青海苔取りゅなろうたヨー(寒の師走も川の中ヨー)

☆寒の師走もヨー 日の六月もヨー(辛い勤めもせにゃならんヨー)

☆こんな苦労もヨー せにゃ食われんかヨー(思や涙が先に出るヨー)

☆今朝の寒さにヨー 笹やぶ越えてヨー(笹の露やら涙やらヨー)

☆思い出しゃせんかヨー 泣きゃせんか殿御ヨー(思い出しもせにゃ泣きもせぬヨー)

☆七つ下がればヨー わしが目は見えんぞヨー(鳥を殺したそのとがかヨー)

☆山は焼けてもヨー 山鳥ゃたたぬヨー(子ほどかわゆいものはないヨー)

☆かわい鴉はヨー かわいちゃ泣かんどヨー(野辺の団子が欲しゅて泣くヨー)

☆沖のかもめにヨー 潮時ゅ問えばヨー(わたしゃ立つ鳥波に問えヨー)

☆波に問うのはヨー いとやすけれどヨー(沖の白波ゃもの言わぬヨー)

☆沖のとなかにヨー お茶屋を立ててヨー(上り下りの船を待つヨー)

☆小石小川のヨー 鵜のとりょ見やれヨー(鮎をくわえて瀬をのぼるヨー)

☆浅い川じゃとヨー 小褄をからげヨー(深くなるほど帯をとくヨー)

☆好いて好かれてヨー 添うこそ縁じゃヨー(親のやる先ゃ無理な縁ヨー)

☆ござれ話しましょヨー 小松のかげでヨー(松の葉のよに細やかにヨー)

☆松の葉のよなヨー 狭い気は持たでヨー(広い芭蕉葉の気をもちゃれヨー)

メモ:山国川河口辺りで青海苔をとるときに唄った。寒の師走に水につかる辛い作業だったが、儲けはごくわずかだったという。この唄を実際に作業しながら唄うことはなくなったが、郷土の唄として保存されている。

 

俚謡「木挽唄」

(山国町守実)

 ☆ヤーレ 親は親竹子は樋の水

  親の遣る先ゃどこまでも(ジャラッキンジャラッキン)

 ☆ヤーレ 様よ忘れた豊前坊の原で

  羅紗の羽織を茣蓙とした(ジャラッキンジャラッキン)

 ☆ヤーレ 灯り障子に梅屋と書いて

  客は鶯来てとまる(ジャラッキンジャラッキン)

(山国町宇曽)

 ☆ハー 木挽さんとて一升飯ゃ食ろうて

  鋸と二人で金儲け(ヤーゾロッコンゾロッコン)

 ☆ハー 登りゃ英彦山 下れば中津

  ここが思案の朝日橋(ヤーゾロッコンゾロッコン)

 ☆ハー 木挽さん帰るかと鋸の柄にすがる

  離せまた来る秋山に(ヤーゾロッコンゾロッコン)

(宇佐市四日市)

 ☆ヤーレ 鋸は京前諸刃のヤスリ アー 挽くはお上の御用の板

 ☆ヤーレ 御用の板とは夢にも知らぬ アー 墨をよけたはごめんなれ

 ☆ヤーレ 鋸もヤスリも番匠のカネも アー 置いてお帰れ 米の代

  ハーショロッキン ショロッキン 儲かる儲かる

  一鋸挽いてはあの娘のためだい 二鋸挽いては孫子のためだい

(国東町)

 ☆大工さんよりゃ木挽どんが憎い 仲のよい木を引き分ける アーショッキンショッキン

 ☆木挽々々と一升飯ゃ食ろうて 松の枯節ゃ泣いてわく アーショッキンショッキン

 ☆山で床とりゃ木の根が枕 木の根はずせば石枕 アーショッキンショッキン

(山香町山浦)

 ☆ヤーレ 三十三枚の大歯の鋸で

  アリャ挽くもお上の御用の板 ショロッキンショロッキン

 ☆ヤーレ 木挽ぐらいが色しょた何か

  似合うた松の木にゃ横止まり ショロッキンショロッキン

 ☆ヤーレ 木挽ゅ見ろどちゃ藪で目を突いた

  木挽ゃ見まいもの身の毒よ ショロッキンショロッキン

 ☆ヤーレ 唄は節々ところでかわる

  竹の節でさえ夜でかわる ショロッキンショロッキン

(大分市坂ノ市)

 ☆アーレ 木挽さんたちゃ蜻蛉な鳥な

  いつも深山の木を頼る シャリッコショ シャリッコショ

 ☆アーレ 木挽女房にゃなるなよ娘

  木挽ゃ腑を揉む早う死ぬる シャリッコショ シャリッコショ

 ☆アーレ 大工さんよりゃ木挽さん憎い

  仲のよい木を挽き分ける シャリッコショ シャリッコショ

(湯布院町荒木)

 ☆エー 大工さんよりゃ木挽さんが憎い

  仲のよい木を引き分ける ハーショッキン ショッキン

 ☆エー あなた思うに身が痩せ細る

  思いやめたらまた肥えた ハーショッキン ショッキン

(湯布院町中川)

 ☆山で子が泣く山師の子じゃろ(ヨイヨイ)

  山師ゃ子がない鋸の音(アーショロッキン ショロッキン)

 ☆朝も早うからお山に登り(ヨイヨイ)

  大黒柱を今日はわく(アーショロッキン ショロッキン)

(挟間町朴木)

 ☆ヤーレ 鋸とヤスリと番匠のカネを イヤコラサイサイ

  アー置いてお帰り米の代 アーショッキンショッキン

 ☆ヤーレ 米の代と言うちゃそりゃ置ききらぬ イヤコラサイサイ

  アーヤスリ代とでも言うておくれ アーショッキンショッキン

 ☆ヤーレ こげなよい日にゃ五間どま挽かにゃ イヤコラサイサイ

  アーかかの湯巻も気にかかる アーショッキンショッキン

(挾間町来鉢)

 ☆私ゃ父さん木挽は嫌じゃ 木挽ゃ腑を揉むエ 早う死ぬる ハーコロリン コロリン

 ☆山で床取りゃ木の根が枕 落つる木の葉がエ 夜具となる ハーコロリン コロリン

(蒲江町)

 ☆ヤーレ わしの挽く木に篭り節あるで 人の知らない苦労する

 ☆ヤーレ 佐伯ゃナバ山 鶴崎ゃ木挽 日田の下駄引き軒の下

(佐伯市)

 ☆ウンヤーレー 山に小が泣く山師の子じゃろ

  アラ育てにくかろ アラ山小屋は アーシャッコリン シャッコリン

 ☆ウンヤーレー 木挽き女房にゃなるなよ妹

  アラ妹だまして アラ姉がなる アーシャッコリン シャッコリン

(宇目町木浦)

 ☆ヤレ 木挽き女房にゃなるなよ娘

  ホタがドンと来りゃ若後家じゃ アーゴッシンゴッシン

 ☆ヤレ 姉にゃ子守傘 妹にゃ手細

  それじゃ妹が承知せぬ アー 一厘とっても十日にゃトチリン

 ☆ヤレ 鋸も鑢も万丈のカネも 置いて行かんせ米の代

  アー 一鋸三文一文五分づつ あの娘と分け取り

 ☆ヤレ 木挽さん達ゃ芸者の暮らし

  挽いて唄うて金を取る アーゴッシンゴッシン

 ☆ヤレ 何ぼ挽かんでも二間どま挽かにゃ

  かかの湯巻は何で買う アーゴッシンゴッシン

 ☆ヤレ やれやれやれやれやれ他家に

  うちのおたふく嫁にやれ アーゴッシンゴッシン

(久住町白丹)

 ☆ヤーレ 木挽さんたちゃ トンボな鳥な いつも深山の木を頼る

(緒方町)

 ☆ヤーレ 木挽女房にゃなるなよ妹 木挽きゃ腑を揉む早う死ぬる

 ☆ヤーレ 木挽さん達ゃ蜻蛉か鳥か いつも深山の木にとまる

 ☆ヤーレ 七つ下がれば鳥ゃ木にとまる なぐれ木挽も宿につく

(九重町南山田)

 ☆ハー 木挽さん達ゃトンボか蝉か 明日は深山の木にとまるヨー

 ☆ハー 山で切る木のいと多かれど 思い切る気はさらにないヨー

(玖珠町小田)

 ☆ヤーレ 木挽にょんぼにゃなるなよ妹

  木挽きゃ子がない鋸の音 サーヤレサーヤレ

 ☆ヤーレ 山で子が泣く山師の子じゃろ

  ほかに泣く子があるじゃなし サーヤレサーヤレ

(日田市山田)

 ☆インヤーレ 山で子が泣く木挽きの子じゃろ

  ハあれは子じゃない鋸の音 ハードウカナドウカナ

 ☆インヤーレ 七つ下がれば蜩でさえ

  ハ鳴いて心を勇ませる ハードウカナドウカナ

 ☆インヤーレ 木挽さんにはどこ見て惚れた

  帳場戻りの足袋裸足 ハードウカナドウカナ

 ☆インヤーレ 破れ障子と書いたる文は

  梅に鶯 春を待つ ハードウカナドウカナ

(前津江村大野)

 ☆ハヤーレ 蟻が鯛なら芋虫ゃ鯨 蝶々とんぼも鳥のうち シャリッコン シャリッコン

(大山町東大山)

 ☆ヤーレ 木挽ゃ山中の山には住めど

  小判並べて女郎を買う ヤーゼイッチョン ゼイッチョン

 ☆ヤーレ 木挽さんたちゃ山から山へ

  花の都にゃ縁がない ヤーゼイッチョン ゼイッチョン

メモ:林業従事者に唄われた作業唄で、節回しにも文句にもさして地域性の感じられないものが多く、同種のものは他県でも広く唄われたようだ。手作業で伐採が行われていた頃は盛んに唄われたが、昭和30年代以降は動力仕掛の鎖鋸、チェーンソーが普及しこの種の唄は廃絶した。

 

俚謡「櫨採り唄」(豊後高田市田染)

☆ヤレー 鳴くな鶏ヨー ヤレまだ夜は明けぬヨー

 明けりゃお寺のヨー ヤレ鐘が鳴るヨー

☆ヤレー 何の因果かヨー ヤレ櫨採りを習うたヨー

 櫨の小枝にヨー ヤレ身をまかすヨー

☆ヤレー 聞こえますぞえヨー ヤレ櫨採りの唄がヨー

 朝も早うからヨー ヤレ威勢よくヨー

☆ヤレー 唄も唄いなれヨー ヤレ仕事もしなれヨー

 唄は仕事もヨー ヤレまぎれ草ヨー

メモ:櫨(ハゼ)の実からは蝋が取れる。櫨採りの作業は、愛媛県からの出稼ぎの人が請け負うことが多かったらしく、或いはこの唄も愛媛県に由来するものなのかもしれないが、木挽き唄に節回しが類似している。恐らく、木挽き唄の類は大分のものも愛媛のものも、もとより節回しに大差がなかったのだろう。

 

俚謡「油しめ唄」(大分市)

☆一丈五尺の サンフンナンエー かねの柱に サンフンナンエー

 猿つなぎに サンフンナンエー つなぎつないで サンフンナンエー

 それの周りに サンフンナンエー バイラ積み重ねて サンフンナンエー

 四方の隅から サンフンナンエー 火をつければ サンフンナンエー

 お七さんこそ サンフンナンエー 恋に無情の サンフンナンエー

メモ:油絞りの作業で唄われたもの。

 

俚謡「鉱山唄」

1、石刀唄

 (山国町草本金山)

  ☆様を持つなら川越しにゃ持つな

   水に降る雪たまりゃせぬ(アーチンカポイ チンカポイ)

  ☆あんた正宗わしゃ錆び刀

   あんた切れてもわしゃ切れぬ(アーチンカポイ チンカポイ)

 (緒方町尾平鉱山)

  ☆ハーエ 上り下りのヨー 石の目も知らず

   鉱夫さんとは名がおかし アドッコイサードッコイサ ヨーヤルナー

  ☆ハーエ トロッコ押しさんはヨー トロッコの陰で

   破れ襦袢の虱とるし アドッコイサードッコイサ ヨーヤルナー

 (宇目町木浦鉱山)

  ☆ハーエ 発破かければエー ハコリャナー ドッコイナート

   キリハが進む 進むキリハでカネが出る ハコリャナー ドッコイナート

  ☆ハーエ 朝から晩までヨー ハチンカン チンカント

   叩かにゃならぬ 叩かにゃ食えぬとかかが言うた ハチンカン チンカント

   も一つ負けちょけ かかが言うた ハチンカン チンカント

  ☆ハーエ 坑夫々々とエー ハコリャナー ドッコイナート

   見下げてくれな 家に帰れば若旦那 ハコリャナー ドッコイナート

  ☆ハーエ 妹なるなよエー ハコリャナー ドッコイナート

   坑夫さんのかかにゃ 妹だまして姉がなる ハコリャナー ドッコイナート

   ま一つだまして 姉がなる ハコリャナー ドッコイナート

  ☆ハーエ かかの丸髷ヨ ハコリャナー ドッコイナート

   鼠がかじる 親父ゃ泣く泣く猫を呼ぶ ハ三毛来い タマ来い

  ☆ハーエ 好きと嫌いがエ ハコリャナー ドッコイナート

   一度に来れば 箒立てたり倒したり ハそうじゃよく言うた 倒したり

  ☆ハーエ 石刀はカネでもエ ハコーリャナー ドッコイナート

   棒は千草でも 叩かにゃ食われんとかかが言うた

   ハ叩かにゃ下がらん正直穴だよ チンカンチンカン チンカンチンカン

  〇ア坑夫さん お酒はいかがと両手をついて

   盃ゃ畳の模様じゃない そうじゃよく言うた模様じゃない

  〇ア寒紅梅 雪に閉ざされまだ芽も出らぬ

   さぞや鶯待つであろ アリャサ コリャサ ドッコイサ

  〇ア七転び 八起き世界に何くよくよと

   ぼたんこも着た冬ごもり ま一つ負けちょけ冬ごもり

  △ハー 一つ出しましょ藪から笹を つけてくだんせ短冊を ハチンカンチンカン

  △何と化けたよ三つのサイは かわい殿御を丸裸 ハチンカンチンカン

  △妹なるなよ木挽きさんのかかにゃ 仲のよい木を挽き分ける ハチンカンチンカン

  △堅いようでも女はやわい やわいようでも石ゃ堅い ハチンカンチンカン

  △山陽鉄道神戸がもとよ 九州鉄道門司がもと ハチンカンチンカン

  △それじゃ主さん行こではないか ここで照る日はよそも照る ハチンカンチンカン

  △ここも旅じゃがまた行く先も 旅の先ならここがよい ハチンカンチンカン

  △かかの古べこ質屋へ入れて 親父ゃ酒屋で酒を飲む ハチンカンチンカン

2、水引き唄

 (山国町草本金山)

  ☆草本金山ヨ かねつく音はヨ 聞こえますぞえ守実にヨ

  ☆あなた鉱夫でわしゃ水引きで 同じ山にて苦労する

  ☆鉱夫女房にゃなれなれ妹 米の飯食うて楽をする

  ☆花の草本まわりの山は ここもかしこも金が出る

  ☆唄じゃ小屋川仕事じゃ吉野 花の草本御所どころ

3、フイゴ唄

 (宇目町木浦鉱山)

  ☆祝いめでたの若松様よ 枝も栄えるヨーヤ 葉も茂る アー何でも千銀千銀

  ☆フイゴさすさす居眠りなさる カネの流れる夢を見た アー ドードー

  ☆トコヤ上には二股榎 榎の実ゃならいでカネがなる アー ドードー

  ☆トコヤ大工は鬼かな蛇かな 大の鉄の棒を振り回す アー ドードー

  ☆錫を見つけた井筒屋さんは 国を富ませる福の神 アー ドードー

  ☆竹田中川侯は情ある殿よ 年に一度は駕籠で来る アー ドードー

  ☆錫は出る出る大平坑に 今日もカネ吹きフイゴ差し アー ドードー

  ☆錫で名所の木浦の山は 日向豊後の国境 アー ドードー

  ☆岡のお城と櫓の壁は 錫と銅とでできている アー ドードー

  ☆行こか延岡 アー ドードー 戻ろか岡へ ここが思案の田近山 アー ドードー

  ☆豊後木浦はカネ吹き名所 竹田中川侯のお抱え鉱 アー ドードー

  ☆鳥が舞う舞うトコヤの上を 鳥じゃないぞえカネの神 アー ドードー

  ☆新造フイゴにあら皮巻いて さぞやきつかろ手子の衆は アー ドードー

  ☆木浦銀山カネ吹く庭に 夏の夜でさせ霜が降る アー ドードー

  ☆霜じゃござんせぬ十七八の 恋の涙を霜とみる アー ドードー

4、鉱石揺り唄

 (宇目町木浦鉱山)

  ☆ここは豊国 木浦の山よ 嶺に花咲き谷に砂金

   ハー 掘りて尽きせぬ宝の山だよ 千斤 千斤

  ☆山も良かれやキリハも良かれ 頼む親方なおよかれ

   ハー 千斤かければお金は万両 千斤 千斤

  ☆呑めや大黒 唄えや恵比寿 間の酌婦は福の神

5、坑夫唄

 (米水津村)

  ☆ヤーレ 坑夫さんにはヨ どこ見て惚れた

   現場帰りの千鳥足 アドコイショ ドコイショ

  ☆ヤーレ 妹なるなよエ 坑夫さんの嫁に

   山がどんと来りゃ若後家じゃ アドコイショ ドコイショ

  ☆ヤーレ 十日叩いてヨ 一度にドンと

   あの娘にやる金 欲しゅはない アドコイショ ドコイショ

6、錫吹き唄

 (緒方町尾平鉱山)

  ☆祝いめでたの若松さまよ 枝も栄える葉もしゅげる

   栄える枝も 枝も栄える葉もしゅげる

  ☆栄え栄える千代万世の 金の尽きせぬ尾平山

   尽きせぬ金の 金の尽きせぬ尾平山

  ☆トコヤ前には井戸掘り初めて 水は湧かいで金が湧く

   湧かいで水は 水は湧かいで金が湧く

メモ:大分県内の鉱山は一部を除いて既に採掘をやめているが、かつてはいくつかの鉱山が隆盛を極めていた。尾平鉱山(緒方町)、木浦鉱山(宇目町)、馬上金山(山香町)は、特に景気のよかった山である。いずれも鉱山街を形成し人口も多く、学校や商店、映画館、尾平にはダンスホールまであった。ほかにも九折鉱山(緒方町)、鶴成金山・船金山・大峰金山(山香町)、別府金山・白土鉱山(別府市)、戸高鉱山・四浦鉱山(津久見市)、草本金山(山国町)、鯛生金山(中津江村)など枚挙に暇がない。したがって、ここで紹介した以外にもそれぞれの山でいろんな作業唄が唄われたと思うのだが、記録に残っていないのかほんの数種類しか蒐めることができなかった。

 

俚謡「馬子唄」

(豊後高田市草地)

 ☆野でも山でもヨ 子を持ちなされ 千の倉よりゃ子が宝ヨ

駄賃取り唄(耶馬溪町川原口)

 ☆ハー 駄賃取りちゃあヨーホー 聞く名も恋しヨー いつも小銭の 絶えがないヨー

 ☆ハー わしのスーちゃんのヨーホー 引かしゃる駒はヨー 紺の前だつ 白の駒ヨー

 ☆ハー 白の駒引くヨーホー あの馬子さんにヨー 契こめたぞ 深々とヨー

駄賃取り唄(日出町豊岡)

 ☆馬よ励めよ ホイホイホイヨ この坂道を ホイホイ

  登りついたら 上は見渡すまんでえら ホイホイホラ

 ☆馬よそれ見よ ホイホイホイヨ はや海ゃ見えた ホイホイ

  下がりついたら つぼ外す ホイホイホラ

馬追い唄(大分市坂ノ市)

 ☆別府浜脇 啼いて通る烏 金は持たいで買お買おと シャガンシャガンシャガン

道行唄(臼杵市津留) ※出雲節

 ☆竹田往還道ゃ広けれど 人の通りはさらにない

駄賃取り唄(臼杵市)

 ☆竹田行きすりゃ雪霜かかる 家に戻りゃ妻子がはいかかる(ホイホイ)

 ☆駒よ勇めよこの坂越ゆりゃ 岩の清水飲ましょか食みやろか(ホイホイ)

 ☆岩戸川より沈堕の瀬より 浅い野尻が気にかかる(ホイホイ)

 ☆駒の腹巻主の名を入れて 臼杵と竹田に名を残す(ホイホイ)

 ☆一棹二棹緒方のミサオ ミサオなけらにゃ通やせぬ(ホイホイ)

(湯布院町)

 ☆嫌でござんすホイ 馬方嫌じゃホイホイ 朝は早う出てホイ 夜戻るホイホイ

 ☆峠越すならホイ 由布院は見えるホイホイ お馬きつかろホイ 家ゃすぐぞホイホイ

 ☆嫁に行くならホイ 湯平がよかろホイホイ 夏は涼しゅてホイ お湯が湧くホイホイ

駄賃取り唄(湯布院町荒木)

 ☆嫁に行くなら 由布院がよかろ 夏は涼しゅて お湯が湧く

 ☆今か今かと 波止場に立てば 舟は風波 寄り付かぬ

駄賃取り唄(挾間町挟間)

 ☆おごじょ出て見よ浅間の岳で 今朝も煙が三筋立つ ホイホイホイ

 ☆竹田通いすりゃ雪降りかかる 帰りゃ妻子が這いかかる ホイホイホイ

追分(直入町)

 ☆やがてお別れ 豊後とお別れヨー また逢う日まで達者でな

 ☆ここが追分 府内に八里ヨー 三里下れば岡の藩

 ☆この山越えて あの山越えてヨー わしらの里が懐かしや

馬追い唄(犬飼町) ※出雲節

 ☆駒よ勇めよこの坂越えりゃ 荷物下ろしてはみをやる

駄賃取り唄(天瀬町五馬)

 ☆馬よ勇めよ ホイホイホイ この坂一つ ホイホイ アト馬どうしたこつかい

  はみゃ三升打ち喰ろうち 下つばけー垂れち 登りつむれば 上は三里の真ん平

 ☆一代後家とて ホイホイホイ 駄賃取りゃ行くな ホイホイ いつも夜で来て夜で帰る

メモ:農閑期の副業として、馬をひいて荷を運ぶのを「駄賃取り」といったが、その「駄賃取り」の馬子衆に唄われたものを集めた。出雲節やよしこの節、二上り等の転用が目立ち、それらの節を引っ張って唄っているだけのものが多い。おそらく流行小唄の転用ということで採集から漏れた例がかなりあったのではないかと思う。節に地域性はあまり感じられないが、文句を見ると県内各地の地名が見えるし、また馬への労りの心情も唄いこまれているなど、興味深い。

 

俚謡「女工唄」(米水津村)

☆女工女工と偉そうに言うな 月に十円 二十円

 儲けたお金はみな貯金 お金の土用干ししてみしょか

〇佐伯出帆してネ 臼杵ちょっと着いて佐賀関 大分 別府 日出 守江

 長浜 三ヶ浜 今治 多度津やネ 高松や神戸乗り出す まもなく大阪に着いた着いた

メモ:米水津村辺りでは、関西の紡績工場に出稼ぎに行く娘が多かった。その人たちが仕事の合間に気晴らしに唄ったものである。行った先で唄っただけでなく、地元でも戯れ唄のようにして唄う人があったのではないかと思う。

 

俚謡「女工唄」(宇佐市四日市)

☆かわいがられた蚕の虫も 今は地獄の釜の中

☆製糸工女さんにどこ見て惚れた 赤いたすきで糸を引く

☆工女三日すりゃ弁護士ゃいらぬ 口の勉強がよくできた

☆蚕飼い上げてまぶしにあげて 早もお国に帰りたや

メモ:四日市では製糸業が盛んで、近隣地域から娘が働きに来ていた。作業の辛さから出た唄だろうが、工女三日すりゃ…の文句などなかなか機微のある文句も多い。

 

俚謡「酒造の唄」

1、米踏み唄

 (緒方町)

  ☆ハー今が始まり始まりました ハヨイヨイ

   大阪芝居の寄せ太鼓ヨ それもそうでござる

  ☆ハー寒の米踏み寒しゅてならぬ ハヨイヨイ

   氷に浮き寝の草もあるヨ それもそうでござる

  ☆ハー朝は三時から唄いとはないが ハヨイヨイ

   皆御連中の機嫌取るヨ それもそうでござる

2、もとすり唄

 (豊後高田市)

  ☆祝いめでたの若松様よ 枝も栄えて葉も茂る ハーギッコンギッコン

  ☆酒屋蔵子は乞食にゃ劣る 乞食ゃ夜も寝りゃ色もする ハーギッコンギッコン

 (挾間町挟間)

  ☆宵のもと摺り(アラヨイカラコイコイ) 夜中のコシキ 朝の洗い場が

   (アラヨイカラコイコイ) 洗い場がノー ナンデモセ 気にかかる

   (ソコセーヨ ヨヤセーヨ ヨーヤセー)

  ☆好いて好き合うて(アラヨイカラコイコイ) 行くこそ縁よ 親の遣る先ゃ

   (アラヨイカラコイコイ) 遣る先ゃノー ナンデモセ 義理の縁

   (ソコセーヨ ヨヤセーヨ ヨーヤセー)

3、そえつき唄

 (日田市)

  ☆ハー 祝いヨ めでたの ハーコイコイ 若松様よ ハードントコイコイ

   ハヤレー 枝もヨ 栄ゆりゃ ハーコイコイ 蔵繁盛 ハードントコイコイ

  ☆ハー 鶴がオ 舞います ハーコイコイ お蔵の上で ハードントコイコイ

   ハヤレー 鶴はヨ 御繁盛と ハーコイコイ 言うて遊ぶ ハードントコイコイ

メモ:酒造に関する作業唄をまとめたが、本当はもっとたくさんの唄があったはずである。国東方面の酒造をはじめ、各地でいろいろな唄が唄われたようだ。

 

俚謡「紙漉き唄」(三重町内山)

☆三重の内山紙漉きどころヨ 紙を漉く娘の器量よしヨ ハーギッコンギッコン

☆色は黒うても内山紙はヨ ひきの強いのが自慢でござるヨ ハーギッコンギッコン

☆嫁をとるなら内山にござれヨ 紙を漉く娘と申してござれヨ ハーギッコンギッコン

☆紙を漉く娘はお家の宝ヨ 千両積まねば嫁にはやれぬヨ ハーギッコンギッコン

☆金の千両は一両もいらぬヨ 男度胸に惚れてやるヨ ハーギッコンギッコン

普請・木遣

俚謡「池普請・井路普請の唄」

1、伊勢音頭・兵庫節のくずし

 池普請唄(宇佐市四日市)

  ☆ヨヤセヨー ヨヤセでしばらく(ヤレショーヤレショー)

   ヨヤセヨヤセで(ヨイショコラヨーイヨナ アリャリャ コリャリャ)

   ホイ(ヤートセー ソラ ヨイショ コリャ ヨイショ)

  ☆合おかヨー 合わぬか合わせて(ヤレショーヤレショー)

   合うか合わぬか(ヨイショコラヨーイヨナ アリャリャ コリャリャ)

   ホイ(ヤートセー ソラ ヨイショ コリャ ヨイショ)

  ☆合えばヨー 義経千本(ヤレショーヤレショー)

   合えば義経(ヨイショコラヨーイヨナ アリャリャ コリャリャ)

   ホイ(ヤートセー ソラ ヨイショ コリャ ヨイショ)

  ☆合わにゃヨー 高野の石堂(ヤレショーヤレショー)

   合わにゃ高野の(ヨイショコラヨーイヨナ アリャリャ コリャリャ)

   ホイ(ヤートセー ソラ ヨイショ コリャ ヨイショ)

 土搗き唄(宇佐市横山)

  ☆合おかヨ 合わぬか合わせて(ヤーレショー ヤーレショー)

   合おか合わぬか(ヨーイショー コラヨーイヨナー アリャリャー コリャリャ)

   ホイ(ヤートセー)

 ずん搗き唄(宇佐市山本)

  ☆本郷二丁目の糸屋の娘(ハヤレショー ヤレショー) 本郷二丁目の

   (ヤートコセーノ ヨーイヨナー アレワイナ コレワイナ)

   ハイ(サーナンデモセー) ソリャヨンヤサー ヨンヤサー

 土搗き唄(宇佐市麻生)

  ☆お米ヨ 作ろにゃ(ヤーレショー ヤーレショ)

   コラお池が(ソーラヨーイヨナ アレワイサーコレワイサ)

   ハイ(ヤーレナットセー ソリャ ヨイサノサ コラ ヨイサノサ)

  ☆ここはヨ じょうもと(ヤーレショー ヤーレショ)

   コラしっかりしゃんと(ソーラヨーイヨナ アレワイサーコレワイサ)

   ハイ(ヤーレナットセー ソリャ ヨイサノサ コラ ヨイサノサ)

  ☆今年ゃヨ 豊年(ヤーレショー ヤーレショ)

   コラ穂に穂が(ソーラヨーイヨナ アレワイサーコレワイサ)

   ハイ(ヤーレナットセー ソリャ ヨイサノサ コラ ヨイサノサ)

 千本搗き(宇佐市長洲)

  ☆蝶々はサ 軽うて(アラヨイヨイ) アラくるくる廻るヨー

   (アラヤートコセー ヨーイヤナ アリャリャ コリャリャ ヤーヤトセー)

  ☆私ゃナ 悋気で(アラヨイヨイ) アラ気が廻るヨー

   (アラヤートコセー ヨーイヤナ アリャリャ コリャリャ ヤーヤトセー)

 千本搗き(安心院町)

  ☆ヨイショナー やりますエイトーナー エイトーナー エイトーナー

   イヤ隣にかけますエイトーナー エイトーナー エイトーナー

   イヤここらでこよしをかえせ ヨイヨーイ イヤハリ ヨーイヨイヨナー

   アリャリャ ホレ コリャリャ ホコ ヨイサノセー

 千本搗き(安心院町平ヶ倉)

  ☆アラ皆さん棒とりなされ(アラヨーイヨーイ)

   アラとったらヨー(ソーラヨーイヨナー ハレワイサ)

   ハイ(コレワイサ) ソコ(ハヨーイサーノセー)

  ☆アラとったら出かけちゃもぐる(アラヨーイヨーイ)

   アラ出かけましょ(ソーラヨーイヨナー ハレワイサ)

   ハイ(コレワイサ) ソコ(ハヨーイサーノセー)

  ☆出かけたらしゃんと搗いちゃおくれ(アラヨーイヨーイ)

   アラ搗かなきゃヨー(ソーラヨーイヨナー ハレワイサ)

   ハイ(コレワイサ) ソコ(ハヨーイサーノセー)

  ☆アラ搗かなきゃたなかけまする(アラヨーイヨーイ)

   アラたなかけヨー(ソーラヨーイヨナー ハレワイサ)

   ハイ(コレワイサ) ソコ(ハヨーイサーノセー)

 千本搗き音頭(山香町内河野)

  ☆国はどこよと尋ねて訊けば(アーヨーイヨーイ) 国は奥州の

   (ヨーイヨーイヤナー ハリャリャ) ホイ(コリャリャ ヨーイサノセー)

  ☆国は奥州白石郡(アーヨーイヨーイ) 坂田村にて

   (ヨーイヨーイヤナー ハリャリャ) ホイ(コリャリャ ヨーイサノセー)

 千本搗き音頭(山田町山浦)

  ☆ヤ揃うたら棒とりなされ(アヨーイヨーイ)

   アラ揃うたらヨ(ヨーイヨーイヨナー アリャリャ)

   ホイ(コリャリャ) ソコ(ヨーイサノセー)

2、伊勢音頭・兵庫節

 どうづき唄(中津市伊藤田)

  ☆梅とナー 桜を(ヨイヨイ) 両手にマ 持ちて

   どちがナー 梅やら桜やら(ソラヨーイヨーイヨーイトナ

   アリャンリャーコリャンリャー リャンリャートセー)

  ☆わしがナー 出します(ヨイヨイ) やぶからマ 笹を

   つけてナー ください短冊を(ソラヨーイヨーイヨーイトナ

   アリャンリャーコリャンリャー リャンリャートセー)

 けんなん節(国東町富来)

  ☆伊勢にゃヨ 七度(ヨイヨイ) 熊野にゃ三度(アラヨーイヨイ)

   アラ愛宕サー 様には ヤンレノ月まいり (ソラヤートセー ヨーイヤセ

   アレワイセ コレワイセ ソラヤットコセー)

  ☆沖のヨ 瀬の背の(ヨイヨイ) あの根の鮑(アラヨーイヨイ)

   アラ人がサー とらなきゃ ヤンレノ寝て暮らす(ソラヤートセー ヨーイヤセ

   アレワイセ コレワイセ ソラヤットコセー)

 けんなん節(安岐町両子)

  ☆今年ゃ豊年 ヨイヨイ 穂に穂が咲いて 道の小草にゃお米がなるよ

   (ソリャヨーイヨーイヨーイトナ アレワイサ コレワイサーノ ヨイトナ

   ヨイサ ドンドン ヨイサ ドンドン ヨイサ ヨイサ ヨイサ)

 けんなん節(姫島村)

  ☆先のお方は アーヨイヨイ 長々ご苦労 アーヨイヨイ 先のお方にゃ

   お茶なとあがれ アヨーイヨーイヨーイトナ アレワイサ コレワイサ ヨーイトナ

  ☆それが嫌なら アーヨイヨイ お煙草なりと アーヨイヨイ それが嫌なら

   一間の奥で アヨーイヨーイヨーイトナ アレワイサ コレワイサ ヨーイトナ

 地搗き唄(国東町横手)

  ☆伊勢にゃナー 七度熊野にゃ三度(アヨーイヨイ)

   愛宕ナ さんには ヤレサ月参り(ソリャヨイトコセー ヨーイヤナ

   アレワイセ コレワイセ ソリャ ヨーイトーコセー)

  ☆土手をナー 搗くなら杵を振り上げて(アヨーイヨイ)

   どんとナ 搗くなら ヤレサ土手ゃしまる(ソリャヨイトコセー ヨーイヤナ

   アレワイセ コレワイセ ソリャ ヨーイトーコセー)

 千本搗き(国東町来浦)

  ☆神の始まりゃ出雲が元じゃ(ヨイヨイ) 寺の始まりゃ京都が元じゃ(ヨイヨイ)

   アーソリャ ヤットコセー ヨーイヨナー

   アレワイサ コレワイサ ササヤットコセー

  ☆船の始まりゃ讃岐が元じゃ(ヨイヨイ) 智恵の文殊は来浦が元じゃ(ヨイヨイ)

   アーソリャ ヤットコセー ヨーイヨナー

   アレワイサ コレワイサ ササヤットコセー

 土手搗き唄(国見町櫛来)

  ☆わしが若いときゃ伊美の浜ぇ通うた(ヨーイヨイ) 道の小草も アノなびかせた

   (ヤートコセーノ ヨーイヨナ アレワイサ コレワイサーノ ヨーイートナー)

  ☆殿御とられて泣くやたバカじゃ(ヨーイヨイ) 甲斐性あるなら アノ取り返せ

   (ヤートコセーノ ヨーイヨナ アレワイサ コレワイサーノ ヨーイートナー)

  ☆嫁をとるなら竹田津女(ヨーイヨイ) 婿をとるなら アノ島男

   (ヤートコセーノ ヨーイヨナ アレワイサ コレワイサーノ ヨーイートナー)

 池普請唄(国見町伊美)

  ☆さあさどなたもやろではないか(アーヨイヨイ) やれそじゃそじゃやろではないか

   (ソリャヤートコセ ヨーイトナ ハレワイセ コレワイセ ササナンデモセ

   ヨイショヨイショ ヨイショヨイショ)

  ☆一つしゅんめい矢口の渡し(アーヨイヨイ) 二つ船屋の頓兵衛どんは

   (ソリャヤートコセ ヨーイトナ ハレワイセ コレワイセ ササナンデモセ

   ヨイショヨイショ ヨイショヨイショ)

 地搗き唄(国見町小熊毛)

  ☆あーら嬉しや(ヨイヨイ) 調子が揃うた(ヨイヨイ)

   揃うたところで何言いましょか(ソラヨートコセー ヨーイヨナ

   アレワイサ コレワイサデ ヨーイトナ)

  ☆ここにいうのは(ヨイヨイ) 源氏平家の御戦いに(ヨイヨイ) 平家方なる

   沖なる船の(ソラヨートコセー ヨーイヤナ アレワイサ コレワイサデ

   ヨーイトナ) そこ搗け(ヨッショ) そこ搗け(ヨッショ)

   そこ搗けそこ搗け ドッコイソージャナ地搗きができる

 どんぎ唄(真玉町臼野)

  ☆やろえやろうえは コラ部長さんの役目(ハヨイヨイ) 油売るのは ヤレこちの役

   (ソラヤートコセー ヨイヨナ ハレワイセ コレワイセ ササナンデモセー)

  ☆私この池の コラ監督なれば(ハヨイヨイ) 一度休みを ヤレ二度にする

   (ソラヤートコセー ヨイヨナ ハレワイセ コレワイセ ササナンデモセー)

  ☆お伊勢参りに コラこの子ができた(ハヨイヨイ) 名をばつけます ヤレ伊勢松と

   (ソラヤートコセー ヨイヨナ ハレワイセ コレワイセ ササナンデモセー)

 けんなん節(杵築市)

  ☆誰もどなたも精出しなされ アラヨイヨイ 唄でやらんせ アノやりましょな

   アヨイヨイヨーイヤナ アレワイセーノコレワイセーノナンデモセー

  ☆腰の痛さにこの土手長い アラヨイヨイ 四月五月の アノ日の長さ

   アヨイヨイヨーイヤナ アレワイセーノコレワイセーノナンデモセー

  ☆腰の痛うても精出しなされ アラヨイヨイ 精を出しゃこそ アノ土ゃしまる

   アヨイヨイヨーイヤナ アレワイセーノコレワイセーノナンデモセー

  ☆紺の前掛け松葉の散らし アラヨイヨイ 待つに来んとは アノ腹が立つ

   アヨイヨイヨーイヤナ アレワイセーノコレワイセーノナンデモセー

  ☆来るか来るかと待つ夜にゃ来んで アラヨイヨイ 待たぬ夜に来る アノ憎らしや

   アヨイヨイヨーイヤナ アレワイセーノコレワイセーノナンデモセー

 けんなん節(大田村田原)

  ☆祝いめでたや若松さまよ(アーヨーイヨイ) 枝も栄ゆりゃ葉もしげる

   (アーヨーイヨーイヨーイトナ アレワイセ コレワイセーノナンデモセー)

  ☆国を申さば常陸の国に(アーヨーイヨイ) 小栗判官兼氏さまは

   (アーヨーイヨーイヨーイトナ アレワイセ コレワイセーノナンデモセー)

  ☆元は大名で家高けれど(アーヨーイヨイ) 今は世におうて哀れな暮らし

   (アーヨーイヨーイヨーイトナ アレワイセ コレワイセーノナンデモセー)

  ☆絵図を書いての渡世をなさる(アーヨーイヨイ) 一の家来に後藤左衛門よ

   (アーヨーイヨーイヨーイトナ アレワイセ コレワイセーノナンデモセー)

 堤搗き唄(大分市上判田)

  ☆一つ出しましょ(ヨイヨイ) 薮から笹を(アリャトーコセ ハーリャセ)

   つけておくれよ ソリャ短尺よ(ソラヤートコセーノ ヨーイヤナ

   ハリャリャ コリャリャ ヤレトコセー)

  ☆米良堤じゃ(ヨイヨイ)しっかりしゃんとつけよ(アリャトーコセ ハーリャセ)

   とけて流れて ソリャぼらぬよに(ソラヤートコセーノ ヨーイヤナ

   ハリャリャ コリャリャ ヤレトコセー)

  ☆嫁を取るなら(ヨイヨイ) 判田の米良へ(アリャトーコセー ハーリャセ)

   見どりよりどり ソリャ器量よし(ソラヤートコセーノ ヨーイヤナ

   ハリャリャ コリャリャ ヤレトコセー)

  ☆わしとお前は(ヨイヨイ) 土方が好きで(アリャトーコセー ハーリャセ)

   堤搗きなら ソリャどこまでも(ソラヤートコセーノ ヨーイヤナ

   ハリャリャ コリャリャ ヤレトコセー)

  ☆わしの思いは(ヨイヨイ) 本宮の山よ(アリャトーコセー ハーリャセ)

   ほかに木はない ソリャ松ばかり(ソラヤートコセーノ ヨーイヤナ

   ハリャリャ コリャリャ ヤレトコセー)

  ☆本宮の清水を(ヨイヨイ) 堤で温め(アリャトーコセー ハーリャセ)

   秋は黄金の ソリャ米良の原(ソラヤートコセーノ ヨーイヤナ

   ハリャリャ コリャリャ ヤレトコセー)

  ☆腰の痛みに(ヨイヨイ) この土手長さ(アリャトーコセー ハーリャセ)

   四月五月の ソリャ日の長さ(ソラヤートコセーノ ヨーイヤナ

   ハリャリャ コリャリャ ヤレトコセー)

 堤搗き唄(大分市上判田)

  ☆エーヘヘンヘンエヘンー 北かと思えば(ヨイヨイ) またマジの風

   (アラトコセー ハリャセー) 風がナ コリャ恋路の ソーレ邪魔となる

   (ソラソラヤートコセーノヨーイヤナ ハレワイサ コレワイサッサノヤレトコセ)

3、けんちゃん節

 池普請唄(宇佐市麻生)

  ☆ハー 桜三月ノーヤー あやめは五月(咲いてケンチャン 年とる梅の花)

   年取るノーヤー 年取る咲いて(咲いてケンチャン 年取る梅の花)

  ☆ハー 梅と桜をノーヤー 両手に持ちて(どちらケンチャン 梅やら桜やら)

   梅やらノーヤー 梅やらどちら(どちらケンチャン 梅やら桜やら)

  ☆ハー 恋し小川のノーヤー 鵜の鳥ゅ見なれ(鮎をケンチャン 咥えて瀬を登る)

   咥えてノーヤー 咥えて鮎を(鮎をケンチャン 咥えて瀬を登る)

 目搗き唄(宇佐市横山)

  ☆アラ 待つがよいかよ ヤーレー 別れがよいか

   嫌なマタ 別れよ待つがよい(コラ ヨイショ コラ ヨイショ)

4、エンヤーエー

 ずん搗き唄(宇佐市山本)

  ☆ずん搗きゃナ ずん搗きゃナ 上がらにゃ下がらぬエンヤラエー

   (ヤレコノサンサノエー ソリャヨンヤサー ヨンヤサー)

 地搗き唄(安心院町津房)

  ☆アーずんづきゃナ コリャずんづきゃナ 上らにゃ下がらんエンヤラエー

   (ヤレコノサンサノエー ソリャ ヤットンセー ヤットンセー)

  ☆アーこの石ゃナ コリャこの石ゃナ 奈落の底までエンヤラエー

   (ヤレコノサンサノエー ソリャ ヤットンセー ヤットンセー)

  ☆アーお家じゃナ コリャお家じゃナ お家じゃ大黒エンヤラエー

   (ヤレコノサンサノエー ソリャ ヤットンセー ヤットンセー)

 けんなん節(国東町富来)

  ☆アリャガンゴリャナ コリャガンゴリャナ ホイ 上がらにゃ下がらぬ

   エンヤーエー エンヤーエンヤーエンヤーエー

   ヤーコノサンサノ エーイソリャ ヨイヤサ ヨイヤサ

  ☆アリャ鳶がナ コリャ鳴きます ホイ ピンヒョロヒョーロと

   エンヤーエー エンヤーエンヤーエンヤーエー

   ヤーコノサンサノ エーイソリャ ヨイヤサ ヨイヤサ

  ☆リャ沖のナ コリャかもめに ホイ 潮時問えば

   エンヤーエー エンヤーエンヤーエンヤーエー

   ヤーコノサンサノ エーイソリャ ヨイヤサ ヨイヤサ

 土手搗き唄(挾間町朴木)

  ☆アラ今日ゃエ 今日ゃエ アラ今日ゃご公役 エンヤーエー

   (エンヤーエンヤーエンヤーエー ヤレコノ サンサノエー)

  ☆アラ今日ゃエ 今日ゃエ アラどなたもご苦労 エンヤーエー

   (エンヤーエンヤーエンヤーエー ヤレコノ サンサノエー)

  ☆アラどなたもエ どなたもエ アラお槌とお足で エンヤーエー

   (エンヤーエンヤーエンヤーエー ヤレコノ サンサノエー)

  ☆アラ今日ゃエ 今日ゃエ アラお奉行がおいでじゃ エンヤーエー

   (エンヤーエンヤーエンヤーエー ヤレコノ サンサノエー)

 土手搗き唄(庄内町渕)

  ☆じょさんどんなノー じょさんどんな骨なし エンヤーエー

   (エンヤーエンヤーアレエワイサノヨイ アードスコイドスコイ)

   ヤレコノじょさいは変わらぬエー(アーそこ搗けそこ搗け)

5、ヤッシガシ

 けんなん節(国東町富来)

  ☆富来よいとこエー エーイヨエー ソレソレ アー一度はおいで

   日本三つの文殊ある ヤッシガシ アーヤッシガシ

  ☆沖のトナカにゃエー エーイヨエー ソレソレ アー白帆が見える

   あれは紀州のみかん船 ヤッシガシ アーヤッシガシ

  ☆姉と妹にゃエー エーイヨエー ソレソレ アー紫ょ着せて

   どちが姉やら妹やら ヤッシガシ アーヤッシガシ

6、ヨットンセ節

 ヨットンセ節(香々地町塩屋)

  ☆ヤーレ わしが唄うたら大工さんが笑うたヨ

   唄に鉋が ヤレかけらりょかヨ ソラツケ ソラツケ

  ☆ヤーレ 唄に鉋がかけらりょなればヨ

   雲に梯子が ヤレかけらりょかヨ ソラツケ ソラツケ

  ☆ヤーレ 雲に梯子がかけらりょなればヨ

   海に千鳥が ヤレかけらりょかヨ ソラツケ ソラツケ

 いけどこ節(香々地町)

  ☆ヤーレ 静御前の初音の鼓ヨー(打てば近寄るノーヤレ 忠信がヨー)

   近寄る打てばヨー(近寄るノーヤレ 忠信がヨー)

  ☆年はいたれど江戸吉原の(女郎の手枕 忘りゃせぬ)

   手枕 女郎の(手枕 忘りゃせぬ)

  ☆咲いた桜になぜ駒つなぐ(駒がゆさめば花が散る)

   ゆさめば駒が(ゆさめば花が散る)

  ☆沖の暗いのに白帆が見ゆる(あれは紀の国みかん船)

   紀の国あれは(紀の国みかん船)

  ☆みかん船なら急いでおいで(急ぎゃ寝もすりゃ買いもする)

   寝もすりゃ買いもする(寝もすりゃ買いもする)

7、ヨンヤサ

 棒打ち音頭(山香町山浦)

  ☆揃うたら出ましょか ヨンヤサー(ヨンヤサッサー ヨーンヤサー)

  ☆ぼつぼつじわじわ ヨンヤサー(ヨンヤサッサー ヨーンヤサー)

8、杵築(盆口説)

 土手搗き唄(姫島村松原)

  ☆船の船頭と娘のよいは

   人が見たがる アリャ乗りたがる(ハーヨーイサッサ ヨイサノサ)

  ☆連れて行かんせ伊予中島に

   伊予はみすぎの アリャよいところ(ハーヨーイサッサ ヨイサノサ)

9、三つ星(盆口説)

 千本搗き(真玉町臼野)

  ☆ヤーレしばらく(ソーラヨーイヨ) 口説でやろか(ヤレショーヤレショー)

   国はどこよと(ソーラヨーイヨ) こまかに聞けば(ヤレショーヤレショー)

10、蹴出し(盆口説)

 棒打ち唄(宇佐市横山)

  ☆ヤーレー皆さん棒打やろな(オイサオイサ)

   そうだよしっかりしゃんとやらにゃ(ヤーレショヤーレショ)

  ☆わしとあなたは相性じゃほどに(オイサオイサ)

   しばらくつれあいましょか(ヤーレショヤーレショ)

  ☆竹に短冊七夕さまに(オイサオイサ)

   思いの ノー歌を書く(ヤーレショヤーレショ)

  ☆船が出たぞな百二十七つ(オイサオイサ)

   ござろか ノーあの内に(ヤーレショヤーレショ)

  ☆ヨイトー焼けたち山鳥立たぬ(オイサオイサ)

   可愛い ノーものはない(ヤーレショヤーレショ)

  ☆ヤーレーあれ見よ八山が辻にゃ(オイサオイサ)

   沸かさで ノー茶を沸かす(ヤーレショヤーレショ)

  ☆親の意見と茄子の花は(オイサオイサ)

   一つも ノー仇はない(ヤーレショヤーレショ)

  ☆ソーリャー言うたぞ何からやろか(オイサオイサ)

   やろとの思いもないが(ヤーレショヤーレショ)

11、唐芋節(盆口説)

 土手搗き唄(豊後高田市)

  ☆鈴木主水というさむ(ヨーイヨヤナ) ハいう侍は(サノサイ)

  ☆女房持ちにて二人の(ヨーイヨナ) 二人の子供(サノサイ)

12、コイサーヨイヨイ

 粘土唄(弥生町切畑)

  ☆サーオッコイナー オッコイナー 娘精出せ湖できりゃ

   粟のごはんが米となる コイサーヨイヨイ

  ☆サーオッコイナー オッコイナー 唄でやらんせこの位の仕事

   仕事苦にすりゃ日が長い コイサーヨイヨイ

  ☆サーオッコイナー オッコイナー わしが湖する役人ならば

   一度のたばこも二度させる コイサーヨイヨイ

  ☆サーオッコイナー オッコイナー 黒雲に ちらと見えますあの一つ干し

   晴れて添い寝がしてみたい コイサーヨイヨイ

  ☆サーオッコイナー オッコイナー 深の夜にさえ迷わぬわしが

   迷いましたぞ今ここに コイサーヨイヨイ

  ☆サーオッコイナー オッコイナー あなた雛鳥わしゃ籠の鳥

   お顔を見ながらままならず コイサーヨイヨイ

  ☆サーオッコイナー オッコイナー 表に来たのになぜ戸が開かぬ

   憎やこの戸の掛け金が コイサーヨイヨイ

メモ:池普請および井路普請で唄われた作業唄を集めた。県教委の民謡緊急調査にたくさん掲載されているほか、各市町村誌などにも掲載されていることが多いが、中でも宇佐・国東地方は溜池の多い地域だった関係で、特に多くの作業唄が採集されている。かつて人力で工事が行われていた頃には、年に1回程度、池の土手その他をその「池がかり」「井路がかり」の人たちが共同で補修していた。堤搗きの作業にも手順があって、その土地々々で要領は違ったと思うが、最後は参加者が一列に並んでめいめいの横杵を一斉に振り下ろしながら横にずっていったり、ぐるぐると輪に回ったりしたようだ。作業工程ごとに違う唄を唄うこともあったので、場合によっては一つの集落から複数の唄が採集されている。池普請の作業はみんなが息を合わせて行う必要があるので、唄が大変重要な役割を果たす。この作業には通常1軒から1人充てで、人を出さないと出不足を徴収された。また参加者には、場合によってはその場を仕切る人から作業の様子によって色札を出して、よい色の札をとった人には何らかのメリットがあるようなやり方をするところもあったとのこと。今は池普請・井路普請を共同作業で行うことがないため、それに伴う作業唄も全く唄われなくなっている。昔は土木技術が低かったために斜面に沿って、小さな池を2段に分けて造成している例が多かった。今でもそのような池がときどき見られるが、改修工事を行い1つの大きな池にしている例も多い。昔の小さな池のときには、田植の時季などに雨が少ないと水が減ってしまい底が見えるような始末で、水争いも常だったが、水のなくなった池では近所の大人から子供から、みんな網を持って行ったりして底だまりを浚い、うなぎを獲ったりしたものである。ところが今は大きい池になったことと休耕田が増えたことなどから、池の水が空になるようなことは滅多にない。池普請・井路普請の唄が盛んに唄われた頃とは、隔世の感がある。なお、唄の種別で見ると、伊勢音頭(兵庫節)や、その「くずし」が大半で、これは下毛・玖珠・日田地方のほぼ全域で同様のものが盆踊り唄にも転用されている。ほかに目立つのは「エンヤーエー」の類の唄が比較的多いが、ほかは局地的なものである。盆口説の転用も目立つ。これらの中で著名なものは「けんちゃん節」で、民謡歌手によりレコード化されたりステージで唄われたりされたが、元唄とは節がやや違っている。ここでは「池普請・井路普請の唄」としてまとめたが、道路普請などの際に地形唄として唄われることもあっただろう。

 

俚謡「千本搗き」(緒方町軸丸)

1、呼び出し

 ☆サーござれござれ それござれ ござれと言うのにござらぬは

  サーゆんべ貰うた花嫁ご 立派な座敷に座らせて

  サー金襴緞子を縫わすれば しゃくりしゃくりと泣きなさる

  サー何が不足で泣きなさる 何も不足はないけれど

  サー襟とおくみをつけきらぬ 隣の婆ちゃんつけちょくれ

  サーつけてやるのは易けれど お前も手習いつけならえ

  ハーエイトナー エイトナー エーイトナー

2、耳打ち

 ☆そこで総体 鍬を上げさしゃれヨーイ(ヨーイ)

  ヨイセー ヨーイセ(ヨイセー ヨーイセ)

 ☆ホリャもう一声すらぞなヨーイ(ヨーイ)

  ヨイセー ヨーイセ(ヨイセー ヨーイセ)

 ☆ホリャ今度じゃ乗り出すヨーイ(ヨーイ)

  ヨイセー ヨーイセ(ヨイセー ヨーイセ)

 ☆ホリャしっかりしゃんと搗けヨーイ(ヨーイ)

  ヨイセー ヨーイセ(ヨイセー ヨーイセ)

 ☆ホリャ甲札とれるぞヨーイ(ヨーイ)

  ヨイセー ヨーイセ(ヨイセー ヨーイセ)

3、二つ拍子

 ☆ホリャ柳にゃ恋風(ヨイセー ヨーイセ)

 ☆ホリャしなよくなびくぞ(ヨイセー ヨーイセ)

4、車搗き

 ☆アラ車搗きの番ぞな エイトーナー(エーイトーナー エーイトナー)

 ☆アラ緒方町ゃよいとこ エイトーナー(エーイトーナー エーイトナー)

5、肩引き

 ☆エーホラけんびきゅ頼むぞ ヨイコラショイ(アラエーンヤーノエーイ)

 ☆しっかりしゃんとやれ ヨイコラショイ(アラエーンヤーノエーイ)

 ☆これで踏みましょ ヨイコラショイ(アラエーンヤーノエーイ)

 ☆皆さんひどかろ ヨイコラショイ(アラエーンヤーノエーイ)

メモ:池普請や井路普請で唄われた作業唄。作業工程によって節を変えている。共同作業で池普請・井路普請をしなくなったため実際の作業の現場で唄われることはなくなっているも、保存会によって唄・作業ともに保存されている。地域のお祭りその他で、杵をとって実際に作業をするように踊りながら、昔の池普請・井路普請の様子を再現して今に伝えている。

 

俚謡「地形唄」

1、伊勢音頭・兵庫節

 どうづき唄(中津市伊藤田)

  ☆梅とナー 桜を(ヨイヨイ) 両手にマ 持ちて

   どちがナー 梅やら桜やら(ソラヨーイヨーイヨーイトナ

   アリャンリャーコリャンリャー リャンリャートセー)

 地搗き唄(武蔵町)

  ☆伊勢はナ 津でもつ(ハーヨイヨイ) 津は伊勢でもつ(ハーヨイヨイ)

   尾張名古屋はヤンレ 城でもつ (ソリャソリャ ヤートコセー ヨーイヤナ

   アレワイセ コレワイセ ササナンデモセ ソラソラヨイヤサ ヨイヤサヨイヤサ)

 地固め音頭(国東町見地)

  ☆うちにナー 来るなら(ヨイヨイ) 裏からおいで(ハヨーイヨイ)

   前はナー 車戸ヤンレ お 音がする (ソリャヨイトコセー ヨーイヨナ

   ハレワイセ コレワイセ ソリャヨイトコセー)

  ☆裏のナー 小池の(ヨイヨイ) 鴨こそ憎い(ハヨーイヨイ)

   鴨がナー 立たねばヤンレ ひ 人知らぬ(ソリャヨイトコセー ヨーイヨナ

   ハレワイセ コレワイセ ソリャヨイトコセー)

 地固め音頭(国東町下成仏)

  ☆祝いナー めでたや(ヨイヨイ) 若松様が(ハヨーイヨイ)

   枝もナー 栄ゆりゃ ヤレサナ アリャ葉も茂る(ソリャヨイトコセー

   ヨーイヨナ ハレワイセ コレワイセ ソリャヨイトコセー)

 地搗き唄(挾間町谷・挟間)

  ☆小石投ぎゅより(ヨイヨイ) ちょろちょろござれ(ソコセー ソコセー)

   ござりゃ見もする ヤンレ会いもする(ソレカラ ヤートコセーノ ヨイヨナ

   アレワイセ コレワイサノ ナンデモセ)

 地かち唄(佐伯市木立)

  ☆嬉しナ ハーエンエー ダシタコノ ダシタコノ めでたの若松様が

   ヨイヤサノサ 枝も チョイトナ 栄えりゃ コイタ葉もしゅげる

   ヨイヤサー ヤットコセー アラサーコラサー ヤットセーセノナー

  ☆枝がナ ハーエンエー ダシタコノ ダシタコノ 栄えてお庭が暗い

   ヨイヤサノサ 枝を チョイトナ 下ろそや コイタ宵の枝

   ヨイヤサー ヤットコセー アラサーコラサー ヤットセーセノナー

  ☆工事ナ ハーエンエー ダシタコノ ダシタコノ 竣工する土方さんは帰る

   ヨイヤサノサ 堤 チョイトナ 眺めて コイタ婦女が泣く

   ヨイヤサー ヤットコセー アラサーコラサー ヤットセーセノナー

  ☆一夜ナー ハーエンエー ダシタコノ ダシタコノ 一夜に枕がかわる

   ヨイヤサノサ かわる チョイトナ 枕を コイタ定めたい

   ヨイヤサー ヤットコセー アラサーコラサー ヤットセーセノナー

  ☆かわいナー ハーエンエー ダシタコノ ダシタコノ かわいと夜抱きしめて

   ヨイヤサノサ 昼は チョイトナ 互いに コイタ知らぬ顔

   ヨイヤサー ヤットコセー アラサーコラサー ヤットセーセノナー

 地かち音頭(蒲江町蒲江浦)

  ☆旦那大黒(ヨイヨイ) 奥さんえびす(ヨーイセー ヨーイセー)

   できたその子が チョイト 福の神(ハレバノ ヤットコセーヨーイヤナ

   ハレバイサ コレバイサ ナンデモセー)

  ☆ここのおかみさんは(ヨイヨイ) いつ来てみても(ヨーイセー ヨーイセー)

   赤い襷で チョイト 金はかる(ハレバノ ヤットコセーヨーイヤナ

   ハレバイサ コレバイサ ナンデモセー)

   ハーこの家に宝を打ち込め打ち込め ドッコイドッコイ ドッコイショ

 地形唄(日田市上城内町)

  ☆エーイヤーヤー 日柄見立てて地搗きをなさる(ハーヨイヨイ) 今日のめでたい

   この家の土搗き(ハーヨイヤサー ヨイサ アラサ コラサ エンヤートセー)

  ☆エーイヤーヤー 今日のめでたいこの家の土搗き(ハーヨイヨイ) なんぞ一つは

   祝いのものを(ハーヨイヤサー ヨイサ アラサ コラサ エンヤートセー)

  ☆エーイヤーヤー こんな賑わう土搗きの場所にゃ(ハーヨイヨイ) 場所におそれて

   音頭もできず(ハーヨイヤサー ヨイサ アラサ コラサ エンヤートセー)

  ☆エーイヤーヤー わしがようなる田舎の者の(ハーヨイヨイ) 音頭などとが

   合うこた知らぬ(ハーヨイヤサー ヨイサ アラサ コラサ エンヤートセー)

  ☆エーイヤーヤー なれど一つはやりかけてみましょ(ハーヨイヨイ) 合えば義経

   千本桜(ハーヨイヤサー ヨイサ アラサ コラサ エンヤートセー)

 地搗き唄(中津江村合瀬)

  ☆ハー 東に召しますあの神様は 青の装束でお下がりなさる

   (アーヨーイコラサ ヨイコラサ アラサ コラサ アラヤートセー)

  ☆ハー ここがこの家の大黒柱 皆様よろしくアノ頼みます

   (アーヨーイコラサ ヨイコラサ アラサ コラサ アラヤートセー)

 地搗き唄(上津江村川原)

  ☆鐘と撞木が流れて通る(ハヨーイヨイ) 確か川上ゃノヤ 寺屋敷

   (ハナナトコセーノ ヨーイトナ アリャセ コリャセ ササナンデモセー

   ハ天よりゃ高く はじき上ぎい ハサンヨー ハサンヨー ハサンヨー)

 地搗き唄(上津江村上野田)

  ☆今日は日も良し石搗きなさる(アヨーイヨイ) 明日は天社でノヤ 万よし

   (ヤートコセーノヨーイトナ アリャセ コリャセ アリャナンデモセー)

 地搗き唄(大山町東大山)

  ☆ハーこれがこの家の大黒柱(ヨーイヨイ) この柱なからにゃ ヤンサ家ゃ建たぬ

   (ヨーイヨーイヨーイトナ アリャサ コリャサ エンヤートセー)

  ☆ハー姉も妹も縁づきゃしたが(ヨーイヨイ) 私ゃ中子で ヤンサ縁がない

   (ヨーイヨーイヨーイトナ アリャサ コリャサ エンヤートセー)

  ☆ハーわしがこれから道楽やめて(ヨーイヨイ) 親に孝行は ヤンサせにゃならぬ

   (ヨーイヨーイヨーイトナ アリャサ コリャサ エンヤートセー)

 地搗き唄(天瀬町五馬市)

  ☆これがこの家の大黒柱(ヨーイヨイ) 手綱引く人 みな恵比須顔

   (ヨーイヨーイヨーイトナ アラサ コラサ エンヤートセー)

  ☆鶴のとまり木 撞木に立てて(ヨーイヨイ) 亀の姿で もと取りなさる

   (ヨーイヨーイヨーイトナ アラサ コラサ エンヤートセー)

2、伊勢音頭・兵庫節のくずし

 どうづき唄(本耶馬溪町落合)

  ☆わしがヨー 出します(アーヨイコラショイト) 藪から コリャ笹を

   (ハーヨイヨイ) つけておくれよ(ソリャヨーイヨーイヨーイトナ)

   ドッコイ(アレワイサーコレワイサー ヤンハットナー)

3、ヨンヤサ

 地形唄(日田市)

  ☆エーエーエー これがこの家の大黒柱(ハヨイヨイ) 大黒柱 これがなからにゃ

   この家は建たぬ この家は建たぬ ハヨンヤサー サッコラサン ヤートセー

メモ:屋敷普請や道路普請の地固め作業で唄われたもの。通常、櫓を立てて重石をさげ、大人数で綱をとりながらドシンドシンと搗き固める作業で唄われた。この種の唄は、池普請唄として唄われることもあったと思うが、一応、別項立てとした。

 

俚謡「木遣」

こば出し唄(山国町宇曽)

 ☆さあさ始まり山師のコバじゃヨ 拍子は揃うてドンとゆこかヨ

  (ヨイトーンコーリャ ヨイトーンコーリャ)

 ☆ここが難儀の峠の茶屋ぞヨ 一寸ずつでも十曳きゃ百尺ぞヨ

  (ヨイトーンコーリャ ヨイトーンコーリャ)

 ☆正月十五日にゃ花餅あげてヨ 持ちゃげて曳くのが人力車ヨ

  (ヨイトーンコーリャ ヨイトーンコーリャ)

松前木遣(香々地町)

 ☆ソーラエーンエーイエ 今年ゃ豊年ヤーハーエー(ヤットコセーヨーイヨナー)

  豊年 女子の昼寝 ハーヨーイトナー(ソリャ ソーリワ アリャリャリャン

  ヨーイトーコ ヨーイトーコセ)

 ☆ソーラエーンエーイエ 富士山白雪ゃヤーハーエー(ヤットコセーヨーイヨナー)

  白雪ゃ 朝日にとける ハーヨーイトナー(ソリャ ソーリワ アリャリャリャン

  ヨーイトーコ ヨーイトーコセ)

木遣唄(大分市上戸次)

 ☆皆さん曳かんせヨーイサー ヨーイサー ヨーイサー

 ☆大きな材木ヨーイサー ヨーイサー ヨーイサー

二つ拍子(久住町都野)

 ☆これから始めるヨイショ ヨーイヨーイヨーイショ

 ☆あら皆さん頼むぞヨイショ ヨーイヨーイヨーイショ

五つ拍子(久住町都野)

 ☆月に群雲花に風 ソレ 散りてはかなき世のならい

  ハーエイトナー アーエイトナーエイトナー

 ☆探題主獲を司る ソレ 加藤左エ門重氏は

  ハーエイトナー アーエイトナーエイトナー

九つ拍子(久住町都野)

 ☆ご繁昌乗り出すヨー ヨイヨイ 乗り出す様なら

  エーンヤハノエー エーンヤーエーンヤー ハレワイサノヨーイ

  ドッコイ ヤーコーノ ジョサイワゴザラヌヨー

七つ拍子(千歳村)

 ☆コリャ この声乗るのじゃヨイセー ヨイセーヨーイセー

  ホイ 見事に揃うたぞヨイセー ヨイセーヨーイセー

  ハイ 額に汗ぞなヨイセー ヨイセーヨーイセー

  ハイ 顔には紅葉じゃヨイセー ヨイセーヨーイセー

メモ:大きな木材などに綱をかけて引き出すときなどに唄われたもの。山間部では木馬を使うこともあっただろうし、同一の地域で「~拍子」などいろいろな唄があることから、作業工程ごとに違う唄を唄ったのだと思う。おそらく、池普請や道路普請などの際にも同様のものが唄われたことだろう。

 

俚謡「船揚げ音頭」(津久見市四浦)

〇ヤレどんと揚げましょか(エーイ) ゼイオー(ゼイオー)

 ゼイオー(ゼイオーゼイオー) エーヨイヤサヨ(ヤンヤーヒュンエー)

☆若い衆にゃ頼みじゃよ(ヤンヤーヒュンエー)

 エーヨイヤサヨ(ヤンヤーヒュンエー)

☆どんどと上がるじゃないか(ヤンヤーヒュンエー)

 エーヨイヤサヨ(ヤンヤーヒュンエー)

☆お軽のかんざしゃ左に差した(ヤンヤーヒュンエー)

 エーヨイヤサヨ(ヤンヤーヒュンエー)

メモ:船を陸に曳き揚げる際に唄ったもので、一種の木遣り唄のようなものである。

子守奉公

俚謡「守子唄」

1、ヨイヨイ節

 (大分市国分)

  ☆こんこん寝た子に香箱七つ 起きて泣く子に石七つ

  ☆わしが小さいとき米屋の子守 今じゃ酒屋の嫁となる

  ☆心急くより川堰きなされ 川にゃ思いの鯉がおる

  ☆アーラ嬉しや橙熟れた わしの帰るのも近寄りた

  ☆明日は帰りますどなたもさらば ながのお世話になりました

  ☆親が貧すりゃ緞子の帯を 買うてやろやろ口ばかり

  ☆泣いてくりゃるな泣かんでさよも 尻をひねるよに思わるる

 (大分市松岡)

  ☆正月きたきた橙熟れた 俺の帰るのも近寄りた

  ☆子守ゃ子が泣く姉さんな眠る 起こしゃまた泣くまた眠る

  ☆旦那おっかさん どなたもさらば ながのお世話になりました

 (津久見市保戸島)

  ☆食べてみらんせ他人の飯を ヨイヨイ 骨はなけれど喉にたつ ヨイヨイ

  ☆金が欲しけりゃ鳥島女島 ヨイヨイ 命欲しけりゃ通われぬ ヨイヨイ

  ☆巡査ごめんなれ守衆の唄を ヨイヨイ 守衆ゃ唄わにゃ日が経たぬ ヨイヨイ

  ☆親のない子は磯辺の千鳥 ヨイヨイ 潮が干りゃ鳴く満つりゃ鳴く ヨイヨイ

  ☆こいな泣く子はくれたちいらん ヨイヨイ くるりゃ茶の木の肥にする ヨイヨイ

 (上浦町)

  ☆死んでなろかや二十二や三で 墓に茶碗があげらりょか ヨイヨイ

  ☆あん子つら見よわしょ見て笑う わしも見てやろ笑うてやろ ヨイヨイ

 (佐伯市東灘)

  ☆この子借りるも今日限り 年が明けたらかるやせぬ ヨイヨイ

  ☆二十三夜は降らねど曇る 冴えた月夜も闇となる ヨイヨイ

 (佐伯市女島)

  ☆ねんね寝た子はしんからかわい ヨイヨイ 起きて泣く子はツラ憎い ヨイヨイ

  ☆ツラの憎い子は田んぼに蹴込め ヨイヨイ 上がるそばからまた蹴込め ヨイヨイ

 (鶴見町吹浦)

  ☆わしがこうして旅から来ちょりゃ 旅の者じゃと言うて憎む ヨイヨイ

  ☆旅の者じゃろかわいがっておくれ かわいがる人親と見る ヨイヨイ

  ☆わしが山へ行きゃイドロがとめる イドロとめるな日が暮れる ヨイヨイ

  ☆わしのおとったんな鯛釣り上手 人が百釣りゃ二百釣る ヨイヨイ

  ☆あいつあの外道にやりたいものは にぎりこぼしか焼け火箸 ヨイヨイ

 (鶴見町羽出浦)

  ☆ねんねしなんせ寝た子はかわい 起きて泣く子はつら憎い

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆この子よい子じゃよい子の守じゃ この子育てた親見たい

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆この子よい子よ牡丹餅顔よ 黄粉つけたらまだよかろ

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆私ゃこんまいとき七つの年に 親に死なれて子守出る

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆親が難儀すりゃ子供のときに 子守出されて泣き暮らす

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆あん子あん畜生を谷ん中蹴込め 上がるそばからまた蹴込め

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆他人のことちや言いたい見たい とかくわがこた隠したい

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆あいつあん畜生がけ死ぬりゃよい 猫のどうわた買うて祝いしょに

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆人に当てようた戸板に目釘 何度当てたて当たりゃせぬ

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆あいつつら見りゃおこぜのつらよ 見れば見るほどおこぜづら

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆私ゃかんまんどう言われても それを苦にするわしじゃない

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆いらんお世話を他人が焼くな 焼いてよければ親が焼く

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆わしのこんまいときゃ縮緬だすき 今は縄帯 縄だすき

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆この子泣かんちゅき守ゅ来てみたら 何が泣きめえか泣き暮らす

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆雨は降り出す洗濯物はぬれる かわい子は泣く日は暮れる

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆泣くな源ちゃん泣かんと加たれ 泣いちゃ日も日もたまりゃせぬ

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆あいつつら見りゃ胸糞が悪い 山椒味噌の芽で胸直せ

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆わしが死んだら誰が泣いてくりょか 千里奥山の蝉が鳴く

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆蝉じゃござらんちゃごろでござる ちゃごろかわいや蝉憎や

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆わしが死んだら往還ばたにいけて 通る若い衆に拝ませて

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆わしがこうして子守に来ちょら 旅の者じゃとつら憎む

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆旅の者じゃとかわいがっておくれ かわいがるお方を親と見る

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆わしとお前は二枚の屏風 離れまいぞや蝶番

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆わしは小浦の粟島様に 燈明明かして願ほどく

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆山が高うして丹賀が見えぬ 丹賀かわいや山憎や

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆一夜どまりの遍路に惚れて ついちゃ行かれぬ泣き別れ

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆親の意見となすびの花は 千に一つの徒はない

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆好いちゃおれども身がままならぬ ままにならぬ身を惜しうござる

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆ままにならぬとお櫃を投げて お台所はままだらけ

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆沖の大船ろくろで締める わしとあなたは寝て締める

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆船がいっぱい来りゃお客さんか思うて 宿のおげんさんが走り出る

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆沖のかもめに潮時聞けば 私ゃ立つ鳥 浪に聞け

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆沖の暗いのに白帆が見える あれは紀州のみかん船

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆みかん船なら急いで下れ 冬のあなじは西になる

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆あなた恋しても高嶺の花よ いくら思うても手がとわぬ

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆あなた思えど身はままならぬ 出るに出られぬ籠の鳥

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆籠の鳥じゃと嘆くな小鳥 籠の破れることもある

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆ここと中越にかねの橋かけて 中のくぼるほど通いたい

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆わしとあなたは出雲の神の 結びあわせた仲じゃもの

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆うちのお父さんお酒が好きよ 今日も朝から茶碗酒

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆うちのお父さん鯛釣り上手 他人が千釣りゃ二千釣る

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆うちのお父さん島ん浦沖で 波に揺られて鯛を釣る

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆わしとあなたはどうした仲か 袖の触れ合う他生の縁

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆肥後と津島は愚かなことよ 世界の果てまで行きたいの

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆嫁じゃ嫁じゃと嫁の名を立てる かわい我が子も他人の嫁

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆死んでまた来るお釈迦の身なりゃ 死んでみせます今ここで

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆羽出よいとこ朝日を受けて 住める人たちゃ和やかで

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆心大分県 身は兵庫県 落ちる涙は機の上

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆ここと島江は棹さしゃ届く なぜに届かぬわが想い

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆いのか猪之助 戻ろか茂助 ここで別りょか源之助

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆死んでなるかや二十二や三で 墓に茶碗が据えらりょか

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆わしが死んだらお酒を据えて きせり卒塔婆に立ててくれ

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆ねんねこぼいち竹馬与市 竹にもたれて思案する

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆いしまおげんさんの鉄漿壺は 鉄漿を入れんでも浮いてくる

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆お前さんとなりゃわしゃどこまでも 江戸や対馬の果てまでも

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆下関行きゃ櫓櫂が踊る 鉄の碇が浮いてくる

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆雨よ降れ降れ千百日も 船の艫綱腐るまで

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆一で玄海 二で遠江 三で日向の赤井灘

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆寒い北風 冷たいあなじ 吹いて温いのがまじの風

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆まじの風じゃてひどう吹きゃ寒い どんなおかみさんも屁は臭い

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆うちの父ちゃん芋食うて死んだ 芋が芽を出しゃ思い出す

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆嫌じゃ嫌じゃと畑の芋は かぶり振り振り子ができた

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆山で赤いはつつじに椿 まだも赤いのが女郎のへこ

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆山で床とりゃ木の根が枕 落ちる木の葉が夜着布団

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆わしのスーちゃん知らなきゃ言おか 藁で髪結うて鼻垂れて

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆鼻の地蔵さんに団子を据えて 早くややこのできるよに

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆お前さんとなりゃ戸は筵でも 掛け金縄でもいとやせぬ

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆唄を唄いましょ流行の唄を あたりさわりはごめんなれ

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆雨が降るのは愚かなことよ 雪の千夜も降ればよい

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆わしの思いは戸穴の役場 レンガ造りのガラス窓

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆娘十七八 嫁入り盛り 箪笥長持 はさみ箱

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆それほど揃えてあのやるときにゃ 行たら戻るなへ戻るな

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆そこで娘の言う言葉には 父様母様そりゃ無理よ

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆千石積んだる大船でさよ むこう嵐が来たならば

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆艫をくるりと舵取り直し 元の港にまた戻る

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

  ☆宮に参ったらどう言うて拝む 一代この子がさかしいように

   ほらほらねんねんよ ねんねんころりや おころりよ

 (米水津村)

  ☆色利ゃ日が照るミヤンダ曇る 中のセキヤミゃ 雨が降る

  ☆雨は降る降る薪は濡れる 可愛いこの子は雨雫

  ☆あの子泣かんちゅき守ゅ来ちみれば 泣くも泣かんか泣き暮らす

  ☆色利ミヤンダに金橋かけて 金の腐るまで通いたい

 (蒲江町西野浦)

  ☆この子泣かんちゅき守ゅしちみれば 泣かんどころか泣き暮らす

  ☆この子よい子よ牡丹餅顔よ 黄粉つけたらなおよかろ

  ☆この子変な子じゃわし見て笑う おのれ見ておれ今に見よ

  ☆うちのこの子は十にもならで 石板持たせて学校行き

  ☆お前見たよなボタンの花が 咲いております来た道に

  ☆山の奥にも花咲くけれど 都の花ほど艶がない

  ☆あなたよう来た五里ある道を 三里笹ヤブ二里の坂

  ☆言うてくれるな何よのことも ここは大事な親の前

  ☆親は樋竹子は桶の水 親の遣る先どこまでも

  ☆子持ちよいもの子にひかされて 間にゃ苦も見る楽も見る

  ☆思や残念あのヤブ医者が 薬違えて様殺す

 (蒲江町西野浦)

  ☆ここの御家はめでたな御家 ヨイヨイ 鶴と亀とが舞い遊ぶ ヨイヨイ

  ☆三味の音がする太鼓の音する ヨイヨイ かわい男の声もする ヨイヨイ

  ☆かわいかわいと夜は抱きしめて ヨイヨイ 昼は互いに知らぬ顔 ヨイヨイ

  ☆わしが死んだら煙草で焼いて ヨイヨイ キセリ卒塔婆を立ててくれ ヨイヨイ

  ☆わしが死んだらシキミの花を ヨイヨイ 差してくだんせ墓の前 ヨイヨイ

  ☆いじめられても世間は広い ヨイヨイ またも時世の風が吹く ヨイヨイ

 (蒲江町西野浦)

  ☆うちのお父ったんな仙崎鼻で ヨイヨイ 波に揺られて鯛を釣る

   ヨイヨイ はやくねんねしなされ

  ☆泣かん泣かんいうて守してみたら ヨイヨイ 何が泣きめえか泣きくらす

   ヨイヨイ はやくねんねしなされ

  ☆明日はつしから米を下ろして ヨイヨイ 団子や餅やして食わそ

   ヨイヨイ はやくねんねしなされ

 (蒲江町畑野浦)

  ☆わしの思いは阿蘇山やまの 朝の霧よりまだ深い ソラヨイヨイヨー

  ☆あなた思うてかわしゃ夏痩せか 帯の二重が三重まわる ソラヨイヨイヨー

  ☆思うて見て泣き見て思うて泣き 思い忘れる暇がない ソラヨイヨイヨー

  ☆あの娘こっち向け手拭落ちた なんの落ちよか顔見たい ソラヨイヨイヨー

  ☆わしのおっとたんな島ノ浦の沖で 波に揺られて鯛を釣る ソラヨイヨイヨー

  ☆うちのおっとたんな白髪の山で 板をかるうて苦労する ソラヨイヨイヨー

  ☆うちのおっとたんな鯛釣り上手 他人が千釣りゃ万も釣る ソラヨイヨイヨー

 (宇目町木浦)

  ☆あんこ面見れ目は猿眼 口はわに口エンマ顔 ヨイヨイ

  ☆いらん世話焼く他人の外道 焼いちよければ親が焼く ヨイヨイ

  ☆いらん世話でん時々ゃ焼かにゃ 親の焼かれん世話もある ヨイヨイ

  ☆旅の者じゃと可愛がっちおくれ 可愛がらるりゃ親と見る ヨイヨイ

  ☆可愛がられちまた憎まるりゃ 可愛がられた甲斐もない ヨイヨイ

  ☆わしがこうしち旅から来ちょりゃ 旅の者じゃと憎まるる ヨイヨイ

  ☆山が高うち在所が見えん 在所恋しや山憎や ヨイヨイ

  ☆でくることなら在所を山に 山を在所にしてみたい ヨイヨイ

  ☆お前面見れぼたもち顔ぢ きなこつくればなお良かろ ヨイヨイ

  ☆ねんねねんねと寝る子はかわい 起きち泣く子の面憎さ ヨイヨイ

  ☆面の憎けりゃ泥田にゃ蹴こめ 上がるはしからまた蹴こめ ヨイヨイ

  ☆憎みゃしませぬ大事にします 伽じゃ伽じゃと遊びます ヨイヨイ

  ☆はだけられてん世間な広い 広い世間にゃ出て遊ぶ ヨイヨイ

  ☆旦那よう聞け御寮も聞けよ 守子守子とばけするな ヨイヨイ

  ☆今にゃ見ちみれ守子をなぶりゃ 好かんお前ん子にあたる ヨイヨイ

 守子唄(宇目町小野市)

  ☆ねんねねんねと寝る子はかわい 起けて泣く子は面憎い ヨイヨイ

  ☆面が憎けりゃ田んぼに蹴込め 上がるそばからまた蹴込め ヨイヨイ

  ☆私ゃ唄いとぢ唄うのじゃないが あまり辛さに泣くばかり ヨイヨイ

  ☆あまり辛さに出て山見れば 霧のかからぬ山はない ヨイヨイ

  ☆嫁にやるなら田原にゃやるな 田原田どころ畑どころ ヨイヨイ

  ☆人の子じゃとてわがまま気まま いつかお前の恥が出る ヨイヨイ

  ☆あの子よい子じゃ牡丹餅顔じゃ 黄な粉つけたらなおよかろ ヨイヨイ

  ☆黄な粉つくるよりゃ白粉つけて 晩は二階で客となる ヨイヨイ

  ☆よいやよいやと与一を見なれ 与一金ゆえ殺された ヨイヨイ

  ☆あの子覚えちょれ後日の晩に 怨み殺さにゃ取り殺す ヨイヨイ

  ☆守子三人寄りゃ喧嘩の元よ 喧嘩せにゃよいさせにゃよい ヨイヨイ

  ☆二十五日はたびたび来れど 帰る五日はさらになし ヨイヨイ

  ☆二十五日のいとまの風が そよと吹いたら帰りましょう ヨイヨイ

  ☆心棒し厭いた床とり厭いた 様の機嫌もとり厭いた ヨイヨイ

  ☆小野市ゃ照る照る釘戸は曇る 並ぶ楢ノ木ゃ槍が降る ヨイヨイ

  ☆天の星々数えてみれば 九万九つ百七つ ヨイヨイ

2、おどんがこんまかときゃ(日田市亀山)

  ☆おどんがこまんかときゃ お兼と遊うだ 今じゃお兼は庄屋どんの嫁御

   庄屋どんの嫁御てちゃ高ぶりゃさいな 常にゃ粟ん飯 鰯のしゃ

3、親から叱られ

 (姫島村)

  ☆ねんねこ子守はつらいもの おかんから叱られ子にゃ泣かれ

   人から楽なよと思われて この子がかわゆはないけれど お釜の種じゃと思やこそ

   ようこそ子守もしたもんじゃ おっかんもおっとんもよう聞きゃれ

   晩の仕事は疾うやめて ややも泣きとはなけれども 乳が恋しゅてお泣きやる

 (大分市松岡)

  ☆眠れ眠れ眠れよ 親から叱られ子は泣いて なんのこの子がかわいかろ

   お飯の種じゃと思やこそ ちったあ可愛い可愛いよ お前が眠ったるすには

   あっぱいまんまを炊いてから なんなさんにあげた残りを

   お前に残らずみなあげる ほら ねんねん ねんねんよ

メモ:子守奉公に出た娘が気晴らしに唄ったもので、「寝させ唄」とは区別されている。ここでは、労働の唄として作業唄の項に加えることにした。この中で、1のヨイヨイ節の類は大分市以南の沿岸部で広く唄われたが、この中でも宇目町木浦のものは「宇目の子守唄」「宇目の唄げんか」として著名である。ステージ民謡・レコード民謡として取り上げられたほか、地元では輪踊りの振りもつけられている。一般に「送り」と「返し」の2種の節を交互に唄うように節が整えられているが、元々は両者の節は厳密に区分されてはいなかったという。宇目町のもの以外でも膨大な文句が残っているが「思や残念あのヤブ医者が…」とか「あいつあの外道にやりたいものは…」など、とても子守をしながら唄ったとは思えないような、ドキッとするような強烈な文句がいくつもある。また、盆踊りの文句を聞き覚えたか、大人の唄う作業唄を聞き覚えたかはしらないが、色恋の文句も多い。