盆踊り唄

その1

俚謡「山国川流域の盆踊り」

1、千本搗き

 千本搗き(耶馬溪町柿坂)

  ☆あーら嬉しや坪借りました(ハーアレワイサッサー コレワイサ)

   みんなどなたもヨ しっかりしゃんと踊れヨ(アー揃うた揃うたよ足拍子手拍子よ

   アレワイサッサーコレワイサ) ホイ(ヨーイトナ)

  ☆盆のナー 踊りも由来がござる(ハーアレワイサッサー コレワイサ)

   昔ナ 古事記の御釈迦の時代ヨ(ヨーイトセーノヨーイヨナ

   アレワイサッサー コレワイサ) ホイ(ヨーイトナ)

  ☆釈迦の御弟子の数ある中に(ハーアレワイサッサー コレワイサ)

   あるがナ 中にも目連尊者ヨ(アー御弟子の目連尊者よ

   アレワイサッサー コレワイサ) ホイ(ヨーイトナ)

 千本搗き(山国町)

  ☆千秋ヨー 万歳 地はこのたまり(ヤハレワイサ コレワイサ)

   踊りサ 納めし ただ今ここに(ヨイトセノ ヨイヨナ

   ハレワイサ コレワイサ ホイ ヨイトナ)

 坪借り(三光村小袋)

  ☆東西南北おごめんなされ(アレワイサー コレワイサー)

   しばしナーワ 間は坪貸しなされヨ(アヨーイトセーノ ヨーイトナー

   アレワイサー コレワイサー ヨホホーイトナー)

2、祭文

 祭文(本耶馬溪町西谷)

  ☆やろなやりましょな さえもんやろなコラサノサ(ヨイショヨイショー)

   さえもん踊りは ナント品がよい(ソラヤレ ソラヤレ ヤートヤンソレー)

 祭文(耶馬溪町金吉)

  ☆待つがよいかよ 別れがよいかホホンホー(ヨイショヨイショ)

   嫌なヨーサ別れを チョイト待つがよい(ソラヤレ ソラヤレ ヤートヤンソレサ)

 祭文(耶馬溪町深耶馬)

  ☆やろなやりましょな さえもんぬやろなコラサノサ(アヨイトヨイト)

   どうせヨー さえもんな気の浮く踊り(ソラヤレ ソラヤレ ヤートヤンソレサ)

  〇サーエー 夕立ゃ降っちくる むしろ干がぬれだす

   せなん子が泣き出す 団子汁あ煮えつくコラサノサ(アヨイトヨイト)

   おどまどげしちぇいいやら 手はつかぬ(ソラヤレ ソラヤレ ヤートヤンソレサ)

 祭文(耶馬溪町柿坂)

  ☆やろなやりましょな さえもんのやろなコラサイノサイ(アヨイショヨイショ)

   どうでナーヨ さえもんな気の浮く踊り(ソラヤレ ソラヤレ ヤートヤーソレサ)

 祭文(耶馬溪町下郷)

  ☆中津ナッサー 十万石 おどいもんなないがホホンホー(ハヨイショヨイショ)

   おどやナッサー 垂水のエビが淵(ソラヤレソラヤレ ヤットヤンソラエ)

 祭文(山国町草本)

  ☆お菊口説を あらましやろかホホイホイ(アヨイショヨイショ)

   さあさこれから口説にかかる(ソラヤレ ソラヤレ ヤートヤンソレサ)

 祭文(山国町守実)

  ☆やろなヨーやりましょな さえもんやろなホホンホー(ハヨイショヨイショ)

   今日び流行のさえもんやろな(ソラエヤ ソラエヤ ヤットヤンソレサイ)

3、レソ(本耶馬溪町屋形)

  ☆レソー踊るなら 品よくしゃんとコリャサノサ レソはヨー(アドッコイドッコイ)

   ア踊りようじゃ品がよい(ト レソーヤ レソーヤ アトヤンソレサ)

4、マッカセ

 マッカセ(中津市伊藤田)

  ☆マカセマカセをコラ しばらくやろな(ソレマッカセマカセ)

   わしが音頭よ(アヨイショヨイショ) 囃子でしまる(ドッコイドッコイドッコイ)

   誰もどなたもお囃子しゃんと(ヤートハレハレ イシャノエー)

 マッカセ(三光村下深水) 

  ☆ここに哀れな心中話(ソレマッカセマカセ) 所 ヤッコラ どこよと(イヤホイ)

   尋ねてきけば(ドッコイドッコイドッコイ) 所四谷の新宿町よ

   (ヤートハリハリ ヤーノエー)

 マッカセ(三光村森山)

  ☆マカセ踊りを習いたきゃござれ(ソレマッカセマカセ) マカセ踊りをノヤ

   (ハーイヤホイ)習いたきゃおいで マカセ踊りを(ドスコイドスコイ)

   習いたきゃ教えよ(ヤートハレハレ ヤーノエイ)

 マッカセ(本耶馬溪町樋田) 

  ☆西へ西へとお月も星も(アマッカセマカセ) さぞやコリャ

   東は(アヨイショヨイショ) 寂しかろ さぞや東は(ヨーンデ寂しかろ)

 マッカセ(本耶馬溪町西谷)

  ☆わしがナー 出しますコラサー 薮から笹を(アマッカセドッコイショ)

   つけてコリャコリャ おくれよ(アヨーイソラ) ナント短冊を

   つけておくれよ エーサ短冊を

 マッカセ(耶馬溪町城井)

  ☆マカセ踊りを習いたきゃござれ(マッカセマカセ) わしがコリャ

   世話して(ヨイヨイ) ソラ教えましょ わしが世話して(ヨンデ教えましょ

   ナントハレハレ ナントドッコイドッコイ)

 マッカセ(耶馬溪町深耶馬) 

  ☆待つがよいかよ別れがよいか(マッカセマカセ)

   嫌な別れよ(ソリャヨイヨイ) ナント待つがよい(ハレハレヤットエー)

 マッカセ(山国町)

  ☆マカセ踊りにわしゅかてなされ(マッカセマカセ) わしもこの頃(ヨイヨイ)

   ヤンサ習うてきた 習うてきた(ヤットハレハレ ナントドッコイドッコイ)

5、二つ拍子

 二つ拍子(本耶馬溪町西谷)

  ☆二つ拍子は二人でなけりゃ(アラサイコラサイ)

   一人音頭じゃ踊られませぬ(アヨーイヨイトナー)

 二つ拍子(耶馬溪町深耶馬)

  ☆ハー 二つ拍子は二人でなけりゃ(アラサイコラサイ)

   一人音頭じゃ踊られませぬ(アヨーイ ヨイトナー)

 ヨーイヤナー(三光村下深水)

  ☆ここに哀れな巡礼口説(アラサイコラサイ)

   所どこよと尋ねてきけば(ヨーイ ヨーイヤナー)

6、三勝

 ヤンソレサ(中津市伊藤田、三光村成恒) 

  ☆先の音頭さんな 京都な江戸な(ヤーンソーレヤンソレサ)

 ヤンソレサ(本耶馬渓町今行) 

  ☆どうせヤンソレサにゃイレコが薬(ヤーンソーレ ヤンソレサ)

  ☆誰かどなたかイレコを頼む(ヤーンソーレ ヤンソレサ)

  〇おっさん待ちないちょい止めた ヤンソレ踊りのイレコなら

   私が一丁いれやんしょ ちょうど去年の盆じゃった 私が踊りに来る道に

   豆腐が半丁あえちょって しくしくしくしく泣きおった

   ほんとにしくしく泣きおった なんで泣くかち聞いたなら

   そんまた豆腐の言うことにゃ

   もとのお豆にわしゃなりたいと(ヤーンソーレ ヤンソレサ)

 三勝(耶馬溪町下郷、山国町)

  ☆信州信濃の蕎麦よりも(ドスコイ) いつも変わらぬ親の側(ドスコイ)

   さて名物は一の谷(ドスコイ) 無官の太夫敦盛は(ドスコイ)

   道にて敵を見失い(ドスコイ) 御座船にはせ着いて(ドスコイ)

   父経盛に身の上を(ドスコイ) 告げてや知らすことありと(ドスコイ)

   須磨の磯辺に出られしが(ドスコイ) 船一艘もあらざれば(ドスコイ)

   詮方なしに駒を入れ(ドスコイ) 沖の方へぞ打たせ給う(ドスコイ)

   かかる所へ後ろより(ドスコイ) 駒を早めて追いかくる(ドスコイ)

   熊谷手打ちの敦盛や(ドスコイ) 紀の国蕎麦や銭がんどう(ドスコイ)

   そばに居ながら知りもせず(ドスコイ) 晦日蕎麦の運強く(ドスコイ)

   わしの好きなは主の側(ヤーンソーレ ヤンソーレサー)

7、六調子

 六調子(本耶馬溪町東谷) 

  ☆みんなお好きな 六やりましょな(ハヨーヤサヨンヤサ)

 六調子(耶馬溪町下郷・深耶馬、山国町)

  ☆六でなけらにゃ子供衆はひやけ(ヨーヤーセ ヨーヤーセ)

 六調子(耶馬溪町柿坂) 

  ☆合わにゃ高野の石堂丸よ(アーヨーヤーセ ヨヤーセ)

  ☆みんなどなたも踊りておくれ(アー今年最後の踊りじゃ)

  ☆こよやよい晩嵐も吹かで(アーみんなどなたもよう来たね)

 六調子(三光村臼木) 

  ☆哀れなるかや石堂丸は(ヨーヤナ ヨヤナ)

8、三つ拍子

 三つ拍子(耶馬溪町山移)

  ☆やろなやりましょな三つ拍子やろな

   どうせ踊りは三つ拍子限る(アヨイソレナー ヨイヨイ)

 三つ拍子(耶馬溪町柿坂) 

  ☆アー河童祭りの音頭のよさよ コラマー

   山の河童もナント 勢ぞろい(アヤンソレナー ヨーイヨイ)

 三つ拍子(耶馬溪町樋山路) 

  ☆花が散りても繋がにゃならぬ コラサーンア

   中津殿様 ナント 御用の駒(アーヨイソレナ コラヨーイヨイ)

 三つ拍子(山国町守実)

  ☆あんりゃあんりゃ言うて後にゃ引きなされ コラサー

   後にゃ引いたならお手打ちなされ(アーヤンソレナ コラヨーイヨイ)

 三つ拍子(耶馬溪町金吉) 

  ☆裏の窓からカニの足投げた コラサ

   今宵這おとの ホント知らせかな(ヨイソレナー ヨイソレナ) 

9、さっさ

 さっさ(本耶馬渓町落合)

  ☆ア 今宵ハンハー よい晩サー 嵐もヨーホーホンハ(ショイ) ヨホホンナー

   吹かぬ(ショイショイ) ヤッコラセー 梅のチョイトチョイト 梅のヨホホイ

   (小枝もヨー ホン折りよかろ)

 さっさ(本耶馬溪町樋田) 

  ☆秋のヨー 耶馬渓はおしゃれな ヨホホーンオ(ショイショイ)

   ヨーホンホーリャ ところ(ショイショイ) ヤットコリャセー 山はホント

   チョイト 山はヨンオー(もみじでヨー 化粧する)

 さっさ(耶馬溪町城井)

  ☆一つヨホホー 出しますはばかり ヨホホー(コリャコリャ) ヨホホンホー

   ながら(サッサ) ヤーコラサノサノ 唄のチョイト 唄のヨホホイ

   (文句はヨーホン 知らねども)

10、トコヤン

 寿司押し(耶馬溪町下郷大島)

  ☆押そな押しましょな鯛の寿司押そなヨ(トコヤンサガヨイヨイ ヤンサガヨイヨイ)

  ☆鯛は高うつく鯖の寿司押そな(トコヤンサガヨイヨイ ヤンサガヨイヨイ)

 トコヤン(耶馬溪町下郷奥の鶴)

  ☆もはや夜更けに ヤレサン 相成りましたヨ

   (トコヤンソラヨイヨイ ヤンソラヨイヨイ)

 寿司押し(山国町)

  ☆押そうな押しましょな 鯛の寿司押そな (トコセーヨイヨイ) 鯛は高うつく

   ヤレサン 鯖ん寿司押そなヨ(トコヤンサガコイコイ ヤンサガコイコイ)

 トコヤン(耶馬溪町山移) 

  ☆やろなやりましょな 手叩きサやろな(トコヤンサガヨイヨイ)

 トコヤン(耶馬溪町津民) 

  ☆待つがよいかよ ドッコイサン 別れがよいかナ(トコヤンサガヨイヨイ)

 トコヤン(耶馬溪町柿坂) 

  ☆ちょいと待ちなれ 姉さん 手叩き踊りヨ(トコヤン ソラヨイヨイ)

  ☆今夜よい晩 ドッコイサン 観音さん踊りヨ(トコヤン ソラヨイヨイ)

 トコヤン(本耶馬渓町西谷) 

  ☆宇佐の百段百とはいえどヨ(トコヤン ソラヨイヨイ)

   百はござらぬ ヤレサン 九十九段ヨ(トコヤン ソラヨイヨイ)

11、ヨイヤサノサ

 ヨイヤサノサ(中津市大新田) 

  ★踊り踊るならしなよく踊れナ(アラヨイヤサノサ)

   しなのよいのぬ ソリャ嫁にとる(アラヨイヤサノサ)

  ☆ア国は京都の三條が町で(アドッコイサッサ) 三條町にて糸屋がござる

   糸屋与衛門 四代目の酒屋 てがい番頭が七十と五人

   (アーヨイト ヨイヤマカ ヨイヤサノサ)

  ☆七十五人のあるその中で(アドッコイサッサ) 一の番頭に清三というて

   年は二十六 男の盛り 連歌 俳諧 読み書き 算盤

   (アーヨイト ヨイヤマカ ヨイヤサノサ)

 ドッコイサッサ(中津市今津)

  ☆ハーここに過ぎにしその物語(ハードッコイサッサ) 国は中国その名も高い

   武家の倅に一人の男 平井権八直則こそは

   (ソリャー ヨイトヨヤマカ ドッコイサノサ)

 江州音頭(中津市伊藤田)

  ☆ヘー京じゃ一番 大阪じゃ二番(アドスコイサッサイ) 三と下がらぬ白金屋さん

   歳が十三酒場が九軒 居り屋出店が三十と五軒

   (アラ ヨイトヨヤマカ ドッコイサノサ)

12、キョクデンマル

 キョクデンマル(耶馬溪町下郷)

  ☆待つがよいかよ別れがよいか(嫌な別れよ待つがよい)

   別れよ 別れよ 別れよ嫌な(嫌な別れよ待つがよい)

 キョクデンマル(耶馬溪町山移)

  ☆咲いたヨー 桜になぜ駒つなぐ(ハつなぐ) 駒が勇めば花が散る

   (花が散る 勇めば駒が コラ駒が) 駒が勇めば花が散る

 キョクデンマル(耶馬溪町津民) 

  ☆娘ナー 十七八ゃ停車場の コリャ 汽車よ(はやく乗らなきゃ人が乗る)

   ハイソリャヨー人が乗る 乗らなきゃコリャ はやく(はやく乗らなきゃ人が乗る)

 キョクデンマル(山国町)

  ☆秋の耶馬溪おしゃれなところ(山は紅葉で化粧する)

13、佐伯

 佐伯(耶馬溪町下郷大島)

  ☆佐伯なば山 鶴崎ゃ木挽き ドッコイサッサー

   日田の下駄ひき ナント軒の下(ソリャ ヤトセーノオカゲデネ)

 佐伯(耶馬溪町下郷奥の鶴) <77・75切口説>

  ☆佐伯なば山 鶴崎ゃ木挽き(ドッコイサー)

   日田のコリャ 下駄ひき ナント軒の下(ソリャヤットセーのオカゲデネ)

 佐伯(山国町)

  ☆佐伯なば山 鶴崎ゃ木挽き ドッコイサッサー

   日田の下駄ひき ナント軒の下(オカゲデネー オヤヤトセ)

14、米搗き

 米搗き(耶馬溪町下郷) 

  ☆搗けど小突けど この米ゃヨー(ショイショイ) アーはげぬ

   ノンホードッコイショ どこのお蔵の底米か

   ヨイサよく言うた よく言うたヨー(ショイショイ) アーどこの

   ノンホードッコイショ どこのお蔵の底米か

 米搗き(耶馬溪町柿坂) 

  ☆さいたからかさ 柄漏りがヨ(ショイショイ) アーすれど

   ノンホードッコイサ(あなた一人は濡らしゃせぬ)

   おいさよく言うた よく言うたヨー(ショイショイ) アーあなた

   ノンホードッコイサ(あなた一人は濡らしゃせぬ)

 米搗き(山国町守実)

  ☆搗けど小突けど この米ゃヨー(ショイショイ) 搗けぬ

   ノンホーヨイトセー(どこのお蔵の底米か)

   アイサよく言うた よく言うた(ショイショイ) どこの

   ノンホーヨイトセー(どこのお蔵の底米か)

15、小倉

 小倉(耶馬溪町下郷、山国町)

  ☆小倉踊りでどなたもやろな(ソラヨイヨーイ ヨヤサノサ)

 小倉(耶馬溪町津民) 

  ☆東西南北おごめんなされ(サーヨイヨーイ ヨヤサノサ)

 小倉(耶馬溪町城井) 

  ☆アラ揃うた揃うたよ踊り子が揃うた(ソラヨイヨーイ ヨヤサノサ)

 小倉(耶馬溪町柿坂) 

  ☆小倉踊りでお寄りなれ来なれ(ソラヨイヨーイ ヨイヤサノサ)

  ☆アラ小倉踊りは気の浮く踊り(ソラヨイヨーイ ヨイヤサノサ)

 小倉(中津市伊藤田) 

  ☆九州豊前の宇佐八幡で 五百年忌の開帳がござる(サーヨイヨイ ヨヤサノサイ)

16、思案橋

 思案橋(本耶馬渓町樋田) 

  ☆わしが出しますソーラヨーハヨイ(ヨイヨイ) 藪から笹を(ショイショイ)

   ヤットコラセーデ つけてつけて ソコおくれよ短

  ☆竹に短冊ソーラヨーハヨイ(ヨイヨイ) 七夕様は(ショイショイ)

   ヤットコラセーデ 思い思い ソコ思いの歌

 思案橋(本耶馬溪町西谷)

  ☆思案橋から文取り落てたナー ヨーホホ 惜しや惜しやヨー

   (ショイショイ) 二人の名を流す

 思案橋(山国町守実) 

  ☆思案しかえても一度は来ぬか ヤーハンハ 鳥も 鳥も古巣に二度戻る

   ソリャ 実ぞな鳥も ヤーハンハ 鳥も 鳥も枯れ木に二度とまる

 思案橋(山国町奥谷)

  ☆思案橋から女郎屋が近い ヤーハンハ 行こか行こか ドッコイショ 戻ろか思案橋

   ソリャ戻ろか行こか ヤーハンハー 行こか行こか ドッコイショ 戻ろか思案橋

17、書生さん(山国町、耶馬溪町下郷、三光村諌山)

  ☆書生さん 好きで虚無僧するのじゃないが(アナントナント)

   親に勘当され試験に落第し(ヨイショ) 仕方ないからネー

   尺八を 吹く吹く 吹く間に門に立つ(ア実際 実際)

  ☆あの花は 粋な花じゃがありゃよその花(コリャコリャ)

   あの花野山に咲くならば(コリャコリャ) 一枝折りてネー

   床の間に あの花散るまで 眺めたい(ア実際 実際)

  ☆梅干は 酒も飲まずに顔赤く(チョイトチョイト)

   年もとらずにしわ寄せて(ソイソイ) 元をただせばネー

   梅の花 鶯鳴かせた節もあり ア実際 実際

  ☆見やしゃんせ 忠臣蔵の七段を(ヨイショヨイショ)

   お軽さんは二階でのべ鏡(ヨヤセ) 縁の下ではネー

   九太夫が 由良さん知らいで文を読む ア実際 実際

18、博多

 博多(山国町、耶馬溪町下郷) 

  ☆博多騒動 米市丸にゃ(ハヨイトサッサ) 刀詮議に身をはめる

   刀詮議にヤッコラサノ 身をはめる(ハヨイトサッサノ ヨイトサノサ)

 博多(耶馬溪町柿坂) 

  ☆博多騒動 米市丸は(ハヨイトサッサ) 剣の詮議に身をはめた

   剣の詮議にサッコラサイノ 身をはめた(ハヨイトサッサの ヨイトサノサ)

19、げんきょろ坊主(中津市今津) 

  ☆宇佐の百段 百とはいえど(ショイショイ) ハンハー百は(ござらぬ九十)

   九十九段 ハンハースボン (げんきょろ坊主こねん ショイショイ)

20、ネットサ(耶馬溪町、山国町)

  ☆ねっとさ踊りが習いたきゃござれヨ ネット(ハネッチョケ ネッチョケ)

   わしが手を取り ヤーハレサー教えましょ(ハネッチョケ ネッチョケ)

21、番所踊り(中津市小祝)

  △シャンシャン オシャシャンノ シャン ホラ番所エー

   お場が広うなったヤ コラサー広い(番所場の木を)

  ☆揃うた揃うたよ みなハーハーエー ワーハハンハー ハーハーエー

   みな手が揃うたヤ コラサー稲の(出穂よりゃよく)

メモ:山国川流域に伝わる一連の盆踊り唄を集めた。旧下毛郡の地域がほとんどだが、玖珠町古後の盆踊りも加えた。この一帯は昔から踊りが盛んで、すこぶる種類が多い。ほとんどの集落では、全く楽器を使わずに、口説と囃子のみで踊っている。音頭取りと踊り手が掛け合いで唄ったり、音頭取りすら置かずに踊り手が順繰りに唄い継ぐ集落もある。それは初盆の家を順々に踊ってまわるためで、今は寄せ踊りになったところがほとんどだが、昔は初盆の多い年など1軒当たり2時間かかるので、夜が明けても踊りが終わらないこともあったという。全ての踊りにうちわを使い、そのうちわを叩いたり、クルリクルリと返して踊る所作がこの地域の踊りの特徴。踊りの種類が多いのは耶馬溪町下郷・山国町で、13種類程度が残っている。その他の地域にも5種類程度は伝承されていることが多く、まずまず盛んである。同じ唄でも地域ごとに節や踊り方が少しずつ違い、独自性を保っている。この地域の人たちはよほど盆踊りが好きだったようで、古い流行小唄や作業唄、あるいは近隣地域の盆踊り唄などを、自分たちの土地の盆踊りにどんどん取り入れている。そのため唄・踊りの種類がとても多く、記録に残っていないものも含めればもっとたくさんあるだろう。隣接する、福岡県上毛地域においても同種のものが踊られていると思われる。

 

俚謡「大津絵」(中津市大新田) ※盆踊り唄

☆九州豊前の中津の京の町 粋な別嬪さんに手を引かれ 片端の町を

 (コリャコリャ) しずしずと もはや嬉しや小倉口 いま人の

 (ドッコイ) 噂も広津橋 はるかに見えるは天通じ(コリャコリャ)

☆鹿が鳴きます秋鹿が 寂しうて鳴くのか妻呼ぶか 寂しうて鳴かぬ

 (コリャコリャ) 妻呼ばぬ 明日はお山のおしし狩り いまどうぞ

 (ドッコイ) この子が撃たれますゆえ 助けください山の神(コリャコリャ)

☆国は播州の姫路の御城下で 青山鉄さんの悪だくみ かなえの皿を

 (コリャコリャ) 一枚盗み取り それとは知らずに腰元お菊 今なんぼ(ドッコイ)

☆三国一の富士の山 雪かと見れば白富士の 吉野山

 (コリャコリャ) 吹きくる嵐山 朝日に山々見渡せば 山 小夜の

 (ドッコイ) 中山 石寺山や 末は松山 大江山(コリャコリャ)

☆政岡が鶴千代君の お顔つくづく眺むれば あの千松が

 (コリャコリャ) いつもの通りにて 雀の歌をば歌ってみやしゃんせと 今云えば

 (ドッコイ) 千松渋顔して 裏の畑の苣の木に(コリャコリャ)

☆中津近くに名高い市が立つ 大貞放生会で八日が羅漢 お取り越しは

 (コリャコリャ) 十月四日市 宇佐のまんどころでおけつひねられた あの餅は

 (ドッコイ) くうばの山中で 雨は降り出し 傘もちゃなけれど(コリャコリャ)

☆日高川エ 清姫が 安珍さんに御用じゃと訪ねくる これいなもうし

 (コリャコリャ) どこかここらで 二十歳くらいのあの立派な

 (ドッコイ) おぼんさんにお逢いはなせぬか

  逢うた見たこた見たけれど(コリャコリャ)

☆十五夜のエ 月はまんまと冴ゆれどもエ 冴えぬは二人の仲じゃもの 辛抱してくれ

 (コリャコリャ) 今しばしエ 辛い勤めと思わいで いま怖い

 (ドッコイ) 夢じゃと諦め下しゃんせ 逢うたこの夜の二人仲(コリャコリャ)

☆山中通れば定九郎が おーいおーいの親父さん その金こちらに

 (コリャコリャ) 貸して下さんせ いえいえ金ではありません いま娘

 (ドッコイ) おかるがしてくれた おーいおーいの握り飯(コリャコリャ)

☆夏の夜によいものは 空に一声ほととぎす 草葉にとまる

 (コリャコリャ) 蛍虫 昼は草葉に身を隠し いま夜は

 (ドッコイ) 小道に灯をとぼし 忍ぶ男の邪魔をする(コリャコリャ)

☆大阪を立ち退いて 私の姿が目に立たば 借り駕籠で

 (コリャコリャ) 身をやつし 奈良の旅籠や 三輪の茶屋 いま五日

 (ドッコイ) 三日と日を送り 二十日余りに四十五両(コリャコリャ)

☆ちょいと投げ出す丁半めくり札 あいにゃ二も出る三も出る 四と張れば

 (コリャコリャ) 五で取られ 六なめ札は繰り出さぬ いま七八

 (ドッコイ) おいて工面すりゃ 十年このかた負けバクチ(コリャコリャ)

☆山科の大雪に 東の果てから親子連れ はるばると

 (コリャコリャ) 訪ね来て 力弥と祝言頼めども いま堅い

 (ドッコイ) お石さんが言葉ゆえ 承知なければ是非もない(コリャコリャ)

☆いざなぎや いざなぎや いざなぎ山の樟の木で 舟を造りて

 (コリャコリャ) 今朝おろし 柱は槇の木で 桁は檜 いま綾や

 (ドッコイ) 錦の帆を巻き上げて 舟の艫には松を植え(コリャコリャ)

メモ:昭和30年頃までは盛んに踊られていた。端唄で三味線が入る。唄に似合わず踊りはすこぶる単純で、山国川流域に伝わる一連の盆踊りと同系統の所作である。一時期は廃れたが、後年、字脚を揃えた上で文句を4節に整え、「中津大津絵音頭」としてレコード化され、今も親しまれている(別項参照)。その際に新しい踊り方も考案されたが、昭和30年代以前の踊り方も伝承されており、めいめい好きな踊り方で踊っている。新しい踊り方はやや手が込んでいるが、古い踊り方はマッカセ等によく似ており、蹴り出して手拍子を打つ所作が特徴。なお、昔の唄は全く廃れてしまっている。

 

俚謡「まっかせ踊り」

1、ばんば踊り

 ばんば踊り(安心院町楢本)

  ☆エイエイエイソリャ ばんば踊りが始まる頃は

   (ばさま出てみよ ヤレ孫つれて ホンニ孫つれて)

 ばんば踊り(安心院町板場)

  ☆アエーイエイソリャ ばんば踊りが始まりました(ア爺さん婆さん達ゃ寺参り)

   サー寺参り(ア爺さん婆さん達ゃ寺参り)

 ばんば踊り(安心院町尾立)

  ☆アエイエイエイソリャ 中津中津とさしては行けど (アどこが中津のお城やら

   ホンニお城やら) アエイエイエイソリャ 中津のどこが

   (アどこが中津のお城やら ホンニお城やら)

 ばんば踊り(安心院町松本) 

  ☆アエイエイエイソリャ 親が大工すりゃ子までも大工 (ア宇佐の呉橋や

   子がかけた) ア呉橋ゃ宇佐の(ア宇佐の呉橋ゃ 子がかけた)

 ばんば踊り(別府市天間)

  ☆アラエーイエーイ エイソリャ ばんば踊りが始まる頃は

   (アラ 婆も出て見よ 孫子を連れて)

 ばんば踊り(湯布院町並柳) 

  ☆ばんば踊りが始まる頃は(ばんば踊りが始まる頃は)

 ばんば踊り(湯布院町塚原) 

  ☆あなた百までわしゃ九十九まで ともに白髪のアノ生えるまで

 ばんば踊り(宇佐市麻生)

  ☆エーエイエイソリャ 今夜当家の初盆そうな(婆も出てみよ孫子をつれて)

2、マッカセ

 マッカセ(院内町上納持)

  ☆マカセマカセをばしばらくやろか(ソレマッカセドッコイセ) マカセ踊りよで

   (ヨイトヨイト) そりゃ品がよい(トハリハリ ヤーノヨイトヨイト)

 マッカセ(院内町原口)

  ☆何をくよくよ サー川端柳(ソレマッカセマカセ) 水の流れを

   (ハドスコイドスコイ) ソリャ待つばかり(トハリハリ ヤーノエイエイ)

 マッカセ(安心院町大仏) 

  ☆安心院盆地の不思議な話(アソレ マッカセドッコイセ) 語り伝えて

   (ドスコイドスコイドスコイ) ヤレ七不思議(ヤーレハリハリ ヤーノエイエイ)

 マッカセ(安心院町下市)

  ☆乳を貰いにサ 五十里百里(ソーレ マッカセドッコイセ) 岩に刻んだ

   (ドスコイドスコイドスコイ) ヤレ生不動(トハリハリ ヤーノエイエイ)

 マッカセ(安心院町佐田) 

  ☆宇佐の百段 百とはいえど(ソーリャ マッカセドッコイショ) 百はござらぬ

   ソーリャ(ヨイショヨイショ) ヤレ九十九段(トハーリハリ ヤーノエーイエイ)

 マッカセ(安心院町楢本)

  ☆那須与一という侍は(ソーレマッカセドッコイセ) 背は小兵に

   (ヨイショヨイショ) ござそうらえど(トハーリハリ ヤーノエーイエイ)

 マッカセ(安心院町尾立) 

  ☆国は関東 名は下野よ(ソレマッカセドッコイセ)

   那須与一と(ヨイショヨイショ) いう侍は(トハーリハリ ヤーノエーイエイ)

 マッカセ(宇佐市長洲) 

  ☆わしが出しますヤブから笹を(ソレマッカセマカセ)

   つけておくれよ(コラショイ) ナント短冊を(ヤホーイコリャ)

   それじゃこれから文句にかかる(ソレー ヤートハーリサテ ヤートホイ)

 マッカセ(宇佐市南宇佐)

  ☆女房エー 持ちにて二人の子供(ソリャマッカセマカセ) 二人子供は

   (ヨイショヨイショ) 伊達には持たぬ(ドッコイドッコイナ) 二人子供の

   あるその中に(ヤットハーリハリ ヤーノエイ)

 マッカセ(宇佐市法鏡寺) 

  ☆しばしヨー オー間は マカセでせろな(ソラマッカセドッコイセ)

   しばしサ 間は(ヨイショヨイショ) マカセでせろな(ヨイヨイ)

   マカセマカセのサ お囃子頼む(トハーリハリ ヤーノヨイショヨイショ)

 マッカセ(宇佐市四日市) 

  ☆花のサーハエー お江戸のそのかたわらに(ソリャマッカセマカセ)

   春は花咲く(ヨイショヨイショ) 青山へんの(ドスコイドスコイドスコイ)

   鈴木主水という侍は(トハーリハリ ヤーノヨイショヨイショ)

  ★エー お江戸のそのかたわらに(ソリャマッカセマカセ)

   花のお江戸の(ヨイショヨイショ) そのかたわらに(ドスコイドスコイドスコイ)

   花のお江戸のそのかたわらに(エー ヤートハーリハリ ヤーノエー)

 マッカセ(宇佐市横山) 

  ☆しばしエー 間はマカセでせろな(ソラマッカセマカセ)

   しばし間は(オイオイ) マカセでせろな(ドスコイドスコイドスコイ)

   マカセマカセのコラエー お囃子頼む(ヤトハーリハリ ヤーノエー)

 マッカセ(宇佐市長峰)

  ☆エー女房持ちにて二人の子供(ソリャマッカセマカセ)

   二人子供の(ヨイショヨイショ) あるその中に(ドスコイドスコイドスコイ)

   日にち毎日 ばかりナー(トハーリハリ ヤーノヨイショヨイショ)

 マッカセ(宇佐市麻生)

  ☆梅のエー 小枝をサ 折りかけおいた(ソレマッカセマカセ)

   後で咲くやらソーラ ヤレ咲かぬやら(トハーリハリ ヤーノエーイエー)

 マッカセ(宇佐郡) ※俚謡集より

  ☆まかせヨー まかせをしばらくやろな ソレマッカセマカセ

   まかせまかせを ソーリャ しばらくやろな ヤートハリハリ ヤーノエーエー

 マッカセ(宇佐郡) ※俚謡集より

  ☆エー どなたも ヨイヨイ まっかせをやろな ドッコイドッコイ

   いやさやらねば ノヤー 夜が明ける ヤートハリハリ ヤヤノエー

 マッカセ(山香町山浦)

  ☆それじゃしばらくマカセでやろな(ソラマッカセドッコイセ) マカセマカセの

   (ヨイショヨイショ) お囃子頼む(ソレー ヤットハリハリ ヤーノエイエイ)

 マッカセ(山香町向野)

  ☆今宵さよい晩 嵐も吹かで(ドッコイドッコイショ)

   梅の小枝も(ヨイショヨイショ) 小枝も梅の(ドッコイドッコイショ)

   梅の小枝も ノエー身を焦がす(ヤットハリハリ ヤーノエイエイ)

  〇今宵さよい晩 嵐も吹かで(ドッコイドッコイショ)

   梅の小枝も ノエー身を焦がす(ヤットハリハリ ヤーノエイエイ)

 マッカセ(別府市天間)

  ☆扇めでたや末広がりの(ソレマッカセドッコイセ) 真名の長者のソラ

   (ドウシタドウシタ) 由来をきけば(アヨイヨイ チョイナハリハリ)

 マッカセ(湯布院町荒木)

  ☆さらばしばらくマカセでやろな(ソラマッカセマカセ) マカセ踊りよい

   (ヨイショヨイショ) ヤレ品がよい(ヤットハリハリ ヤーノエイエイ)

 マッカセ(湯布院町塚原) 

  ☆わしもヨー かてなれ 場所くれなされ(ソレマッカセドッコイセ)

   わしの音頭でコーリャ(アードスコイドスコイ) 合うかは知らぬ

   (トハーリハリ チョーノエーイエイ)

 マッカセ(湯布院町並柳) 

  ☆こぶるエー 稗餅ゃ ばらばらあゆる(ソレマッカセドッコイセ)

   あゆる稗餅ゃ(アーヤンシキドッコイ) いやりが運ぶ(ドスコイドスコイ)

   いやりそこのけ踏み殺さるる(トハーリハリ チョーノエーイエイ)

  ★声がエー 出ませぬ 蚊の鳴くほどに(ソレマッカセドッコイセ)

   誰かどなたか(アーヤンシキドッコイ) 声継ぎ頼む(ドスコイドスコイ)

  〇紺の暖簾に(アーヤンシキドッコイ) 桔梗のご紋(ドスコイドスコイ)

   音に聞こえし橋本屋とて(トハーリハリ チョーノエーイエイ)

3、せきだ

 せきだ(宇佐市長洲)

  ☆嫌じゃ嫌じゃよ(ハドッコイショ) 畑の芋は 頭振る振る ホントニ子ができる

 せきだ(別府市天間)

  ☆せきだ通れば コラ雪降りかかるヨー コリャ いとしナー(妻子が別れの水ヨ)

 ばんば踊り(院内町上納持)

  ☆鐘とコリャ 撞木が流れて下るヨー(とかくコリャ この川 後生の川ヨー)

4、レソ

 レソ(安心院町大仏)

  ☆レソー踊るなら 三十まで踊れコリャサノサ 三十ヨー(アヨイヨイ)

   過ぐればヨー 子が踊るヨー(ハレソーヤ レソーヤ ヤトヤンソレサ)

 レソ(安心院町佐田) 

  ☆わしが出しましょ やぶから笹を(コラサノサー)

   つけておくれよ ナント短冊を(アレソーヤ レソーヤ アトヤンソレサー)

 レソ(安心院町尾立・楢本)

  ☆哀れなるかや石堂丸は 父をヨ(ヨイヨイ)

   訪ねて高野へ上がる(ソレーヤ レソーヤ ヤトヤンソレサ)

 レソ(安心院町下市)

  ☆佐田の京石昔の名残 都ヨー

   偲んだ祭り跡(アレソーヤ レソーヤートヤンソレサ)

 レソ(宇佐市南宇佐) 

  ☆紺の暖簾に桔梗の御紋 コラサットコサ 紺の(アードスコイドスコイ)

   暖簾に桔梗の御紋(ソレーヤ ソレーヤット ヤンソレサ)

 レソ(宇佐市法鏡寺)

  ☆レソー踊るなら品よく踊れコラサノサ 品の(ヨイショヨイショ)

   良いのぬ嫁にとる(ソレイヤ ソレイヤット ヤンソレサ)

 レソ(宇佐市横山) 

  ☆レソー踊るなら ドッコイ しな良く踊れ コラサノサ

   しなの良いのぬ嫁にとる(レソーヤ レソーヤ ヤットヤンソレサイ)

   良いのぬ ドッコイ 良いのぬしなの コラサノサ

   しなの良いのぬ嫁にとる(レソーヤ レソーヤ ヤットヤンソレサイ)

 レソ(宇佐市麻生)

  ☆レソー踊るなら コラお寺の庭で(コラサーノサー)

   踊るかたでに後生願う(レソーヤ レソーヤ ヤットヤンソレサー)

 レソ(宇佐郡) ※俚謡集より

  ☆レソー踊るならしなよく踊れ サヨイヨイ レソは ドスコイドスコイ

   踊りよいしながよい レソーヤ レソーヤ ヤトヤンソレサ

 レソ(山香町向野) 

  ☆恋し恋しと鳴く蝉よりもコラサノサ 鳴かぬ(ドシタドシタ)

   蛍が身を焦がす(ソレーヤ レソーヤ トヤンソレサ)

 レソ(山香町上)

  ☆音に聞こえし橋本屋とてコラサノサ 数多ヨ

   女郎のあるその中で(ソレーヤ レソーヤ トヤンソレサ)

 レソ(山香町山浦)

  ☆よんべ山香の 踊りを見たらコラサノサ

   おうこかたげて 鎌腰差して(レソーヤ レソーヤ ヤトヤンソレサイ)

 レソ(別府市天間)

  ☆レソはよいかよ レソどもやろかコラサノサ レソはナー(ヨイショ)

   踊りよじゃ品がよい(ソレーヤ レソーヤットヤンソレサイ)

 祭文(湯布院町並柳)

  ☆一つや二つ 三つや四つコラサノサ(ヨイショヨイショ)

   十にも足らぬ 幼子が(ソレーヤ ソレーヤ アトヤンソレサー)

 祭文(湯布院町塚原)

  ☆向かいお山で鹿が鳴くトコホーイホイ(アーヨイトコヨーイヨイ)

   アー寒さで鳴くか妻呼ぶか(ソレーヤ レソーヤット ヤンソーレサー)

  〇書生さん 好きで虚無僧はするのじゃないが(トサーイサイ)

   親にゃ勘当され 試験にゃ落第し(ヨイショ) 仕方がないのでネ

   尺八を くわえて吹き吹き門に立つ(サーノサー)

5、蹴出し

 蹴出し(安心院町松本)  

  ☆起こる騒動をどこよと問えば(オイサオイサ) 

   讃岐の屋島が磯で(ヤーレショヤレショ)

 蹴出し(院内町斉藤) 

  ☆ここに哀れな巡礼口説(ホイサホイサ)

   アラ国はどこよと尋ねてきけば(ヤーレショヤレショ)

 蹴出し(安心院町楢本)

  ☆コリャ 橋から酒屋が近い(アラショイ コラショイ)

   戻ろか ナント思案橋(ヤーレショヤレショ)

 蹴出し(安心院町尾立)

  ☆前に千軒 長屋を立てて(ヨイショヨイショ)

   ア築山 泉水ついて(ヤーレショヤレショ)

 蹴出し(山香町南畑)

  ☆コーリャー どなたも速いがよかろ(アーヤレコラショイ)

   アラヨイトサデ 速いがよかろ(ヤレショー ヤレショー)

 蹴出し(山香町日指)

  ☆よんべ山香の踊りを見たら(ドシタドシタ)

   かたげて鎌腰差いて(ヤーレショ ドッコイショ)

 蹴出し(湯布院町荒木)

  ☆誰もどなたも速いがよかろ(アラヨイショヨイショ)

   アラどなたも速いがよかろ(ヤレショーヤレショー)

 蹴出し(湯布院町塚原) 

  ☆散りてはかない 平家の連よ(サイサイ)

   ことの仔細を たずねて訊けば(ヤーレショ ドッコイショ)

 蹴出し(湯布院町並柳)

  ☆盆の十六日 おばんかていたら(サイサイ)

   上がれ茶々飲め やせうま食わんか(ヤーレショ ドッコイショ)

 蹴出し(別府市天間)

  ☆恋し小川の鵜の鳥ゅ見やれ(ドウシタドウシタ)

   アラ 鮎をくわえて ヤレ瀬をのぼる(ヤーレ ヤレソー)

6、らんきょう坊主

 らんきょう坊主(宇佐市南宇佐)

  ☆待つがナー コリャよいかよ(ヨイショヨイショ) 別れがよいか

   (別れよ待つがよい) 嫌なナー コリャ別れよ(ヨイショヨイショ)

   別れよ嫌な(別れよ待つがよい)

 らんきょう坊主(山香町向野) 

  ☆わしがナー コリャ出します(ヨイショヨイショ)

   はばかりながら(文句は知らねども)

 大津絵(安心院町安心院)

  ☆待つがよいかよ別れがよいか 嫌な(別れよ待つがよいヨー)

 大津絵(安心院町下市)

  ☆アーよいかよ別れがよいかナ コリャ嫌なヨ(別れよ待つがよいヨ)

   アー別れよ別れよ嫌なヨ コリャ嫌なヨ(別れよ待つがよいヨ)

7、浦辺の唐芋

 ヨイトナ(宇佐市法鏡寺)

  ☆今年ゃ浦辺の唐芋(ヨーイヨイトナ) 唐芋をやろか(サノサ)

 唐芋踊り(宇佐市山本)

  ☆唐芋くわなきゃ踊りが(ヨーイヨヤナ) 踊りがでけぬ(サノサ)

 唐芋踊り(宇佐郡) ※俚謡集より

  ☆これから暫く唐芋やろよ (サノサ)

  ☆浦辺の唐芋(サノサ) 唐芋踊ろうえ(サノサ)

8、エッサッサ

 エッサッサ(安心院町下市)

  ☆宇佐に参るよりゃ御許にゃ参れヨ(アエッサッサー エッサッサ)

   御許 元宮 元社ヨ(ヤレコノセーノ ソリャほんかいな)

 大津絵(安心院町楢本) 

  ☆鮎は瀬に住む 鳥ゃ木にとまるヨ(アラエッサッサー エッサッサー)

   人は情けの下に住むヨ(ヤレコリャセーノ コリャドッコイセー)

 大津絵(安心院町尾立) 

  ☆行たら見てこい名古屋の城はヨ(アエッサッサー エッサッサー)

   金の鯱 雨ざらしヨ(イヤマカセーノ ソリャほんかいな)

9、七つ拍子

 七つ拍子(安心院町板場)

  ☆ここにサ 過ぎにしその物語(サノヨイヨイヨイ)

   国は中国 その名も高い(アラヨーイサッサ ヨイサノサ)

 七つ拍子(安心院町尾立)

  ☆しばし間は七つでやろな(アラヨイヨイヨイ)

   どうで踊りは七つでなけりゃ(ヨーイ ヨイヤーヨイ)

 七つ拍子(湯布院町並柳)

  ☆三太 生まれを細かに聞けば(アノナーヨイヨイ)

   元は三太は大和の生まれ(ヤートコサイサイヤートコサイ)

 七つ拍子(別府市天間)

  ☆押せやコラ 押せ押せ七つも八つも(アノナーヨイヨイ)

   押せばコラ 都が ヤレ近くなる(アヨイトサッサノ ヤレコラサイ)

10、豊前踊り

 三つ拍子(安心院町板場)

  ☆東西南北 静まりたまえ(ショイショイ)

   こいさ大事なお供養の踊り(アーヨーヤナ ヨヤナー)

 三つ拍子(安心院町楢本)

  ☆鈴木主水という侍は

   女房持ちにて二人の子供(アーヨーイヤサッサノ ヤレマカショイ)

 三つ拍子(安心院町尾立)

  ☆東西南北 静まりたまえ

   こいさ大事なお供養の踊り(ヨーイヤナ ヨイヤーナ)

 三つ拍子(山香町上) 

  ☆よんべ山香の踊りを見たら

   おうこかたげて鎌腰差いて(アラヨーイサッサノ ドッコイショ)

 三つ拍子(別府市天間)

  ☆さんさ東西おんそれながら

   しばし間は口説いてみましょ(アーヨーヤサー ヨーヤヨイ)

 三つ拍子(湯布院町塚原)

  ☆さんさ東西静まりたまえ

   やんれそうじゃな三つといこか(アラヨーイヤーノ ヨイヤーヨイ)

 三つ拍子(湯布院町並柳) 

  ☆さんさ東西静まりたまえ

   しばし間は三つがよかろ(ヨーヤッサー ヨイヤーヨイ)

11、千本搗き

 三つ拍子(院内町大坪)

  ☆東西南北静まり給え(ヤレショーヤレショ) 西も東も南も北も

   (ソリャヨーイヨナー アリャセ コリャセ ホイ ヨーイヨナー)

 ばんば踊り(院内町大坪) 

  ☆東西南北おごめんなされ(ヤレショーヤレショ) 西も東も南も北も

   (ソーリャ ヨーイヨナー アリャセー コリャセー ヨーイヨナー)

 ばんば踊り(宇佐市熊) 

  ☆東西南北鎮まりて(ヤレショーヤレショー) 南北鎮まり

   (ヨーイヨナー アリャリャ コリャリャ エーイ)

 ばんば踊り(安心院町大)

  ☆南北静まりたまえ(ヤーレショーヨイヨイ) ア東も南も北も

   (ソーリャ ソーリャ アリャセ コリャセ サノ ヨーイ)

 ばんば踊り(安心院町下市)

  ☆東西南北鎮まりたまえ(ヤレショーヤレショー) 西も東も南も北も

   (ソリャヨーイヤナ アリャセー コリャセ ヨーイヨナー)

 三つ拍子(湯布院町荒木)

  ☆東西南北静まりたまえ(ヤレショーヤレショー) 西も東も南も北も

   (ソリャヨーイヨナー アリャセーコリャセ) ホイ(ヨーイヨナー)

12、二つ拍子

 二つ拍子(安心院町大仏)

  ☆二つ拍子をしばらくやろな(アリャサイ コリャサイ)

   アそじゃそじゃ 二つがよかろ(ヨーイサッサノヨイサノサ)

 二つ拍子(安心院町尾立)

  ☆アしばらく二つでやろな(アラセー ヨイヨイ)

   ア踊りは二つでなけりゃ(ヨーイ ヨイヤーヨイ)

 二つ拍子(安心院町楢本)

  ☆アラ焼けても山鳥ゃたたぬ(アラショイ コラショイ)

   アラかわいい ナントものはない(ヨーイサッサノ ヤレコラショイ)

 二つ拍子(安心院町佐田) 

  ☆アラ国はどこよと尋ねてきけば(アラサー ヨイヨイ)

   アラ阿波の鳴門の徳島町で(ヨーイサッサノ ヨイサノサ)

 二つ拍子(山香町向野)

  ☆年に一夜の踊りじゃゆえに(アラショイ コラショイ)

   アーリャソウジャナ 踊りじゃゆえに(ヤーンソーレヤンソレサ)

 二つ拍子(安心院町下市)

  ☆あなた百までわしゃ九十九まで(アリャサイ コリャサイ)

   ともに白髪の ナントはゆるまで(ヨーイサッサノ ヤレコラショイ)

 二つ拍子(山香町上) 

  ☆誰もどなたもよく聞きなされ(アラサイ コラサイ)

   盆の踊りの由来の口説(ヤレトコサッサイ ドッコイショ)

 二つ拍子(宇佐市麻生)

  ☆わしは唄好き念仏嫌い(アラショイ コラショイ)

   死出の山路も ヤレ唄で越す(ヨーイヨーヤナー)

  ☆死出の山路も三途の川も(アラショイ コラショイ)

   唄で越ゆれば ヤレ苦にゃならぬ(ヨーイヨーヤナー)

 ヤンソレサ(宇佐市南宇佐)

  ☆そこでどなたか入れ子はないか(オトショイ コラショイ)

   そこでどなたか入れ子はないか(ヤーンソーレ ヤンソレサ)

  〇ヤンソレサ音頭さんちょいと止めた(アーちょいと止めた)

   お留め申すは気の毒じゃ(アー気の毒じゃ) 気の毒ぁ蔓にしておいて

   (アーしておいて) 私が一言入れまする(アー入れまする)

   私が音頭に謎かけよ(アー謎かけよ) 私がかけたら解いてたも

   (アー解いてたも) 十三娘とかけたなら(アーかけたなら)

   それまた音頭さん何と解く(アー何と解く) 音頭が解かねばわしが解く

   (アーわしが解く) 十三娘とかけたのは(アーかけたのは)

   竹やぶ雀と解きゃせぬか(アー解きゃせぬか) さわれば逃げるじゃないかいな

   (アーないかいな) さあさ音頭さんにお返し申す(オトショイ コラショイ)

   さあさ音頭さんにお返し申す(ヤーンソーレ ヤンソレサ)

13、兵庫

 二つ拍子(湯布院町並柳)

  ☆国のエー 始まりゃ大和の国よ(ヤレショー ドッコイショー)

   大和国では山崎三太(アーラヨイヤサノセー ヨイヤサノセー)

 三つ拍子(湯布院町川西)

  ☆山のアリャ 谷々野に咲く花も(ヤレショー ドッコイショ)

   人が通わにゃ 盛りもすまい(アリャヨイヤサノセー ヨイヤサノセ)

 二つ拍子(湯布院町塚原)

  ☆みんなどなたも厭いたよに見ゆる(ヤレショードッコイショ)

   厭いたところでオサ しなかえまする(アラヨーイサッサー ヨイサノサ)

14、六調子

 六調子(湯布院町並柳) 

  ☆やれなやれやれ 六やりましょな(ヨーヤッサーヨイヤッサ)

15、三勝

 六調子(湯布院町塚原) 

  ☆関の五本松 一本切りゃ四本(エーイサッサーエイサッサ)

   あとは切られぬ ホント五本松(エーイサッサーエイサッサ)

 ヤンソレ(宇佐市麻生)

  ★梅の小枝を折りかけおった(ヤーンソーレ ヤンソレサ)

   後で咲くやら ヤレ咲かぬやら(ヤーンソーレ ヤンソレサ)

  ☆花はいろいろ五色に咲けど(ヤーンソーレ ヤンソレサ)

   主に見返る ヤレ花はない(ヤンソレサッサノ ヤンソレサ)

16、しののめ(湯布院町並柳・荒木)

  ☆わしが思いは湯の岳山の 焦がるりゃ何としょ(朝の霧よりゃまだ深いヨ

   しののめの さりとは辛いね とか何とかおっしゃいましたかね)

  ☆わしに通うなら裏から通え 焦がるりゃ何としょ(前は車戸で音がする

   しののめの さりとは辛いね とか何とかおっしゃいましたかね)

  ☆音がするなら大工さんを雇え 焦がるりゃ何としょ(音がせぬよにしてもらえ

   しののめの さりとは辛いね とか何とかおっしゃいましたかね)

17、和讃 ※踊りは伴わない

 児童和讃(湯布院町塚原)

  ☆南無阿弥陀 南無阿弥陀 賽の河原と申せしは 娑婆と冥土の境なり

   一つや二つや三つや四つ 十よりうちの幼子が 賽の河原に集まりて

   紅葉のようなる手をもちて 真砂を拾うて塔を積む 一条積んでは父のため

   二条積んでは母のため 三条積んでは 教師兄弟わがためぞ

   もはや日暮れとなりぬれば 地獄の鬼が現れて 積んだる塔を突き崩す

   西に向いては母恋し 東に向いては父恋し 恋し恋しと呼ぶ声が

   谷の木霊に響かれて 父が呼ぶかと心得て 谷の木霊に来てみれば

   父という字はさらになし 母という字があらばこそ あら不思議やここにまた

   地蔵菩薩が現れて 子供ら何を悲しむか そなたの父母娑婆に在り

   冥土の父母われぞかし 一つ所に呼び集め 衣の袖を振り着せて

   遍照あれよと回向する 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀 南無阿弥陀仏ナー

メモ:宇佐地方に伝わる、「マッカセ」を中心とする一連の盆踊りを「まっかせ踊り」と呼んでいる。当該地域では、宇佐沿岸部の漁師町で屋敷の坪が狭い地域を除いて、ほぼ全域に亙って「庭入り」が行われていた。それは初盆供養のもので、傘鉾を先頭に初盆の家の坪に繰り込み、和讃、念仏、「シカシカ」等の後に男性のみで「ばんば踊り」を踊り、一連の盆踊りを老若男女みんなで踊り、最後に男性のみで「蹴出し」を踊り退出、次の家に向かって同様のことを繰り返すという内容である。しかし初盆の家を一軒ずつ廻ることなど負担が大きく、旧宇佐市においては麻生、西馬城など一部を除いて廃れている。安心院・院内においては今なお盛んに行われているが形が崩れており(現実に即したやり方に変更した結果だが)、寄せ踊りになっていたり、踊りの順序の変更、男女問わず最初から最後まで参加するなどが普通になってきている。昔ながらの慣習を守っているのは、院内町に数か所残るのみとなっている。庭入りを伴う盆踊りは大変珍しく、宇佐市麻生・西馬城、院内町、安心院町、宇佐地方に隣接する山香町山浦・上、日出町南端、別府市天間、湯布院町一円に見られるのみである。これらの地域では踊りの曲目が似通っているものの、湯布院町や山香町の盆踊りは宇佐方面とは少し毛色が違うところも見られる。しかし、一応は庭入りが伝わっているグループとして一体の文化圏にあるとみなして、ここではひとまとめに紹介することにした。なお、山香町・別府市・日出町・湯布院町の盆踊り唄については、別項で紹介するものもあるので注意されたい。曲目を見ると、マッカセとレソ(祭文)、蹴出しの3曲がほぼ全域に残っているのに対して、その他の唄は地域ごとに伝承の差があり、まちまちである。当該地域の中で最も踊りの種類が多いのは湯布院町並柳の9種類で、ほかに同町塚原、安心院待津房地区、宇佐市上敷田などは7~8種類程度を踊っている。ほかの地域も4~5種類程度は残っているが、宇佐市街地を中心に、マッカセとレソしか踊らなくなったところも多い。この地域の盆踊りは西国東方面への影響が著しく、マッカセ、レソなどは西国東地方でも広く親しまれたほか、踊り方にも共通の所作が多い。また、湯布院や玖珠方面、耶馬溪方面にもマッカセが入っている。周辺地域に多大な影響を及ぼしたのみならず、大字レベル・集落レベルで節回しや踊り方が違い、バリエーションが豊富である。庭入行事については段上先生の研究がありとても詳細に記録されているのだが、節回しや踊り方に注目した資料は見当たらない。踊りの種類が減りつつあるので、昔の踊りを覚えている人がご存命のうちに節や踊りの記録(映像が望ましいだろう)が整えばと願っている。

その2

 

俚謡「国東半島・速見の盆踊り唄」

1、蹴出し

 三つ拍子(杵築市守江)

  ☆過ぎし昔のその物語(オイサオイサ)

  国は紀州にその名も高き(ヤーレショ ドッコイショ)

 三つ拍子(安岐町西本) 

  ☆一つ手を振りゃ千部の供養(オイサオイサ)

  ヨイカナ 千部の供養(ヤーレショ ドッコイショ)

 三つ拍子(安岐町西武蔵) 

  ☆後で抽選会もありますほどに(アーエッサエッサ)

   そじゃそじゃ抽選会もあるし(アーラエッサ ドッコイショ)

 三つ拍子(山香町中・東・立石)

  ☆よんべ山香の踊りを見たら(オイサオイサ)

   ソウカナ 踊りを見たら(ヤーレサッサー ドッコイショ)

 三つ拍子(大田村波多方) 

  ☆よんべ山香の踊りを見たら(ドシタドシタ)

   かたげて鎌腰さいて (ヤーレヤッサ ドッコイショ)

 三つ拍子(大田村小野) 

  ☆それじゃどなたかお助け頼む(オイサオイサ)

   どなたか声継ぎ頼む(ヤーレサッサ ドッコイショ)

 三つ拍子(日出町豊岡)

  ☆さても豊後の藤原村の(ヤッサヤッサ)

   小字畑内 百姓の家に(ヤレコリャドッコイショ)

 三つ拍子(別府市亀川) 

  ☆あまり三つさんが続いたほどに(アードシタ ドシタ)

   しなをかえましょこの先頃で(ヤーレショ ドッコイナー)

 けつらかし(別府市向浜)

  ☆しばし間は理と乗せましょな

   今度出しましょ権八口説(ヤッチキドッコイドッコイナ)

2、ヤンソレサ

 二つ拍子(山香町中・東・立石)

  ☆二つ拍子でまずしばらくは(アラセ コラセ)

   アラドッコイサデ まずしばらくは(イヤコラサイサイ ヤレサノサ)

 二つ拍子(日出町日出)

  ☆ここに哀れな巡礼口説(アラセーヨイヨイ)

   国はどこよと尋ねてきけば(ヤレコラサッサノ ヤレヨイヨイ)

 二つ拍子(日出町豊岡) 

  ☆国は中国その名も高い(アラサーコラサ)

   武家の家老に一人のせがれ(アーエンヤコラサッサノ ヤレキタサイ)

 ヤンソレサ(豊後高田市草地)

  ☆それじゃ皆さんヤンソレサをやろな(アラショイ コラショイ)

   アー皆さん ヤンソレサをやろな(ヤーンソレ ヤンソレサ)

  ★人は一世名は末代よ(アラショイ コラショイ)

   因果応報も仏の訓え(ヤーンソレ ヤンソレサ)

 ヤンソレサ(豊後高田市小田原)

  ☆国は豊後で高田の御城下(アラセーヨイヨイ)

   御城下 本町 繁盛なところ(アラヤーンソーレ ヤンソレサ)

 ヤンソレサ(真玉町黒土)

  ☆イヤサ お江戸のそのかたわらに(アラショイ コラショイ)

   アラソレソレ そのかたわらに(ヤーンソーレ ヤンソレサ)

 ヤンソレサ(香々地町香々地)

  ☆ハどなたもだんだんご苦労(アラセ コラセ)

   ハここらで中入りゅやろか(ヤーンソレ ヤンソレサ)

 ヤンソレサ(香々地町小池)

  ☆じなしゅ数々述べましょよりも(アラセ コラセ)

   しばし間は理と乗せましょな(ヤーンソレ ヤンソレサ)

 ヤンソレサ(香々地町佐古)

  ☆よいさのイレコはないか なければこの場がとまる

  ★待った待った待ちなりな 待ったととめたらイレコじゃろ

   わしが言うこた変なこと(ハイ) うちん隣んそん隣ん(ハイ)

   三軒隣ん嫁もろち(ハイ)

   <中略> やらんせ元んがき戻す(ヤーンソーレ ヤンソレサ)

 ヤンソレサ(西国東郡) ※俚謡集より

  ☆イヤサこれからヤンソレサをやろではないか(オトショイ オトショイ)

   アーそじゃそじゃ やろではないか(アーヤン ソレー ヤンソレサ)

 ヤンソレサ(国見町赤根)

  ☆かえたかえたよヤンソレサにかえた(アラショイ コラショイ)

   踊る皆さんお手振りなおせ(ヤーンソーレ ヤンソレサイ)

 ヤンソレサ(国見町伊美)

  ☆アーヤンソレサは臼杵が元よ(ショコショイ ヨコショイ)

   臼杵佐伯は米ないところ(ハヤーンソーレ ヤンソレサイ)

 イレコ(国見町櫛海)

  ☆ドッコイサッサでコラサノサ おっさん待ちないちょいと止めた

   ドッコイサッサでコラサノサ 私が一丁いれやんしょ

   ちょうど去年の盆じゃった 私が踊りに来る道に

   豆腐が半丁あえちょって しくしくしくしく泣きよった

   ほんとにしくしく泣きよった なんで泣くかち聞いたなら

   そんまた豆腐の言うことにゃ もとのお豆にわしゃなりたいと

   (ヤーンソーレ ヤンソレサ)

 二つ拍子(別府市亀川) 

  ☆アーしばらく二つでやろな(アラサーコラサ)

   どなたもしばらくしばし(ヨーイサッサーノエンヤコラサ)

 二つ拍子(大田村石丸)

  ☆花のお江戸のその傍らに(アラサ ヨイヨイ)

   聞くも珍し心中話(ヤンソーレ サッサーノ ヨイーヤヨイ)

 二つ拍子(大田村波多方)

  ☆踊るみなさん足ゃだゆかろが(アラサヨーイヨイ)

   しばし間どま本字と続く(アーヤットコサッサノ ヨイーノヨイ)

 二つ拍子(豊後高田市田染) 

  ☆人は一世名は末代よ(アラショイ コラショイ)

   因果応報も仏の訓え(ヤンソーレサッサーノ ヤンソーレサイ)

 二つ拍子(西国東郡) ※俚謡集より

  ☆昔京都が奈良なるときにゃ(サノサイ サノサイ)

   太政大臣鎌足公よね(ヤーンソレソレ ヤンソレサ)

3、杵築踊り

 六調子(杵築市三川)

  ☆まだもこの先読みたいけれど(アラサーヨヤサ)

   声が出ませぬ蚊の鳴くごとく(エンヤコラサッサノ エンヤコラサイ)

 六調子(杵築市野田) 

  ☆一で声よい 二で節がよい(アラセーヨイヨイ)

   三でさらさら 四でしなのよさ(アトアトアートノ アートアト)

 六調子(別府市亀川)

  ☆貰うた貰うたよからかさ貰うた(アラサーヨイヨイ)

   先の太夫さん長々ご苦労(アヤ イヤマカコラサノ ヤレマカショ)

 六調子(日出町大神・川崎)

  ☆まだもこの先読みたいけれど(アラサーヨイヨイ)

   声が出ませぬ蚊の鳴くごとく(エンヤコラサッサノ エンヤコラサイ)

 六調子(日出町日出)

  ☆まだもこの先読みたいけれど(アラセーヨイヨイ)

   声が出ませぬ蚊の鳴くごとく(アトアトアトアト アートアト)

 竹刀踊り(日出町赤松)

  ☆姉の宮城野 妹の信夫(アラサイ コラサイ)

   ヤレナそうじゃな 妹の信夫(イヤコラサイサイ イヤコラサイ)

 六調子(大田村波多方) 

  ☆国は下総因幡の郡(アラサーヨイヨイ)

   小倉領にて岩橋村よ(アラ ヨイトーコサッサーノ ヨイーヤヨイ)

 六調子(安岐町塩屋)

  ☆安岐の真ん中流れる川は(アラドッコイショ)

   これぞ名高い荒木の川よ(アラドッコイサッサイ ドッコイショ)

 六調子(安岐町西本)

  ☆しばし間は六やんでせろな(アラサーヨイヨイ)

   踊るみなさん お手振りなされ(アラヨーヤッサノ ヨーイヤヨイ)

 六調子(安岐町唐見)

  ☆今宵一夜の供養の踊り(アラサーヨイヨイ)

   誰もどなたも どなたも様も(アラヨーイヤッサノ ヨーヤヨイ)

 六調子(安岐町山口)

  ☆安岐のマ 真ん中流れる川は(アラサイ コラサイ)

   これぞマ 名高い荒木の川よ(ヤートコサイサイ ヤートコサイ)

 六調子(武蔵町糸原)

  ☆わしが口説きも囃子でしまる(アラサイ コラショイ)

   みんなどなたも 囃子で頼む(アーヨーヤッサー ヨーヤヨイ)

 六調子(武蔵町中武蔵)

  ☆一つ手を振りゃ千部の供養(コリャサイ コリャサイ)

   二つ手を振りゃ万部の供養(アーヨイトコーサーノー ヨイサノショイ)

 六調子(国東町豊崎)

  ☆しばし間は六さんでやろな(アラサイ コラショイ)

   誰もどなたもお手振りなされ(ヨーヤーサ ヨーヤヨイ)

 六調子(国東町北江) 

  ☆下手なヘの字があやぼてみましょ(アラサ ドッコイショ)

   行くか行かぬかそか知らねども(ヨーヤサー ヨーヤヨイ)

 六調子(国見町岐部)

  ☆そこに出たやとちょいと捕まえて(ヤレショイ マカショイ)

   しばし間は文句の続き(ヨーイソーラ ヨーイヤヨイ)

 六調子(国見町櫛海)

  ☆やあれ皆さん こりゃなんとせろか(ヤレショイ マカショイ)

   おうさそうじゃな 六やんとせろな(ヨーイ ヨヤーヨイ)

 六調子(国見町伊美)

  ☆じたい三太が生まれを訊けば(ヤンショ コラショ)

   器量は吉野の桜に育つ(ヨーイ ヨヤヨーイ)

 杵築踊り(国見町伊美)

  ☆恋に焦がれて死したる姫の(ヤンショ コラショ)

   夜道帰りは枯れ木に花よ(ヨーイソーラ ヨヤヨーイ)

 杵築踊り(国見町伊美)

  ☆花のお江戸のそのかたわらに(アラショイ コラショイ)

   聞くも珍し心中話(アヨーイ ヨヤーヨイ)

 杵築踊り(国見町赤根)

  ☆杵築踊りでしばらくしばし(アラサイ コラサイ)

   アラソウジャナ お手振りゅ頼む(ヨーイソーラ ヨーイヤヨイ)

 杵築踊り(香々地町大高島)

  ☆一人旅とはどうしたわけか(アラセ コラセ)

   きけばお鶴は涙で語る(アラヨーイソーラ ヨイヤーヨイ)

 杵築踊り(香々地町佐古)

  ☆アラどなたもお囃子頼む(アラセ コラセ)

   アラなければこの場が切れる(アラヨーイソーラ ヨイヤーヨイ)

 杵築踊り(真玉町黒土)

  ☆花のお江戸にその名も高い(アラセ コラセ)

   音に聞こえし新宿町よ(アラ ヨーイソーラ ヨーイヤヨイ)

 杵築踊り(豊後高田市東都甲)

  ☆杵築踊りは速うてのろて(アラセ コラセ)

   速うてのろうてのどかな踊り(ヨーヤナ ヨヤヨーイ)

 六調子(豊後高田市田染)

  ☆ヤーレ嬉しや一輪が立ちて(サノヨイサノヨイ)

   それじゃこれから口説いてみましょ(アラヨーイソラ ヨイヤヨイ)

 六調子(西国東郡) ※俚謡集より

  ☆国は奥州 巴の橋で(サノヨイ サノヨイ)

   敵打ちたる由来を聞くに(ヨーイソーリャ ヨヤヨイ)

4、粟踏み

 粟踏み(山香町上畑、大田村山香道) 

  ☆ハ粟踏みゃどこからはやる(セッコラセ)

   ハヨイカナ四国がもとよ(ヤンソレ ヤンソレサ)

 粟踏み(大田村小野)

  ☆粟踏みゃどこからはやる(アヨイヨイ)

   そじゃそじゃどこから流行る(ヤーレヤレヤレナ)

 粟踏み(杵築市大片平・二ノ坂) 

  ☆粟踏みゃどこからはやる(セッコラセ)

   そうとも四国の阿波じゃ(ヤンソレ ドッコイショ)

 六調子(香々地町香々地)

  ☆ハ主水さんという侍は(サノサイ) もちにて二人の子供(ヨーイ ヨーヤナ)

 六調子(香々地町佐古)

  ☆アラこの先ゃほど長けれど(アラセ コラセ)

   アラ太夫さんにからかさ渡す(ヨーイ ヨーヤヨイ)

 六調子(香々地町大高島)

  ☆国は関東下野の国(アラセ コラセ) 那須与一という侍は(ヨーイ ヨイヤヨイ)

5、豊前踊り

 豊前踊り(山香町中)

  ☆豊前踊りはしなよい踊り(ハイハイ)

   イヤサソウカナしなよい踊り(アライヤコラサッサノ ドッコイショ)

 豊前踊り(山香町下) 

  ☆豊前踊りはしなよい踊り

   ヤレサソウジャナしなよい踊り(アラエンヤラサッサノ ドッコイショ)

 豊前踊り(大田村小野)

  ☆豊前踊りはしなよい踊り(ヨイ)

   しばし間はお手振りなされ(アヤンソーレーサッサーノ ヨイーノヨイ)

 豊前踊り(日出町赤松) 

  ☆豊前踊りはしなよい踊り

   イヤサソウカナ しなよい踊り(アラヨーイサッサノ ドッコイショ)

 豊前踊り(杵築市大片平・二ノ坂) 

  ☆豊前踊りはしなよい踊り

   わしが音頭で行こかは知らぬ(アラヨーイサッサノ ヨイサッサ)

 豊前踊り(安岐町唐見)

  ☆花のお江戸のそのかたわらに

   さても珍し心中ばなし(ヨーイヨーイ デッカンショ)

 豊前踊り(安岐町吉松)

  ☆いやれ豊前さんなのろまな踊り

   のろうてのどかでしなよい踊り(ヨイトコーサッサーノ ヨイーヤヨイ)

6、祭文

 祭文(国東町北江)

  ☆お前百まで わしゃ九十九まで コリャホンカイナ

   ともに白髪の生えるまで(ソレエー ソレエー ヤトヤンソレサ)

 祭文(国東町富来)

  ☆色で迷わすスイカでさえも コラサーノサー

   中にゃナ 苦労の種がある(ソレエー ソレエ ヤートヤーンソレサイ)

 祭文(国東町来浦)

  ☆来浦浜を鳴いて通る鴉 コラサノサ

   金も持たずに買う買うと(ソレーヤ ソレーヤート ヤーソレサイ)

 祭文(安岐町小川)

  ☆今宵マー よい晩嵐も吹かで コラサノサ 梅のマー

   小枝も折りよかろ(ソレエンヤコラ エンヤヤノ ヤンソレサイ)

 祭文(安岐町西本) 

  ☆咲いた桜になぜ駒つなぐ コリャホンカイナー 駒がネー

   勇めば花が散る(ソラエンヤ ソラエンヤ ヤットヤードッコイナ)

 祭文(安岐町朝来)

  ☆踊る皆さんだんだんご苦労 コラサノサ

   祭文踊りもこれ限り(ソラーエ ソラーエ ヤトヤンソレサイ)

 祭文(武蔵町中武蔵) 

  ☆梅と桜を 両手に持ちて コラドッコイショ

   どちらネー 梅やら桜やら(ソレヨイ ソレガエ ヤットヤーソレサ)

 祭文(武蔵町糸原)

  ☆親の 意見と茄子の花は コラサノサ(アードシタ)

   千にネー 一つの徒もない(アーソーレガヨイ ソーレガヨイ ヤットナーソレサ)

 祭文(杵築市南平) 

  ☆月はマー 重なる おなかは太るコラサノサ (ヨイショヨイショ)

   様のマー 帰りは遅くなる(ソレエンヤコラ エンヤヤノ ヤンソレサ)

 祭文(杵築市王子)

  ☆守江ナー 港にゃいかりはいらぬ コリャサノサ

   三味やナー 太鼓で舟つなぐ(ソレエヤ ソレエヤ ヤトヤーソレセ)

 祭文(日出町日出)

  ☆姉と妹に 紫着せてコラサノサ

   どちら姉やら妹やら (ソラエンヤソラ エンヤヤト ヤンソレサ)

 祭文(別府市石垣)

  ☆ゆんべ日出からかか貰うて(コラサノサ)

   別府浜脇通り越し(ソレエー ソレエー ヤトヤンソレサー)

 祭文(別府市亀川)

  ☆鈴木マタ 主水という侍は コラサノサ(ヨイショヨイショ)

   女房マタ 持ちにて二人の子供(ソレヤー ソレヤートヤンソレサイ)

7、レソ

 祭文(山香町中・東) 

  ☆伊予の松山 百万長者コラサノサ(ハドシタドシタ)

   ドッコイサデ 百万長者(ソレソレーソレヤ ヤットヤンソレサ)

 レソ(杵築市大片平)

  ☆レソー踊ろやしばらくしばしコラサノサ(オイサオイサ)

   どうで踊りはレソやんでなけりゃ(ソレソレーソレヤ ヤントヤンソレサイ)

 祭文(大田村小野)

  ☆花のお江戸のそのかたわらに(アーオイッサオイッサ)

   めずらし心中話(ソレイヤ ソラエヤットヤードッコイショ)

 レソ(山香町立石)

  ☆おうこかたげて 鎌腰さしてコラサノサ(ヨイサヨイサ)

   ヨイカナ 鎌腰さして(ソラエヤ ソラエヤット ヤンソレサイ)

 レソ(豊後高田市草地)

  ○じわりじわりと 文句と行こかコラサノサ(アーヨイショヨイショ)

   ヨイカナ 文句と行こか(ソラエヤ ソラエヤットヤーソレサ)

  ☆国は豊後の 高田の御城下コラサノサ(アーヨイショヨイショ)

   御城下本町 繁盛なところ(ソラエヤ ソラエヤットヤーソレサ)

 レソ(豊後高田市小田原)

  ☆一つ手を振りゃ千部の供養 コラサノサ(アーヤンシキドッコイ)

   二つ手を振りゃ万部の供養(ソラエヤ ソラエヤットヤー ソレサイ)

 祭文(大田村石丸)

  ☆ここに哀れな巡礼口説(ドシタドシタ)

   ヤッテンサンデ 巡礼口説(ソーレヤットヤー ドッコイショ)

 レソ(豊後高田市田染)

  ☆それじゃ皆さん レソやんでやろな レソはナー(ヨイショヨイショ)

   踊りようてまた品がよい(ソレソレソレー ヤットヤンソレサイ)

 レソ(豊後高田市田染 今下駄) 

  ☆それじゃ皆さん レソやんでやろかコラサノサ(ヨイショヨイショ)

   ソレソレ レソやんでやろか(ソレソレソレー ヤットヤンソレサイ)

 レソ(真玉町黒土)

  ☆わしが口説は ぬろうて速うてコラサノサ(アヨイサヨイサ)

   アソウカナ ぬろうて速うて(ソレガエヤ ソレガエヤットヤンソレサ)

 レソ(香々地町香々地)

  ☆やれさ音頭さんぬ 褒めたちゅなればコラサノサ(アドスコイドスコイ)

   ヨイカナ 褒めたちゅなれば(ソレーヤ ソレーヤットヤンソレサ)

 レソ(香々地町佐古)

  ☆主人忠義の 侍なるがコラサノサ(アドッコイドッコイ)

   何の不運か 無実の難儀(ソーレガエーヤ ソーレガエーヤ アトヤンソレサ)

 レソ(香々地町大高島)

  ☆髪を結うたり お化粧をしたりコラショイノショイ(アドッコイドッコイ)

   それが私は うらやましいの(ソーレガヨイヤ ソーレガヨイヤットヤンソレサ)

 レソ(香々地町小池)

  ☆人は一代 名は末代よコラサノサ(アヨイショヨイショ)

   ソレソレ 名は末代よ(ソーラエヤ ソーラエヤットヤンソレサ)

 レソ(西国東郡) ※俚謡集より

  ☆イヤサ皆さん踊ろじゃないか コラサノサ(アーヨイトコドッコイ)

   アーそうじゃな踊ろじゃないか ソーレーソレー ヤートヤンソレサ

 ソレ(西国東郡) ※俚謡集より

  ☆ソレをノー 踊るならしなよく踊れ しなのよいのを嫁にとろよ

   ソレーヤ ソレーヤ ヤトヤー ヤトヤー

  〇ちょいと私が一番入れましょか(入れましょか) 私の隣のその隣(その隣)

   一軒隣のその側に(その側に) やんそれ坊主があったげな(あったげな)

   やんそれ坊主は荒坊主(荒坊主) 米のまんまを七しょうけ(七しょうけ)

   粟のまんまを七しょうけ(七しょうけ) 小麦の餅を七しょうけ(七しょうけ)

   残さず余さずやりつけた(やりつけた) それでも足らぬと言いまして

   (言いまして) 八反畑の大根を(大根を) 根ながら葉ばがら食ってしもた

   (食ってしもた) 塩気が欲しいというときは(いうときは)

   尾永井の汐を十五駄(十五駄) 豪家の塩を十五駄(十五駄)

   水が飲みたいというときは(いうときは) 弥々のおもとにつんばって

   (つんばって) 乙女の浦を飲み干した(飲み干した) これも七つの

   イレコのうちよ ソレヤー ソレーヤ ソレーヤ ヤトヤー ヤトヤー

 レソ(国見町赤根)

  ☆やれさ音頭さんぬ 褒めたちゅなればコラサノサ(アドスコイドスコイ)

   ヨイカナ 褒めたちゅなれば(ソーレガヨイヤ ソーレガヨイヤットヤンソレサ)

 レソ(国見町櫛海・伊美)

  ☆国は大和の海津の村にゃコラサノサ(ドスコイドスコイ)

   判兵衛さんとて有徳にゃ暮らす(ソレーヤソレーヤートヤーソレサイ)

 レソ(国見町小熊毛) 

  ☆今のヨヤナで受け取りましたコラサノサ(ハードッコイドッコイ)

   いけばそれよし いかねばままよ(ソーラエーソーラエーヤットヤンソレサイ)

  ★先の音頭さんななかなかお上手コラサノサ(ハードッコイドッコイ)

   ソジャソジャ 長々ご苦労(ソーラエーソーラエーヤットヤンソレサイ)

 祭文(安岐町両子)

  ☆かえたかえたぞ祭文にゃかえた(アヨイサヨイサ)

   しばし間は祭文でやろな(ヨーイソレーヤートヤーソレサイ)

  ○待った待った待った音頭さん じいさんばあさんちょいとごめん

   ここらで止めるは無理じゃけど 十七八の小娘が 片手に花持ち線香持ち

   おんおんわんわん泣いていた どうして泣くのと訊いたれば うちの裏の竹山に

   紫竹破竹は生ゆれども 私のおそそにゃ毛が生えん それが悲しゅて泣いていた

   今のイレコはよくできました(アヨイサヨイサ)

   やれさそうともよくてきました(ヨーイソラー ヤートヤーソレサイ)

8、ヤッテンサン

 セーロ(山香町中・東・立石、杵築市王子、日出町藤原)

  ☆鈴木(セーロ) ア主水という侍は(ヤッテンセーロ)

 セーロ(杵築市下司)

  ☆鈴木(セーロ) ア主水という侍は (いう侍は)

  ☆女房(セーロ) 持ちにて二人の子供 (ヤッチンセーロ)

 セーロ(日出町赤松) 

  ☆さても(セーロ) 豊後の藤原村の(ヤッテンサンノ)

  ☆ヤレナ(セーロ) ソウジャナ藤原村の(ヤッテンサンノ)

 ヤンテコ(豊後高田市草地)

  ☆しばし(セーロ) しばらくヤンテコさんでやろな(ハ餅つくセーロ)

 ヤッテコサン(豊後高田市東都甲)

  ☆かえた(セーロ) かえたよヤッテコサンにかえた(ヤッテコサンノ)

 ヤッテンサン(安岐町大添) 

  ☆かえた(セーロ) かえたよヤッテンサンにゃかえた(ヤッテンセーロ)

 ヤッテンサン(安岐町西本) 

  ☆しばし(ヤッサッサ) 間はヤッテンサンでせろな(ヤーレショドッコイショ)

 ヤッテンサン(武蔵町糸原)

  ☆国は(セーロ) どこよと尋ねてきけば(ヤーレサドッコイショ)

 ヤッテンサン(大田村波多方・俣水)

  ☆よいさ(セーロ) しばらくヤッテンサンでせろな(ヤッテンセーロ)

 ヤッテンサン(大田村小野)

  ☆しばし(アヨイショ) 間は踊りておくれ(アヤッテンサンノ)

9、浦辺の唐芋

 臼すれ(豊後高田市東都甲)

  ☆ヤーレ臼すれ臼すれ(ヨーイヨヤナ) 臼すりましょか(サノサイ)

 六調子(豊後高田市草地)

  ☆誰もどなたも速いが(ヨンヤサヨヤサ) 速いがよかろ(ショイショイ)

 六調子(真玉町黒土)

  ☆人に意見も言う年(ヨーヤサヨヤサ) 言う年頃に(ショイショイ)

 六調子(香々地町小池)

  ☆四方四面に蔵建て(ヨーイヨイヤーヨイ)

   アドッコイショー 蔵建て並べ(ショイショイ)

 六調子(西国東郡) ※俚謡集より

  ☆ヨー 輪にゃなれ片輪にゃ(ヨーヤナ ヨヤナー)

   片輪にゃなるな アーショイショイ

 六調子(国見町赤根)

  ☆今度踊りは六調子(ヨーヤサヨヤサ) 六調子やろな(ソイソイ)

10、マッカセ

 マッカセ(豊後高田市草地)

  ☆ありゃさエー 踊りはマッカセと変わる(ソリャマッカセマカセ)

   東ゃ白んでも(ヨイヨイ) まだ夜は明けぬ(ドッコイドッコイショ)

   ヨーイナコラ まだ夜は明けぬ(ソラ ヤヤト ハーリハリ ヤヤノ ホーイソラ)

  ★肥後のエー 阿蘇山 南郷の手永(アラマッカセマカセ)

   村を申さば(ヨイヨイ) 松山村よ(ドッコイドッコイショ)

   ここに千石庄屋がござる(ソラ ヤヤト ハーリハリ ヤヤノ ホーイソラ)

 マッカセ(豊後高田市小田原)

  ☆踊るみなさん(ヨイヨイ) 厭いたよにゃござる(ドッコイドッコイショ)

   しなを変えましょこの次の句で(ヤットハーリハリ ヤーノエイエイ)

 マッカセ(国見町櫛海)

  ☆ヤーレそうじゃなマカセにゃ変えた(ソリャマッカセマカセ)

   しばし間は(コラショイ) しゃんきりしゃんと(オイオイ)

   アヨイサコリャ 踊りておくれ(ソリャ ヤヤト ハリハリ ヤヤノ ホイホイ)

 マッカセ(国見町伊美) 

  ☆金魚銀魚の鯉鮒生かす(ソラマッカセマカセ)

   まずは朝日の(コラセ) 御宝物は(インヤオイ インヤオイ)

   金の唐猫 まず一つがい(ソレヤートハリ ヤヤノオイ)

 マッカセ(国見町伊美)

  ☆金魚銀魚の鯉鮒生かす(ソーリャマッカセマカセ)

   まずは朝日の(コラショイ) 御宝物は(イヤホーイホイ)

   金の唐猫 まず一つがい(ソリャー ヤットハーリハリ ヤヤノホーイホイ)

11、エッサッサ

 エッサッサ(真玉町潮見)

  ☆ハー わしが出しましょ(ハエッサッサ) お粗末ながら

   唄の文句は ヤレ知らぬけど(ハエッサッサ エッサッサ)

 エッサッサ(豊後高田市東都甲) 

  ☆わしの若い時ゃ(ヨイヨイ) 夜の明けるまで

   盆の見合いで見合いをしたよ(エッサッサ エッサッサ)

 エッサッサ(国見町櫛海)

  ☆わしが若い時ゃ(アラエッサッサ) 伊美の浜へ通うた

   道の小草を ホンマニなびかせた(エーッサッサ エッサッサ)

 エッサッサ(国見町伊美)

  ☆踊り踊るなら(エーッサッサ エッサッサ) しなよく踊れ

   しなのよいのを ホンマニ嫁にとる(ハーエーッサッサ エッサッサ)

 エッサッサ(国見町赤根、国東町豊崎)

  ☆誰もどなたも(アエッサッサ) エッサッサにゃあいた

   あいたところで切り替えましょか(アエーッサッサ エッサッサ)

12、ネットサ

 ベッチョセ(杵築市加貫)

  ☆あなた百まで わしゃ九十九までイネート ともに白髪のノーヤレサー 生えるまで

   (ベッチョセベッチョセ カンコロベッチョ タントタント)

13、らんきょう坊主

 一つなーえ(山香町倉成)

  ☆一つナーエ ホント出します(ヨイヨイ)

   薮から笹を(つけておくれよ短冊を)

 らんきょう坊主(豊後高田市界)

  ☆それじゃナー コリャ出します(アヨイヨイ)

   薮から笹を(おくれよ短冊よ)

14、三つ星

 三つ拍子(豊後高田市草地、小田原)

  ☆肥後の熊本(ソーラヨーイヨ) 南郷の手長(ヨンヤセー コリャセー)

 三つ星(西国東郡) ※俚謡集より

  ☆肥後の熊本 ソーリャヨーイヨ なんごの手永 ヨイヤセヨイヤセ

 三つ拍子(西国東郡) ※俚謡集より

  ☆エーかんころ餅受け取りました(ヨヤセ ヨヤセ)

   アーそじゃそじゃ ソーラヨイヤ

15、ヨイヤサ

 手ぬぐい踊り(真玉町潮見)

  ☆月のひょいと出を夜明けを違うてヨ(ハドッコイセー)

   様を帰して気にかかる(ヨイヨイ ヨイヤサノ コラマカセ)

16、おけさ節

 おけさ(武蔵町糸原)

  ☆ハー佐渡へ 佐渡へと草木もなびくヨ(ハヨイトコラドッコイナー)

   佐渡はよいかえ すみよいか(ハヨイトコラドッコイナー)

17、糸引き踊り

 糸引き踊り(国見町伊美)

  ☆何が因果でヨ 糸引きを習うたヨ(アラ気を兼ね苦労するよ)

18、ストトン節

 ストトン節(杵築市大片平)

  ☆スットントンスットントンで通わせて 今さら嫌とは胴慾な(ヨイショ)

   嫌なら嫌だと最初から 言えばスットントンで通やせぬ

   (アスットントン スットントン)

19、ヨイトマカサ

 盆口説(別府市東山)

  ☆国は京都の西新町よ(ヨイトセードッコイセ)

   音に聞こえし白銀御門(ササヨイトマカサッサーヨイトマカサ)

20、切り返し

 盆口説(別府市向浜)

  ☆娘十八ゃ番茶の出花(ヨイヨイ)

   早く乗らなきゃ ヤレ人が乗る(ヨヤサノセー ヨヤサノセ)

21、三勝

 三勝(山香町立石)

  ☆よんべ山香の踊りを見たら(ヤンソレサッサーヤンソレサ)

22、さんごや

 さんごや(西国東郡) ※俚謡集より

  ☆エー さんごや 四十目の相撲取り様を見やれや(アラドスコイドスコイ)

23、相撲取り踊り

 相撲取り踊り(西国東郡) ※俚謡集より

  ☆エー 豆腐の口説をやるなれば 私程因果な者はない(オイオイ)

   九丁の箱にぞ詰められて 上から重石かけられて 一丁二丁と切り売られ

   友達ないかと尋ぬれば(オイオイ) 友達お花とあるけれど

   一文二文のつかみ売り(オイオイ) 親はないかと尋ぬれば 親は野山のエー

   豆の木よ オショカ ショカ ショイ

メモ:現在の豊後高田市・国東市・杵築市(山香町向野・山浦・上・南畑除く)・日出町(南畑除く)・別府市(天間・内成除く)をまとめて紹介した。当該地域では曲目の伝承状況から、「国東半島西部」と「国東半島東部・速見」の2つに大きくグループ分けすることができる。しかし基本となる曲目は、呼称は違えどほぼ全域に伝承されていることから、ひとまとめに紹介しても差し支えないと判断した。この地域で最も著名な踊りは豊後高田市草地の「草地踊り」で、現在4種類に限られているが、昔は12種類ほどの踊りがあったという。それらは近隣地域と共通のものが多いので、たとえば草地で廃った「杵築踊り」や「ヤンテコ」なども、近隣にはまだ残っている。このことから「草地踊り」のみを別項扱いすることはせず、比較の目的もあり一緒に紹介することにした。 ほかに、山香町・豊後高田市田染・大田村の「山家踊り(山香盆踊り)」も著名だが、「山家踊り」には地域によって、宇佐方面の「まっかせ踊り」の曲目に偏っているところと、速見・国東方面の曲目に偏っているところがあり、きっちりと線引きすることができる。そのため、ここでは「山家踊り」でひとまとめにすることは避け、「山家踊り」のうち山香町向野・山浦・上・南畑で踊られているものについては別記事「大分県の民謡 盆踊り唄その8」の「まっかせ踊り」の項目に加えた。日出町南畑、別府市天間も同様に「まっかせ踊り」に加え、ここでは除外した。また別府市内成の盆踊り唄についても、石城川方面のものと共通のため、除外した。 かつて、国東半島・速見地方は盆踊りの非常に盛んな土地柄であったが近年は衰退著しく、曲目が減っている。種類の多いのは大田村小野や豊後高田市東都甲、国見町赤根・櫛海、山香町などで、7~5種類程度は踊っているが、その他の地域は3~4種類がほとんどで、2種類のみになっているところも多い。豊前踊りや六調子(杵築踊り)はやや手数が多いが、簡単な踊りばかりで親しみやすい。かつては漁村や市街地など屋敷の坪の狭い地域以外の全域で、初盆の家を門廻りで1軒ずつ踊ってまわったほか、地蔵踊り、観音様踊り、八朔踊りなども盛んに行われた。また、初盆の門廻りの踊りをしない土地では、浜などで明け方近くまで寄せ踊りをしたり、魚霊供養、戦没者供養などの名目で数日間に亙り踊りが続くことも珍しくなかったという。今は年に1回しか踊らないところばかりだが、それでも、昔と同じようにテープやCDなど使わずに、集落の人が音頭・太鼓を担っているところがほとんどである。また、豊後高田市小田原・田染・草地猫石、真玉町大村、国見町櫛海など一部地域では、今なお初盆家庭の門廻りの踊りをしている。

 

俚謡「姫島の盆踊り唄」(姫島村)

☆唄えと責めかけられた(ノホホーヤホイ ソレワサ) ア唄いかねたよこの座敷

 (この座敷) ノホホーヤホイ ソレワサ (ア唄いかねたよこの座敷)

☆座敷はめでたい座敷(ノホホーヤホイ ソレワサ) ア鶴と亀とが舞い遊ぶ

 (舞い遊ぶ) ノホホーヤホイ ソレワサ (ア鶴と亀とが舞い遊ぶ)

メモ:姫島の盆踊りには狐踊り、綾踊り、銭太鼓、猿丸太夫の4種類のほかに、田植え踊り、たぬき踊り、お夏清十郎踊りなど毎年のように新作踊りが作られている。新作踊りはその年だけのものもあれば好評を呼び繰り返しかかるようになったものもあり、今は合計で50種類近くになるそうだ。踊りにはいろいろと種類があるが、唄は全ての踊りに共通で、これ1曲のみである。頭3字を伏せ、各節を尻取りのように唄い継ぐのが特徴。国東半島各地に伝わるレソ、六調子などいろいろな唄の中で、姫島の盆踊り唄に似ているものを探しても全く見つからない。国東半島どころか、大分県内に同種の唄は全く伝わっていないようだ。瀬戸内の島々から伝わって姫島に留まった唄なのか、あるいは姫島で生まれた唄なのかは定かではないが、とにかくこの唄は姫島にしか伝わっていない。カッコ内の部分は「中踊り」の踊り手が唄う。各節終わりの部分と唄い出しの部分が重なっており、たとえば踊り手が「この座敷」と唄い終わらないうちに音頭取りが「座敷は…」と唄いはじめるのがおもしろい。そのことと頭3字を欠いていることもあって、一口口説の唄なのに尻取りのように連ねていくことで、ある種の連続性を持たせることができており、なかなか興趣に富んでいる。

 

俚謡「別府ばやし」(別府市向浜)

☆ハーエー 浜の漁師の嫁ごにゃなるな(サテサテサテサテ)

 取れた取れたにエー 片ば嫁(サイサイサイサイ)

☆ハーエー ヤサンヤレコと櫓を漕ぐ腕も(サテサテサテサテ)

 明日は明日のエー 風による(サイサイサイサイ)

☆ハーエー どげんこげんと云われちゃみても(サテサテサテサテ)

 潮に逆さのエー 櫓は漕げん(サイサイサイサイ)

☆ハーエー 上り下りの潮にもよるが(サテサテサテサテ)

 けばのあるなしゃエー 風による(サイサイサイサイ)

☆ハーエー 大漁々々にゃ迎え火焚いち(サテサテサテサテ)

 岸じゃ嫁ごもエー 恵比寿顔(サイサイサイサイ)

メモ:浜町、向浜の盆踊りで古くから唄われた唄で、昭和40年か50年頃に鎌田英一がEPに吹き込んで以来、別府市内に広く普及した。今はどこの盆踊りでもそのEPの音源を利用するばかりで、元唄の雰囲気は全くわからない。おそらく曲調からして、下ノ江節とかじょうさ節などのような騒ぎ唄だったものを盆踊りに転用したのだろう。今は綾棒を打ち合わせて踊っているが、これはそう古い踊り方ではないと思われる。

 

俚謡「別府踊り(猿丸太夫)」(別府市浜脇)

☆踊り踊らばしなよく踊れ しなのよいのを嫁にとる

 (アリャヨイトサノ) ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤサ

☆別府踊りはどこでも流行る 差す手引く手のしなのよさ

 (アリャヨイトサノ) ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤサ

メモ:鶴崎踊りの猿丸太夫が入って来たもので、昔、市街地を中心に踊られていた。タイヘイから戸山愛子がレコードに吹き込んでいるが、それを聴いてみると鶴崎踊りのものよりもほんの少しテンポが速い上に端唄風の節回しになっており、三味線も賑やかで騒ぎ唄のような雰囲気。座興唄として唄われることもあったのだろう。

 

俚謡「別府流し」(別府市浜脇) 

☆郷土の名物流しは冴える(ヨーイヤナ コレワイセ)

 月もヨイヤサで ヤンレ 踊り出す

 (ヤートコセーノ ヨーイヤナ アレワイセ コレワイセ ナンデモセ)

メモ:別府市街地において盆踊り唄として古くから唄われたもの。ただし「祭文」や「二つ拍子」「三つ拍子」など、一連の「盆口説」の唄とは毛色が違うため、別項扱いとした。この唄は伊勢音頭の変調で、踊り方は祭文と同じ。文句はなんでもよいが、新作の歌詞を乗せて赤坂小梅が「別府流し」のタイトルで、市丸が「別府流し唄」のタイトルでレコードに吹き込んでから、その文句に固定された。小梅や市丸のレコードはよく親しまれ、別府市街地において地踊りが下火になってからもしらばくは「別府音頭」や「瀬戸の島々」「別府湯けむり」等の新民謡踊りの合間によく踊られていた。しかし、平成に入ってからは踊られることは稀になってきている。

その3

俚謡「大分地方の盆踊り唄」

1、祭文

 祭文(挾間町谷)

  ☆国は長州三田尻のホホンホー(アラヨイショヨイショ)

   一の港にかこ町と(ソレエー ソレエー ヤトヤンソレサ)

 祭文(挾間町阿鉢)

  ☆ハー 十五夜お月さんに蓑着せて(アラヨイショヨイショ)

   毛のある中から月さがす(ソレエー ソレエー ヤトヤンソレサ)

 祭文(挟間町朴木)

  ☆一人娘の おさよとてホホンホー(アヨイショヨイショ)

   年は十五の蕾花(ソレエー ソレエー ヤトヤンソレサ)

 祭文(挾間町挟間・七蔵司)

  ☆心もいたり夕顔のホホンホー(アラヨイショ)

   情けも深き振袖に(ソレエー ソレエー アトヤンソレサ)

  ☆文玉草の絶え間なきヒヒンヒー(アラヨイショ)

   ここに信濃のお足軽(ソレエー ソレエー アトヤンソレサ)

 祭文(庄内町小野屋)

  ☆エー向かいお山で 鹿が鳴くホホンホー(アヨイショヨイショ)

   寒さで鳴くか妻呼ぶか(ソレエー ソレエー ヤトヤンソレサ)

 祭文(野津原町辻原) 

  ☆国は長州 三田尻のハハンハー(アラヨイショヨイショ)

   一のお寺に伝照寺(ソレーヤ ソレーヤ アトヤンソレサー)

 祭文(野津原町竹矢)

  ☆寺も数々 ある中にヒヒンヒー 中をとりわけ伝照寺

 祭文(野津原町野津原)

  ☆鮑腸ぬべぬべ今夜の夜食 チリテンツンシャン(アラヨイショヨイショ)

   早くぬばねば夜が明ける(ソレエンヤ ソレエンヤ ヤットヤンソレサ)

2、祭文

 猿丸太夫(挾間町挾間)

  ☆わしが思いは 宇曽山やまよコラサノサ(ヨイショ ヨイヨイ)

   他に木はない松ばかり(ソレエー ソレエー ヤットヤンソレサ)

 猿丸太夫(挾間町朴木)

  ☆猿丸太夫 奥山のコリャホンカイナ(ハヨイショヨイショ)

   紅葉踏み分け鳴く鹿の(ソレエー ソレエー ヤートヤンソレサ)

 祭文(挾間町内成)

  ☆関の女郎見てうちのカカ見れば コラサノサ

   千里奥山 古狸(ソレエー ソレエー アトヤンソレサー)

 祭文(別府市内成)

  ☆よんべ夜這いどんが二階から落てたコラサノサ(ヨイショヨイヨイ)

   窓の下からニャオニャオと(ソレエー ソレエー ヤットヤンソレサ)

3、三勝

 三勝(挾間町挟間)

  ☆わしの思いは宇曽山やまよ(ヤレショー ドッコイショー)

   ほかに木はないただ松ばかり(アラヤーンソレソレ ヤンソレサイ)

 団七踊り(挾間町来鉢)

  ☆肥後の熊本小柳村に(ヤレショー ドッコイショ)

   権佐殿とて小分限ござる(ヤーンソレソレ ヤンソレサ)

 三勝(別府市内成)

  ☆姉と妹に紫着せて(ヤレショードッコイショ)

   どちら姉やら妹やら(アラヤーンソレソレ ヤンソレサ)

4、田の草

 竹刀踊り(野津原町諏訪)

  ☆盆の十六日おばんかて行たら(サノヨイ サノヨイ)

   叩き牛蒡に昆布の煮しめ(サノヨーヤセ ヨーヤーセー)

 三勝(挟間町朴木)

  ☆ハー 聞いて目連うち喜んで(ヨイトセー ヨーイヨイ)

   五百羅漢のお弟子を寄せて(アーヨヤサノセー ヨーヤーセー)

 田の草踊り(別府市内成)

  ☆腰の痛さよこの田の長さ(ヨイトセードッコイセー)

   四月五月の ソリャ日の長さ(ヨヤサノセー ヨーヤーセー)

 田の草踊り(挟間町内成)

  ☆親の意見と茄子の花は(ハードッコイセー ドッコイセー)

   千に一つの ソリャ無駄もない(ハーヨヤサノセー ヨーヤーセー)

 田の草踊り(挾間町朴木)

  ☆貰うた貰うたよ先様お上手(ヤレショー ドッコイショー)

   貰うにゃ貰うたがお上手の後じゃ(ハラヨヤサノセー ヨーヤセー)

 田の草踊り(挟間町谷・石城川)

  ☆盆の十六日 おばんかて行たりゃ(ヨイトコセー ドッコイセ)

   茄子切りかけ 不老の煮しめ(アラ ヨヤサノセー ヨヤサノセー)

 二つ拍子(庄内町渕)

  ☆イヤー 一で神霊 矢口の渡し(ヤレショー ドッコイショー)

   二つ舟屋の頓兵衛が娘(アラヨイサノセー ヨイヤサノセー)

5、切り返し

 切り返し(別府市内成)

  ☆今宵踊りはお供養の踊り(サノヨイ)

   足もだゆかろ 手もだゆかろが(アラヨヤサノセー ヨーヤロセー)

 切り返し(挾間町内成)

  ☆阿波の鳴門の徳島町よ(ヤレショー)

   主人忠義な侍なるが(アラヨイヤサノセー ヨーヤーセー)

 切り返し(挾間町朴木)

  ☆国は長州 赤間の関に(ヤレショー)

   関に千軒並びはないが(アーヨヤサノセー ヨーヤーセー)

6、蹴出し

 けつらかし(別府市内成、挾間町内成・古野・石城川、大分市国分)

  ☆日出の山家の踊りを見たか おうこ担いで鎌腰差して(ヤレショーヤレショ)

7、二つ拍子

 二口返し(挾間町内成)

  ☆竹のコリャ 切株 みかんの接穂(チョイトサ チョイトサ)

   それが接がれば枯木に花よ(ハエーイサッサ エイサッサ)

 二つ拍子(挾間町朴木)

  ☆地獄かかずに八万余巡(チョイトサー チョイトサ)

   あれに沈みし母君こそは(アラエーイサッサー イヤコラサイ)

8、しんぱんくずし

 三つ拍子(挟間町古野)

  ☆思い出しては写真を眺め(エレショー ヨイヨイ)

   なぜに写真が ソレもの言わぬ(ハヨイトサノセッセ ヨイトサノセ)

 しんぱんくずし(挾間町朴木)

  ☆一に神霊 矢口の渡し(アレワイサー コレワイサー)

   二つ船屋の頓兵衛館(ササ ヨイトサノセッセー ヨイトサノセー)

9、三調子

 三調子(挾間町朴木)

  ☆人は一代 ホホ名は末代よ(ヤーレナー ヤーレナー)

   発ちて行くともあと名を残せ(ササ ヤレトコヨイナー ヤッテイナー)

10、伊勢音頭

 兵庫節(挾間町朴木)

  ☆あなたナー ゆえなら(ハハヨイヨイ) わしゃどこまでも

   (アラソーコセー ソーコセー)

   「アラ正月二月は神の月 花の三月 桃の花 飲みの四月に蚊の五月 コラ

    六月土用が晴天で 盆の七月来たならば 踊ろが競ろがそりゃままよ

    竹の八月 木の九月 コラ 十月木の葉の落ちるまで

    霜月霜の降る夜さも コラ アラ極月 雪の降る日まで」

   待ってナー いますよ コラヤンレショ どこまでも(アラソレカラ

   ヤートコセーノ ヨーイヨナ アラ アレワイセー コレワイセーノ しょうご節)

  〇今宵ナー 逢いましょ(ハハヨイヨイ) 踊りの中で

   (アラソーコセー ソーコセー) 紅緒ナー ぞうりを コラヤンレショ

   目印に(アラソレカラ ヤートコセーノ ヨーイヤナ

   アラ アレワイセー コレワイセーノ しょうご節)

11、ヨンゴヨンゴ節

 扇子踊り(挾間町北方)

  ☆盆が来たならネー(ハラドッコイ) 踊ろや競ろやオチュチューラドン

   (ハラヨイショ) しなの良いのを嫁にとる(ハーラヨーンゴヨンゴ)

12、覗き節

 大正踊り(挾間町北方・柏野)

  ☆賀来がた辺の魚釣りは 国分煙草を腰にさげ 横瀬にゃばっちょ笠ひっかぶり

   鶴田をかたげて向原 ここは行かりょか同尻の 広津留魚は食いつかれ

   おどいおどいと鬼瀬を 通り過ぐれば池の上 池にも魚はおらんので

   持病の蛇口を引き起こす アー ドコイヤサッサト

13、六調子

 六調子(挾間町古野)

  ☆鯉の滝登り何と言うて登る(チョイトサー チョイトサー)

   ショボショショボショと言うて登る(アーヨンサノサイサイ イヤマカサイ)

14、オヤマカチャンリン節

 オヤマカチャンリン(挾間町朴木)

  ☆ハー おやま買うよなたいまな金が

   あれば味噌買うておじや炊け オヤマカチャンリン

  ☆ハー お山ちゃんちんさんで儲けた銭を

   おやまで取らるりゃ是非がない オヤマカチャンリン

メモ:挾間町周辺の盆踊り唄をひとまとめに紹介した。具体的な地域は、庄内町(阿蘇野を除く)、挾間町、別府市内成、野津原町(今市を除く)、大分市八幡(田ノ浦を除く)・国分・賀来・稙田である。この一帯は伝承の盆踊りの曲目が似通っており、地域差はあるも同時に紹介して差し支えないと判断した。この中で最も踊りの種類が多かったのは挾間町朴ノ木や挾間町・別府市内成で、それぞれ10種類以上を踊っていた。しかし別府市内成では伝承の踊りが全く廃絶し、朴ノ木でも種類は減っているようだ。その他の地域では多くても3~4種類程度を残すのみである。この地域は盆踊りの衰退が著しく、特に大分市国分・賀来・稙田では、旧来の踊りはほぼ廃絶している。鶴崎踊りの影響著しく、祭文も鶴崎踊りのそれになっており、本来行われていた祭文や、三勝、けつらかし等の古い踊りは全く途絶えてしまっている。大分市八幡でも、古くから唄われた祭文は廃絶し、鶴崎踊りが幅を利かせている。ただし、採集はできていないが、八幡でも白木周辺では「江州音頭」や「おけさ」等を盛んに踊っているという。紡績工場があった関係で出稼ぎに行ったり来たりする中で、「はやり唄」が入ってきて盆踊りに定着したそうだ。このことから、ある程度は郷土化しているのではないかと思われる。ほかにも旧大分郡では、挾間町のオヤマカチャンリン節や覗き節、兵庫節ほか、別項にて紹介した津鮎踊り(湯布院町)の恋慕、チリリン、五尺手拭など、古い流行唄の転用が目立つ。昔は、流行唄を盆踊り唄に転用した挙句に郷土化させるほどに、盆踊りが盛んだったということだろう。

 

俚謡「扇子踊り(ヨーホイ)」(大分市田ノ浦)

☆国は近江のホーエ 石山(ホイ) 源治ヨーホエ 源治(コラセ)

 娘におツヤというて(ヨーホイヨーホイ ヨーイヤナー ハーハエー)

☆おツヤいくつかホーエ 今年で(ホイ) 七つヨーホエ 七つ(コラセ)

 なるとき遊びに出たら(ヨーホイヨーホイ ヨーイヤナー ハーハエー)

メモ:大分市田ノ浦集落に伝わる扇子踊りの唄で、唄も踊りも、近隣地域に類似するものが全く見当たらないため、別項扱いとした。節は、臼杵市以南の沿岸部で唄われる「ヨーヤセー」の節と同系統かもしれないが、印象はずいぶん異なる。県内にはたくさんの種類の扇子踊りが残っているが、別府湾沿岸ではここだけである。どうして局地的に扇子踊りが伝わっているのか定かではないが、或いは、四国方面からの伝来かもしれない。県内の扇子踊りは、扇子をクルリクルリと回しながら踊るものが目立つが、田ノ浦の扇子踊りは扇子の扱い方がずいぶんゆったりとしている。難しい所作ではないがごまかしがきかないし、手数が多く、なかなか難しい踊りである。地区の供養踊りのときに、別府の新民謡「温泉踊り」「別府音頭」や、鶴崎踊りなどと一緒に踊られている。

 

俚謡「鶴崎踊り」(大分市鶴崎)

1、猿丸太夫

 ☆来ませ見せましょ鶴崎踊り いずれ劣らぬ花ばかり(ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤサ)

 ☆娘島田に蝶々がとまる とまるはずだよ花じゃもの(踊りは 花だよ 花だよ)

2、祭文

 ☆豊後名物その名も高い 踊る乙女の品のよさ(ソレエー ソレエー ヤトヤーソレサ)

 ☆清き流れの大野の川に 月に浮かべた屋形船(ソレエー ソレエー ヤトヤーソレサ)

メモ:おそらく、大分県内に数多い盆踊りの中でも最も著名なもので、全国的に知られている。昔は2週間近く連続で、毎晩のように盆踊りをしていたほど踊り熱心な土地で、香淳皇后の御前で披露したことが絵葉書等で宣伝されたり、SP盤が発売されたりしたこともあり、戦前から全国的に知られていた。県内他地域の盆踊りでは5~10曲程度をひとまとまりにして踊りを切り替えながら順繰りに踊るか、または同じ唄を延々と繰り返す中で、扇子踊りだの手踊りだの、めいめいが好きな踊り方で踊ることが多い。この点、鶴崎踊りはちょっと毛色が違っていて、延々と猿丸太夫を踊り、ハネ前に祭文を少し踊るのが慣例である。このことからもわかるようにメインは猿丸太夫で、大分県内の他地域では、「鶴崎踊り」といえば「猿丸太夫」を指すほどよく知られた唄・踊りである。一頃は県下一円で流行していたようだ。猿丸太夫は大野・直入地方や大分地方の一部に残っているほか、昔は速見地方(別府市、山香町)辺りでも踊っていたし、祭文に至っては節・踊りともに各地各様だが、ほぼ全域に残っている。それらのほとんどが口説と太鼓に合わせて踊る素朴なものだが、鶴崎踊りのものは三味線や胡弓などを加えて、ずいぶん洗練されている。その一方で土着性は薄まっており、かつては祭文で段物も口説いていたようだが、今は当たり障りのない上品な文句しか唄われていない。ともあれ、大正末期以来の流行のほどはすさまじく、近隣地域(現在の大分市のほぼ全域)の盆踊りがほとんど鶴崎踊りに同化し、近隣でもともと行われていた踊り(三勝・祭文等)を駆逐するに至っている。その盛なること、踊り開催日が盆明けの土日に限られるようになった近年でも衰えをしらず、趣向を凝らした衣装で差す手引く手も艶やかに、豪華絢爛のおどり絵巻が繰り広げられている。

 

その4

俚謡「北海部地方の盆踊り唄」

1、祭文

 祭文(大分市細)

  ☆日照り続きの雨乞いまつり ヤレホンカイナ(アドスコイドスコイ)

   九六位お山の水もらい(ソレーヤ ソレーヤ ヤットヤンソレナ)

 祭文(大分市坂ノ市)

  ☆どうでさえもんな府内がもとよ ヤレホンカイナ(アドスコイドスコイ)

   府内どころか臼杵がもとよ(ソレーヤ ソレーヤ ヤトヤンソレサー)

 祭文(大分市坂ノ市屋山)

  ☆盆の十六日おばんかて行たら ヤトセッセセ

   たたきごぼうに ふろうの煮しめ(ヤートセー ヤートセー)

 祭文(大分市丹生)

  ☆どうで祭文な府内が元じゃ サッコラサーノサー

   府内どころか臼杵が元じゃ(ソレー ソレヤート ヤンソレサー)

 祭文(佐賀関町大志生木)

  ☆あの娘かわいや コラ牡丹餅顔よ ホホイノホイ(アヨイショヨイショ)

   黄粉つけたら コラなおかわい(ソレーヤ ソレーヤ ヤトヤンソレナー)

  △一合升 二合升 三合升(アヨイショ) 四合升 五合升 六合升(アヨイショ)

   七合升 八合升 九合升(アヨイショ) 私とあなたは一升升(アヨイショ)

   一緒になれば寝られます(アヨイショ) 寝れば布団がふくれます(アヨイショ)

   ふくれりゃピョンコピョンコ動きます(アヨイショ) 動けば黄汁がこぼれます

   (アヨイショ) こぼれりゃ布団が汚れます(アヨイショ)

   汚れりゃおっかさんに叱られる(アヨイショ)

   朝も早うから コラ布団の丸洗い(ソレーヤ ソレーヤ ヤトヤンソレナー)

2、祭文

 祭文(大分市吉野)

  ☆わしはナ 田舎の百姓の生まれ(アヨイトサッサー)

   音頭ナ とるよな資格はないが(アソレ ヤートセー ヤートセ)

 祭文(臼杵市西海添)

  ☆臼杵名物さえもん踊り(ヨイトサッサー)

   見せてあげたや聞かせたや(ハーヤートセー ヤートセ)

 祭文(臼杵市深田) 

  ☆今度サ 踊りましょ祭文踊り(ヨイトサッサー)

   どうでサ 踊りは祭文でなけりゃ(ソラー ヤートセー ヤートセ)

 祭文(臼杵市佐志生桑原)

  ☆貰うた 貰うたよ音頭を貰うた(アヨイトサッサー)

   合えばそれよし 合わなきゃままよ(ソリャ ヤートセー ヤートセ)

 三勝(津久見市堅浦)

  ☆国は豊州 海部の郡(アヨイトサッサー)

   佐伯ご領は堅田の宇山(ソレーヤートセー ヤートセ)

 三勝(津久見市長目)

  ☆国は豊州 海部の郡(ヨイトサッサー)

   佐伯ご領は堅田の宇山(ソレー ヤートセーノ ヨイトマカセー)

3、祭文

 祭文(津久見市日見) 

  ☆アー帰命頂礼 アー弥陀如来(ソリャーヤレ)

   アー大慈 エー大悲のご請願(ソリャエーイヤセーノ エーイヨナー)

 祭文(津久見市久保泊)

  ☆ヤレ 南無阿弥エー 陀仏や南無阿弥陀仏エー(ソリャーソリャ)

   南無阿弥陀仏と回向する(イヤヨーイヤセー ヨーイヤセ)

  ☆ヤレ 一つエー 二つや三つ四つエー(ソリャーソリャ)

   十より下の幼子が(イヤヨーイヤセー ヨーイヤセ)

4、三勝

 三勝(大分市細)

  ☆盆のナー 十四日にゃおばんかて行たら(アヨイトコナー ヨイヨイ)

   ヤレサーヨイヤナデ おばんかて行たら(サーヤーンソーレ ヤンソレサ)

 三勝(大分市小佐井)

  ☆ハ誰もどなたも三勝さんでやろな(ソレナーヨイヨイ)

   ハどうで三勝さんな品よい踊り(ソレヤーンソーレ ヤンソレサ)

 三勝(大分市丹生)

  ☆盆の十六日 おばんかて行たら(ドッコイナーヨイヨイ)

   なすび切りかけ ふろうの煮しめ(ソラヤーンソーレ ヤンソレサ)

 三勝(大分市坂ノ市)

  ☆アここでマー 説きだす口説の文句(ヨイトナーヨイヨイ)

   ヤレサヨイヤサデ 口説の文句(サーヤーンソレソレ ヤンソレサ)

 木佐上踊り(佐賀関町木佐上)

  ☆盆の踊りは伊達ではないで(ハーヨイトナーヨイヨイ)

   ヤレーヨイヤナーサー 伊達ではないで(アーヤーンソーレ ヤンソレナー)

 三勝(佐賀関町神崎)

  ☆ハー 盆の踊りは伊達ではないで アー先祖祖先のヨー 供養の踊り

5、エイガサー節

 由来(臼杵市下市浜)

  ☆それじゃしばらく由来をやろな

   誰もどなたもよく聞きなされ(ハイヨーイサッサイ)

 三勝(臼杵市塩田・深田)

  ☆先のマー 太夫さんな わし貸しなされヨー わしがマ

   コリャ 借りても長くはやれぬ(エーンヤサーノサイ)

 三勝(大分市吉野)

  ☆わけてマ お客は どなたと訊けば

   春はマ 花咲く 青山辺の(エーイガサーッサイ)

6、サンサ節

 きそん(佐賀関町一尺屋)

  ☆ハーエー 揃うた揃うたよナ(ソレーソレ) 揃うたエーヘ(ヨーイヨーイヤナー)

   揃うたよエーイコリャサーンサー(アーエーンエーンサーンサー)

   揃うたよナ 踊り子が揃うた(アリャ稲の出穂よりなお揃うた アリャレー)

 きそん(佐賀関町木佐上)

  ☆五万石じゃノーエー(エヤエーヨー) 五万石ヨナー(ソレーソレ)

   臼杵ゃアーエー(アーヨーイヨイヨナ) 五万石ヨエーコノサンサ

   (アーエンゲンサンサ) ドッコイサーハレバイサは田舎相撲よナ

   広いようで狭い(私に似合いの妻はないハレバエー)

 きそん(佐賀関町白木)

  ☆コラ宮島はエー ソラ五万石はエー(ソレーソレ) 安芸のナーエー

   (アーヨーイヨイヨナ) アー宮島はエー エイコノコリャサンサ

   (アーエンエンサンサ) アヤンサーデーそら誠かよ 廻れば七里ヨ

   ソリャ(浦は七浦) ドッコイ(七恵比寿 ハレバエー)

 絵島(大分市吉野)

  ☆ここシャンと切りましょナ ナー竹の

   切りよりゃ アレワイサノ コレワイサノ ヤーヤーコノ サンサヨーイヨイ

 切り上げ(臼杵市深田)

  ☆アーソレ なんと切りましょうな 竹の切りどころ

   アレワイサーノ ヤーヤーコーノコノ サーンサー ヨーイヨイ ヤー切りヨー

   ハンハーヨーイヨイ 切りヨー 竹のナー ヨーイヨーイ 切りよでナー 竹の

   切りよでたまりし水は 澄まず ハー濁らず 出ず入らず

   アレワイサーノ ヤーヤーコーノコノ サーンサー ヨーイヨイ

 サンサ節(臼杵市大浜)

  (入れ節)

  ◇待った待ったちょいと待った(ヨイショ) あんまり音頭がよい故に(ソリャ)

   私がちょっくら入れ拍子(ヨイショ) お盆の踊りは伊達じゃない(ヨイショ)

   先祖祖先の供養踊り(ヨイショ) 手拍子揃うて踊りましょ(ヨイショ)

   はがゆて音頭取りゅ だましたがエーイコラサンサ アラエーイエーイサンサ

  ☆ヤレ山からエーイヤレ 山からナー 高いエー(ヨーホイヨーヨナ)

   アー高い山からエーイコリャサーンサ(アーエーイエーイサーンサ)

   イヤエイエイさんさのよい調子ぞな アー谷底見れば イヤ瓜やイ

   茄子は花盛りハレバエー

 サンサ節(臼杵市佐志生桑原)

  △もらいましょな 音頭ヨーホイナ(アーヨーホイヨーイヨナ)

   もらいましょエイコリャサンサ(アーエーイエーイサーンサ

   さんさま何でもみなよく揃うた(ジャロ秋の出穂よリャ)

   アーソコソコ(アーソレよく揃うたハーリャエー)

 切音頭(津久見市四浦)

  ☆ソレ五万石よナ(ヨホホ) 臼杵ゃエ(ヒンヤ ヨイヨイヨイヨナ)

   臼杵ゃエ(ソリャーソリャ) 五万石サ エーコノサンサ(ヤレエイエイサンサ)

   「ソレ若い衆張り込め 今宵が限りぞな」

   臼杵の城は(ヤレ根から生えたか エイエイ浮き城か ヤレコラセ)

  ☆ソレ宮島はナ(ヨホホ) 安芸のエ(ヒンヤ ヨイヨイヨイヨナ)

   安芸のエ(ソリャーソリャ 宮島はサ エーコノサンサ(ヤレエイエイサンサ)

   「ソレ丁とれ半とれ 娘にゃ婿とれ」

   まわれば七里(ソレ浦が七浦 エイエイ七えびす ヤレコラセ)

 取立て音頭(津久見市日見)

  ☆エーヤレ 取立てちょうどナー エーエー おん踊りようナー

   (エーイエーイエーイヨナ) アラ踊りよう取立てちょうど

   エーエイコーノサーンサ(アラエーイエーイサーンサ)

   「アラさんさの太鼓に 手拍子揃えてノー」 踊ろじゃないかいな

   (ヤレ 踊り明かそうやエーエ 夜明けまでヤレコリャセー)

7、お夏

 お夏(臼杵市塩田)

  ☆お夏サマエー 夏々夏吊る蚊帳はヨー エー冬にゃマ(ハサイサイ)

   吊られぬただ夏ばかり(ハヤンソレサッサ ヤンソレサ)

 お夏(臼杵市西海添・深田)

  ☆先のサーエー 太夫さんヨ 長々ご苦労ヨイ エしばしナ(ヨイヨイ)

   アラ間はおよこいなされ(ソリャ ヤンソレサッサー ヤンソレサ)

 お夏(臼杵市久木小野) 

  ☆そうじゃどなたも お夏でござるハンハー 踊るマ(ドッコイドッコイ)

   皆さんお手振りなおせ(ソレヤンソレサッサー ヤンソレサ)

8、葛引き(臼杵市久木小野)

  ☆一で声よし 二で節のよさ(ソリャヤンソレナー サーヤンソレナー)

9、一尺屋踊り

 一尺屋踊り(佐賀関町一尺屋、臼杵市佐志生)

  ★待て待てちょいと声がわり(オイナーソレナーソレ)

   声がかわれば文句も変わる(アーヨーヤセー ヤートセー)

  ☆わしのエーヘー(アヨーイヤヨーヤセー) 音頭は今宵が初よ

   (オイナーソレナーソレ)初の音頭なら合うかもしれぬ

   (アーヨーヤセー ヤートセー)

  <入れ節>

  〇花のお江戸のそのかたわらに(アーヨーヤセー ヤートセー)

10、大志生木踊り

 大志生木踊り(佐賀関町大志生木)

  ☆アー 鯛の刺身で酒飲むように(ヨイヤセーコリャセー)

   アラ ヨーヤナレーデー 酒飲むように(アラヨーイヤセー ヤートセ)

11、ヨーヤセ節

 佐志生踊り(臼杵市佐志生尾本)

  ☆金毘羅様は漁師のために(ヨイナーソレサー)

   海の安全願ってくれる(アーヤートセー ヤートセ)

 佐志生踊り(臼杵市佐志生桑原)

  ★あいそうじゃいそうじゃいその囃子なら(ヨイナーソレサー)

   わしの音頭もまた浮いてくる(アーヤートセー ヤートセ)

  ☆今日の踊りは地蔵さんの踊り(ヨイナーソレサー)

   踊るみなさんお手振りなされ(アーヤートセー ヤートセ)

 板知屋踊り(臼杵市板地屋)

  ☆国は豊州海部の郡(ヨイヤナー アーラサ)

   佐伯領土や堅田の谷よ(アーヨイヤセー ヨーヤセー)

 大浜踊り(臼杵市大浜)

  ☆町の始まりゃ臼杵の町よ(ヨイヤナーアリャサ)

   国の始まりゃ大和の国よ(アーヨーヤセー ヨーヤセー)

 平家踊り(臼杵津留)

  ☆国はエー アコラサッサー ヨイトマカサイサイ

   九州豊後の国よ(ハヨーヤナー ヨーヤセー)

   臼杵城下の向いの部落(セーヨーヤセー ヨーヤセー)

12、ヨーヤセ節

 日見踊り(津久見市日見) 

  ☆アー国のヨイヨー(アーヨーイヤサーヨーイヤサー)

   アー始まり大和の国よ(ヨーヨー)

   アー島の始まりゃ アー淡路が島よ(ヤーレ ヨーヤーセー ヨーヤセー)

  〇アー鐘の始まりゃ三井寺の鐘(ヨーヨー)

   アー滝の始まり アー白糸の滝(ヤーレ ヨーヤーセー ヨーヤセー)

 扇子踊り(津久見市徳浦・堅浦)

  ☆頃は人皇(ホイー) 二十と七よ(ヨーイヨーイ)

   時の大臣の(ホイー) 納言の君よ(ヨーヤーセー ヨーヤセー)

13、チョイナ節(津久見市堅浦)

  ☆尾崎ヤブの内 小迫は都 ドッコイショ

   間の花崎ゃコリャ 松のかげヨ チョイナチョイナ

  ☆仲間谷底 日陰の屋敷 ドッコイショ

   浜は高尾でコリャ 色内名ヨ チョイナチョイナ

メモ:北海部地方の盆踊り唄をまとめて紹介した。具体的には佐賀関町、臼杵市、津久見市(保戸島を除く)、大分市のうち大野川以東の沿岸部(旧北海部郡域)・大字吉野である。当該地域のうち大分市大字吉野のみ北海部地方ではなく、旧大分郡ではあるが、臼杵市の踊りと同種のものが伝わっているため、こちらのグループにいれた。大分市東部の踊りと津久見市の踊りは全く違い、同じグループとすることに迷いもあったが、その中間の臼杵市には両方の踊りが入っているので、ひとまとめに紹介することにした。当該地域は踊りが盛んな土地柄で、一般に漁村やみかん山の集落ばかりで屋敷の坪が狭く門廻りの踊りはしなかったようだが、浜などで夜を明かして踊るのが常であったが近年は著名なものを除いて衰退著しい。特に著名なものとしては、津久見の扇子踊りと臼杵踊りがある。前者は一般に徳浦で行われているものが有名で観光化されているが、ほかに堅浦の扇子踊り、四浦の扇子踊り、保戸島の扇子踊り(別項参照)など多くの種類がある。また臼杵市でも板知屋の扇子踊り、大浜の扇子踊り、諏訪の平家踊り(扇子踊り)が踊られており、昔は近隣に知られていたが高齢化が著しく、下火になってきている。臼杵踊りは旧臼杵市街で行われた祭文・お夏・三勝などからなる一連の盆踊りで、近隣に同種の踊りが広く残っているものの、太鼓のみでなく三味線や鼓等を加えた情緒豊かな伴奏と、品のよい、おとなしい所作の踊りが評判を呼んでいた。漁村においては浦ごとに踊りや唄が違っており、殊に佐賀関の大志生木踊りや一尺屋踊り、臼杵の佐志生踊りなどは三勝の一種だが近隣のものとは一線を画す独特の節回しを持っている。特殊な踊りとしては、四浦や一尺屋の提灯踊りがある。ほかに津久見の八戸台で行われた二上り踊り、三重節等があるが、廃絶して長い年月が経っており、採集は難しそうだ。

 

俚謡「保戸島盆踊り」

 ☆言うて帰らぬ皆あと言に(ヨーヤヨイ)

  何を悔やみて鳴く不如帰(ソラヨーヤセー ヨーヤセー)

 ☆鳴いて飛び行く声聞きゃお為(ヨーヤヨイ)

  四手の田長が冥土の旅の(ソラヨーヤセー ヨーヤセー)

 〇道を教えて先に立つ 声をしおりの山こそは(トコヤートコセー ヨーイヤナ)

 ☆人の名にゃ呼ぶ城山峠(ヨーヤヨイ)

  今宵二人が死山峠(ソラヨーヤセー ヨーヤセー)

 ☆さあさ急ごと気を励まして(ヨーヤヨイ)

  山の峠に二人は登り(ソラヨーヤセー ヨーヤセー)

 ☆ここがよかろと草折敷きて(ヨーヤヨイ)

  銚子盃早や取り出だし(ソラヨーヤセー ヨーヤセー)

 ☆半蔵傾けお為に廻し(ヨーヤヨイ)

  しばし名残の酒酌み交わす(ソラヨーヤセー ヨーヤセー)

 ☆これがこの世の限りと思や(ヨーヤヨイ)

  さすがお為は女の情よ(ソラヨーヤセー ヨーヤセー)

 ☆涙抑えて半蔵に向かい(ヨーヤヨイ)

  こんな儚い二人が最期(ソラヨーヤセー ヨーヤセー)

 ☆遂げよと知らせの正夢なるか(ヨーヤヨイ)

 〇二日の初夢に わしがさしたる簪の(トコヤートコセー ヨーイヤナ)

 〇ぬけてお前の脇腹に しかと立ちたる夢を見た(トコヤートコセー ヨーイヤナ)

 ☆夢が浮世か浮世が夢か(ヨーヤヨイ)

  早う覚めたや無明の眠り(ソラヨーヤセー ヨーヤセー)

 

メモ:保戸島の盆踊りには「扇子踊り」「乙女踊り」「団七踊り」があるが、盆踊り唄はただ1曲である。基本はヨーヤセー節(☆印)だが、お為半蔵やお塩亀井など、77調子の途中に75の字脚が入る音頭の場合は、75のところを祭文(○印)の節で唄う。このように字脚の違うところに違う節を入れる唄い方は津久見市以南の沿岸部で広く見られて、出しの部分やハネ前にかかると、また違う節が入る。踊り方は3種類だけだがどれも手の込んだ難しい踊りで、扇子踊り、乙女踊り(扇子踊り)はもとより、組踊りの団七踊りに至ってはかなり所作が込み入っている。保戸島の民家には坪がないので、島の広場に位牌を寄せて賑やかに踊っている。かなり長時間踊るようで、昔は明け方近くまで踊ったものと思われる。広場で大勢の島民が、一斉に日の丸扇子を振りかざして踊る様は壮観で、いかにも漁村の盆踊りらしい賑やかさがある。初盆供養、魚霊供養のほか、先の戦争で空襲被害により亡くなった子供たちや戦死者を弔う踊りもあり、毎年数夜連続で踊っているそうだ。

 

俚謡「南海部地方の盆踊り唄」

― 口説と唄の関係について ―

南海部地方の盆踊り唄は、特定の節ばかりを延々と繰り返すことが多く、県内他地域のように次々に唄・踊りを切り替えていくものとは一線を画している。ここで紹介する「長音頭」と「音頭」は節の長短の違いによる便宜上の呼称で、実際は「お為半蔵」やら「鈴木主水」やら、音頭の外題で呼ぶことが多い。どちらも基本は7・7調だが、5の字脚が混じる部分では祭文の節を巧みに入れ節にしており、技巧に富んだ口説き方をしている。「祭文」は7・5調の口説の場合の節で、一応便宜的に「長音頭」「音頭」「祭文」と分類したが、実際は口説主体で節が決まっているだけであって、主となる「盆口説」として同じ性質のものであるといえる。音頭の外題を曲名とするのもそういうことなのだろう。その意味で、例えば国東方面の「六調子」「三つ拍子」「豊前踊り」などとは全く意味合いが違っている。国東のものは盆口説といえど「唄」に重きを置かれているといえる。文句の半ばでも節を変えれば、その文句自体もそこで切ってしまうことからしても主は「唄」であって文句は「従」である。ところがここで紹介したものは文句が主であって、その字脚で節が変わることなどからしても唄は「従」であり、「口説」のイロがより強い。この項では地の音頭を「長音頭」「音頭」「祭文」に分類し、それに付随するものとして「切音頭」「出し」などを「サンサ節」としてまとめている。これらの区分はあくまでも便宜的なものであり、実際には一続きに行われるものであることに注意されたい。また、踊り前やハネ後に行われる、踊りを伴わない念仏や和讃も取り上げた。7・5調の入れ節を「どんさく」などと呼ぶこともあるが、実際は地の音頭に挿入されるものでありそれ単独で区切って唄うことはないため、ここでは音頭の文句に付け足していくつか紹介するにとどめた。

1、長音頭

 (直川村下直見)

  ☆仕立おろしの大振袖よ(ハヨイトセー) 船の乗り降り気をつけなされ

   道の辻々その宿々を(ハヨイトセー ヨーイヤナー)

  〇アレ そうして六部というものは 日に七軒の修行して 晩の七つに宿をとり

   朝の五つに宿を立ち これが六部の道として(ハヨイトセー ヨーイヤナー)

  ☆さらばさらばと暇となりて(ハヨイトセー) そこで兄妹船乗り込んだ

   そこで兄妹船から招く(ハヨイトセー ヨーイヤナー)

 (宇目町重岡)

  ☆エーイエー 国は豊後の大野の郡(アドッコイセー ドッコイセー)

   日向の境の(アラソコジャイ ソコジャイ) 山一重越しヨ

   村は重岡 字名は敷倉(セーノ ヨイトマカセー)

  〇エーイエーさま方よ待ちなされ(ヨイショ) 私はもとより入れ子が好きで

   道の三里もあるところ(ヨイショ) わざわざこれまで入れに来て

   入れずに帰るはあと惜しや(ヨイショ) つくつく尽くしをちょっとやろな

   港々にゃ船が着く(ソレ) 船にゃ櫓がつく船頭つく

   船の船頭さんにゃカカがつく(ヨイショ) と言った調子で若い衆の

   ちょいと目をさます(ヨーイヨーイ ヨーサンサ)

 (鶴見町沖松浦)>

  ☆半蔵飲んではお為に差して(アリャナー ソーレワヨイ)

   差しつ差されつ差し酒盛りよ そこで 二人が(ソコ)

   夢あいしする(ヨイヤセノセー ヨーイヤセ)

  〇ヤレー こんな ことが あろうとえ

   正月 二日の 初夢に(エーイエーイエーイヤナ)

  〇私の さしたる 簪の(ジャロー ジャロ) ヤレー 簪 抜けて お前さんの

   腹に 立ちたる 夢を見た(ヨイヤセノセー ヨーイヤセ)

  ☆明けりゃ お寺の 鐘が鳴る(アリャナー ソーレワヨイ)

  〇ヤレー 今鳴る鐘はどこの鐘 今鳴る鐘は柏江の(エーイエーイエーイヤナ)

  〇柏江 お寺の江国寺(ジャロー ジャロ) ヤレー また鳴る 鐘は どこの鐘

   また鳴る 鐘は 汐月の(エーイエーイエーイヤナ)

  〇汐月お寺の真正寺(ジャロー ジャロ) ヤレー また鳴る 鐘は どこの鐘

   また鳴る 鐘は 常楽寺(エーイエーイエーイヤナ)

  〇下城お寺の天徳寺(ジャロー ジャロ) ヤレー また鳴る 鐘は どこの鐘

   また鳴る 鐘は 御城下の(エーイエーイエーイヤナ)

  〇殿様屋敷の養賢寺(ジャロー ジャロ)

  ☆さしも五か所のはや撞き流す(アリャナー ソーレワヨイ)

   心中急がにゃ夜が明けまする 言えば 半蔵は(ソコ)

   言葉にならで(ヨイヤセノセー ヨーイヤセ)

 (蒲江町河内)

  ☆坪野庄屋の太郎兵衛様は(ヨイヤナーヨイヤナー) 蔵が七軒酒屋が五軒

   出店貸家が三十五件(ヨイサノヨー ヨイサノヨー)

 (弥生町)

  ☆国は筑前 遠賀の町よ つごう庄屋の太郎兵衛さんは 何につけても不足はないぞ

 (本匠村笠掛)

  ☆盆の踊りとさて申するは(アヨイヤヨーイ) それはもとより 謂れがござる

   釈迦の御弟子の目連様が(アヨイトセー ヨーイヤヨーイ)

 (佐伯市木立)

  ☆淵にヨー 身を投げ刃で果つる(ヨイヤヨー) 心中情死は(ドッコイ)

   世に多かれど(ホホンホー) 鉄砲腹とは剛毅な最期(セノセー ヨーイヤナー)

 (佐伯市臼坪)

  ☆頃は 寛永十四年どし(ドッコイショー) ハ父の仇を ハ娘が討つは

   今は世に出てあら珍しや(ヨイヤセー ヨーイヤセー)

  ☆今は世に出てあら珍しや(ドッコイショー) ハ国はどこよと ハ尋ねて訊けば

   国は奥州仙台の国(ヨイヤセー ヨーイヤセー)

2、音頭

 (上浦町津井)

  ☆アー島の始まりゃ 淡路の島よ(ヨーヤヨーイ)

   アー国の始まりゃ 大和の国よ(ソリャ ヨーヤセー ヨーヤセー)

 (上浦町浅海井)

  ☆春は花咲く青山辺の(アラ ヨーヤヨー)

   鈴木主水という侍は(ソイヤ ヨーヤセー ヨーヤセー)

 (鶴見町羽出浦) 

  ☆国はどこよと尋ねたなれば(ヨイヨイ)

   国は豊州海部の郡(コリャー ヨーヤセー ヨーヤセー)

 (米水津村)

  ☆エー 扇エー めでたや末広がりて(ヨーヤヨー)

   エー 鶴は千年亀万年と(ハヨーヤーセー ヨーイヤセー)

 (弥生町)

  ☆それじゃ皆様しばらくしばし(アヨーヤヨーホー)

   牡丹長者のおん物語(ヤーレ ヨーヤセー ヨーヤセー)

 (蒲江町畑野浦・尾浦・楠本浦)

  ☆国は豊州海部の郡(ヨイヤセー)

   佐伯領とや堅田の谷よ(ヨイヤセー ヨイヤセー)

 (蒲江町深島・蒲江浦)

  ☆佐伯エー 領土や堅田の谷よ(ソレ エーソレ)

   堅田谷でも宇山は名所(ソリャー アーヤットセー エーヤットセー)

 (蒲江町小蒲江・猪串浦)

  ☆島の始まり淡路が島よ(ヤラナーヨラナー)

   寺の始まり天王寺でらよ(ソラヨイヤセー ヨイヤセー)

 (蒲江町竹野浦河内・高山・元猿) 

  ☆国は豊州海部の郡(ワリャナーヨヤナー)

   佐伯領土は堅田が宇山(ヨーイヤセー ヨヤセー)

 (蒲江町竹野浦) 

  ☆アー 佐伯ヨーホー 領土や堅田の宇山(アリャナー ヨイヤナー)

   アー 宇山なりゃこそ名所もござる(ヨーヤセー ヨーヤセー)

 (蒲江町波当津浦) 

  ☆国は坂東 下野さかい(アレバセーコレバセー)

   那須与一の誉れの次第(ハーセイヤセー コレバエー)

 (蒲江町丸市尾浦) 

  ☆親の仇を 娘が討つを(アリャセー コリャセー)

   国に稀なき世に珍しや(ソリャヨーイヤ セーヨーイヤセー)

 (蒲江町越田尾・森崎浦・野々河内・坪、宇目町)

  ☆国の始まり大和の国よ(ヤラサー コラ)

   滝の始まり白糸の滝(セノヨーイヤセー ヨーイヤセー)

 (蒲江町西野浦)

  ☆淵に身を投げ刃で果つる(ソーソー)

   心中情死は世に多かれど(ヨイヤセーヨイヤセー)

 (蒲江町葛原浦)

  ☆エー 千秋万歳 治まる御代は(アリャセー コリャセー)

   エー 末はますます繁盛なさる(アラヨーイヤセー ヨーイヤセー)

 (蒲江町葛原) 

  ☆ときの大将が正宗公よ(アリャセー コリャセー)

   家臣片倉九十郎と呼び(アラヨーイヤセー ヨーイヤセー)

  〇待ちなされ待ちなされ(ドンゴイ) 私がとんしゃく入れ拍子(ドンゴイ)

   立つ立つ尽くしで申すなら(ドンゴイ) 正月門には待つが立つ(ドンゴイ)

   二月初午市が立つ(ドンゴイ) 三月三日にゃ雛が立つ(ドンゴイ)

   四月八日にゃ釈迦が立つ(ドンゴイ) 五月お節句にゃ幟立つ(ドンゴイ)

   六月祭典旗が立つ(ドンゴイ) 七月七夕笹が立つ(ドンゴイ)

   八月九月の頃となりゃ(ドンゴイ) 秋風吹いて埃立つ(ドンゴイ)

   十月出雲に神が立つ(ドンゴイ) 霜月寒さで雪雲が立つ

   十二月となるなれば(ドンゴイ) 借金取りが門に立つ(ドンゴイ)

   というて音頭取りをよこわせた(アラヨーイヤセー ヨーイヤセー)

3、祭文

 祭文(佐伯市木立)

  ☆サドー 東西ヨー 南北おだやかに(ヨイヨイ) しずもりヨー 給えば

   尋常にヨー 所は都の大阪の(ヨーイヨーイ ヨーイヤナー)

 祭文(蒲江町畑野浦、蒲江町楠本浦)

  ☆一つや二つや三つや四つ(ヨイヨイ) 十より下の幼子が

   一度娑婆に生まれ来て(ヨーイヨーイ ヨーイヤナー)

4、祭文

 祭文(上浦町浪太)

  ☆アー 私のエー アー差したる簪がエー(ソレーソレ)

   アー 抜けてあなたの脇腹に(ヤーレ ヨーヤセー ヨーヤセー)

 祭文(上浦町浅海井)

  ☆アー 一つやエー 二つ アー三つや四つ(アーヨイヤー)

   アー 十にもならぬ幼子が(ヤーレ ヨーヤセー ヨーヤセー)

 野辺和讃(蒲江町畑野浦)

  ☆ソレ 一つや二つや三つや四つ

   十にも足らわぬ幼子が(エーイエーイ エーイヤナー)

5、サンサ節

 出し節(蒲江町丸市尾浦)

  ☆ヤレ引いてきたがなヨー サヨンヨー 引いてきたがな鰯ゅヨー

   鰯ゅ引いてきたが ほんに塩がないサ 塩は大阪 アレ塩釜に ハレバエー

 祝い音頭(蒲江町丸市尾浦)

  ☆祝いめでたの若松様よ サー枝も ホイ 栄えて アー根も葉も茂る

   アーレバエー サーンヨーンヨーイヤナー

 切音頭(蒲江町丸市尾浦)

  ☆ここでしゃんと切れ さんさの松のさえ 枝も栄えて葉もしげる ハレバエー

 切音頭(上浦町浅海井)

  ☆ヤレー切りましょうぞいエーイエー アーヤレここで切りましょうぞな

   (エイエー) ここでヨー(アラエーイエーイ ヨーヤナー)

   ここでちゃんと切りましょ エンヤコノサンサ(アラエイエイ サーンサ)

   「ヤレ太鼓も踊りも みんなよく揃うたぞな」 お月を見やれな

   (ヤーレ お月ゃ山でわしゃここに ヤレコラセー)

  ☆宮島のエーイエー アーヤレ宮島はナー(エイエー) 安芸の宮島はエー

   (アラエーイエーイ ヨーヤナー) 安芸の宮島はサマ エンヤコノサンサ

   (アラエイエイ サーンサ) 「ヤレ女子の木登り 危ないものぞえ」

   まわりが七里ぞな(ヤーレ 浦が七浦 七恵比寿 ヤレコラセー)

 切音頭(鶴見町羽出浦)

  ☆イエー切りましょか エイコノサンサ 「サンサを揃えて本調子」

   アリャエイコノサンサ ヨーサンサ しっかり切りょ 若の松様がナー

   枝も栄えて葉もしげる ヤレコノエー

 切音頭(鶴見町沖松浦)

  ☆エーイエーイエーイヤナ エイエーイ宮島ナ(ジャロージャロ)

   安芸のエー エーイエーイエーイヤナ 宮島まわれば七里(ジャロージャロ)

   浦がエー エーイエーイエーイヤナ 七えびすエイコノサーンサ

   サンサが揃うてその調子エーナ 七えびすヤレコノセー

 切音頭(米水津村色利浦)

  ☆エイ エイ エイエ 秋の宮島ナ ハヨイヨイ 秋の宮島 まわれば七里

   ハヨイヨイ 浦がエー エンヤエーイエーイ サーンサ

   「ソレさんさをはりあげて ソラ見事に」 エーンヤコーリャ サンサ

   浦が七浦 エンヤコリャ 七えびす ハーヨイヨイ

 切音頭(米水津村宮野浦)

  ☆エー 咲いた桜になぜ駒つなぐ ヨイヨイ 駒が勇めば ヤレコラセー

   オヤ エーイエーイエーイヤナー イヤサンサオ ヤートヤー つけたぞ

   駒が勇めばヤーレ 花が散る ヤレコラセー

 切音頭(蒲江町竹野浦) 

  ☆ここで切りましょか エイヤコノサンサー(エーイエーイサンサー)

   サンサオ まことにゃ(ホイ) 臼杵の城じゃ ソーラ(松から生えた

   ホイ あの浮城じゃ ハーレバ エーノエイ)

 切音頭(蒲江町猪串浦・小蒲江)

  ☆ヤレ 切りましょうかヨーエ 切りましょうかナーン ウーン ここでヨーエ

   ハラエーイエーイサーンサ ここで切りましょうか エーイヤコーノサーンサ

   ソラエーイエーイサーンサ 「ヤレ さんさマその声よう揃うたろな」

   ア向かいで切ろうか ソーレ ア向かい回れば 三里のまわり ハーレバエー

 切音頭(蒲江町深島・蒲江浦)

  ☆ヤレ五万石ヨーナ ヤレ五万石ナー 臼杵ゃエー ソリャエイエイサンサ

   アー五万石 エイヤコノサンサ エイエイサンサ 「ヨーサマ まことにナー」

   臼杵の城は ソリャ根から生えたか浮き城か ハレバエー

 切音頭(蒲江町河内)

  ☆ヤレここで切ります ヤレ切りますナー ここでヨー ナーンヨーイヤヨイヤナ

   「アラナンデモ しゃんと切る」 サンサオ破竹の竹を ソレー 元は尺八半ば笛

 切音頭(蒲江町畑野浦)

  ☆ヤレ 沖の暗いのに イヤコノサンサ 白帆が見ゆる ソーレ

   あれは紀の国みかん船 ハンレバエー

 切音頭(蒲江町西野浦)

  ☆走る船エーイエーイエーホー ソレソレ 走る船ナー 沖ンオー ソコジャ

   ヨイヨイヨイヤセー 走る船 エーイヤコーノサーンサー エンエンサンサ

   サンサのまことにナー ありゃどこの船 ソーリャ あれは紀州浦のみかん船

   ヤレコリャセー

 切音頭(弥生町井崎)

  ☆ヤレ切りましょうや ノホヨーホヨー 切りましょうやノー ここで切ろうどちゃ

   エンヤガコーロノ ヨーサンサ さんさが嘘でもないこと 心から真実 実ぞいな

   アンアレー ドーン オーデー 高いのは 火の見櫓か富士山か

   餅屋の娘の杵音高い ちぎり丸めてちょいと投げた 高崎山かな

   フーナン アーエー 女郎町ゃ目の下に ハーリワエー

 切音頭(宇目町重岡)

  ☆数多エーイ 寄りたる皆様方よ アドッコイセー アーモーアー今宵も

   アドッコイサイサイ 夜が更けましたよ ここらあたりで切ろうじゃないかいな

   ア ヨーイトセー ヨーヤルナー それ切りましょうなヨー ヨイソレヨ

   切りましょうな アヨーイヨイ 上で高いのを申すなら 一で英彦山か

   餅屋の娘の杵だこな 下で高いを申すなら 下で高いは尺間山 アーさても見事な

   臼杵様のお城はな 地から生えたな 浮き城な ハレワイサーノサー

 切音頭(佐伯市臼坪)

  ☆ヤレー宮島はナー ウーンヨエーンエー エーイソレ宮島はナ(ヨイヨイ)

   安芸のエンエー(ヨーイヨーイサーンサ) 「アーモさんさも今晩どなたも

   大きなご苦労じゃとな」 アー廻れば七里ナ ハ浦が ハ七浦 アー七えべす

   ハレバヨー(ヨーイヨーイサーンサ)

  ☆ヤレー三度笠ナー ウーンヨエーンエー エーイソレ三度笠ナ(ヨイヨイ)

   様のエンエー(ヨーイヨーイサーンサ) 様の三度笠 エーイコーノサーンサ

   (ヨーイヨーイサーンサ) 「アーモさんさも今晩どなたも

   大きなご苦労じゃとな」 アー後から見ればナ ハしなよう ハござる

   アー笠の内 ハレバヨー(ヨーイヨーイサーンサ)

6、念仏・和讃

 余念仏(上浦町浅海井)

  ☆南無阿弥陀仏(南無阿弥陀仏 南無阿弥陀)

  ☆これはこの世の(ことならず 死出の山路の裾野なる)

 地蔵和讃(鶴見町羽出浦)

  ☆南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀

   帰命頂礼地蔵和讃 一つや二つや三つや四つ

  ☆南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀

   七つに足らぬ幼子が 一度娑婆に生まれ来て

  ☆南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀

   錦や綾を着飾りて 死して冥土に行くときは

 念仏踊り(本匠村山辺)

  ☆そもそも都の傍らに ルイシと申せし女人あり

   南無阿弥陀 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀

メモ:四浦半島以南の漁村では神仏の位牌を浜に寄せて、明け方近くまで踊り続けることが普通に行われていた。最近は夜半まで踊ることも稀になっているが、それなりに盛大に行われていることが多い。初盆供養を皮切りに、魚霊供養、戦没者供養、地蔵踊り、観音様踊りなど次々に盆踊りがあり、ひと夏に何回も踊るような集落もあったようだが、今はせいぜい年に一晩か二晩である。通常、地の音頭(長音頭または音頭)・祭文・切音頭がセットになっているが、一部では最初に念仏を唱えたり、ハネ後に和讃を唱える例も見られる。この念仏や和讃は、おそらくかつては広範囲に亙って行われたのだろう。ところで、この地域では唄と踊りがセットになっていない。踊り方には手踊り、扇子踊り、提灯踊り、団七踊り、うちわ踊りなどがあり、めいめいが好きな踊り方で、一つの輪の中で同時進行でいろいろな踊り方が見られるのが常であったが、近年は簡単な踊りに収斂しつつあるようだ。かつては10種類近くの踊りを踊るところもあったが、今は一様に1~2種類程度になっている。なお、一口に手踊り、扇子踊りといっても、浦ごとに踊り方がみんな違っていて、比較的単純なものから、かなり手の込んだ踊り方までいろいろである。特に沿岸部では、昔は陸路が未発達であったために地続きであっても海上交通の方が盛んだったような経緯もあって、近隣の影響を受けにくかったのだろう。内陸部は内陸部で非常に山深いため、独自性が保たれやすかったと思われる。南海部地方の踊りのうち、堅田踊りと蒲江町屋形島の踊りは別項扱いとしたが、その他にも特徴的な踊りが多く見られるので、かいつまんで紹介する。

○佐伯市木立 扇子踊り(三つ拍子・一つ拍子)、手踊りがあり、特に三つ拍子の扇子踊りはかなり難しく、堅田踊りと並び称されるほど近隣に知られていた。あまり踊り方が難しく昭和後期に一旦途絶えたが、地区住民により復活され、近年も盛況。

○佐伯市臼坪 団七踊りと手踊り。市街地の拡大により新作踊りにとって代わられた。

○佐伯市大入島 団七踊りが有名。

○蒲江町西野浦 外の輪は「手つなぎ踊り」で、手をつないで輪をつくり行ったり来たりするという、県内ではここでしか見られない踊り方である。輪の中はうちわを使う「中踊り」で、中年以上の人が踊ることが多いという。

○本匠村小半 扇子踊りと団七踊り。特に扇子踊りは独特の所作が優雅で、ひところは別府に呼ばれて披露することもあったほど盛況を極め評判が高かったが、踊り方が難しく伝承者が減り、休止中とのこと。

○蒲江町蒲江浦 扇子を二本使う踊り。両手の扇子は開きっぱなしで易しいが、狭い坪に大勢集まり、一斉に扇子を翻して踊るので非常に優雅な風情があり、壮観である。かつては数種類の踊りがあったというが、今は一種類のみ。

○蒲江町丸市尾浦 非常に手の込んだ扇子踊りで、所作が難しい。

○鶴見町沖松浦 うちわ踊り(三つ拍子)、扇子踊り、提灯踊りなどがあったというが、今はうちわ踊りのみ。この集落の「お為半蔵」は、長音頭に祭文をイレ節にする昔ながらの唄い方がよく残っているだけでなく、節のつなぎ目のところがよく工夫されている。

 

俚謡「ごうし音頭」(上浦町・佐伯市)

☆アー 今度豊前の小倉の町に(ハードッコイサイサイ) 染屋九兵衛という人ござる

 もとは栄華で暮らしもしたが 今は世に落ち憐れな者よ

 (ソリャー ヨイトヨイヤマカ ドッコイサノセ)

メモ:この唄も「口説」の唄だが、一連の盆踊り唄とは区別されている。転訛しているが、呼び名の通り「江州音頭」である。節回しが郷土化されているほか、踊り方も本場のものとは違っていて、後ろ向きに進んでいくかわった踊り方である。南海部地方の沿岸部では、かつて関西方面の紡績工場に出稼ぎに行く娘が多かったそうで、その関係で江州音頭が入ってきて地元に定着したものだろう。ほかにも、大分県内では大分市白木、中津市などで江州音頭由来の盆口説が行われているが、それらも同様の経緯で入ってきたものと思われる。南海部地方では上浦町浅海井の二十三夜様のときに、ハネ後に余興的に踊られているほか、西上浦方面や佐伯市街地でもそれなりに盛んに行われている。

その5

俚謡「大野地方の盆踊り唄」

1、三勝

 団七(三重町芦刈)

  ☆もうまそろそろ疑いもなく(アリャサイ コリャサイサイ)

   右の奥州にゃ下さぬものと(エンヤーソレナーサー エーイガサーノサー)

 由来(犬飼町大寒)

  ☆エー 一重二重や三重内山の(ドッコイセー コリャセー)

   真名野長者の由来を聞けば(ヤンヤーソレナー サーヤーソレナー)

 三勝(犬飼町久原)

  ☆国は近江の石山源治(ヤレショー ドッコイショ)

   源治娘におつやというて(ヤーンソーレ ヤンソレサ)

 三勝(犬飼町長谷)

  ☆親のない子は遊びにゃ勝てぬ(ヨイトセー ヨイトセー)

   打てや叩けと横着された(サンヤーンソーレー ヤンソレサイ)

 三勝(千歳村長峰)

  ☆エー 国は近江の石山源氏(ヨイトセー ヨイトセー)

   エイエー 源氏娘におつやというて(アーヤートセイセイ ヨイヤサノサ)

 銭太鼓七つ(大野町片島)

  ☆今度踊りは銭太鼓の七つ(ヤレショー ヤレショー)

   先の太夫様およこいなされ(アーヤーンソーレ ヤンソレサイ)

 かますか踏み(大野町夏足)

  ☆これのナー 元をば細かに問えば(ヨイトナー ヨイヨイ)

   豊後岡領はお城がござる(アーヤーンソーレ ヤンソレナー)

 銭太鼓五つ(朝地町志賀)

  ☆てぬき手拭い きんぬいの笠(ヨイトセーヨイトセー)

   七夜こめたる紫竹の杖で(アラヤーンソーレ ヤンソーレナー)

 かますか踏み(朝地町志賀)

  ☆国はナー 関東で下野の国(ヨイトナー ヨーイヨイ)

   那須与一という侍は(ソラヤーンソーレ ヤーンソレナー)

 かますか踏み(清川村臼尾)

  ☆蛸にゃ骨なし海鼠にゃ目なし(ヨイトナー ヨーイヨイ)

   好いた男にゃ アノ金がなし(サーヤーンソーレ ヤーンソレナー)

 かますか踏み(緒方町辻)

  ☆盆のヨー 踊りは伊達ではないよ(ヨイトナー ヨーイヨイ)

   先祖代々 供養のためよ(サーヤーンソーレ ヤーンソレナー)

2、三重節

 三重節(野津町野津市)

  ☆変えた変えたよ 三重節変えた(ドッコイセー コラセー)

   サーエー踊るお方よ お手振り直せ(サンヤートセイセイ ヤレトコセー)

  △わしが出します はばかりながら(ドッコイセーコラセー)

   コリャー 待て待て待て待て 待たしゃんせ トコ 娘十七八 嫁入りに

   (ソレ エーソレ) 箪笥長持鋏箱 トコ 縮緬羽織が十二枚(ソレ エーソレ)

   これほど仕立ててやるからにゃ トコ 行ってから帰るなのう娘(ソレ エーソレ)

   そこらで娘の言うことにゃ トコ 父さんお母さんそりゃ無理よ(ソレ エーソレ)

   千石積んだる船さえ トコ 向こうで嵐の強いときゃ(ソレ エーソレ)

   元の港に戻ります トコ わしもお母さんその通り(ソレ エーソレ)

   向こうの主人のひどいときゃ トコ 元の我が家にゃ帰ります

   サーエー今のイレコさん なかなかお上手(サンヤートセイセイ ヤレトコセー)

 由来(三重町菅尾)

  ☆奥にエー どこかと アラたずねて訊けば(ドッコイセーコリャセー)

   エー 国はサ 豊州で海部の郡(サンヤートセーイ その調子)

  〇佐伯サ 領土や アラ堅田が宇山(ドッコイセーコラセー)

   エー 山じゃござらぬ名所でござる(サンヤーソレナーサー その調子)

 扇子踊り(三重町大白谷)

  ☆ヤー 願うサー 一輪は扇子でござる(セードッコイセー)

   エヤレー おせもサー 子供も皆出て踊れ(サーヤットソーレ ヨーイソーレナ)

 三重節(三重町芦刈)

  ☆頃は寛永十四年どし(ドッコイセーコリャセー)

   ウンヨー父の仇を娘が討つは(サンヤーソレナーサー ヤンソレナー)

 三重節(大分市戸次)

  ☆エー月に群雲 ソレ花に風(ヤートヤイヤイ)

   散りて儚き世のならい(ヨイトセー)

 団七(犬飼町大寒)

  ☆頃は正月三日の日なり(アリャサイサイ コリャサイサイ)

   四国讃岐は屋島が磯で(アリャヤンソレナーサー ヨイガサノサー)

 団七(犬飼町久原)

  ☆父が口説けば姉妹囃子(アリャサイ コリャサイ)

   とりたる草をば街道にゃ捨てる(アリャヤンソレナーサー ヨヤサノサ)

 団七(千歳村)

  ☆国は備前の岡山町で(ドッコイセー ドッコイセー)

   ハー長者娘におつゆというて(ハー ヤットサノセー ヨヤサノサー)

 団七(大野町片島)

  ☆よやさそらそら志賀団七よ(ヨイトセー ヨイトセー)

   姉の宮城野 妹の信夫(ハーヤットセイセイ ヤレトコセー)

 団七(大野町夏足)

  ☆二十と四間の二重の矢来(ヨイヤセー ヨイヤセー)

   エー 中で本懐遂げたる話(ソリャヤートソレソレ ヤートコセー)

 団七(朝地町志賀)

  ☆ここに説きだす志賀団七の(ヨイトセーヨイトセー)

   エー いわく因縁 口説いてみましょ(ソラ ヤートセイセイ ヤートセー)

 団七(緒方町辻)

  ☆揃うた揃うたよ踊りが揃うた(アヨイトセーヨイトセー)

   今の流行の団七踊り(ソラーヤートソレソレ ヤンソレナー)

 団七(緒方町馬場・原尻)

  ☆国はいずこと尋ねて訊けば(ヨイヤーセー ヨイヤーセー)

   国は奥州 仙台国よ(アーヤーットソレソレ ヤンソレナー)

3、お夏

 お夏(野津町野津市)

  ☆佐伯サー 領土や堅田が宇山ヨ 宇山サ(アードシタ)

   なりゃこそ名所もござる(アラお月さんがちょいと出て 山の上)

 お夏(野津町八合里)

  ☆あらやマ 嬉しや アラまた落てて来たヨー 落ててマ(アーヨヤコラサイサイ)

   アラ来たなら拾わにゃならぬ(アラヤンソレサッサー ドッコイサーノサ)

 お夏(三重町菅尾)

  ☆お夏ナー 夏々ヨ 夏かたびらよサー 冬はマタ(イヤコラサイサイ)

   冬々 冬着る布子(ソラお月さんがちょいと出た 松の影)

  ☆節はナー お夏でヨ 地はやりかけのサー お為マタ(イヤコラサイサイ)

   半蔵の心中口説(ソラ今晩の男衆さんな 男前)

  ☆佐伯ナー 領土やヨ 堅田が宇山サー 山じゃマタ(イヤコラサイサイ)

   ござらぬ宇山は名所(ソラ来るなら来てみよ 抱いて寝る)

  ☆名所ナー なりゃこそヨ お医者もござれサー 医者のマタ(イヤコラサイサイ)

   その名は玄龍院と(ソラ今晩の踊り子さんな べっぴんさん)

  ☆そのやナー せがれにゃヨ 半蔵というてサー 半蔵マタ(イヤコラサイサイ)

   もとよりきれいな生まれ(ソラ今度ん子は逆子じゃ うんとけばれ)

 お夏(三重町芦刈)

  ☆お夏ナー 夏々ヨー 夏かたびらはヨー 冬じゃマタ(シッカリサイサイ)

   冬々 冬着るものは(ア焼餅ゃとっちょけ朝茶の子)

 お夏(犬飼町大寒)

  ☆伊予の宇和島長者のはんこヨー はんこマ(アーシッカリサイサイ)

   子供にゃ兄妹ござる(ヨーイガサーサノ ヨイガサノサー)

4、佐伯

 八百屋(三重町大白谷)

  ☆扇ヨー めでたや末広がりよ(ヨイサヨイヨイ) ここに大内(ヨイコラサイサイ)

   公卿大納言エーイ 公卿のサ 娘にゃ玉津の姫と(アーヨイトセー ヨイヨナー)

 佐伯(犬飼町久原)

  ☆佐伯エー 領土は堅田が宇山(サノヨイ) 宇山なりゃこそ名所もござる

   名所なりゃ(シッカリサイサイ) こそお医者もござる

   (ハヨイトセー ヨイトセー)

 佐伯(千歳村長峰)

  ☆佐伯領土は堅田が宇山(アヨイノヨイ) 山じゃござらぬ名所でござる

   (エーイソコジャ) 名所(ドスコイドスコイ) なりゃこそお医者もござる

   (マードンドセー ヨーヤルナー)

 佐伯(千歳村柴山)

  ☆佐伯エー 領土は堅田が宇山 山じゃござらぬ名所でござる(エーヨイ)

   どなた(ドスコイドスコイ) なりゃこそお医者もござる

   (エードンドセー ヨーヤルナー)

 佐伯(大野町片島)

  ☆先のエー 太夫様ヨー およこいなされ(ヨイヤヨーイ) しばし間のヤー

   (ドスコイドスコイ) 声継ぎしましょ しばしマタ(アラドスコイドスコイ)

   間のソリャ声継ぎを(ハードンドセー ドンドセー)

 佐伯(大野町夏足)

  ☆佐伯エー 領土や堅田が宇山(ヨイヤヨーイ) 山じゃないぞえ堅田が名所

   エー名所(アドッコイ) なりゃこそお医者もござる

   (ソリャー ヨイトセー ヨーイヨナー)

 八百屋(緒方町辻)

  ☆国はナー どこじゃと細かに問えば(ヨイサヨーイヨイ) 国は奥州の

   (ドッコイドッコイ) 海部の郡 佐伯(ドッコイドッコイ)

   領土や堅田が谷よ(ヨイトサノセー ヨイヨナ)

 八百屋(緒方町馬場・原尻)

  ☆さてもエー 緒方のその生い立ちは(ヨサヨーイヨイ)

   ヤレー今を去ること七百余年 頃は寿永の初めの頃に

   (アヨイトサノセー ヨーイヤナー)

5、杵築

 杵築(三重町大白谷)

  ☆題は義経千本桜(サーヨイ サノヨイ)

   五題続きの第三段よ(サーヨーイサッサー ヨイサッサ)

 杵築(大野町夏足、朝地町上尾塚)

  ☆何を言うても国からが先(サノヨイ サノヨイ)

   国は近江じゃ石山源氏(アーヨーイサッサー ヨイサッサー)

 杵築(朝地町志賀)

  ☆杵築山家の踊りを見たら(サノヨイ サノヨイ)

   おうこかたげて鎌腰差して(アーヨーイサッサノ ヨイサッサー)

 杵築(緒方町原尻)

  ☆様よ出てみな奥嶽山にゃ(アレワイセー コレワイセー)

   みかん売り子が ヤレ火をとぼす(アーヨーイサッサー ヨイサッサ)

6、猿丸太夫

 猿丸太夫(大野町片島)

  ☆猿丸太夫は奥山の 紅葉踏み分け鳴く鹿の

   (アラ ヨイヨイヨイヨイ ヨイヤーサー トッチンリンリン トッチンリンリン)

  ☆畑の中の茶園株 八十八夜を待つばかり

   (アラ ヨイヨイヨイヨイ ヨイヤーサー トッチンリンリン トッチンリンリン)

 猿丸太夫(大野町夏足)

  ☆猿丸太夫は(コリャコリャ) 奥山の 紅葉踏み分け鳴く鹿の

   (ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤーサー トッチンチンリン トッチンチンリン)

  ☆川端通る(コリャコリャ) 薪売り 上も木が行く下も行く

   (ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤーサー トッチンチンリン トッチンチンリン)

  ☆割れたもあれば(コリャコリャ) 割れぬのも あるは唐津屋の縁の下

   (ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤーサー トッチンチンリン トッチンチンリン)

  ☆長いもあれば(コリャコリャ) 短いも あるはお侍の腰のもの

   (ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤーサー トッチンチンリン トッチンチンリン)

  ☆忠臣蔵なる(コリャコリャ) 初段目は 初段目 鎌倉 鶴岡

   (ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤーサー トッチンチンリン トッチンチンリン)

 猿丸太夫(朝地町志賀)

  ☆猿丸太夫は(コリャコリャ) 奥山の 紅葉踏み分け鳴く鹿の

   (ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤサー トッチンチンリン トッチンチンリン)

  ☆忠臣蔵なる(コリャコリャ) 初段目の 初段目 鎌倉 鶴ヶ岡

   (ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤサー トッチンチンリン トッチンチンリン)

  ☆鶴ヶ丘なる(コリャコリャ) 神殿に 数多の兜を飾り立て

   (ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤサー トッチンチンリン トッチンチンリン)

 猿丸太夫(清川村臼尾)

  ☆猿丸太夫は(ショイショイ) 奥山の 紅葉踏み分け鳴く鹿は

   (ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤサー トッチンチンリン トッチンチンリン)

  ☆様よ出て見よ(ショイショイ) 御嶽山にゃ みかん売り子が灯をとぼす

   (ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤサー トッチンチンリン トッチンチンリン)

  ☆みかん売り子じゃ(ショイショイ) わしゃないけれど 道が難所で灯をとぼす

   (ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤサー トッチンチンリン トッチンチンリン)

  ☆道は新道で(ショイショイ) いと易けれど 家が難渋で灯をとぼす

   (ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤサー トッチンチンリン トッチンチンリン)

 猿丸太夫(緒方町辻)

  ☆猿丸太夫は(ヨイヨイ) 奥山の 紅葉踏み分け鳴く鹿の

   (ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤサー トッチンチンリン トッチンチンリン)

 猿丸太夫(緒方町馬場・原尻)

  ☆猿丸太夫は(コリャコリャ) あの奥山の 紅葉踏み分け鳴く鹿の

   (ヨイヨイ ヨイヨイ ヨイヤサー トッチンチンリン トッチンチンリン)

7、風切り

 弓引き(千歳村長峰)

  ☆弓は袋に剣は鞘に(ヨイトセー ドッコイセー)

   源氏平家の御戦いに(アラヤッチョンナンサー ドッコイセー)

 風切り(大野町夏足)

  ☆先の仕口とまた延ばします(ヨイトナー ヨイトナー)

   背は小兵でござ候えど(アーヤッチョイナンサー ドッコイセー)

 風切り(朝地町上尾塚・志賀)

  ☆奥の一間に花ゴザはえて(ヨイトナー ヨイトナー)

   酒やタバコをゆるりとあがれ(ハーヤッサガホイナー ヨーヤルナー)

 風切り(緒方町辻)

  ☆来るか来るかと川下見れば(ヨイトナー ヨイトナー)

   川にゃ柳の ソリャかげばかり(アーヤッサガヨイヨナー ヨーヤルナー)

 風切り(緒方町馬場・原尻)

  ☆お貸しなされよ先太夫様よ(ヨイトナー ヨイトナー)

   わしが当座の声継ぎしましょ(アヤッサガオイナラ ヨイヤルナー)

8、弓引き

 弓引き(大野町夏足)

  ☆月に群雲 花には嵐 コリャセー(コリャセーコリャセー)

   おごる平家に咲いたる花が(アーヤッチョンナンサー ドッコイサー)

 弓引き(大野町片島)

  ☆それじゃしばらく弓引きしましょ チョイトナー(チョイヤナーチョイヤナー)

   過ぎし昔のその物語(ヤッチョイナンサー ドッコイセー)

 弓引き(朝地町志賀)

  ☆よいな何方も弓引きしましょ チョイトエー(セガセー セガセー)

   やれさそじゃそじゃ その調子なら(アーヤッサガホイナー ヨーヤルナー)

 弓引き(朝地町上尾塚)

  ☆先の太夫さん長らくご苦労 チョイトエー(エーチョイトエー チョイトエー)

   わしが当座の声継ぎしましょ(ハーヤッサガホイナー ヨーヤルナー)

9、麦搗き

 二つ拍子(三重町大白谷)

  ☆エヘヘー 様は(ドッコイ) 三夜の(サーヨヤサノ ヨーイヨイ)

   三日月様の(サマーヨイヤナー) ヤレー 宵に(ドッコイ)

   ちらりと(サーヨヤサノ ヨーイヨイ) ちらりと宵に(サマーヨイヤナー)

   見たばかり(アリャセーノーヨ) ドッコイ(ヨーヤセーノーヨ)

   も一つ(ヨーヤセー)

 二つ拍子(大野町夏足)

  ☆エー こよさナー(アドッコイ) どなたも(アヨーヤサノヨイヨイ)

   エーご苦労(ドッコイ) 労でござるナー(サマーヨイヤナー)

   ヤレ これにマー(アドッコイ) こりずと(アヨーヤサノヨイヨイ)

   こりずとノー ヨーヤルナー(サマーヨイヤナー) またおいで

   (サマセーヨ) ドッコイ(ヨイヤセー エーヨー) ソコ(ヨイヨナー)

 二つ拍子(朝地町志賀)

  ☆ヤレー 千秋ナー(アラドッコイ) アー万歳(アラヨーヤサノヨイヨイ)

   イー思う(アードッコイ) こた叶うた(サマナー ヨヤナー)

   ヤレー 末はナー(アードッコイ) アー鶴亀(アーヨーヤサノヨイヨイ)

   鶴亀ナー ヨーイヤナ(サマナー ヨヤナー) アー五葉の松

   (サノセーノ)ドッコイ (ヨーイヤセーノ)ソラ (ヨイヤナー)

 二つ拍子(清川村臼尾)

  ☆ヤレナー 揃うたヨ(ドッコイ) 揃うたヨ(アーヨーヤサノヨイヨイ)

   品よくナー 揃うた(サマヨーヤナ) ヤレ 秋のナ(ドッコイ)

   出穂よりゃ(アーヨーヤサノヨイヨイ) 出穂よりゃノーヤレソ

   よく揃うた(アリャセーヨイ) ドッコイ(ヨーヤーセーノーヨー)

   ドッコイ(ヨーヤーセー)

 二つ拍子(緒方町辻)

  ☆今宵さナー(ドッコイ) 踊りは(サーヨイヤサノヨーイヨイ)

   どなたもご苦労ナ(サマナー ヨイヤナー) ヤレー これにナー(ドッコイ)

   これじと(アーヨイヤサノヨーイヨイ) これじとこれにナー

   (サマナー ヨイヤナー) またおいで(サノセーヨイヤナー)

   ドッコイ(ヨイヨナー) ドッコイ(ヨイヨナー)

 二つ拍子(緒方町馬場・原尻)

  ☆ヤレー 臼にゃナ(ドッコイ) アー麦を入れ(サーヨーヤサノヨーイヨイ)

   ぬかづくときにゃヨ(サマナー ヨイヤナー) ヤレー 五尺ノ(ドッコイ)

   アー体が(アーヨーヤサノヨーイヨイ) 体がナーヤレナー

   (サマナー ヨイヤナー) 乱れゆく(サノセーノーヨー) ドッコイ

   (ヨーヤーセーノーヨー) ドッコイ(アーヨイヤセー)

10、かぼちゃすくい

 かぼちゃ(犬飼町長谷)

  ☆それじゃ皆さん(アラドスコイドスコイ)

   かぼちゃでござる(アラヨーヤーセー ヨーヤーセー)

 かぼちゃすくい(千歳村長峰)

  ☆それじゃどなたも かぼちゃでござる(ヤレショー ヤレショー)

   私ゃ貰うても長いこたやれぬ(アヨーイヤセー ヨーイヤセー)

11、左さし

 二つ拍子(三重町菅尾)

  ☆エーヘー 節は二つで地はやりかけの (ヨーイヨーイ)

   今のやりかけせせろじゃないか(セーヨーヤーセー ヨーヤロナー)

 左さし(千歳村長峰、大野町片島)

  ☆ごめん下され お座元様よ(ヤレショー ヤレショー)

   それについでは村方様よ(ヨーイヤセー ヨーイヤセー)

 二つ拍子(大野町夏足) <77・77段物>

  ☆揃うた揃うたよ踊り子が揃うた(ヤレショー ヤレショー)

   秋の出穂よりゃしなよく揃うた(ア ヨーホイヨーホイ ヨイヤーセー)

 二つ拍子(朝地町上尾塚)

  ☆エー 盆の踊りは供養の踊り(ヤレショーヤレショー)

   色気入らぬ口説をしましょ(ハーヨーイ ヨーイ ヨーヤーセー)

 二つ拍子(朝地町志賀)

  ☆揃うた揃うたよ踊り子が揃うた(ヤレショーヤレショー)

   秋の出穂よりゃ品よく揃うた(ヨーイヨーイ ヨーヤーセー)

12、庄内(朝地町志賀)

  ☆老いもソラ 若いも皆さん方よ(ヨーイトナー ヨーイトナー)

   聞いてたしなめ世界のことを(アラヨーヤサノセー ヨーヤサノセー)

13、伊勢音頭

 伊勢音頭(大野町夏足)

  ☆伊勢へナー 七度熊野へ三度(ヨーイヨイ) 愛宕様にはヤンレ 月まいり

   (アラヤートコセーノヨーイヤナ アーレモサイ コーレモサイ コノヨーイヤナ)

 伊勢音頭(朝地町上尾塚)

  ☆伊勢にゃナー 七度 熊野にゃ三度(アソーコセー ソーコセー)

   愛宕様にはヤンレサー 月参り(アーソラソラ ヤートコセーノ ヨーイヨナ)

   (ハレワイセー) ソコ(コレワイセー ササ ナーンデーモセー)

 綾筒(朝地町町志賀)

  ☆様よ出て見よ(ソコセーソコセー) 御嶽山は(アーソーコセー ソーコセー)

   みかん売り子が ソリャ灯をとぼす(ソレカラ ヨーイヤセーノ ヨーイヤセー)

   (ハレワイセー) ソラ(コレワイセー ササ ナーンデーモセー)

 伊勢音頭(清川村臼尾)

  ☆伊勢にゃ七度 熊野にゃ三度(ハートーコセー トーコセー)

   愛宕様にはヤンレ 月参り(ヤーソレカラ ヤートコセーノ ヨーイヨナ)

   (ハレワイセー) ソレ(コレワイセー ササ ナーンデーモセー)

 扇子(緒方町原尻)

  ☆伊勢にゃナー 七度熊野にゃ三度(アーソーコセー ソーコセー)

   愛宕ナー 様には ヤンレサ月参り(ソレカラ ヤートコセーノヨーイヨナー)

   (アレワイサー) ドッコイ(コレワイサーデ ササ ナンデモセーイ)

 伊勢踊り(緒方町馬場)

  ☆伊勢にゃナー 七度熊野に三度(アラソーコセー ソーコセー)

   愛宕ナー 様には ヤンレサ月参り(アーソーヤラ ヤートセーノヨーイヤナー)

   (アレワイセー) ドッコイ(コレワイセー ササ ナンデモセー)

14、祭文

 祭文(大分市戸次)

  ☆盆の十六日おばんかて行たら サノエーサー

   なすび切りかけ ふろうの煮しめ(ソラヤートセー ソラヤートセー)

 祭文(千歳村柴山)

  ☆今度踊りは祭文踊りホホンホー(アラドスコイ ドスコイ)

   みんなお好きな祭文やろな(ソーレ ソーレ ヤットヤンソレサ)

 祭文(千歳村長峰)

  ☆月に群雲 花に風 チリテンツンショ(アドスコイ ドスコイ)

   心のままにならぬこと(ソレー ソレー ヤットヤンソレサ)

 祭文(大野町片島)

  ☆今度エー 祭文でしなよに踊れホホンホー(アラドスコイ ドスコイ)

   しなのよいのを嫁にとる(ソレー ソレー ヤトヤンソレサイ)

 祭文(大野町夏足)

  ☆今度切り替え祭文でやろなホホンホー(アラドスコイ ドスコイ)

   しばしナー 間はお手振りなされ(ソレー ソレー ヤトヤンソレサイ)

 祭文(緒方町辻)

  ☆様は三野の三日月様よホホンホイ(アドッコイドッコイ)

   宵にちらりと見たばかり(ヤレー ソレー ヤトヤンソレサー)

 祭文(緒方町原尻)

  ☆様は三夜の三日月様よホホンホン(アラドッコイドッコイ)

   宵にちらりとヤレ見たばかり(ヤレー ソレー ヤットヤンソレナ)

15、祭文

 祭文(清川村伏野)

  ☆今度ナー 踊りは祭文やろなヨー 誰も(イヤトコサイサイ)

   どなたも お手振りなおせ(ソレエンヤヤットセー エンヤヤットセー)

 ハンカチ踊り(野津町野津市)

  ☆踊るサー 皆様ハンカチ踊りょマー どなたサ(ハーイヤコラサイサイ)

   はやりのハンカチ踊り(アライヤートセイセイ ドンドンヤットセー)

 祭文(野津町八合里)

  ☆どなたマー 様方 節ゅ変えましたヨ 踊るサ(アーエンヤコラサイサイ)

   お方よお手振りなされ(アラエヤートセー エヤートセー)

 祭文(三重町内山)

  ☆天に打ちむきナ(ドッコイ) 地に打ちふして 娘マタ(イヤコラサイサイ)

   きょうだい ただ泣くばかり(ソレエヤートセー ヨイトマカセー)

 祭文(三重町芦刈)

  ☆日頃不敵なノ 団七殿よ 通りマタ(イヤコラサイサイ)

   なさるを夢ほど知らず(ソレイヤートセーノ イヤートセー)

 祭文(三重町菅尾)

  ☆国はどこかとナ(アードッコイ) たずねてきけば

   国はマタ(アーイヤコラサイサイ) アラ豊州海部の郡

   (ソレー ヤートセーノ ヨイトマカセ)

  ★佐伯ナーサー アラ領土や堅田が宇山 宇山マタ(アーイヤコラサイサイ)

   なりゃこそ名所でござる(ソレー ヤートセーノ ヨイトマカセ)

 祭文(三重町大白谷)

  ☆国はエーナー どこかと尋ねてきけばヨー 国はナ(イヤコラサイサイ)

   豊州海部の郡(ソレー ヤートセーノ ヨイトマカセ)

  ★佐伯領土はノ(ドッコイ) 堅田の谷ヨー 堅田ナ(イヤコラサイサイ)

   谷でも宇山は名所(ソレ エンヤヤットセーノ ヨイトマカセ)

 祭文(犬飼町大寒)

  ☆花のお江戸のそのかたわらに さてもマ(アシッカリサイサイ)

   珍し心中話(ソライヤートセイセイ イヤートセイ)

16、エイガサー節

 由来(野津町野津市)

  ☆どなたサー 様方 アラ由来でござるヨー

   どなたマー 様方 丸輪の願い(エーイガサー サイトコサイ)

 エイガサー(三重町芦刈)

 ☆節はエイガサーで 地はやりかけのヨー

  今のマタ 流行の団七口説(エイガサー サイトコサイサイ)

17、いろは川

 半節(千歳村柴山)

  ☆唄えはん節(ヨイヨイ) さらりと上げて 桧板屋に(ハーヨイヨイ)

   ヨイサ響くほどエ(ヤー響くほど 板屋の桧エー) 桧板屋に(ハーヨイヨイ)

   ヨイサ響くほどエ

 半節(大野町中土師)

  ☆唄えはんぶし(ソレソレ) 声張り上げてエー 桧板屋に(ソレソレ)

   ヨイサ響くほどエー(ヤレ 響くほどの 板屋の桧エー)

18、サンサ節

 切り上げ(野津町野津市)

  ☆ソラ星さよノー コノーコノ エーイ星さよノ

   空のサーエーンコノーコノ オーン星さよノ

   空の星さよ夜遊びゅなさる 様の夜遊び 無理もないハンレワヨイ

   コリャ エーンコーノーコノー サーンサーエーンエイ

 二つ拍子(三重町芦刈)

  ☆そん切り様じゃノー そん切り様じゃノー 竹のエーイエーイ(エーイエーイ)

   エーそん切り様じゃノー 竹のエーイエーイ(エーイエーイ)

   エそん切り様じゃノー(竹のそん切り様で溜まりし水は

   澄まず濁らず出ず入らず) ハーレワリャー ハーコノコノサンサ エーイエーイ

 切り上げ(三重町菅尾)

  ☆ソレ崩れそうなノー オー崩れそうなノ 踊りゃエイエーイ エイエーイ

   エー崩れそうなノ 踊りゃ崩れそうなまだ茶は沸かぬ この茶釜は

   ソレ割れた茶釜ハレワヨ ソレヤレコノー オサオーサ ヨーイヨイ

 ばんば踊り(三重町大白谷)

  ☆ソリャ崩れそうなノ 踊りゃ崩れそうなノ 踊りゃナー ヨーイヨーイ

   エー 踊りゃ崩れそうなノ 踊りゃ崩れそうな まだ夜は夜中ヨ

   明くりゃお寺の鐘が鳴る ハーリャンリャ ソレ コノコノヨ ササ ヨーイヨイ

 切り上げ(犬飼町大寒)

  ☆引き寄せノ 引き寄せノ 硯ゅエー エー引き寄せノ 硯ゅ引き寄せ墨する方は

   恋の手紙をつらつらと ハンレバリャ ヤーコノコノ サンサエー

 ばんば踊り(緒方町辻)

  ☆アリャ七夕ノ アソリャ七夕ノ 空のナー ヨイヨイ エー空の七夕は

   空の七夕はお愛しゅござるナー 川を隔てて恋なさる ハーリャンリャー

メモ:大野地方に伝わる一連の盆踊り唄を集めた。採集地域は現在の豊後大野市、臼杵市野津町と、大分市戸次・竹中である。戸次・竹中は大野地方ではないが、伝承されている曲目や節回しが犬飼町のものと大差ないため、ここに加えることにした。伝承曲目からして、「野津・三重」、「犬飼・千歳・大野・朝地・清川・緒方」の2グループに分けることができるが、共通の曲目もあることから別項扱いはしなかった。昔、この地方は一列に盆踊りが盛んであったことから、曲目がすこぶる多い。全域で盛んに行われているのは「三勝」「三重節」で、ほかに「風切り」「弓引き」「祭文」「かぼちゃすくい」の系統の唄も広範囲に亙って残っている。「三勝」と「三重節」は節回しが似通っており、しかも「かますか踏み」「団七」「銭太鼓」など踊り方を曲名としていることが多く両者の線引きに迷ったが、一応節回しの特徴から二つに分けてみた。おそらく「三勝」がもとで、「三重節」も「お夏」も、三勝から別れた節だと思う。「風切り」と「弓引き」も同様の関係である。いま、18のグループに分けて紹介したが、同じグループ内の唄でも地域ごとに節の差が大きいことから、実際にはそれ以上の種類の唄が伝わっているということになる。踊りの種類の多いのは朝地町志賀と大野町夏足で、それぞれ昔は20種類近くの踊りがあったという。ほかに緒方町原尻、清川村伏野、三重町大白谷なども10種類以上の踊りを、その他の地域も6~7種類程度は踊っていたようだが、今は5種類程度になっているところが多い。扇子おどりや銭太鼓踊り、団七踊りなどの綾踊りが多いのも特徴で、変化に富んでいてとてもおもしろいが、習得が難しく伝承の妨げになっていることも事実であり、盆踊りをやめてしまった集落が多くなっている。別項立てはしなかったが、地域ごとに特徴的な踊りセットが多くあるため、かいつまんで紹介する。

○志賀盆踊り 朝地町志賀地区の盆踊りで、かつては17種類あったが今は、6~7種類に減っている。大野地方の盆踊りの中で、最初に文化財指定されたもの。明治初年に田中某という岡藩の関係者が志賀に暮らし、その人が盆踊りを非常に好んだために県内各地の踊りを集めた。そのためよそで廃った踊りが志賀で復活し、反対に志賀から周囲に広まったという伝承がある。事実、大野町や緒方町などあちこちで、「踊りは志賀にならった」「志賀からお嫁に来た人が教えてくれた」などの話がある。

○津留盆踊り 大野町夏足地区津留の盆踊りで、かつては20種類以上の踊りがあった。志賀からの伝来。

○原尻盆踊り 緒方町原尻地区の盆踊りで、昔は10種類以上の踊りがあったが今は8種類を踊っている。保存会の活動もあり盛況。

○白山盆踊り 三重町大白谷の盆踊りで、三重節の扇子踊りが珍しく、近隣に知られている。かつては10種類以上踊っていたというが、今は4種類程度を踊る。

○伏野盆踊り 清川村伏野の盆踊りで、白山盆踊りに類似しており13種類程度を踊ったというが、伏野地区の踊りは廃絶している。清川村では村全体の盆踊り保存会を作り、供養踊りも共同で行う。6種類の踊りが残っている。

○二孝女踊り 野津町川登の盆踊りで、類似のものが野津市などでも行われている。唄・踊りの種類は4~5種類程度で多くはないが、全ての唄が同じテンポ・同じ曲調で、節の変わり目のときに次の唄の囃子で受けるため音頭の切り替えが特になめらかで、一連の盆口説としての一体性がよく保たれている。踊り方も共通の所作があるので、音頭の変わり目で流れるように次の踊りに一斉に切り替わり、動きが全く途切れない。

○柴北盆踊り 犬飼町柴北地区の盆踊りで、7種類程度の踊りが残っている。近隣地域の中では、古い踊りが最も多く伝承されている地域である。

○片島盆踊り 大野町片島地区の盆踊りで、この地域では珍しく、門廻りの盆踊りが残っている。踊りの種類も多く、かつては10種類以上を踊ったというが現状は不明。

 

俚謡「直入地方の盆踊り唄」

1、三勝

 三勝(竹田市倉木)

  ☆来るか来るかと川下見れば(ヨイトナー ヨイヨイ)

   柳新芽の ソリャ かげばかり(サマヤーンソーレ ヤンソレナー)

 銭太鼓十三(竹田市倉木)

  ☆今度踊るは銭太鼓の十三(ヤーレンショー ヤーレンショー)

   しばしそれにて ソリャ 頼みます(サーヤーンソーレ ヤンソレナー)

 かますか踏み(竹田市古園)

  ☆それじゃそじゃそじゃその調子なら(ヨイトナーヨイトナ)

   踊りゃできましょ その夜明けまで(ソレヤーンソーレ ヤンソレサ)

 もろさし(直入町長湯)

  ☆様と別れて松原行けば(ヤーンソレソレ ヤンソレナ)

   松の露やら ソリャ涙やら(ヤーンソレソレ ヤンソレナ)

 かますか踏み(久住町都野)

  ☆別れ別れとさす杯は(ヨイトナーヨイヨイ)

   中は酒やら涙やら ソリャ涙やら(ヤーンソレソレ ヤンソレサ)

 もろさし(久住町都野、直入町下河原・原・柚柑子)

  ☆それじゃしばらく もろさしやろな(ヤレショードッコイショ)

   誰もどなたも アノ品よくに(ソレヤーンソレソレ ヤンソレサ)

 九勝(荻町柏原)

  ☆それじゃしばらく九勝でやろな(ヨイトナー ヨーイヨイ)

   踊る皆様お手振りなおせ(サマヤーンソーレ ヤンソレサイ)

 かますか踏み(荻町宮平)

  ☆踊り踊るならしなよく踊れ(ヨイトナーヨイヨイ)

   しなのよい娘を ソリャ嫁にとる(サマヤーンソーレ ヤンソレサイ)

 かますか踏み(直入郡) ※俚謡集より

  ☆様よあれ見よ御嶽に ヨイトナーヨイトナー

   みかん売り子が サマ火をとぼす ヤーソレ ヤーソレサ

2、兵庫

 八百屋(竹田市古園)

  ☆八百屋お七と国分の煙草(ヨイトナー ヨイトナー)

   色でわが身を ソリャ焼き捨てる(サマー ヨイヤーサノー ヨイヤサノサ)

 八百屋(久住町都野、直入町長湯)

  ☆八百屋お七とヒノクマ煙草(ヤレショードッコイショ)

   色で我が身を焼き捨てる(サマーヨイヤサノサノ ヨイヤサノサ)

 団七(直入町長湯)

  ☆姉の宮城野 妹の信夫ヨ(ヤレショー ドッコイショ)

   中を行くのが志賀団七よ(ハーヨイガサノサノ ヨイガサノサ)

 団七(久住町都野、直入町下河原・原・柚柑子)

  ☆姉の宮城野 妹の信夫アーヨイ(ヤレショードッコイショ)

   中を切るのは志賀団七よ(サマー ヨイヤサノサノ ヨイヤサノサ)

  ○アリャこれこれ団七覚えあろサ 覚えなければ語ろうか(ヤレーショドッコイ)

   指折り数えりゃ三年前サ 河内の国では音高い(ヤレーショドッコイ)

   山中村というとこにサ 父の与茂作討ったじゃろ(ヤレーショドッコイ)

   焼野のきぎす夜の露サ 親はなくても子は育つ(ヤレーショドッコイ)

   ここで逢うたが団七よサ ここで逢うたが優曇華の(ヤレーショドッコイ)

   花咲く春の心地よやサ 今さら仇じゃ覚悟せよ(ヤレーショドッコイ)

   姉の宮城野妹のサ 鍛え鍛えし鎖鎌(ヤレーショドッコイ)

   さあ来い来たれと身構えてサ 妹信夫はとどめさす ササこれで(ドッコイ)

   とどめて先の太夫さんに返す(サマー ヨイヤサノサノ ヨイヤサノサ)

 八百屋(荻町柏原・宮平)

  ☆八百屋お七とヒノクマ煙草(ヨイトセー ヨイトセー)

   色でわが身を サマ焼き捨てる(サマー ヨイヤソジャソジャ ヨイヤサノサ)

  〇ヤレ私が一言入れまする 私が音頭に謎かけよ(ヤレーショドッコイ)

   私がかけたら解いてたも 十三娘とかけたなら(ヤレーショドッコイ)

   それまた音頭さん何と解く 音頭さん解かねばわしが解く(ヤレーショドッコイ)

   十三娘とかけたのは 竹やぶ雀と解きゃせぬか(ヤレーショドッコイ)

   さわれば逃げるじゃないかいな 先の(ドッコイ)

   音頭さんにお返し申す(サマー ヨイヤソジャソジャ ヨイヤサノサ)

 団七(直入郡) ※俚謡集より

  ☆姉のみやきぬ 妹のしのぶ 中に立ちたる志賀団七 サマヨイサノサ ヨヤサノサ

3、杵築

 杵築(竹田市倉木)

  ☆杵築踊りはいと易けれど(サノヨイ サノヨイ)

   知らぬお方にゃ難しゅござる(サーヨーイサッサー ヨイサッサー)

 団七(竹田市古園)

  ☆哀れなるかや志賀団七は(サノドン サノドン)

   後ろ前からそりゃ切りかかる(アラヨーイサッサ ヨイサッサ)

 杵築(竹田市古園)

  ☆杵築踊りはいとやすけれど(サノドン サノドン)

   知らぬお方にゃ難しゅござる(アラヨイサノサー ヨイサッサ)

 杵築(荻町柏原)

  ☆みんな踊ろうや若いときゃ一度(サマヨイ サマヨイ)

   二度と枯れ木に ソリャ花咲かぬ(サマヨーイサッサー ヨイサッサ)

 杵築(荻町宮平)

  ☆杵築山田の踊りを見たら(サマヨイ サマヨイ)

   おうこかたげて鎌腰さして(サマヨーイサッサー ヨイサッサ)

4、ヨイヤセ

 ヨイヤセ(竹田市古園)

  ☆ごめん下されこの家の亭主(ヨーライナ ソーライナ)

   今日の踊りは御供養の踊り(アラ ヨイヤセー ヨーイヤーセー)

 二つ拍子(直入町小津留)

  ☆ハー わしが口説はもうこれ限り(アヨイトセー ドッコイセー)

   しばし間の声継ぎゅ頼む(ハーヨイヤサノセー ヨイヤサノセー)

 三つ拍子(直入町長湯)

  ☆ごめん下されこの家の亭主(ヤレショードッコイショ)

   それに続いて村方様よ(ヨイヤサノセー ヨイヤサノセー)

 二つ拍子(庄内町阿蘇野)

  ☆ハー 国は近江の石山源氏(ヤレショー ドッコイショー)

   源氏娘におつやというて(アラヨヤサノセー ヨヤサノセー)

 二つ拍子(荻町宮平)

  ☆盆の踊りは アー伊達ではないよ(ヨーイナー ヨーイナー)

   先祖代々供養の踊り(ハーヨーヤーセー ヨーヤーセー)

 三つ拍子(久住町都野、直入町下河原・原・柚柑子)

  ☆ごめん下されこの家の亭主(アラヤーレナー ソーライナー)

   しばし間の坪貸しなされ(アラヨイヤサノセー ヨイヤサノセー)

5、三調子

 三調子(庄内町阿蘇野)

  ☆かわい勝五郎 車に乗せて(サノヨイ)

   引けよ初花 箱根山(ハーヤレトコヨイナー ヤッテイナー)

 (直入郡) ※俚謡集より

  ☆先の太夫さんな京都な江戸な ヤレショ

   江戸じゃ見られぬ京都ではない ハーヤンソレサ

6、祭文

 祭文(竹田市倉木)

  ☆ちょっとさえもんに切り替えますよホホンホン(アラドウジャイ ドウジャイ)

   しばしそれにて願います(ヤレーソレー ヤットヤンソレサイ)

  〇竹にヨー 雀が一枝二枝三十の小枝のかぼそいところにねうし揃えて

   じょうさし揃えてくちばし揃えてチーチーパッパがしなよくとまるホホンホン

   (アラドウジャイ ドウジャイ) 止めて止まらぬ恋の道

   (ヤレーソレー ヤットヤンソレサイ)

  〇京の三十三間堂にゃ仏の数が三万三千三百三十三体ナ ござるホホンホン

   (アラドウジャイ ドウジャイ) 嘘か誠か行ってみにゃ知らぬ

   (ヤレーソレー ヤットヤンソレサイ)

  〇瀬田の唐橋ゃ杉の木松の木けやきの欄干ひのきの手摺に大津の鍛冶屋が

   朝から晩までトッテンカラリと叩いてのばした唐金ぎぼしホホンホン

   (アラドウジャイ ドウジャイ) これもまことか行ってみにゃ知らぬ

   (ヤレーソレー ヤットヤンソレサイ)

 祭文(竹田市古園)

  ☆ハーちょっとさえもんと 切り替えましたホホンエー(ヨイヨイ)

   あることないこと喋りましょ(ソレーヤ ソレーヤ ヤットヤンソレサ)

 祭文(久住町青柳)

  ☆ちょいと祭文の 通りがけヘヘンヨー(アラヨイヨイヨイ)

   通りがけなら長いこつぁ言わぬ(ソレーヤ ソレーヤ ヤトヤンソレサイ)

 祭文(久住町都野、直入町長湯)

  ☆ちょいとさえもんの 通りがけヘヘンヨー(アラヨイヨイヨイ)

   通りがけなら長いこつぁ言わぬ(ソレー ソレー ヤトヤンソレサイ)

 祭文(庄内町阿蘇野)

  ☆かわいお六を膝に上げホホンホ(アラヨイショヨイショ)

   覚悟はよいか これお六(ソレー ソレー ヤトヤンソレサ)

 祭文(荻町瓜作)

  ☆踊るエ うちではあの子が一よホホンエー(ヨイヨイヨイ)

   あの子育ての親様見たい(ヤレー ヤットセーヤヤットヤンソレサイ)

 祭文(荻町宮平)

  ☆ちょいとさえもんと切り替えましょやホホンホン(ヨイヨイヨイ)

   さえもん踊りのエー しなのよさ(ヤレーヤ ソレーヤ ヤットヤンソレサイ)

 祭文(直入郡) ※俚謡集より

  ☆あれせにゃならぬ せにゃならぬ ヨイヨイ

   一つ布子の洗濯を ソレソレ ヤートヤンソレサ

 祭文(直入郡) ※俚謡集より

  ☆娘島田にゃ蝶々が止まる ドッコイドッコイ

   止まるはずじゃよ花じゃもの ソレソレー ヤートヤンソレサ

7、猿丸太夫

 猿丸太夫(竹田市倉木)

  ☆秋が来たとて(コラショイ) 鹿さえ鳴くに なぜに紅葉が色つかぬ

   (アラヨイヨイヨイヨイ ヨイヤサー サートッチンチンリン トッチンチンリン)

 二つ拍子(竹田市古園)

  ☆猿丸太夫は(コラショイショイ) 奥山の 紅葉踏み分けアノ鳴く鹿の

   (アラヨイヨイヨイサノ ヨイヨナー ヨイヨナー) 

 猿丸太夫(荻町、直入町、久住町)

  ☆猿丸太夫は(アラショイショイ) 奥山の 紅葉踏み分け鳴く鹿の

   (アラヨイヨイヨイヨイ ヨイヤナー サートッチンリンリン トッチンリンリン)

 猿丸太夫(直入郡) ※俚謡集より

  ☆猿丸太夫はヨッショイショイ 奥山に 紅葉踏み分け鳴く鹿の

   サヨイヨイヨイヨイ ヨイヨナー サトッチンチンリン トッチンチンリン

8、麦搗き

 もの搗き(竹田市古園)

  ☆臼にヨーナ(ドッコイ) 麦を入れ(サマヨーイヤサノヨイヨイ)

   ぬかづく時はエ(サマハーヨイヤナ) ヤレ五尺ナー(ドッコイ)

   体が(サマヨーイヤサノヨイヨイ) 体が五尺エ(サマハーヨイヤナ)

   コイタ乱れゆくデ(サマセーヨーナ) ドッコイ(ヨーイヤセーヨーナ)

   ま一丁(ヨーイヤナ)

 麦搗き(久住町青柳、直入町下河原・原・柚柑子)

  ☆臼にナー(ドッコイ) 麦を入れ(サーマヨイヤサマヨイヨイ)

   ぬかづく時はヨー(サーマヨイヤセー) 五尺ナー(ドッコイ)

   体が(サーマヨイヤサマヨイヨイ) 体が五尺ナー(サーマヨイヤナー)

   乱れゆくヨー(サマセーヨーナ) ドッコイ(ヨーイヨセーヨーナ)

   ドッコイ(ヨイヨナー)

 麦搗き(直入町長湯)

  ☆臼にヨーナ(ドッコイ) 麦を入れ(サマヨイヤサマヨイヨイ)

   ぬかづく時はサ(サマセーヨイヤナ) 五尺ナー(ドッコイ)

   体が(サマヨイヤサマヨイヨイ) 体が五尺ナ(サマセーヨイヤナ)

   コイタしびれゆくエー(サマセーヨーナ) ドッコイ(ヨイヨセーヨーナ)

   も一つ(ヨイヨナー)

 麦搗き(直入郡) ※俚謡集

  ☆臼にナ ドッコイ お米を入れ サマヨヤサノヨイヨイ ごーしりーな

   ドッコイ 体が サマヨヤサノヨイヨイ こざれゆくエー

9、弓引き・風切り

 弓引き(竹田市倉木)

  ☆今度踊るは弓引き踊り(トナー ヨイトナー)

   しばしそれにて ソリャ頼みます(サーヤッサガホイナラ ヨーヤルナー)

 銭太鼓七つ(竹田市倉木)

  ☆今度踊るは銭太鼓の七つ チョイトエー(セガセー セガセー)

   しばし間はよろしく頼む(アーヤッチョイナンサー ドッコイセー)

 風切り(竹田市古園)

  ☆思うがままならあの振袖と(ヨイトナー ヨイトナー)

   朝日差すまで ソリャ寝てみたい(アラヤッサガホイナラ ヨーヤルナー)

 風切り(久住町都野、直入町長湯)

  ☆今の流行の風切り踊り(アライヤトコナンサー ドッコイショ)

   踊りくだされ風切り踊り(トコイヤトコナンサー ドッコイショ)

 弓引き(直入町長湯)

  ☆弓は袋に刀は鞘に チョイトエー(チョイトエー チョイトエー)

   槍は旦那の ソリャ床の間に(トコヤンチョイナンサー ヨーヤルナー)

 弓引き(久住町、直入町下河原・原・柚柑子)

  ☆様は三夜の三日月様よ(チョイトエー チョイトエー)

   宵にちろりと見たばかり(トコイヤトコナンサー ヨーヤルナ)

 九勝(荻町宮平)

  ☆さあさどなたもこの調子なら(ヤレショーヤレショー)

   踊りゃやめまい ソリャ夜明けまで(アラヤッサガホイナラ ヨーヤルナー)

 弓引き(直入郡) ※俚謡集より

  ☆サー どうで弓引きゃ臼杵がもとよ 臼杵もとなら佐伯が浦よ

10、チロリロリン

 弓引き(荻町宮平)

  ☆弓引きヤーレー やりましょ(アラヨイヨイヨイ)

   しばし間はその調子にて(サマーこれもサンサのチロリロリン)

   ヨイサ チロリロリンならハチリンと(アラどっちが千草でトッホンシャン)

11、伊勢音頭

 伊勢音頭(竹田市倉木)

  ☆伊勢にゃヨー 七度ナ 熊野に三度(アーソーコセー ソーコセー)

   愛宕ナー 様には ハーヤンレサー月参り(アーソレソレ ヤートコセーノ

   ヨーイヨナー アレワイセー) ドッコイ(コレワイセーデ ササ

   ナンデモセー)

  〇さてもナー 見事なヨ 沈堕の滝は(アーソーコセー ソーコセー)

   「ソレ落て口ばかりは十二口(ソレ) 十二の落て口ゃ布引で(ソレ)

    上には大悲の観世音(ソレ) 下には大蛇が七頭」

   落つりゃヤー 大蛇の ハーヤンレサー餌となる(アーソレソレ ヤートコセーノ

   ヨーイヨナー アレワイセー) ドッコイ(コレワイセーデ ササ

   ナンデモセー) 

 伊勢音頭(竹田市古園)

  ☆伊勢はナー 津でもつ津は伊勢でもつ(アラソーカセー ソーカセー)

   愛宕ナー 様には ハーヤンレサー月参り(アーソレカラ ヤートコセーノ

   ヨーイヤナー アレワイセー) ドッコイ(コレワイセーノ ササ ナンデモセー)

 伊勢音頭(久住町都野、直入町長湯)

  ☆伊勢にゃ七度熊野にゃ三度(アラソーコセー ソーコセー)

   愛宕様にはヤンデサ 月参り(アラソレカラ ヤートコセーノ ヨーイヤナ)

   アラ(ハレワイセーノ) ソコ(コレワイセーノ ササナンデモセー)

 伊勢音頭(直入郡) ※俚謡集より

  ☆早野勘平が猪打ちにゃ 蓑着て笠着て鉄砲を持ち 一谷越ゆれど猪ゃおらぬ

   二の谷越ゆれど猪やおらぬ 三国峠という峠 あれに見ゆるは猪かいな

   はやご返して二つ玉 二つ玉にて打ち止めな 火縄の火を振り出で見れば

   猪と思えば旅の客 気付けはないかと懐を 探り当てたる縞財布

   金ならおよそ四五十両 死したるそちはいらぬ金 はたはなければならぬ金

   貸してナー アラくれとの ヤレたたんでおさめ

   キニャキニャ ヤートコセー ナンデモセー

 伊勢音頭(直入郡) ※俚謡集より

  ☆イヤ太夫さんちょいと止めた ソレ西行法師のぼんさんが 四国西国廻るとき

   豆腐の四角に蹴つまづき こんにゃく小骨を足に立て れんぎで掘れども掘れはせず

   杓子でこぬれどまだ抜けぬ いろいろお医者にかけたれど 薬の効き目のなきために

   山で取った貝殻と 磯部でとった松虫と 氷の黒焼きとかきまぜて 馬の角にて

   エヘンヘン 混ずれや ハリャリャ コリャリャ アレワイセ

12、サンサオ(竹田市倉木)

  ☆アラ田中に布旗立てて(波に乗らせて サマ瀬で)

   ドッコイ(瀬でさるすサーンサオ) アラ乗らせて 乗らせて波に

   (波に乗らせて サマ瀬で) ドッコイ(瀬でさるす(サーンサオ)

13、東山

 東山(竹田市古園)

  ☆唄は唄いたし唄の数知らぬ ヤレ 大根畑のくれがえし 畑の大根

   ヤレ 大根畑のくれがえし(コチャーコチャー)

 東山(久住町、直入町下河原・原・柚柑子)

  ☆東山からさえ出る月は ヤレ さんさ車の輪のごとし 車のさんさ

   ヤレ さんさ車の輪のごとし こちゃこちゃ こちゃ知らぬ顔よ

   (ヤーレヤーレ ソレソレ ヤーレヤーレ ソートエ)

 東山(荻町柏原)

  ☆東山からお出ます月は ハーヤレ さんさ車の輪のごとく

 東山(荻町宮平)

  ☆東山からあれ出る月は(ハーヤレ さんさ車の輪のごとく)

   さんさ車の 車のさんさ(ハーヤレ さんさ車の輪のごとく)

 東山(直入郡) ※俚謡集より

  ☆東山からさえ出づる月は ヤレサンサ 車の火の如し 東山から

   東山からさえ出づる月は ヤレサンサ 車の輪の如く コチャコチャ

   見るがほん車の サンササンサ 車の輪の如く

14、佐伯(久住町青柳)

  ☆佐伯なば山 鶴崎ゃ木挽き(ドッコイサッサー)

   日田の下駄ひき ナント軒の下(ソリャ ヤットセーノオカゲデネ)

15、わしは佐伯の(直入郡) ※俚謡集より

  ☆エーヘー わしは佐伯のザル棒せがれ ザルはほげザル魚は腐れ ヨヤヨイ

   ザルはほげザル魚は腐れ エヘヘー ザルはほげザル魚は腐れ

   ヘー ザルはほげザル魚は腐れ ハー ヨイトマカセノ ヨヤヨイ

メモ:直入地方の盆踊り唄をまとめて紹介した。庄内町阿蘇野と野津原町今市も古くは直入郡で、伝承の曲目も類似しているところがあるようなのでこちらに加えている。この地方はかつて盆踊りが盛んに行われた土地だが衰退著しく、今は一部の集落を除いて盆踊りをやめているか、新民謡の踊りにかわっていることが多い。昔は多くの種類の踊りが行われ、特に銭太鼓踊りや扇子踊りなどといった綾踊りの種類の豊富さには目を見張るものがある。大野・直入地方の銭太鼓踊りは、著名な姫島村のそれとは全く違い、銭太鼓に長い房飾りがついておりそれを右手に持ち、左手には扇子を持つという大変に高度な技術を要する、優美な踊りである。右手で銭太鼓を鳴らしながら房飾りを振り回し、左手では扇子をクルリクルリと素早く回すという、よそではちょっと見られない踊り方をする。今は珍しくなっているが昔はよほど流行したとみえて、「銭太鼓七つ」「銭太鼓九つ」「銭太鼓十三」など拍子によって何種類もの踊り方がある。また三人組で踊る団七踊りも盛んである。ほかに全域で行われているものは弓引き、風切り、猿丸太夫などで大野地方の踊りと共通したものが多いが、この一帯は兵庫節が盛んであったり、東山など大野地方には見られない踊りもあることから、別項扱いとした。踊りの種類の多いのは嫗岳地区・宮砥地区と朽網地方で、それぞれ10種類程度の踊りが残っているという。嫗岳・宮砥は竹田市の奥も奥、祖母山の麓の地域だが、この地域は直入地方屈指の「踊りどころ」で、殊に九重野、倉木、次倉は踊りの種類が多い。朽網地方は久住町都野から直入町長湯、庄内町阿蘇野辺りのことを言うが、この中でも都野は扇子踊りの種類が豊富である。かつてくは初盆家庭を門廻りで踊る集落が多かったとのこと。なお、隣接する熊本県高森町など、阿蘇地方のうち竹田寄りの地域に伝わる昔からの盆踊りは、直入地方の盆踊りと共通である。

 

俚謡「甚吉口説」(直入町下竹田)

 ☆郷土名物 甚吉柿と 炭で名高い下竹田(ソレ)

  ヤートセー ドッコイサノセー(ソレ)

 ☆味と風味は日本一よ 古い由緒の渋柿で(ソレ)

  ヤートセー ドッコイサノセー(ソレ)

メモ:昭和初期に、藤本二三吉のレコードで流行した「関門小唄」の替え唄である。ただしそっくりそのまま節を真似したわけではなくて、元唄の返しにあたる部分から先を省いている。文句も、口説形式ではあるも新作なので新民謡の一種ともいえるが、太鼓のみの伴奏で一連の盆踊り唄と同種の扱いをされているし、レコード民謡というわけでもないので、ここでは盆踊り唄(俚謡)として扱う。下竹田ではかつて祭文と団七(三勝)が盛んに行われたが古い踊りが廃れて、甚吉甚句やかぼす音頭などにとってかわられている。この唄は流行し、長湯方面でも盛んに行われている。

その6

 

俚謡「日田・玖珠地方の盆踊り唄」

1、伊勢音頭

 千本搗き(玖珠町玖珠)

  ☆国はヨー 関東下野の国 (アーレモサイサイ コーレモサイ) 那須ヨー

   与一という侍はヨ(よんべおかしかった ざっつさんの夜這いど

   あんげ逃げたこんげ逃げた とうとうとん逃げた)

  ☆背はヨー 小兵にござ候えど(アーレモサイサイ コーレモサイ) 積もるヨー

   御年十六歳でヨ(ヤットセーノヨーイヤナ

   アーレモセー コーレモセ セノヨーイトナー)

 千本搗き(玖珠町日出生本村)

  ☆咲いた桜になぜ駒つなぐ(ヤーレショーヤーレショ) 駒が勇めば

   ヤレサ花が散る(ソーリャヨーヤヨヤ アレワイセーコレワイセー ヨーイトナ)

 千本搗き(九重町野上)

  ☆寺に参りて今帰り道(ソレジャー ソレジャー) 聞けばこなたは初盆そうで

   (ヨーイヨーイヨーイトナー アリャリャー コリャリャー ソレ ヨーイトナー)

 千本搗き(九重町町田)

  ☆花のお江戸に コラその名も高き(アリャヤートコサイサイ ヤートコサイ)

   本郷二丁目に八百屋というて(トコエーイソーリャ ヤートコセ セノヨーイヨナ

   アレワイサー コレワイサー ヤートコセー)

 六調子(大山町西大山)

  ☆愛嬌よければ コラみなさん方に(ヤートショイショイ ヤートショイ)

   我も我もと名指して上がる(トコエイソリャ ヤートコセ セノヨーイヤナ

   ソリャ アンゲナショイショイ コンゲナショイ ヤートコセー)

 六調子(天瀬町五馬市)

  ☆夜はなおまた コラ城下の煙(アーヤートサイサイ ヤートサイ)

   井戸の中よりお菊やんの姿(トコエーイソーラ ヤートーコー)

   ソコ(セノヨーイヤナ アレモサイサイ コレモサイ)ソコ (ヤートコセー)

 千本搗き(天瀬町馬原)

  ☆東西南北おごめんなされ(ソレジャーソレジャー) 家にござるかご主人様よ

   (お月ゃ西々 お日様東 ソコ アリャリャー コリャリャ ホイ ヨーイトナー)

 千本搗き(天瀬町高塚)

  ☆東西南北おごめんなされ(サマソーレージャー ソーレージャー)

   聞けばおうちじゃ初盆そうな(お月ゃ西々お日様東 アリャリャー コリャリャー)

   ソコ(ヨーイトナー)

 六調子(天瀬町馬原・高塚)

  ☆国は(ハイハイ) 筑前遠賀の国よ(ヤートサイサイ ヤートサイ)

   あしや浜の浦 太郎兵衛殿よ(サマエーイソーリャ ヤートコセ) ソコ

  (セッセノヨーイヤナー アーレモサイサイ コーレモサイ)ソコ (ヤートコセ)

 千本搗き(日田市羽田)

  ☆わしとナー あなたは硯の墨よ(アレワイセー コレワイセー)

   すればナー するほど ヤンサ濃ゆくなる(庭の下り藤ゃ朝まじゃもたぬ

   アレワイセー コレワイセー セノヨーイトナー)

 小屋起こし(日田市羽田)

  ☆兄の コラショイ 春徳 弟の梅次(アヤートサイサイ ヤートサイ)

   弟梅次は直子んなれど(トエーイソーレヤットコセ オイセッセノ

   ヨーイヤナ アレモセー コレモセッセノ ヨーイトナー)

 ヨイトナ(日田市殿町)

  ☆国は山陰その名も高き(アヨイヨイ) 武家の家老に一人のせがれ

   (ソリャ ヨイヨイヨイトナー アレワイサ コレワイサ ヨイトナ)

 ばんば踊り(日田市財津町)

  ☆聞けばお宅はお初の盆と(ハヨイヨイ) 財津若い衆 年寄り子供

   (ソリャヨーイヨーイヨイヤナ アレワイサッサノ コレワイサ ヨーイトナ)

2、マッカセ

 マッカセ(玖珠町北山田)

  ☆井戸の中よりお菊やんの姿(ソレマッカセマカセ)

   そこでお菊が(ヨイショヨイショ) 申せしことにゃ

   もうしこれいな鉄山様よ (トハーリハリ タリジャナイショナイショ)

 マッカセ(玖珠町四日市)

  ☆井戸の中よりお菊が姿(ソレマッカセマカセ) そこでお菊が

   (ヨイショヨイショ) 申せしことにゃ コラサーコラサ

   申せしことにゃ(トハリハリ タリジャナイショナイショ)

 マッカセ(玖珠町八幡)

  ☆わしがヨー 出しましょヤブから笹を(ソレマッカセドッコイショ)

   わしが口説で(ヨイショヨイショ) 合うかは知らぬ

   コラサー 合うかは知らぬ(トハーレハレ ソレガナイショナイショ)

  ○合えばヨー それよし合わないときは(ソレマッカセドッコイセ)

   そこらここらの(ヨイショヨイショ) 姉さん方の

   コラサー そこらここらの姉さん方の(トハーレハレ ソレガナイショナイショ)

 マッカセ(玖珠町玖珠)

  ☆合えばサー それよし合わないときは(ソレマッカセドッコイセ)

   そこらここらの(ヤレコノドスコイ) 姉さん方の

   そこらここらの姉さん方の(トハーレハレ ダレガナイショナイショ)

 マッカセ(九重町町田)

  ☆ここにエー 語るは コラ九重町の(マッカセヨイヤセ)

   なぐら村にて(ヤレコノドスコイ) 千町無田 コラサ

   朝日長者のその物語(ヤートハリハリ タリジャナイショナイショ)

 マッカセ(九重町飯田)

  ☆みんなサー どなたもマカセをやろな(マッカセマカセ)

   次にかかるは(ヤレコノドスコイ) 朝日の長者 コラサ

   次にかかるは朝日の長者(トハレハレ ソレハナイショナイショ)

 マッカセ(九重町後野上)

  ☆国はサー お江戸の コラそのかたわらに(マッカセドッコイセ)

   さてもめずらし(ヤレコノドスコイ) 心中話 コラサー

   ところ四谷のコラ 新宿町で(ヤットハリハリ タレガドシタドシタ)

 マッカセ(日田市羽田)

  ☆国をナー 退き夫婦の願い(マッカセマカセ) 神や仏に

   (ヨイショヨイショ) 心願かけて(コラマーヨイショ)

   心願かけて(トハレハレ ソレガナイショナイショ)

 マッカセ(天瀬町五馬市)

  ☆(ソレマッカセマカセ) 国は播州(ヨイショヨイショ)

   姫路の御城下 コラ 姫路の御城下

 マッカセ(天瀬町高塚)

  ☆国をヨー 立ち退き夫婦の願い(アーマッカセマッカセマッカセ)

   神や仏に(ヨイショヨイショ) 心願かけて コラサノ

   神や仏に心願かけて(ヤットハレハレ 誰じゃナイショナイショ)

3、祭文

 祭文(玖珠町八幡)

  ☆ここに哀れな 巡礼口説コラサーノサ(アーヨイショヨイショ)

   国はいずこと尋ねてきけば(ソーレーヤ ソーレーヤ ヤットヤンソレサ)

 祭文(玖珠町玖珠)

  ☆ここに哀れな 巡礼口説コラサーノサ(アーヨイショヨイショ)

   国はいずこと尋ねてきけば(ソレガエーヤ ソレガエーヤ ヤットヤンソレサ)

 扇子踊り(玖珠町北山田)

  ☆国は西国 豊後の国よコラサノサ(ハヨイショヨイショ) 音に聞こえた

   三日月の滝(ソレガエーヤ ソレガエーヤ ヤットヤンソレサ

   ハヨイショヨイショ)

 祭文(玖珠町森)

  ☆今宵よい晩 嵐も吹かでコラサーノサ(アーヨイショヨイショ) 様に忍ぶにゃ

   ホンニなおよかろ(ソレガーエーヤ ソレガーエーヤ ヤットヤンソレサー)

 祭文(九重町桐木)

  ☆ハ揃うた揃うたよコリャ 踊り子が揃うたコラサノサ(ハヨイショヨイショ)

   秋の出穂よりしなよく揃うた(アソレガエヤ ソレガエヤ ヤットドッコイサノサ)

 祭文(九重町野上)

  ☆みんな コリャどなたも品ように頼む コリャサノサ(ハヨイショヨイショ)

   どうで祭文な コリャ気の浮く踊り(ソレイヤ ソレイヤ ヤットドッコイサノサ)

 祭文(日田市財津町)

  ☆皆ナーサ コリャどなたも 踊りをやろかホホンホー(ヨイトサッサト)

   今のナーサ コリャはやりの目連尊者(サノエー サノエー ヤトヤンソレサー

   ヨイショヨイショ)

 祭文(日田市羽田)

  ☆安芸ノ宮島 まわれば七里 コラサノサ 浦はナー 七浦 ヤンサ七恵比寿

   (ソリガエー ソリガエー ヤートヤンソレー サマノヨイショヨイショ)

 祭文(大山町東大山)

  ☆国は日向の 佐田原町にホホンホー(アヨイショヨイショ) 喜兵衛殿とて

   ご上人ござる(ソレナヤ ソレナヤ アットヤンソレサ アヨイショヨイショ)

 祭文(大山町西大山)

  ☆ここに哀れな 巡礼口説コラサノサ(アヨイショヨイショ) 国はどこよと

   尋ねたならば(ソリャネー ソリャネー ヤットヤンソレサ ヨイショヨイショ)

 祭文(天瀬町女子畑)

  ☆扇めでたや 末広がりよコラサノサ(ヨイショヨイショ) ここに語るは

   公卿大納言(ソレナヤ ソレナヤ ヤットヤンソレサ ヨイショヨイショ)

 祭文(天瀬町馬原)

  ☆国は日向の 佐田原町よコラサノサ (ハヨイショヨイショ) 喜平さんとて

   慈悲人ござる(ソロエー ソロエー アトヤンソレサ ヨイショヨイショ)

 祭文(天瀬町高塚)

  ☆今度踊りましょ祭文踊りコラサノサ (ハヨイショヨイショ) しばし間は

   祭文やろな(ソーレガドシタ ソーレガドシタ ヤットヤンーソレサ

   ヨイショヨイショ)

4、ヨイトナ

 ヨイトナ(玖珠町四日市)

  ☆おうちござるかこの家の亭主 コラショイ

   盆の七月七日をはじめ(オーサヨイトナー ヨイトナー)

 盂蘭盆経(玖珠町八幡)

  ☆アラおうちござるかこの家の亭主 コラサ

   盆の七月七日をはじめ(オサヨイトーナー ソージャロナー)

 ヨイトナ(玖珠町玖珠)

  ☆おうちござるかこの家の亭主 コラショイ

   盆の七月七日をはじめ(オサ ヨイトーナー ソレカラジャー)

 ヨイトナ(九重町飯田)

  ☆盆のサ 踊りの由来の口説(コラサー)

   昔インドの国主に生まれ(オサヨイトーナー ヨイトーナー)

 三つ拍子(九重町町田)

  ☆ここに語るは盂蘭盆経よ (オサー ソレジャーソレジャー)

   いわれよくよく聴き給うべし (オサー ソレジャーソレジャー ヨイトナ)

 ヨイトナ(大山町西大山、天瀬町高塚)

  ☆国の始めは大和の国よ コラサ 島の始まりゃ淡路が島よ

   (サマ ヨイトナ ヨイトナ)

 ヨイトナ(天瀬町五馬市)

  ☆東西 ホホ南北 コラサおごめんなされ(ソレナーソレナー ヨイトナ)

 一つ拍子(日田市羽田)

  ☆何か一つは国づけしましょ ここで語るは盂蘭盆経よ(ハヨイトナ コラサノサ)

5、小屋起こし

 小屋起こし(玖珠町北山田)

  ☆アー国は西国 豊後の国よ コラショイ

   音に聞こえし三日月の滝(オサ ヨヤヨヤサッサノ ヨヤサノサ)

 小屋起こし(玖珠町山浦)

  ☆東西南北 国からが先 コラショイ

   国を語れば豊後の国に(アラ ヤートサノサノ ヤットコリャサ)

 小屋起こし(九重町町田)

  ☆アリャ 東西南北静まりなされ コラサ

   今宵供養の踊りでござる(オーサ ヨーイヤサイサイ ヨヤサノサイ)

 小屋起こし(九重町野上)

  ☆おうちござるかこの家の亭主 コラサ

   聞けばこの家は初盆そうな(アラ ヨイヤヨイヤサノサノ ヨイトサノサ)

 小屋起こし(前津江村大野)

  ☆花のお江戸のその中はらに

   さても珍し話がござる(ヨートサイサイ コラマカサイ)

 ばんば踊り(大山町西大山)

  ☆東西東西おごめんなされ(コラショイ)

   私ゃこの奥二三里四五里(アラヨイサガコラサデ ヤレサデサ)

  ☆ずっと田舎のお茶売り戻り(コラショイ)

   聞けばこちらはご主人様の(アラ夜這どが背戸やを ガッサガサ)

  ☆お果てなされし初盆そうな(コラショイ)

   お茶もたばこもいらざる故に(アラ夜から来なされ 抱いて寝ろ)

  ☆今宵一夜の坪貸しなされ(コラショイ)

   坪を貸すなら床貸しなされ(アラヨイサノコラサノ ヨイサノサ)

 小屋起こし(天瀬町高塚)

  ☆花の追えどのそのかたわらに

   さても珍し心中話(ソラ ヨーヤ サノサーノ ヨヤーサーノサ)

 三つ拍子(日田市羽田)

  ☆花のお江戸のそのかたわらで(コラショイ)

   聞くも珍し心中話(オイソレナー ソレナー)

 二つ拍子(日田市羽田)

  ☆四国讃岐の屋島が沖で(コラショイ) 源氏平家の御戦いで(ソレナー ソレナー)

  ☆父の義朝うち滅ぼされ(コラショイ) それを牛若無念に思い

   (サマヨイソレナ ドッコイサノサ)

6、鯖ん寿司

 鯖ん寿司(玖珠町四日市)

  ☆わしもかてなれ この輪のうちにヨ(ヤットンセー ヨーイヨイ)

 鯖ん寿司(玖珠町北山田)

  ☆押そな押しましょな鯛の寿司押そなヨ(ヨイトナー ヨイヨイ) 鯛は高うつく

   アレワイサノ 鯖ん寿司押そなヨ(トコヤンサガホイナラ オヤスノホイホイ)

 鯖ん寿司(玖珠町玖珠)

  ☆押そな押しましょな鯛の寿司押そなヨ(ヨイトセー ヨイヨイ) 鯛は高うつく

   アレワイサノ 鯖ん寿司押そなヨ(トコヤンサガコイコイ ヤンサガコイ)

 寿司押し(玖珠町森)

  ☆わしが唄うたらヨ 大工さんがヨ 笑うたヨ(ヨイトセー ヨーイヨイ)

   唄に鉋が アレワイサン かけられましょかヨ

   (トコヤンサガコイコイ ヤンサガコイ)

 鯖ん寿司(九重町後野上)

  ☆江戸で名高い東屋さんのヨ(ドッコイセー ヨーイヨイ) 本郷八百屋の

   アレワイサノ 久方がたにヨ(ヤンサガコイコイ ヤンサガコイ)

 鯖ん寿司(天瀬町高塚)

  ☆押そな押しましょうな 鯖ん寿司押そなヨ(ヤットコセー ヨーイヨイ)

   しばし間は アレワイサノ 鯖ん寿司押そなヨ

   (トコヤンサガコイナラ オヤスノコイコイ)

 トコセーヨイヨイ(日田市羽田)

  ☆ここに哀れな巡礼口説き(トコセーヨイヨイ)

7、三勝

 三勝(天瀬町五馬市、大山町小切畑)

  ☆先に借りたる小坪を返そ(ソレヤーンセレセレ ヤンセレサ)

 二つ拍子(日田市財津町)

  ☆みんな何方も願いがござる ここの亭主がお茶出すそうな

   (ヤンソレナー ヤンソレナ)

 団七(日田市下河内)

  ☆頃は寛永十四年どし(ヤンソレヤンソレ ヤンソレサ)

   父の仇を娘が討つは(ヤンソレヤンソレ ヨイサノヤンソレサ)

8、六調子

 六調子(玖珠町八幡)

  ☆娘おつると書いたる文字が(アー書いたる文字が)

  ☆墨が滲みて姿が薄い(アーヨーヤーサ ドッコイサ)

 六調子(玖珠町玖珠)

  ☆国は西国 豊後の国で(アーヤートコサイサイ ヤートコサイ)

 団七(玖珠町北山田)

  ☆姉の宮城野 妹の信夫(アーヤンソレサッサノ ヤンソレサ)

 六調子(九重町野上)

  ☆娘おつると書いたる文字が(アー書いたる文字が)

  ☆墨が滲みて姿が薄い(アーヤートコサイサイ ヤートコサイ)

 セレショ(九重町町田)

  ☆国はいずこと尋ねてきけば (セレショーセレショー セッセレショ)

 団七(天瀬町高塚)

  ☆姉の宮城野 妹の信夫(アー妹の信夫)

  ☆中を行くのが志賀団七よ(アーソレサーソレサー ヤンソレサ)

 団七(日田市財津町)

  ☆やろなやりましょな踊りをやろな(ヤンソレササノ ヤンソレサ)

 (日田市財津町)

  ☆国は柳川 吉野の町よ(ハヨーヤセ ヨヤセ)

 団七(天瀬町女子畑)

  ☆姉が宮城野 十三歳で(ソレサーソレサー ヤンソレサ)

 四つ拍子(天瀬町五馬市)

  ☆国は天竺 魔法の国よ(ヤーレショ セレショ)

 団七(大山町鎌手)

  ☆国は奥州 白石城下(セレサーセレサー ヤンセレサ)

 団七(前津江村大野)

  ☆国は奥州 白石の国(ヤンソレサッサ ヤンソレサ)

 ヨーヨーセ(前津江村大野)

  ☆国は九州さて肥後の国(ハヨーヨーセー ヨーヨーセ)

 六調子(日田市羽田、前津江村大野)

  ☆ここに憐れな巡礼口説(ヤンソレサッサノ ヤンソレサ)

9、兵庫(玖珠町北山田)

  ☆おうちござるかこの家の亭主(ヤレショードッコイショー)

   盆の七月七日をはじめ(サーヨイヤサノサノ ヨイヤサノサ)

10、米搗き(玖珠町北山田)

  ☆搗けど小突けどこの米ゃヨー アー剥げぬ ノンホーヨイトセー

   どこのお倉の底米か(ショイ ショイ)

11、小倉

 米搗き(日田市羽田)

  ☆国の始まりゃ大和の国よネー(ヨーイヨーイ ヨヤセノセッセー)

12、思案橋

 思案橋(上津江村上野田)

  ☆思案橋から酒屋が見ゆる ヤー寄ろか まことに寄ろかナ 戻ろか思案橋

 思案橋(前津江村大野)

  ☆思案橋から酒屋が見ゆる アラヤーハンハー

   寄ろか どうでも寄ろかナ アラ 戻ろか思案橋

 思案橋(日田市殿町)

  ☆思案橋ゅ越えて(ヤー来るは ヤレ来るはナー アラ誰ゆえしょうさまゆえ)

   誰ゆえ来るは(ヤー来るは ヤレ来るはナー アラ誰ゆえしょうさまゆえ)

 思案橋(日田市夜明)

  ☆行こか戻ろか思案橋越えて オイ ミヤー来るはヤレ

   来るはナー アラ誰ゆえ アラ精霊さゆえ

13、きょくてんまわし(日田市羽田)

  ☆あまた女郎衆のいるその中で お職女郎の白糸こそは(ソコタナ ソコタナ)

   年は十八きれいなお方(トコセー トコセー)

14、ショーガエ(日田市殿町)

  ☆ショーガエ婆さん(焼き餅焼きよ よんべ九つ け アラ 今朝七つ

   サンショノ ショーガエ ヨーイ今朝七つ よんべ九つ け アラ 今朝七つ

   サンショノ ショーガエ)

15、竹田(日田市殿町)

  ☆唄は唄いたし(唄の数ゃ知らぬ 大根畑の アナンデモ くれがえし

   アソリャ くれがえし さりとはくれがえし)

16、盆よ盆よ(上津江村川原)

  ☆盆よ盆よと盆まじゃ待とが イヤー 盆がソーライ 盆がナー

   すれたら何ゅ待とか 盆がコリャ 盆がイヤー 盆がソーライ 盆がナー

メモ:玖珠地方・日田地方の踊りはそれぞれに特徴があるが共通の曲目が多く、また境界線もあいまいなところがあるのでまとめて紹介した。ただし玖珠町古後地区のみ、「盆踊り唄 その1」で紹介した「山国川流域の盆踊り唄」に加え、この項目からは除外した。この地方は踊りの種類が多いし、日田の市街地を除くほとんどの地域で、昔からの口説の踊りを続けている。特徴的なものとしては玖珠町北山田の扇子踊り(祭文)があるし、団七踊り(組踊り)も盛んに行われている。ほかはほとんどがうちわを持って踊るもので、簡単な所作のものが多い。踊りの種類の多いのは日田市岩下組の13種類を筆頭に東有田・西有田・羽田辺りが10種類程度、天瀬町高塚や玖珠町北山田が8種類程度、その他の地域でも5~6種類は踊っている。この辺り独独の曲目としては「ヨイトナ」と「小屋起こし」があるが、その他は「マッカセ」やら「六調子」「兵庫節」など、他地域から入ってきたと思われるものばかりである。しかし、長い年月の間に節回しや踊り方をめいめいで工夫したのか、地域ごとの特徴が色濃い。流行小唄の転用としては、「ショーガエ婆さん節」や「思案橋」のほかに、採集できていないが日田市羽田辺りでは「磯節」も踊っているという。特筆次項としては、この項の筆頭で紹介した「伊勢音頭」系の唄の中でも、速い唄い方の節と遅い唄い方の節があり、両者が共存しているということがあげられる。

例として天瀬町高塚では速い「六調子」と遅い「千本搗き」があり、両者とも「ヤートコセ」の伊勢音頭だが、テンポだけでなく節も違っている。伝承経路が違うのだろうが、玖珠地方においても両者の境界が入り乱れており、単純に一方通行で広まったのではないということがよくわかる好例である。

その7

俚謡「山路踊り(酒宴づくし)」(玖珠町森)

☆山路が吹きし笛竹は(サーナニガマカセー) 身より大事な草刈男

 真野の長者の娘と酒宴 ソレーソーレー ソーレソーレー サートセー

☆二つの山に抱かれし森は(サーナニガマカセー) 昔ゃ御殿 久留島様よ

 今も名残の三島と酒宴 ソレーソーレー ソーレソーレー サートセー

☆杵築の伊達者オシオとて(サーナニガマカセー) つとは三尺折りゃまた二尺

 笠は熊谷八つ折り雪駄 ソレーソーレー ソーレソーレー サートセー

☆九軒の茶屋の大尽な(サーナニガマカセー) 立つる襖の絵に描く虎は

 威勢恋しと駆け出す酒宴 ソレーソーレー ソーレソーレー サートセー

メモ:この踊りは盆踊りのときにも踊られているが、元は座敷踊りであり、一連の口説による盆踊りとは区別されているので別項扱いとした。元の唄と踊りはあまりテンポが遅く、難しいので廃れ、いま盛んに行われているのは「新山路踊り」といって、昭和の中ごろに改作されたものである。元唄「酒宴づくし」は堅田踊りの「しんじゅ」と同種なのだが、こちらの方が節を長く引っ張っているので一聴しただけでは気付きにくい。「しんじゅ」は三味線と太鼓だが、「酒宴づくし」には笛も入っている。今の節はレコード以降のもので、テンポが速まり間合いが詰まっている。このことで一般にも唄い易くはなっているが、元唄の優雅な雰囲気がすっかり失われている。お祭りのときなどにもレコード音源が使用されているが、その音源が和洋折衷の伴奏で、これまた元唄からすっかり離れている。「新山路踊り」のことを「山路踊り」と呼ぶことも多いようだ。新作は新作で親しみやすくてよいのだが、元唄を尊重するためにも、新作の方にはしっかり「新」をつけて、元唄とは区別していただきたいと思う。踊りの方も、いま行われているのは新しい振り付けのものである。手数が多いし所作も工夫されていてとてもよい踊りだと思う。昔の踊り方は残念ながらまだ見たことがない。

 

俚謡「津鮎踊り」(湯布院町鮎川・津々良)

1、ばんば踊り

 ☆白いゆかたに南無妙と書いて(南無妙法蓮華経 後生 後生願う)

 ☆四升五合願うた(ま五合願えば 五升 五升になる)

 ☆宇佐よりゃ中津(中津寺町ゃ 後生 後生どころ)

 ☆お寺の坪で(踊る片手にゃ 後生 後生願う)

2、三勝

 ☆揃うた揃うたよ踊り子が揃うた(アーヤーンソレソレ ヤンソレサ)

 ☆秋の出穂よりゃなおよく揃うた(アーヤーンソレソレ ヤンソレサ)

 △アラ 私が音頭に謎かけよ(アラ 謎かけよ)

  私がかけたら解いてたも(アラ 解いてたも)

  十三娘とかけたなら(アラかけたなら)

  それまた音頭さん何と解く(アラ何と解く)

  音頭が解かねばわしが解く(アラわしが解く)

  十三娘とかけたのは(アラかけたのは)

  竹やぶ雀と解きゃせぬか(アラ解きゃせぬか)

  さわれば逃げるじゃないかいな(アラないかいな)

  さあさ音頭さんにお返し申す(アーヤーンソレソレ ヤンソレサ)

3、六調子

 ☆好きと嫌いが一度に来れば(サノヨイ サノヨイ)

  ほうき立てたり アノ倒したり(アラヤンサノセー ヤンサノセー)

4、三つ拍子

 ☆そうじゃそうじゃ三つ拍子かえた(ヨイトコセー ドッコイセ)

  しばし間は 囃子を頼む(アーヨイヤサノセー ヨイヤサノセー)

5、一つ拍子

 ☆一つとえ 一人死にゆく死出の旅 皆さん後生を願わんせ 南無阿弥陀

 ☆二つとえ 再び還らぬこの娑婆に 皆さん後生を願わんせ 南無阿弥陀

 ☆三つとえ 未来の土産にご念仏 皆さん後生を願わんせ 南無阿弥陀

 ☆四つとえ 容赦はないぞえご念仏 皆さん後生を願わんせ 南無阿弥陀

 ☆五つとえ いつまでこの世におりとうても 一度ゃ死なねばならぬぞえ 南無阿弥陀

 ☆六つとえ 無理を世人が言うたとて 仏になりたきゃ腹立つな 南無阿弥陀

 ☆七つとえ 何ほど命が惜しうとて 一度ゃ死なねばならぬぞえ 南無阿弥陀

 ☆八つとえ 幼者も貴人もご念仏 皆さん後生を願わんせ 南無阿弥陀

 ☆九つえ これほど尊いご念仏 皆さん後生を願わんせ 南無阿弥陀

 ☆十とえ とかくこの世は夢の中 皆さん後生を願わんせ 南無阿弥陀

6、笠づくし

 ☆一つ人目を忍ぶ夜は 女心の吉野笠

  (アソレ エーソレ ヨイソレ ソレーヤートエ)

 ☆二つ深草少将は 小野小町に通い笠

  (アソレ エーソレ ヨイソレ ソレーヤートエ)

 ☆三つ見もせぬ仲なれど 君が心の知れぬ笠

  (アソレ エーソレ ヨイソレ ソレーヤートエ)

 ☆四つ夜な夜な門に立つ 人が咎むりゃ隠れ笠

  (アソレ エーソレ ヨイソレ ソレーヤートエ)

 ☆五つ今まで逢うたれど 一夜も逢わずに帰り笠

  (アソレ エーソレ ヨイソレ ソレーヤートエ)

 ☆六つ紫小紫 顔にちらちら紅葉笠

  (アソレ エーソレ ヨイソレ ソレーヤートエ)

 ☆七つ情けのない客に お寄りお寄りと遊女笠

  (アソレ エーソレ ヨイソレ ソレーヤートエ)

 ☆八つ山城小山城 国を隔てて近江笠

  (アソレ エーソレ ヨイソレ ソレーヤートエ)

 ☆九つここに小網笠 雨の降り笠日照り笠

  (アソレ エーソレ ヨイソレ ソレーヤートエ)

 ☆十で十まで上り詰め 笠もこれまで終わり笠

  (アソレ エーソレ ヨイソレ ソレーヤートエ)

7、ノンヤホ

 ☆アラ 向かい通るはヤー ノンヤホ 清十郎じゃないか

  笠がよう似た 菅の笠 ヤーレ ノンヤホ

 ☆笠がよう似たとてヤー ノンヤホ 清十郎であらば

  お伊勢参りは みな清十郎 ヤーレ ノンヤホ

 ☆アラ 伊勢は七度ヤー ノンヤホ 熊野にゃ三度

  愛宕様には 月まいり ヤーレ ノンヤホ

 ☆アラ 愛宕様にはヤー ノンヤホ 様には愛宕

  愛宕様には 月まいり ヤーレ ノンヤホ

8、二つ拍子

 ☆ハー鈴木主水と(ヨイヨイ) いう侍は(ハーヨーコセー ヨーコセー)

  女房持ちにて二人の子供(アヨイトセーノ ヨーイヨナ

  (アレワイセ コレワイセーノ ナンデモセ)

9、マッカセ

 ☆マカセ踊りをしばらくやろな(ソレマッカセマカセ)

  マカセマカセで(ドスコイドスコイ) しなよくやろな(ソレドッコイドッコイセ)

  さらばそじゃそじゃ その調子にて(ヤートハーリハリ チョーノエーイエイ)

10、祭文

 ☆ちょいと祭文に 切り替えたホホンホー(ヨイショヨイショ)

  祭文さんならしながよい(ソレー ソレー ヤットヤンソレサイ)

 ☆猿丸太夫は 奥山にホホンホー(ヨイショヨイショ)

  紅葉踏み分け鳴く鹿の(ソレー ソレー ヤットヤンソレサイ)

11、ヤンサテナ

 ☆向かいの山でししが鳴く(ヤレショイ)

  寒さで鳴くのか妻恋うか(アーヤンサテナ アーヤンサテナ)

 ☆武雄がボートにうつるとき(ヤレショイ)

  浪子は白いハンケチを(アーヤンサテナ アーヤンサテナ)

12、五尺

 ☆ヨイ 五尺(ソリワ 手拭いナー ソリワ 中染めて

  誰にくりょよりゃ ヤマコソ アリャノーホイサ)

 ☆ヨイ 誰に(ソリワ くりょよりゃナー ソリワ 様にやろ

  様がとらずば ヤマコソ アリャノーホイサ)

 <中略>

 ☆ヨイ 佐渡と(ソリワ 越後はナー ソリワ 筋向かい

  橋をかきょうヤレナー ヤマコソ アリャノーホイサ)

 ☆ヨイ 橋を(ソリワ かきょうヤー ヤーレナー ソリワ 舟橋ゅかけて

  舟橋ゅナー トントンと 橋を下からサー ヤマコソ アリャノーホイサ)

13、しっとこ

 ☆春にゃ帯ゅしめ 身をこなせ ヨーノーホ アー三つ拍子で およこいせ

14、恋慕

 ☆雉の(めんどり つつじが元よ 妻よ恋しと ほろろうつ 恋慕)

  ソコ(ソーレワ恋慕 恋慕エー)

 ☆名をば(隠して 恋慕の道は 色とまことに 離れゆく 恋慕)

  ソコ(ソーレワ恋慕 恋慕エー)

15、チリリン

 ☆舟はヤーレー 出てゆく 帆かけて走る 茶屋のヤーレー

  むす、娘はヤーレー 出て招く

  ササーエー ヤーレーヤーレー エートナー コレワセナーイ

メモ:湯布院町鮎川・津々良の両集落に伝わる踊りを「津鮎踊り」と呼び、かつては近隣によく知られていた。初盆家庭を順々に門廻りで踊るが、盛況だった頃は上記15種類の全て踊っていた。1軒2時間は優にかかるので、初盆の多い年は夜が明けても踊り続けた由。塚原、荒木、並柳などと共通の「マッカセ踊り」の曲目が半分くらいと、あとはチリリン・恋慕・しっとこ・五尺・笠づくし・ノンヤホなど古い流行小唄の転用が半分くらいである。前者は他集落の者でもどうにかついていけたそうだが、後者はテンポがのろい上に手がこんでいて、一度や二度ではとてもものにならないくらい、難しい踊りだという。それぞれの踊りに男踊りと女踊りがあり、男性は拍子木を持って、女性は扇子等を持って踊ったというが、マッカセや祭文、三勝など近隣地域にも伝わる踊りの場合はその限りではなかっただろう。踊りにもまして難しいのが音頭で、特にチリリン、五尺、恋慕などは節を長く長く引っ張って唄うために生み字が多く、しかも三味線を使わないために合いの手がなく間合いを取るのが困難である。こうした事情もあってか、平成に入ってから難しい踊りが一つまた一つと捨てられ、伝承者の減少もあり衰退が著しい。

 

俚謡「堅田踊り」(佐伯市堅田・長谷・池田・青山)

1、佐伯節(長音頭)

 お為半蔵(堅田北部)

  ☆佐伯領とや堅田の谷よ(ハドッコイセー) 堅田谷でも宇山は名所

   名所なりゃこそお医者もござる(セノセー ヨーイヤセー)

 お為半蔵(城村)

  ☆佐伯領とや堅田の谷よ(アラドッコイセ) 堅田谷でも宇山は名所

   名所なりゃこそお医者もござる(ドッコイサノセー ヨーイヤセー)

 小五郎(岸河内)

  ☆扇めでたや末広がりて(アラドッコイショ) 鶴は千年 亀万年と

   祝い込んだる炭窯の中(セノセー ヨーイヤナー)

 お為半蔵(西野・波越・石打・府坂・泥谷)

  ☆消ゆる思いは玄了様よ(ヨイヤセー) 一人息子に半蔵というて

   幼だちから利口な生まれ(ヨイヤセー ヨーイヤセー)

 大文字(柏江)

  ☆淵にヨー 身を投げ刃で果つる(ヨイトセ) 心中情死は世に多かれど

   鉄砲腹とは剛毅な最期(ヨイトサノセー ヨーイヤナー)

2、兵庫節

 那須与一(柏江)

  ☆月は清澄 日は満々と(ヨイヨイ) おどり栄ゆる平家の御代も

   勇む平家の嵐に揉まれ(ヨーイーヤセーノ ヨーイーヤセ)

3、切音頭

 那須与一(長谷、宇山、汐月、江頭)

  ☆月は清澄 日は満々と(アリャナー コリャナー)

   おごり栄ゆる平家の御代も(アリャ ヨイトナー ヨイトナー)

 切音頭(岸河内)

  ☆月は清澄 日は満々と(コラセイ ソコセイ)

   おごり栄ゆる平家の御代も(ヨイトナー ヨイトナー)

4、那須与一

 男だんば(西野)

  ☆平家方なる沖なる船に(アラセ)

   的に扇をあげたるていよ(ヨイヤセー ヨーイヤセー)

  ☆あれは源氏に射よとの的よ(アラセ)

  〇九郎判官それご覧じて 那須与一を御前に召され(ヨイヤセー ヨーイヤセ)

  ☆与一御前にあいつめければ(アラセ)

   九郎判官仰せしことに(ヨイヤセー ヨーイヤセー)

5、お梅伝治

 女だんば(西野)

  〇東西 東西 東西南北静まり給え(ヨイヤセー ヨーイヤセ)

  ☆人の浮き伏し我が身の上は(アラセ)

   たとえがたなき四池の里の(ヨイヤセー ヨーイヤセ)

  〇お梅伝治がさよいこい衣(ヨイヤセー ヨーイヤセ)

  ☆さてもお梅はいかなる生まれ(アラセ)

   目許口許 顔立ちのびて(ヨイヤセー ヨーイヤセ)

  ☆ことに鼻筋 五三の器量(アラセ)

   笑顔楊貴妃さてかみの上(ヨイヤセー ヨーイヤセ)

6、織助さん

 織助さん(黒沢)

  ☆たとえ織助死んだとて 何が卒塔婆に立てらりょか

7、与勘兵衛

 与勘兵衛(宇山・江頭・汐月・津志河内・小島・泥谷・長谷)

  ☆与勘兵衛坊主が二人出た(ソコソコ) 一人は確かな与勘兵衛じゃ

   一人ゃしんしん信太の 森に住むではないかいな アラ実 与勘兵衛

   (一反畑のぼうぶらが コリャ なる道ゃ知らずに這い歩く)

  ☆今年は豊年満作じゃ(ソコソコ) 庄屋もめぼしも百姓も

   猫もねんねんねずみも 猫もねずみもすりこのバチかいよ アラ実 与勘兵衛

   (一反畑のサヤ豆が ひとサヤ走れば皆走る)

  ☆木立の庄屋さんは何が好き(ソコソコ) 恥ずかしながらも唐芋好き

   今朝もねんねん寝起きから 赤い唐芋の焼き冷まし アラ実 与勘兵衛

   (お前家持ちわしゃ子持ち 下から持ちゃぐるもぐら餅)

  ☆真実保名さんに添いたくば(ソコソコ) 榊の髷と偽りて

   七日なんなん七夜さ 怨み葛の葉と寝たならば アラ実 与勘兵衛

   (やっとこやしまの ほしかの晩 ほしかの晩なら宵から来い)

  ☆私とお前さんの若い時ゃ(ソコソコ) 女郎か卵かと言われたが

   今じゃとんとん年が寄って 寺の過去帳にしっかとつけられた アラ実 与勘兵衛

   (一反畑のぼうぶらが なる道ゃ知らいで這いまわる)

  ☆因尾の庄屋さんの町戻り(ソコソコ) 脇差ゃ割れたや 割れ豆腐

   それをつんつんつづらで それをつづらでしっかと巻きとめた アラ実 与勘兵衛

   (納戸に小屋かけ…)

 与勘兵衛(波越・府坂・竹角)

  ☆与勘兵衛坊主が二人出た 一人は確かな与勘兵衛じゃ

   一人ゃしんしん信太の 森に住むではないかいな アラ実 与勘兵衛

  ☆ソレー 今年は豊年満作じゃ 庄屋もめぼしも百姓も

   猫もねんねんねずみも 猫もねずみもすりこのバチかいよ アラ実 与勘兵衛

  ☆ソレー 木立の庄屋さん何が好き 恥ずかしながらも唐芋好き

   今朝もねんねん寝起きから 赤い唐芋の焼き冷まし アラ実 与勘兵衛

  ☆ソレー 真実保名さんに添いたくば 榊の髷と偽りて

   七日なんなん七夜さ 怨み葛の葉と寝たならば アラ実 与勘兵衛

  ☆ソレー 私とお前さんの若い時ゃ 女郎か卵かと言われたが

   今じゃとんとん年が寄って 寺の過去帳にしっかとつけられた アラ実 与勘兵衛

  ☆ソレー 因尾の庄屋さんの町戻り 脇差ゃ割れたや 割れ豆腐

   それをつんつんつづらで それをつづらでしっかと巻きとめた アラ実 与勘兵衛

 与勘兵衛(石打)

  ☆アーソレ 与勘兵衛坊主が二人出た 一人は確かな与勘兵衛じゃ

   一人ゃしんしん信太の 森に住むのが白狐 アラ実 与勘兵衛 ドッコイ

  ☆アーソレ 今年は豊年万作じゃ 道ばた小草に米がなる

   道のこんこん小草に 道の小草に米がなる アラ実 与勘兵衛 ドッコイ

  ☆アーソレ 木立の庄屋さんは何が好き 恥ずかしながらも芋が好き

   朝もねんねん寝起きから 赤い唐芋の焼き冷まし アラ実 与勘兵衛 ドッコイ

  ☆アーソレ 私とお前さんの若いときは 女郎や卵と言われたが

   今はとんとん年が寄って 寺の過去帳にしっかとつけられた

   アラ実 与勘兵衛 ドッコイ

  ☆アーソレ 真実保名さんに添いたくば 榊の髷など結わしゃんせ

   いかなしんしん新玉も よもや嫌とは言わすまい アラ実 与勘兵衛 ドッコイ

  ☆アーソレ 弁慶坊主は荒坊主 生竹へし曲げてヘコに差す

   いかなきんきん金玉も いかな金玉もたまりゃせぬ アラ実 与勘兵衛 ドッコイ

 与勘兵衛(西野)

  ☆与勘兵衛坊主が二人出た 一人は確かな与勘兵衛じゃ ハーイーヤー

   一人ゃしんしん信太の 森に住むではないかいな アラ実 与勘兵衛(ソレ)

  ☆ソリャー 今年は豊年満作じゃ 庄屋もめぼしも百姓も ハーイーヤー

   猫もねんねんねずみも 猫もねずみもすりこのバチかいよ

   アラ実 与勘兵衛(ソレ)

  ☆ソリャー 木立の庄屋さんは何が好き 恥ずかしながらも唐芋好き ハーイーヤー

   今朝もねんねん寝起きから 赤い唐芋の焼き冷まし アラ実 与勘兵衛(ソレ)

  ☆ソリャー 真実保名さんに添いたくば 榊の髷と偽りて ハーイーヤー

   七日なんなん七夜さ 怨み葛の葉と寝たならば アラ実 与勘兵衛(ソレ)

  ☆ソリャー 私とお前さんの若い時ゃ 女郎か卵かと言われたが ハーイーヤー

   今じゃとんとん年が寄って 寺の過去帳にしっかとつけられた

   アラ実 与勘兵衛(ソレ)

 与勘兵衛(青山)

  ☆与勘兵衛坊主が二人出た(ヨーイソレ) 一人は確かな与勘兵衛じゃ

   一人ゃしんしん信太の 森に住むではないかいな アリャ実 与勘兵衛

  ☆お前さんと私の若い時ゃ(ヨーイソレ) 芸者や卵と言われたが

   今じゃとんとん年が寄って 寺の過去帳にしっかとつけられた アリャ実 与勘兵衛

8、茶屋暖簾

 茶屋暖簾(柏江)

  ☆茶屋の暖簾なイロハニホヘト 嫁や娘を皆うち連れて

   ぴらしゃらしゃんすに見惚れつつ 思わずまがきに抱きついて

   おお そそうな人さんじゃ

  ☆松は唐崎 矢走の帰帆 月は石山 三井寺の鐘

   堅田の落雁 瀬田の橋 比良の暮雪に粟津路や おお 見事なものぞいな

  ☆宇治は茶所 茶は縁所 同者同行 皆引き連れて

   摘み取らしゃんすに見とれつつ 思わず茶の木に抱きついて

   おお そそうなことぞいの

  ☆恋し恋しと鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を燃やすなり

   我が身は蛍じゃなけれども 君ゆえ身をば燃やすなり おお 辛気なことぞいな

  ☆間の山ではお杉とお玉 お杉お玉の弾く三味線は

   縞さん紺さん浅葱さん そこらあたりにござんせん おお 見事なことぞいの

  ☆可愛い勝五郎 車に乗せて 引けよ初花箱根の山に

   紅葉のあるのに雪が降る さぞや寒かったでござんしょう おお 辛気なことぞいの

  ☆園部左エ門清水寺に 太刀を納めてその帰るさに

   薄雪姫に見とれつつ 思わずまがきに抱きついて おお そそうなことぞいの

  ☆可愛い川辺に出る蛍虫 露に焦がれて身を燃やすなり

   我が身は蛍にあらねども 君ゆえ身をば燃やすなり おお 辛気なことぞいの

  ☆可愛い可愛いと鳴く鹿よりも 鳴かぬ蛍が身を燃やすなり

   我が身は蛍にあらねども 君ゆえ身をば燃やすなり おお 辛気なことぞいの

9、心中づくし

 しんじゅ(西野)

  ☆(ヤレーソレーソレー ヤートーヤレーソレーヤー)

   十三鐘の春姫は(ハーソコラデセーイ) 鹿を殺せしその咎ゆえに

   今は(コラセイ) 十三 鐘つくしんじゅ

  ☆(ヤレーソレーソレー ヤートーヤレーソレーヤー)

   かの源の頼光は(ハーソコラデセーイ) 大江山なる鬼神を退治

   今は(コラセイ) 都も 収まるしんじゅ

  ☆(ヤレーソレーソレー ヤートーヤレーソレーヤー)

   かの源の義賢は(ハーソコラデセーイ) 源氏白旗こまんに渡し

   すぐに(コラセイ) その場で 腹切るしんじゅ

  ☆(ヤレーソレーソレー ヤートーヤレーソレーヤー)

   大阪椀屋久右衛門(ハーソコラデセーイ) 太い身代丸山通い

   今は(コラセイ) 編み笠 一つのしんじゅ

 初春(青山) 

  ☆明けて初春 初春に ヨーイ 恋という字を帆にあげて お客を ヨイセ

   乗せます宝船 ハーヤレ イヤソレ ソレソレ ヨーイヤナー

  ☆もはや紋日の如月の ヨーイ 客を待つ夜のその長さ 道理じゃ ヨイセ

   今年は午の年 ハーヤレ イヤソレ ソレソレ ヨーイヤナー

10、淀の川瀬

 淀の川瀬(波越・石打・府坂・竹角)

  ☆淀の川瀬の水車 誰を待つやらくるくると 水を汲めとの 判じ物

   汲むは浮世の習ぞや ありゃあれ そりゃそれ 柄杓さんを招く

   ヨーイ ヨーイヨーイヤナー

  ☆一字千金二千金 三千世界の宝ぞや 教える人に 習う字の

   中にまじわる菅秀才 武部 源蔵 夫婦の者が ヨーイ ヨーイヨーイヤナー

  ☆ここを尋ねて来る人は 加古川本蔵行国が 女房戸無瀬の 親子連れ

   道の案内の乗り物を かたえに控えただ親子連れ ヨーイ ヨーイヨーイヤナー

  ☆かたえに直れば女房も 押しては言わぬもつれ髪 鬢の解れを なぜつける

   櫛の胸より主の胸 映してみたや鏡たて 映せば映る顔と顔

   ヨーイ ヨーイヨーイヤナー

  ☆引けよ鈴虫それぞとは かねて松虫ひなぎぬも 手燭携え 庭に下り

   母様お越し召されたか いざ此方へとあの呼ぶ世の ヨーイ ヨーイヨーイヤナー

11、佐衛門

 佐衛門(下城)

  ☆笛(アラドッコイセ) の音による(マダセー) 秋の鹿

   妻(アラドッコイセ) ゆえ身をば 焦がすなり

   (ハーそこ言うちゃさえもん たまりゃせぬ ソレエー ソレエー モットモ)

  ☆鮎(アラドッコイセ) は瀬に住む(マダセー) 鳥ゃ木にとまる

   人は(アラドッコイセ) 情けの 下に住む

   (ハーそこ言うちゃさえもん たまりゃせぬ ソレエー ソレエー モットモ)

  ☆恋(アラドッコイセ) しゅござるなら(マダセー) 訪ね来てみよ

   信太の(アラドッコイセ) 森に住むでは ないかいな

   (ハーそこ言うちゃさえもん たまりゃせぬ ソレエー ソレエー モットモ)

 佐衛門(宇山・江頭・汐月・上城)

  ☆笛(アラドッコイセ) の音による(マダセー) 秋の鹿

   妻(アラドッコイセ) ゆえ身をば 焦がすなり

   (ハーそこ言うちゃたまらぬ そこ残せ ソレエー ソレエー モットモ)

  ☆小石(アラドッコイセ) 小川の(マダセー) 鵜の鳥見やれ

   鮎を(アラドッコイセ) くわえて 背をのぼる

   (ハーそこ言うちゃたまらぬ そこ残せ ソレエー ソレエー モットモ)

  ☆鮎(アラドッコイセ) は瀬に住む(マダセー) 鳥ゃ木にとまる

   人は(アラドッコイセ) 情けの 下に住む

   (ハーそこ言うちゃたまらぬ そこ残せ ソレエー ソレエー モットモ)

  ☆恋(アラドッコイセ) しゅござるなら(マダセー) 訪ね来てみよ

   信太の(アラドッコイセ) 森に住むでは ないかいな

   (ハーそこ言うちゃたまらぬ そこ残せ ソレエー ソレエー モットモ)

12、思案橋

 思案橋(城村・宇山・汐月・江頭・泥谷)

  ☆アーソーレ 思案橋ヤー(マダマダ) 思案ヤー

   思案橋越えて(アードッコイ) 行こか戻ろか思案(ソーレ) 思案橋

  ☆アーソーレ 宮島ヤー(マダマダ) 宮ヤー

   宮島まわれば(アードッコイ) 浦が七里で七恵(ソーレ) 七恵比須

  ☆アーソーレ 北山ヤー(マダマダ) 北ヤー

   北山しぐれ(アードッコイ) 曇りなければ晴れて(ソーレ) 晴れてゆく

  ☆アーソーレ この町にヤー(マダマダ) このヤー

   この町に二人(アードッコイ) どちら姉やら妹(ソーレ) 妹やら

  ☆アーソーレ 紫ヤー(マダマダ) むらヤー

   紫着せて(アードッコイ) どちら姉やら妹(ソーレ) 妹やら

  ☆アーソーレ 浦島ヤー(マダマダ) 浦ヤー

   浦島太郎(アードッコイ) 開けて悔しい玉手(ソーレ) 玉手箱

13、おいち後家女

 おいち後家女(西野)

  ☆おいち後家女にナー サー(ヤレサーコレサー) 三年通うたヨ

   通うた ソージャロカイ

   コラかどめに子ができた おいち後家女 ヤレコノ うんと抱えた ソレ トコ

  ☆鮎は瀬に棲むナー サー(ヤレサーコレサー) 鳥ゃ木にとまるヨ

   人は ソージャロカイ

   コラ情けの下に住む おいち後家女 ヤレコノ うんと抱えた ソレ トコ

  ☆あなた百までナー サー(ヤレサーコレサー) わしゃ久十九までヨ

   ともに ソージャロカイ

   コラ命のあるかぎり おいち後家女 ヤレコノ うんと抱えた ソレ トコ

  ☆様は今来てナー サー(ヤレサーコレサー) またいつ来やるヨ

   明けて ソージャロカイ

   コラ四月のお茶摘み 頃かいな ヤレコノ うんと抱えた ソレ トコ

  ☆茶摘み頃かやナー サー(ヤレサーコレサー) わしゃ待ちきらぬヨ

   せめて ソージャロカイ

   コラ菜の葉の芽立つ頃 おいち後家女 ヤレコノ うんと抱えた ソレ トコ

  ☆様は三夜のナー サー(ヤレサーコレサー) 三日月様よナ

   宵に ソージャロカイ

   コラちらりと見たばかり おいち後家女 ヤレコノ うんと抱えた ソレ トコ

  ☆恋で身を病みゃナー サー(ヤレサーコレサー) 親達ゃ知らずナ

   薬 ソージャロカイ

   コラ飲めとは親心 おいち後家女 ヤレコノ うんと抱えた ソレ トコ

  ☆恋に焦がれてナー サー(ヤレサーコレサー) 鳴く蝉よりもナ

   鳴かぬ ソージャロカイ

   コラ蛍が身を焦がす おいち後家女 ヤレコノ うんと抱えた ソレ トコ

14、津島

 対馬(城村・宇山・汐月・江頭・泥谷)

  ☆アーソーレ われは ヤーレー 対馬の アーヤーレーサーテーナ

   鍛冶屋の娘(ハーンーヤーハー ハリワッター ホイ カエガナイ)

  ☆アーソーレ ここの ヤーレー 座敷は アーヤーレーサーテーナ

   めでたい座敷(ハーンーヤーハー ハリワッター ホイ カエガナイ)

  ☆アーソーレ 鶴と ヤーレー 亀とが アーヤーレーサーテーナ

   舞い遊ぶ(ハーンーヤーハー ハリワッター ホイ カエガナイ)

  ☆アーソーレ 竹に ヤーレー 雀が アーヤーレーサーテーナ

   しなよくとまる(ハーンーヤーハー ハリワッター ホイ カエガナイ)

  ☆アーソーレ とめて ハーレー とまらぬ アーヤーレーサーテーナ

   色の道(ハーンーヤーハー ハリワッター ホイ カエガナイ)

15、大文字かぼちゃ

 だいもん(西野)

  ☆ここに京の町 大文字屋のかぼちゃとて アラその名は一郎兵衛と申します

   背は(ヤットセイ) 低うても ほんに猿眼

   アーヨイワイナ サーヨイワイナ(ソレ)

  ☆頃は正月 若松様じゃと申します アラそりゃまたどうして申します

   枝も(ヤットセイ) 栄ゆる ほんに葉もしげる

   アーヨイワイナ サーヨイワイナ(ソレ)

  ☆二月初午 すすふる音に春めけば アラ狐がスココン今宵から

   今夜(ヤットセイ) 一夜が ほんに夜のこく

   アーヨイワイナ サーヨイワイナ(ソレ)

  ☆花の三月 雛祭りじゃと申します アラ姫女が喜ぶ節句ぞな

   今夜(ヤットセイ) 一夜が ほんに夜のこく

   アーヨイワイナ サーヨイワイナ(ソレ)

  ☆四月八日は お釈迦の誕生と申します アラお釈迦の産湯を頭から

   かくりゃ(ヤットセイ) お釈迦も ほんに濡れ仏

   アーヨイワイナ サーヨイワイナ(ソレ)

  ☆五月五日は ちまきに兜 飾り立て アラ子供の喜ぶ節句ぞな

   中で(ヤットセイ) 杓ふる ほんに飴もふる

   アーヨイワイナ サーヨイワイナ(ソレ)

  ☆頃は六月 夏祭りじゃと宮々で アラ氏子がにわかに跳び遊ぶ

   中で(ヤットセイ) 田主さんが ほんに稲を植うる

   アーヨイワイナ サーヨイワイナ(ソレ)

  ☆頃は七月 精霊の祭りと棚かけて アラ坊様たちゃ衣に玉襷

   中で(ヤットセイ) 踊り子 ほんに音頭とる

   アーヨイワイナ サーヨイワイナ(ソレ)

  ☆頃は八月 八幡祭りと祝い込み アラその名はそうだと申します

   背は(ヤットセイ) 高うて ほんに伊達男

   アーヨイワイナ サーヨイワイナ(ソレ)

  ☆頃は十月 亥子の餅は石で搗く アラ搗けども練れんと申します

   練れん(ヤットセイ) はずだよ ほんに石じゃもの

   アーヨイワイナ サーヨイワイナ(ソレ)

 一郎兵衛(宇山・汐月・長谷)

  ☆うちのナー 一郎兵衛と隣の一郎兵衛とよその一郎兵衛とナー

   アラ三つ(コノセ) 合わすりゃ ほんに一・三が三郎兵衛とな

   アラヨイワイナーヨイワイナー

   (一反畑のぼうぶらが アラなる道ゃ知らずに這い歩く)

  ☆うちのナー 二郎兵衛と隣の二郎兵衛とよその二郎兵衛とナー

   アラ三つ(コノセ) 合わすりゃ ほんに二・三が六郎兵衛とな

   アラヨイワイナーヨイワイナー

   (一反畑のぼうぶらが アラなる道ゃ知らずに這い歩く)

  ☆ここはナー 京町大文字屋のカボチャとて その名は一郎兵衛と申します

   背は(コノセ) 低うても ほんに眼は猿眼 アラヨイワイナーヨイワイナー

   (やっとこやしまのほしかの晩 アラほしかの晩なら宵から来い)

  ☆頃はナー 七月精霊の祭りだと精霊棚 くりたてくりたて飾り立て

   中で(コノセ) 坊主が ほんに衣に玉だすき アラヨイワイナーヨイワイナー

   (ごろごろ鳴るのはなんじゃいな アラ石臼雷猫の喉)

  ☆四月ナー 八日のお釈迦の祭りだと申します 新茶の出花を頭から

   かくりゃ(コノセ) その日の ほんにその日の祈祷になる

   アラヨイワイナーヨイワイナー

   (カラカラいうのは何じゃいな アラ墓参に嫁ごの日和下駄)

 大文字屋(府坂・竹角・石打・波越)

  ☆ここは京の町 大文字屋のかぼちゃとて その名は一郎兵衛と申します

   背は 低うても ほんに見る目は猿眼 アラヨイワイナー サーヨイワイナー ソレ

  ☆ここに春駒 すすふる音に春めけば 狐はスココン今宵とな

   今宵 一夜は ほんにスココンと鳴き明かす

   アラヨイワイナー サーヨイワイナー ソレ

  ☆頃は三月 雛祭りじゃと村々に 娘は打ち寄り遊びます

   中に 色めく 中に色めく姉娘 アラヨイワイナー サーヨイワイナー ソレ

  ☆四月八日は お釈迦の誕生と申します お茶の出花を頭から

   かくりゃ お釈迦は ほんにお釈迦は濡れ仏

   アラヨイワイナー サーヨイワイナー ソレ

  ☆うちの五郎兵衛と 隣の五郎兵衛と よその五郎兵衛とな

   三つ 合わすりゃ ほんに三五の十五郎兵衛

   アラヨイワイナー サーヨイワイナー ソレ

  ☆うちの茶釜と 隣の茶釜と よその茶釜とな

   三つ 合わすりゃ 三唐が唐金 唐茶釜

   アラヨイワイナー サーヨイワイナー ソレ

16、恋慕

 恋慕(宇山・汐月・江頭・城村)

  ☆船は出て行く帆かけて走る 茶屋の娘は出て招く

   サー恋慕(恋慕 恋慕 ヤー恋慕や)

  ☆咲いた桜になぜ駒つなぐ 駒が勇めば花が散る

   サー恋慕(恋慕 恋慕 ヤー恋慕や)

  ☆遠く離れて逢いたいときは 月が鏡になればよい

   サー恋慕(恋慕 恋慕 ヤー恋慕や)

  ☆恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす

   サー恋慕(恋慕 恋慕 ヤー恋慕や)

  ☆雉のめんどり躑躅が元で 妻よ恋しとほろろ打つ

   サー恋慕(恋慕 恋慕 ヤー恋慕や)

  ☆灘と女島は棹差しゃ届く なぜに思いは届かぬか

   サー恋慕(恋慕 恋慕 ヤー恋慕や)

17、芸子

 芸子(波越)

  ☆わしは卑しき芸子はすれど 言うた言葉は変わりゃせぬ

   ヨーイヨーイ ヨーイヨーイヤナ

  ☆縞の木綿の切り売りゃなろが 芸子切り売りゃそりゃならん

   ヨーイヨーイ ヨーイヨーイヤナ

  ☆わしは今来てまたいつござる 明けて四月の茶摘み頃

   ヨーイヨーイ ヨーイヨーイヤナ

18、三下り

 わが恋(竹角・波越)

  ☆わが恋は 住吉浦の(ヤレソレヤレ) 夕景色

   ただ青々と待つばかり 待つは憂いもの辛いもの

  ☆わが恋は 細谷川の(ヤレソレヤレ) 丸木橋

   渡るに怖き渡らねば 可愛いトイチの手が切れる

  ☆奥山の 紅葉踏み分け(ヤレソレヤレ) 鳴く鹿の

   声聞く度に慕い来る 逢うてどうしょうこうしょうと

  ☆初花が 夫の勝五郎(ヤレソレヤレ) 介抱して

   箱根の山を引く車 さても貞女な操かな

 わが恋(府坂)

  ☆わが恋は 細谷川の 丸木橋

   渡るに怖し渡らねば 可愛いトイチの手が切れる(ソレ) 

  ☆わが恋は 住吉浦の 景色にて

   ただ青々と松ばかり 待つは憂いもの辛いもの(ソレ)

  ☆出てみれば 蝶が牡丹で 羽を休め

   猫めは日向で昼寝する 寝ては夢見る心地かな(ソレ)

  ☆初花が 夫の勝五郎 介抱して

   箱根の山を引く車 さても貞女な操かな(ソレ)

  ☆美津姫が 主を殺した 天罰に

   報いは親にこの通り 槍の穂先に手をかけて(ソレ)

  ☆奥山の 紅葉踏み分け 鳴く鹿の

   声聞く度に慕い来る 逢うてどうしょうこうしよう(ソレ)

19、よしよし節

 十二梯子(波越)

  ☆十二梯子の二階より(ヤレソレヤレ) 上からお軽さんがのんのべ鏡

   下じゃ由良之助文を読む ささ 縁の下 九太夫がな ヨシ ヨシ

  ☆塩冶判官高貞が(ヤレソレヤレ) 白木の三方に腹切刀

   力弥 由良之助まだ来ぬか ささ 只今参上でな ヨシ ヨシ

  ☆鶴岡なるご神殿に(ヤレソレヤレ) 数多の兜のある中で

   これが高貞さんの兜じゃと ささ 顔世が目利きでな ヨシ ヨシ

  ☆梅と桜の花くらべ(ヤレソレヤレ) 御使者の力弥さんに小浪が惚れて

   顔はほんのり照る紅葉 ささ 奥さん作病でな ヨシ ヨシ

  ☆歌の返事に師直が(ヤレソレヤレ) 塩谷さんに怨みが騒動の元よ

   こらえこらえしその余り ささ 松の間の刀傷 ヨシ ヨシ

  ☆主の恨みの数々を(ヤレソレヤレ) 胸にひそめて由良之助

   家中なだめて解散す ささ これからお城のな 明け渡し

  ☆正月二日の初夢は(ヤレソレヤレ) 数多の公家衆が寄り集まりて

   沖を見晴らす天保山 ささ 入り来る宝船 ヨシ ヨシ

20、高い山

 高い山(長谷・宇山・汐月・江頭・津志河内・小島)

  ☆高い山から谷底見ればヨ(ソコソコ)

   瓜や茄子の花盛りヨ アラソーレモ アラま一つ

  ☆ソリャー 高い山からお寺を見ればヨ(ソコソコ)

   お寺寂しや小僧一人ヨ アラソーレモ アラま一つ

  ☆ソリャー あの子よい子だ 牡丹餅顔でヨ(ソコソコ)

   黄粉つけたらなおよかろヨ アラソーレモ アラま一つ

  ☆ソリャー あの子見るとて垣で目をついたヨ(ソコソコ)

   あの子 目にゃ毒 気にゃ薬ヨ アラソーレモ アラま一つ

  ☆ソリャー 好いてはまれば泥田の水もヨ(ソコソコ)

   飲めば甘露の味がするヨ アラソーレモ アラま一つ

 高い山(波越・石打・府坂・竹角)

  高い山から谷底見ればヨ 瓜や茄子の花盛りヨ

  ☆高い山からお寺を見ればヨ お寺寂しや小僧一人ヨ

  ☆あの子よい子だ 牡丹餅顔でヨ 黄粉つけたらなおよかろヨ

  ☆あの子見るとて垣で目をついたヨ あの子 目にゃ毒 気にゃ薬ヨ

  ☆好いてはまれば泥田の水もヨ 飲めば甘露の味がするヨ

 牡丹餅顔(西野)

  ☆ソレー 高い山から谷底見ればヨ(ソコソコ)

   瓜や茄子の花盛りヨ アラソーレワ アラま一つ

  ☆ソレー 高い山からお寺を見ればヨ(ソコソコ)

   お寺寂しや小僧一人ヨ アラソーレワ アラま一つ

  ☆ソレー 恋で身を病みゃ親達ゃ知らずヨ(ソコソコ)

   薬飲めとは親心ヨ アラソーレワ アラま一つ

  ☆ソレー ござれ話しましょ小松のかげでヨ(ソコソコ)

   松の葉のよに細やかにヨ アラソーレワ アラま一つ

  ☆ソレー あの子ぁよい子じゃ 牡丹餅顔でヨ(ソコソコ)

   黄粉つけたらなおよかろヨ アラソーレワ アラま一つ

  ☆ソレー 鮎は瀬に棲む 鳥ゃ木にとまるヨ(ソコソコ)

   人は情けの下に住むヨ アラソーレワ アラま一つ

  ☆ソレー あの子見るとて垣で目をついたヨ(ソコソコ)

   あの子 目にゃ毒 気にゃ薬ヨ アラソーレワ アラま一つ

  ☆ソレー 好いてはまれば泥田の水もヨ(ソコソコ)

   飲めば甘露の味がするヨ アラソーレワ アラま一つ

 牡丹餅顔(青山)

  ☆あの子よい子よ 牡丹餅顔じゃナ(ソレ)

   黄粉つけたらなおよかろ(イヤ ソーレバ)

  ☆今朝の寒さが笹山越えてナ(ソレ) 露が袴の裾濡らす(イヤ ソーレバ)

21、お竹さん節

 お竹さん(波越)

  ☆黒い羽織に三つ紋つけてナー シテコリャ 男がどうしゃんす

   小藪の陰からストトントン もうしもうしと

   お竹さんかいな アイナアイナ アーンコアイナ

  ☆黒い羽織に三つ紋つけてナー シテコリャ 男がどうしゃんす

   しゃならしゃならでストトントン アンゲラモンゲラアンゲラモンゲラ

   しゃならしゃならとストトントン 障子の陰からもうしもうしと

   お竹さんかいな アイナアイナ アーンコアイナ

 お竹さん(石打)

  ☆嘘じゃござんせんほんとの女郎衆 なんしてなんして 男がなんとするか

   いつも振袖ナンアンアン アンゲラモンゲラモンゲラアンゲラ

   いつも振袖ナンアンアン 柳の木陰でもうしもうしと

   お竹さんかいな アイナ アーンガ アイナ

22、いろは

 いろは(西野)

  ☆アリャドッコイ いの字がエ いの字がエ ヤレーサテーナ

   いの字で言わば サイナ いつの(ドッコイ) 頃より つい馴れ初めて

   (ドッコイ) ソーレジャワー ソーレジャワー

   今は思いの種となる 恋じゃえ ソーリャー

  ☆アリャドッコイ ろの字がエ ろの字がエ ヤレーサテーナ

   ろの字で言わば サイナ 路地の(ドッコイ) 駒下駄 つい踏み鳴らし

   (ドッコイ) ソーレジャワー ソーレジャワー

   あとは思いの種となる 恋じゃえ ソーリャー

  ☆アリャドッコイ はの字がエ はの字がエ ヤレーサテーナ

   はの字で言わば サイナ 羽交(ドッコイ) 揃えて 空舞う鳥も

   (ドッコイ) ソーレジャワー ソーレジャワー

   吹いて止めます尺八の 音色かな ソーリャー

  ☆アリャドッコイ にの字がエ にの字がエ ヤレーサテーナ

   にの字で言わば サイナ 憎い(ドッコイ) 男の その立ち振りは

   (ドッコイ) ソーレジャワー ソーレジャワー

   思い直して晴れ晴れと 恋じゃえ ソーリャー

  ☆アリャドッコイ ほの字がエ ほの字がエ ヤレーサテーナ

   ほの字で言わば サイナ 惚れた(ドッコイ) 男の その立ち姿

   (ドッコイ) ソーレジャワー ソーレジャワー

   長い羽織に落とし差し 恋じゃえ ソーリャー

23、伊勢節

 伊勢節(泥谷)

  ☆笛の音に寄る秋の鹿(マダセ) 妻ゆえ身をば焦がすなり

   豊年女の山路笛(ヨイヤサテナー ヨイヤサテナー)

  ☆そもそも熊谷直実は(マダセ) 花の盛りの敦盛を

   打って無情を悟りしが(ヨイヤサテナー ヨイヤサテナー)

  ☆打って無情を悟りしが(マダセ) さすがに猛き熊谷も

   ものの哀れを今ぞ知る(ヨイヤサテナー ヨイヤサテナー)

  ☆咲いた桜になぜ駒つなぐ(マダセ) 駒が勇めば花が散る

   駒が勇めば花が散る(ヨイヤサテナー ヨイヤサテナー)

  ☆一かけ二かけて三かけて(マダセ) 四かけて五かけて橋かけて

   橋の欄干に腰かけて(ヨイヤサテナー ヨイヤサテナー)

  ☆はるか向こうを眺むれば(マダセ) 十七八の小娘が

   片手に花持ち線香持ち(ヨイヤサテナー ヨイヤサテナー)

 南無阿大悲(波越)

  ☆南無弥大悲の観世音 導き給えや観世音

   いつよりわれらを流転して(ヨイヤサテナー ヨイヤサテナー)

  ☆むつの巷にさまよえる 大師は娑婆に流転して

   あらゆる苦患にさまよえる(ヨイヤサテナー ヨイヤサテナー)

  ☆今年は豊年万作じゃ 道の小草に米がなる

   道の小草に米がなる(ヨイヤサテナー ヨイヤサテナー)

24、お染久松

 お染久松(石打)

  ☆夕べの風呂の上がり場で この腹帯を(コラセ) 母さんに

   見つけられてこりゃお染 この腹帯は何事ぞ ホホお染さんせ(ハイ)

  ☆父は高いのを上と言うて 母は低いのを(コラセ) 上と言う

   何のことかと問うたなら 上りかまちのことじゃげな ホホお染さんせ(ハイ)

  ☆ここは都の大阪で きいつ着物を(コラセ) 角屋敷

   瓦屋橋とや油屋の 一人娘のお染とて ホホお染さんせ(ハイ)

  ☆夕べお染が寝間にいて といつくどいつ(コラセ) 意見すりゃ

   泣いてばっかりいやしゃんす 泣いてばっかりいるわいな ホホお染さんせ(ハイ)

  ☆さても優しき蛍虫 昼は草葉に(コラセ) 身を隠し

   夜は細道 灯をとぼす 今の若い衆のためになる ホホお染さんせ(ハイ)

25、大阪節

 大阪節(府坂・竹角) 

  ☆大阪出てからまだ帯ゃとかぬ 帯はとけても気はとかぬ

  ☆ござれ話しましょ小松の下で 松の葉のよに細やかに

  ☆松の葉のよな細い気持たず 広い芭蕉葉の気を持ちゃれ

26、浮名

 浮名(西野)

  ☆浮名は立つとも変わるまい 身はただ塵と捨てら 捨てられぬ

   ナンマイダー コラセ ナンマイダーで浮名立つ

   ハレワイサーコノ トチンチン トチンチチンチリ チリツンシャン

   ヤレーサーテー ヤレーサーテー ヤーヤートヤー

  ☆恋しき人のためじゃとて しきびの花を手向け 手向けつつ

   ナンマイダー コラセ ナンマイダーで浮名立つ

   ハレワイサーコノ トチンチン トチンチチンチリ チリツンシャン

  ☆仏の奥の大黒は 福神ならで貧乏 貧乏神

   ナンマイダー コラセ ナンマイダーで浮名立つ

   ハレワイサーコノ トチンチン トチンチチンチリ チリツンシャン

27、新茶

 新茶(西野)

  ☆新茶点ちょうより 濃茶買うて ちと買うて 茶々とでな

   新茶点ちょうより 濃茶買うて ちと買うて 茶々買うて ションガイー

   アーコノ オー買うて ちと買うて 茶々買うてな

  ☆わしはこの町の すいか ぼうぶら 売りじゃとな

   わしはこの町の すいか ぼうぶら 売りじゃと ションガイー

   アーコノ すいか ぼうぶら 売りじゃとな

  ☆わしは黒沢の おすみ すみつけ 駄賃とり

   わしは黒沢の おすみ すみつけ 駄賃と ションガイー

   アーコノ おすみ すみつけ 駄賃とり

28、こちゃえ節

 ぼんさん忍ぶ(府坂・竹角・青山)

  ☆ぼんさん忍ぶは闇が良い ソーレ月夜には

   頭がぶうらりしゃあらりと コチャ 頭がぶうらりしゃあらりと ヨーイ

  ☆お前待ち待ち蚊帳の外 ソーレ蚊に食われ

   七つの鐘の鳴るまでは コチャ 七つの鐘の鳴るまでは ヨーイ

  ☆お前さんとならばどこまでも ソーレ奥山の

   ししかけいいとろの中までも コチャ ししかけいいとろの中までも ヨーイ

  ☆ここは石原 小石原 ソーレちょっと出て

   下駄のはまちゃんとしもうた コチャ 下駄のはまちゃんとしもうた ヨーイ

29、竹に雀

 竹に雀(石打)

  ☆竹に雀がしな良くとまる 止めて止まらぬ色の道

   (サマ 三石六斗で二升八合 サマションガエー)

  ☆お前や加古川本蔵が娘 力弥さんとは二世の縁

   (サマ 三石六斗で二升八合 サマションガエー)

  ☆お前や嫌でもまた好く人が なけりゃ私の身が立たぬ

   (サマ 三石六斗で二升八合 サマションガエー)

30、繁昌づくし

 ご繁昌(佐伯市西野)

  ☆これな座敷はめでたい座敷 鶴と亀とが舞い遊ぶ(ドッコイ)

   これもお家の福となる おお ご繁昌エー ソレ トコ ソレ

  ☆これなお庭に茗荷と蕗よ 茗荷めでたや蕗繁盛(ドッコイ)

   これもお家の福となる おお ご繁昌エー ソレ トコ ソレ

  ☆これなおうちに二又榎木 榎実ならいで金がなる(ドッコイ)

   これもお家の福となる おお ご繁昌エー ソレ トコ ソレ

  ☆飲めや大黒 唄えや恵比寿 中で酌する宇迦の神(ドッコイ)

   これもお家の福となる おお ご繁昌エー ソレ トコ ソレ

  ☆年の始めに若水むかえ 長い柄杓で宝汲む(ドッコイ)

   これもお家の福となる おお ご繁昌エー ソレ トコ ソレ

  ☆お前や百までわしゃ九十九まで ともに命のある限り(ドッコイ)

   ともに命のある限り おお ご繁昌エー ソレ トコ ソレ

  ☆智慧の海山 唐高麗の 寄せ物細工 からくりの(ドッコイ)

   夜毎走るが智慧くらべ おお ご繁昌エー ソレ トコ ソレ

  ☆お前や釣竿わしゃ池の鮒 釣り上げられてお座敷の(ドッコイ)

   酒の肴となるわいな おお ご繁昌エー ソレ トコ ソレ

  ☆これなお庭に井戸掘りすえて 水はもちろん金が湧く(ドッコイ)

   これもお家の福となる おお ご繁昌エー ソレ トコ ソレ

 智慧のうみやま(波越)

  ☆知恵のうみやま唐高麗の 寄せ物細工カラクリの(アラドッコイ)

   智慧と竹田の知恵くらべ アーそうじゃいな(ソレジャワナーソレジャワナー)

  ☆お前や百までわしゃ九十九まで ともに白髪の生えるまで(アラドッコイ)

   ともに白髪の生えるまで アーそうじゃいな(ソレジャワナーソレジャワナー)

  ☆恋し小川の鵜の鳥見やれ 鮎をくわえて瀬をのぼる(アラドッコイ)

   鮎をくわえて瀬をのぼる アーそうじゃいな(ソレジャワナーソレジャワナー)

31、ひやひや節

 団七棒踊り(石打)

  ☆富士の白雪朝日でとける 娘島田は寝てとける(アーヒヤ アーヒヤ)

  ☆娘島田に蝶々がとまる とまるはずだよ花じゃもの(アーヒヤ アーヒヤ)

32、ほんかいな

 本調子(泥谷)

  △オイヤ桶屋さん門中で 底つきなき輪を締めしゃんせ

   やっぱり本輪がよいわいな

  ☆ハイヤハー 船は出て行く帆かけて走る(アリャアリャアリャ)

   茶屋の娘が 出て招く ヤー ヤー 招けど船は寄らばこそ

   思い切れとの風が吹く(イヤマダマダ) ソレソレソレ ほんかいな(ハー)

  ☆ハイヤハー 竹になりたや紫竹の竹に(アリャアリャアリャ)

   もとは尺八 中は笛 ヤー ヤー 裏はそもじの筆の軸

   思い参らせ候かしこ(イヤマダマダ ソレソレソレ ほんかいな(ハー)

  ☆ハイヤハー 文はやりたし書く手は持たぬ(アリャアリャアリャ)

   やるぞ白紙 文と読め ヤー ヤー 書いたる文さえ読めないわしが

   まして白紙なんと読む(イヤマダマダ) ソレソレソレ ほんかいな(ハー)

  ☆ハイヤハー 梅も八重咲く桜も八重に(アリャアリャアリャ)

   なぜに朝顔 一重咲く ヤー ヤー わしは朝日に憎まれて

   お日の出ぬ間にちらと咲く(イヤマダマダ) ソレソレソレ ほんかいな(ハー)

  ☆ハイヤハー ここは色街 廓の茶屋よ(アリャアリャアリャ)

   のれん引き上げ お軽さん ヤー ヤー 由良之助さんわしゃここに

   風に吹かれているわいな(イヤマダマダ) ソレソレソレ ほんかいな(ハー)

  ☆ハイヤハー 鷺を烏と見たのが無理か(アリャアリャアリャ)

   一羽の鳥さえ 鶏と ヤー ヤー 雪という字も墨で書く

   あおいの花も赤く咲く(イヤマダマダ) ソレソレソレ ほんかいな(ハー)

 ほんかいな(波越)

  ☆船は出てゆく帆かけて走る(イヤマダマダマダ)

   茶屋の娘が出て招く ヤー ヤー ソイ 招けど船の(アーヨイトセー)

   寄らばこそ 思い切れとの風が吹く(イヤマダマダ) ソーレソレソレ

   ほんかいな ヤー ヤー ソイ

33、無理かいな

 無理かいな(波越)

  ☆江戸に姉さん大阪に妹 母は京都の 島原に

   花じゃなけれども散り散りに 明けて悔しい玉手箱 思うてみさんせ無理かいな

 花笠(西野)

  ☆菊も八重咲く桜も八重に なぜに朝顔(ヨイトセ) 一重と咲く

   わしは一重に咲きかねて お日の出ぬ間にちらと咲く

   (思うてみさんせ 無理かいな ソレ)

  ☆鷺を烏と見たのが無理か 一羽の鳥さえ(ヨイトセ) 鶏と

   雪という字も墨で書く あおいの花も赤く咲く

   (思うてみさんせ 無理かいな ソレ)

  ☆会いた見たさは飛び立つごとく かごの鳥かや(ヨイトセ) ままならぬ

   かごの鳥ではなけれども 親が許さぬかごの鳥

   (思うてみさんせ 無理かいな ソレ)

  ☆竹になりたや紫竹の竹に もとは尺八(ヨイトセ) 中は笛

   裏はそもじの筆の軸 思い参らせ候かしこ

   (思うてみさんせ 無理かいな ソレ)

  ☆文はやりたし書く手は持たぬ やるぞ白紙(ヨイトセ) 文と読め

   書いたる文さえ読めないわしが まして白紙なんと読む

   (思うてみさんせ 無理かいな ソレ)

  ☆江戸にあねさん大阪に妹 母は京都の(ヨイトセ) 島原へ

   花じゃなけれど散り散りと 開けて悔しき玉手箱 

   (思うてみさんせ 無理かいな ソレ)

34、花扇

 花扇(西野)

  ☆三五の月の乱れ髪 兼ねて逢いたさ 見たさをば

   その日の契りカネつけて ソリャ ソリャ 末はお前に任せる身じゃぞえ

  ☆熊谷次郎真実は 須磨の浦にて 敦盛を

   討ちて無情を悟りしが ソリャ ソリャ 末は蓮浄法師となる身じゃぞえ

  ☆千鳥も今はこの里に いとし可愛いの 源太さん

   鎧代わりに三百両 ソリャ ソリャ 辛や無間の鐘つく身じゃぞえ

  ☆手樽の山に差し向い 茶碗引き寄せ 二つ三つ

   たがやき水の香りぞや ソリャ ソリャ 顔に紅葉がちりちりぱっとえ

  ☆軒端を伝う鶯の いとし恋しに 来たものに

   もとの古巣に帰れとは ソリャ ソリャ あまりつれなや情けないぞえ

35、小野道風

 小野道風(竹角・西野・青山)

  ☆小野道風 青柳硯 姥が情けで清書書く

   ソリャ情けで姥がナ 姥が(ヤットセイ) 情けで清書書く

   イヤ(それでもなったらしょうがない そうじゃわ そうじゃわいな ソレ)

  ☆小野道風 青柳硯 一つお公家に子を産めば

   ソリャお公家に一つナ 一つ(ヤットセイ)お武家に子を産めば

   イヤ(忠義のお武家に名が残る そうじゃわ そうじゃわいな ソレ)

  ☆斧九太夫は胴欲者よ 主の逮夜に蛸肴

   ソリャ逮夜に主のナ 主の(ヤットセイ) 逮夜に蛸肴

   ソヤ(胴欲者なら仕方がない そうじゃわ そうじゃわいな ソレ)

  ☆早野勘平さんは主人のために 妻のお軽にゃ勤めさす

   ソリャお軽にゃ妻のナ 妻の(ヤットセイ) お軽にゃ勤めさす

   ソリャ(前世の業なら仕方がない そうじゃわ そうじゃわいな ソレ)

  ☆もののあわれは石堂丸よ 父を尋ねて高山に

   ソリャ尋ねて父をナ 父を(ヤットセイ) 尋ねて高山に

   アラ(登れど父方 名が知れぬ そうじゃわ そうじゃわいな ソレ)

  ☆ものの不思議やクネンボが生えた 九年待てとのことじゃげな

   ソリャ待てとの九年ナ 九年(ヤットセイ) 待てとのことじゃげな

   ソレ(九年待てとのことじゃげな そうじゃわ そうじゃわいな ソレ)

36、様は三夜

 様は三夜(泥谷・石打)

  ☆様は三夜の三日月様よ 宵にちらりと見たばかり(アラホーンボニ)

   見たばかり 宵にちらりと見たばかり(ハーテッショニ) 様はよいよなあ

  ☆咲いた桜になぜ駒つなぐ 駒が勇めば花が散る(アラホーンボニ)

   花が散る 駒が勇めば花が散る(ハーテッショニ) 様はよいよなあ

  ☆お前釣竿わしゃ池の鯉 釣られながらも面白や(アラホーンボニ)

   面白や 釣られながらも面白や(ハーテッショニ) 様はよいよなあ

  ☆お前松の木わしゃ蔦かずら 絡みついたら離りゃせぬ(アラホーンボニ)

   離りゃせぬ 絡みついたら離りゃせぬ(ハーテッショニ) 様はよいよなあ

  ☆お前百までわしゃ九十九まで ともに白髪の生ゆるまで(アラホーンボニ)

   生えるまで ともに白髪の生ゆるまで(ハーテッショニ) 様はよいよなあ

  ☆山があるから故郷が見えぬ 故郷可愛や山憎い(アラホーンボニ)

   山憎い 故郷可愛いや山憎い(ハーテッショニ) 様はよいよなあ

37、帆かけ

 帆かけ(西野)

  ☆沖を走るは丸屋じゃないか 船は(コラセ) 新造でソレ櫓は黄金

   丸に(コラセ) 矢の字の帆が見える サー帆かけて来い も一つ

  ☆船は出て行く帆かけて走る 茶屋の(コラセ) 娘はソレ出て招く

   招けど(コラセ) 船の寄らばこそ サー帆かけて来い も一つ

  ☆恋の車にお米をのせて 江戸に(コラセ) 送ろか大阪に行こか

   又は(コラセ) 浪花の島原に サー帆かけて来い も一つ

  ☆沖の暗いのに白帆が見える あれは(コラセ) 紀の国ソレみかん船

   明日は(コラセ) みかんの市が立つ サー帆かけて来い も一つ

  ☆前の山椒の木 三四郎さんと 思うて(コラセ) 抱いたらわしゃ目をついた

   どうせ(コラセ) 養生せにゃならぬ サー帆かけて来い も一つ

38、お夏清十郎

 お夏清十郎(宇山・汐月・江頭・長谷・津志河内・小島) 

  ☆お夏どこ行く手に花持ちて わしは清十郎の

   ヨイヨー墓参り(アラソノ ヨイトナー サーヨイトナー)

  ☆み墓参りて拝もとすれば 涙せきあげ

   ヨイヨー拝まれぬ(アラソノ ヨイトナー サーヨイトナー)

  ☆清十郎二十一お夏は七つ 合わぬ毛抜きを

   合わしょとすれば(アラソノ ヨイトナー サーヨイトナー)

  ☆合わぬ毛抜きを合わしょとすれば 森の夜鴉

   ヨイヨー啼き明かす(アラソノ ヨイトナー サーヨイトナー)

  ☆向こう通るは清十郎じゃないか 笠がよく似た

   ヨイヨー菅の笠(アラソノ ヨイトナー サーヨイトナー)

  ☆笠が似たとて清十郎であれば お伊勢参りは

   ヨイヨー皆清十郎(アラソノ ヨイトナー サーヨイトナー)

 お夏清十郎(泥谷)

  ☆お夏どこ行く手に花持ちて わしは清十郎の

   ほんに清十郎の墓参り(ソノ ヨイヨナー サーヨイヨナー)

  ☆向こう通るは清十郎じゃないか 笠がよく似た

   ほんによく似た菅の笠(ソノ ヨイヨナー サーヨイヨナー)

  ☆笠が似たとて清十郎であれば お伊勢参りは

   ほんに参りは皆清十郎(ソノ ヨイヨナー サーヨイヨナー)

  ☆み墓参りて拝もとすれば 涙せきあげ

   ほんにせきあげ拝まれぬ(ソノ ヨイヨナー サーヨイヨナー)

39、きりん

 きりん(西野)

  ☆清十郎二十一お夏が七つ(ヤレーソレーソレ)

   合わぬ毛抜きを合わしょとすれば(アーオイ) 森の夜鴉鳴き明かす ヨイヤサー

   (アーソーレー ソーレードッコイ ソーレーヤットヤー)

  ☆天下太平治まる御代に(ヤレーソレーソレ)

   弓は袋にその矢は壺に(アーヨイ) 槍は館のお広間に ヨイヤサー

   (アーソーレー ソーレードッコイ ソーレーヤットヤー)

  ☆関の女郎衆と将棋の駒は(ヤレーソレーソレ)

   差しつ差されつ差し戻されつ(アーオイ) 金銀なければ不挨拶 ヨイヤサー

   (アーソーレー ソーレードッコイ ソーレーヤットヤー)

  ☆関の女郎衆と御手洗つつじ(ヤレーソレーソレ)

   宵につぼみて夜中に開く(アーオイ) 朝の嵐に散り散りと ヨイヤサー

   (アーソーレー ソーレードッコイ ソーレーヤットヤー)

40、チョイトナ

 チョイトナ(西野)

  ☆天地天野の秋の日の(アレチョイトナー) 刈穂の上の(オイオイ) 群雀

   引くに(オイオイ) 触らぬ鳴子縄 アチョイトナー(ソレーソレーソレ)

  ☆酒はよいもの色に出て(アレチョイトナー) 飲みたや加賀の(オイオイ) 菊酒を

   飲めば(オイオイ) 心はうきの島 アチョイトナー(ソレーソレーソレ)

  ☆父は長良の人柱(アレチョイトナー) 鳴かずば雉も(オイオイ) 撃たれまい

   助け(オイオイ) 給えやほけきょ鳥 アチョイトナー(ソレーソレーソレ)

41、数え唄

 巡礼お鶴(府坂・竹角・黒沢)

  ☆一つとのよのえ 柄杓に杖笠おいづるを 巡礼姿で父母を 訪にょうかいな

  ☆二つとのよのえ ふだらく岸うつみ熊野の 那智の小山に音高く 響こうかいな

  ☆三つとのよのえ 見るよりお弓は立ち上がり 盆にしろげの志 進上かいな

  ☆四つとのよのえ ようまあ旅に出しゃんした さだめし親子と二人連れ 同行かいな

  ☆五つとのよのえ いえいえ私二人旅 父さん母さん顔知らず 恋しいわいな

  ☆六つとのよのえ 無理に押し遣る餞を 僅かの金じゃと志 進上かいな

  ☆七つとのよのえ 泣く泣く別れて行く後を 見送り見送り伸上がり 恋しいわいな

  ☆八つとのよのえ 山川海里遥々と 憧れ訪ねる愛し子を 返そうかいな

  ☆九つとのよのえ 九つなる子の手を引いて 我が家に帰りて玄関口 入ろうかいな

  ☆十とのよのえ 徳島城下の十郎兵衛 我が子と知らず巡礼を 殺そうかいな

メモ:佐伯市下堅田周辺(大字堅田・池田・長谷・青山)に伝承されている一連の盆踊りで、近隣のものとは趣を異にしている。上方由来といわれている座敷踊り風の情緒豊かな踊りで、ここに41曲を紹介したが、かつては50曲を越えていたという。集落ごとの節回しの違いで数え上げれば、50曲ではきかないだろう。そして、たとえば与勘兵衛にしても、集落ごとに踊り方がみんな違うので、踊りの種類を数えてみれば50どころか、60、70にもなる。しかしあまりに踊り方の難しいものが多く、年々、踊りの種類が減っている。踊りにも増して難しいのは音頭で、唄はどうにかなっても三味線を弾く人がいよいよ少なくなっており、伝承に苦慮している。いま、最もたくさんの踊りが残っているのは西野・波越・城村・宇山で、10種類以上を数える。その他の集落にも、5種類程度は残っている。集落ごとに踊り方が違うということは、他集落の踊りに行ってみたところで全くついて行けないことが多く、踊りの輪が小さくなりがちである。手踊りだけでなく扇子踊り、扇子2本を使う踊り、うちわ踊り、手拭い踊り、提灯踊り、棒踊りなど多種多様で、見るだけでも十分楽しめる踊りだが、その習得は容易ではない。上方由来ということで、確かに大文字かぼちゃ、高い山など、昔の流行小唄の転用も目立つが、どれも節回しや三味線の弾き方など郷土化されており、しかも集落ごとに個性があるというのだから驚くよりほかない。採集できていないがかつて踊られた曲目として、鶯、奴踊り、待宵、夜盗頭が確認されている。ほかにもたくさんの種類があったのだろうが、記録に残っていないようだ。とてもよい踊りばかりなのに、あまり知られていないのが惜しまれる。

 

俚謡「蒲江町屋形島の盆踊り」

1、小五郎

 ☆エー 扇エー めでたや末広がりて(ヨーヤヨー)

  エー 鶴は千年亀万年と(ハヨーヤーセー ヨーイヤセー)

2、与勘兵衛

 ☆与勘兵衛坊主が二人出た(ソコソコ) 一人は確かな与勘兵衛じゃ

  一人ゃしんしん信太の 森に住むではないかいな アラ実 与勘兵衛

   (一反畑のぼうぶらが コリャ なる道ゃ知らずに這い歩く)

  ☆今年は豊年満作じゃ(ソコソコ) 庄屋もめぼしも百姓も

   猫もねんねんねずみも 猫もねずみもすりこのバチかいよ アラ実 与勘兵衛

   (一反畑のサヤ豆が ひとサヤ走れば皆走る)

  ☆木立の庄屋さんは何が好き(ソコソコ) 恥ずかしながらも唐芋好き

   今朝もねんねん寝起きから 赤い唐芋の焼き冷まし アラ実 与勘兵衛

   (お前家持ちわしゃ子持ち 下から持ちゃぐるもぐら餅)

  ☆真実保名さんに添いたくば(ソコソコ) 榊の髷と偽りて

   七日なんなん七夜さ 怨み葛の葉と寝たならば アラ実 与勘兵衛

   (やっとこやしまの ほしかの晩 ほしかの晩なら宵から来い)

  ☆私とお前さんの若い時ゃ(ソコソコ) 女郎か卵かと言われたが

   今じゃとんとん年が寄って 寺の過去帳にしっかとつけられた アラ実 与勘兵衛

   (一反畑のぼうぶらが なる道ゃ知らいで這いまわる)

  ☆因尾の庄屋さんの町戻り(ソコソコ) 脇差ゃ割れたや 割れ豆腐

   それをつんつんつづらで それをつづらでしっかと巻きとめた アラ実 与勘兵衛

3、繁昌づくし

 ☆さて正月は大黒の ハーソコラデセー 根松ゆずれし裏白飾る

  手まり オイナ 破魔弓 オイナ 羽根突く繁昌

  ハーシテコイナー マッカショエ ヤトセ ハレバリヤン

 ☆二月小なる初子の日 ハーソコラデセー 子の日遊びといずこの人が

  茶屋や オイナ 酒屋や オイナ 出店の繁昌

  ハーシテコイナー マッカショエ ヤトセ ハレバリヤン

 ☆さて三月は大名衆の ハーソコラデセー 日にも間もないお江戸の勤め

  彼方 オイナ 此方や オイナ 出代わり繁昌

  ハーシテコイナー マッカショエ ヤトセ ハレバリヤン

 ☆四月小なる朔日に ハーソコラデセー 戌の吉日麦刈り初めて

  刈るも オイナ 豊かや オイナ 釜戸の繁昌

  ハーシテコイナー マッカショエ ヤトセ ハレバリヤン

 ☆五月めでたや辰の日に ハーソコラデセー 稲を刈る日に田を植え初めて

  田植 オイナ 音頭で オイナ ちょうとめ繁昌

  ハーシテコイナー マッカショエ ヤトセ ハレバリヤン

 ☆さて六月はお祇園の ハーソコラデセー 祇園祭りは中旬の頃

  氏子 オイナ 賑わし オイナ 芝居繁昌

  ハーシテコイナー マッカショエ ヤトセ ハレバリヤン

 ☆さて七月は盂蘭盆の ハーソコラデセー 先祖供養は精霊で送る

  浴衣 オイナ 折笠 オイナ 踊り子の繁昌

  ハーシテコイナー マッカショエ ヤトセ ハレバリヤン

 ☆さて八月はお彼岸の ハーソコラデセー 羽織袴や麻裃で

  彼岸 オイナ 参りは オイナ お寺の繁昌

  ハーシテコイナー マッカショエ ヤトセ ハレバリヤン

 ☆九月めでたの百姓衆の ハーソコラデセー 稲の実りの終いであれば

  倉に オイナ 詰めおく オイナ 俵の繁昌

  ハーシテコイナー マッカショエ ヤトセ ハレバリヤン

 ☆さて十月は初亥の日 ハーソコラデセー 亥の子祝いといずこの人が

  餅を オイナ 搗き搗き オイナ お祝い繁昌

  ハーシテコイナー マッカショエ ヤトセ ハレバリヤン

 ☆さて霜月は大切な ハーソコラデセー 神に神楽は太夫衆の手芸

  秋が オイナ 勇めば オイナ 氏子の繁昌

  ハーシテコイナー マッカショエ ヤトセ ハレバリヤン

 ☆師走めでたや大晦日に ハーソコラデセー 飾るつるの葉お鏡餅に

  揃うた オイナ 笑顔は オイナ 御家内繁昌

  ハーシテコイナー マッカショエ ヤトセ ハレバリヤン

4、淀の川瀬

 ☆淀の川瀬の水車 誰を待つやらくるくると 水を汲めとの 判じ物

  汲むは浮世の習ぞや ありゃあれ そりゃそれ 柄杓さんを招く

  ヨーイ ヨーイヨーイヤナー

 ☆一字千金二千金 三千世界の宝ぞや 教える人に 習う字の

  中にまじわる菅秀才 武部 源蔵 夫婦の者が ヨーイ ヨーイヨーイヤナー

 ☆ここを尋ねて来る人は 加古川本蔵行国が 女房戸無瀬の 親子連れ

  道の案内の乗り物を かたえに控えただ親子連れ ヨーイ ヨーイヨーイヤナー

 ☆かたえに直れば女房も 押しては言わぬもつれ髪 鬢の解れを なぜつける

  櫛の胸より主の胸 映してみたや鏡たて 映せば映る顔と顔

  ヨーイ ヨーイヨーイヤナー

 ☆引けよ鈴虫それぞとは かねて松虫ひなぎぬも 手燭携え 庭に下り

  母様お越し召されたか いざ此方へとあの呼ぶ世の ヨーイ ヨーイヨーイヤナー

5、本調子

 △オイヤ桶屋さん門中で 底つきなき輪を締めしゃんせ やっぱり本輪がよいわいな

 ☆ハイヤハー 船は出て行く帆かけて走る(アリャアリャアリャ)

  茶屋の娘が 出て招く ヤー ヤー 招けど船は寄らばこそ

  思い切れとの風が吹く(イヤマダマダ) ソレソレソレ ほんかいな(ハー)

 ☆ハイヤハー 竹になりたや紫竹の竹に(アリャアリャアリャ)

  もとは尺八 中は笛 ヤー ヤー 裏はそもじの筆の軸

  思い参らせ候かしこ(イヤマダマダ ソレソレソレ ほんかいな(ハー)

 ☆ハイヤハー 文はやりたし書く手は持たぬ(アリャアリャアリャ)

  やるぞ白紙 文と読め ヤー ヤー 書いたる文さえ読めないわしが

  まして白紙なんと読む(イヤマダマダ) ソレソレソレ ほんかいな(ハー)

 ☆ハイヤハー 梅も八重咲く桜も八重に(アリャアリャアリャ)

  なぜに朝顔 一重咲く ヤー ヤー わしは朝日に憎まれて

  お日の出ぬ間にちらと咲く(イヤマダマダ) ソレソレソレ ほんかいな(ハー)

 ☆ハイヤハー ここは色街 廓の茶屋よ(アリャアリャアリャ)

  のれん引き上げ お軽さん ヤー ヤー 由良之助さんわしゃここに

  風に吹かれているわいな(イヤマダマダ) ソレソレソレ ほんかいな(ハー)

 ☆ハイヤハー 鷺を烏と見たのが無理か(アリャアリャアリャ)

  一羽の鳥さえ 鶏と ヤー ヤー 雪という字も墨で書く

  あおいの花も赤く咲く(イヤマダマダ) ソレソレソレ ほんかいな(ハー)

6、那須与一

 ☆月は清澄 日は満々と(アリャナー コリャナー)

  おごり栄ゆる平家の御代も(アリャ ヨイトナー ヨイトナー)

7、精霊送り

 ☆国は奥州仙台のこと(ソレマッカセマカセ) 牡丹長者の(コラショイ)

  由来をきけば(ヤホーイコリャ) 四方四面に蔵建て並べ

  (ソレエー ヤートハリサテ ヤートホイ)

8、二孝女踊り

 ☆人は一代 名は末代よ ドッコイセー ヨーイヤセー

  エー 虎は死しても皮をば残す サンヤートセイセイ ヤーレトーコセー

9、祝い音頭

 ☆祝いめでたの若松様よ サー枝も ホイ 栄えて アー根も葉も茂る

  アーレバエー サーンヨーンヨーイヤナー

メモ:これは『蒲江町盆踊口説集』より抜粋したものである。上記9曲のうち、蒲江町の他地域にも見られるのは1と9のみで、後はよその踊りが入ってきたものである。2~6は堅田踊りで、3の「繁盛づくし」は堅田踊り「しんじゅ」、玖珠町の山路踊り「酒宴づくし」などと同種。直入方面の白熊唄にも同種のものが見られることから、かつてはこの種の唄が広く流行したのだろう。7は宇佐方面の「マッカセ」で、「精霊送り」の呼称からは宇佐市長洲の御殿燈籠を燃やす盆行事が連想される。8は野津町の「三重節」で、同地の「二孝女口説」から一連の踊りを「二孝女踊り」と総称することもあり、その呼称を引いたのだろう。ところで、これらの9曲はおそらく何らかの底本に記載があったのだろうが、現在はおそらく、屋形島では踊られていないのではないかと思う。屋形島は人口がとても少なく、未確認だが、盆踊り自体をもうやっていないかもしれない。