唱歌「中判田駅開通祝賀歌」(大分市判田)
☆一日ひとひに開けゆく 時は大正御代の春
 頃は弥生の花盛り 鳥もさえずる好時節
☆犬飼線の鉄道は 今日今ここに工成りて
 大分を去ること7マイル 判田駅にて止まりけり
☆今日の鉄道開通に 黒煙立てて勇ましく
 レールの上を滑り来る 汽車の姿の雄々しさよ
☆一度汽車にうち乗れば 大分別府日出杵築
 遠き他国の往来も ただ束の間にできぬべし
☆いざ夢醒ませ里人よ 昔の夢を醒ませかし
 世の文明は片時も 休むことなく進むなり
☆勤めや励めや学問を 殖産興業とりどりに
 振い興してもろともに 村の栄えを図るべし
☆見よや西べの本宮山 高きが上にいや高く
 東の方の大野川 清き流れもよどみなく
☆今日の鉄道開通を 心合わせて祝うなり
 判田万歳万々歳 鉄道万歳万々歳
メモ:豊肥本線が中判田駅まで開通したお祝いに作られた唱歌。

唱歌「河原内村 県道開通祝賀の歌」
☆頃は大正十二年 望みを遂げて県道に
 引き直されて喜びを 祝え諸人 諸共に
☆山は緑に水清く 天面山下のわが村は
 背負う生産とる文化 月日と共に進むなり

新民謡「豊後よさら」(大分市)
☆お蘭さま いかにカネ付け シャンシャラめけど
 夜さら寒いもんじゃ雨じゃもの これも山弥のヨイトコセ
☆お殿さま 降り来る雨に ションショボ濡れて
 夜さら忍びの闇じゃもの これも山弥のヨイトコセ
☆お糸さま 夜毎焦がれて 眠らず待てば
 夜さら長いもんじゃ秋じゃもの これも山弥のヨイトコセ
☆お殿さま 蓑着て通え 笠着て通え
 夜さら離れぬ仲じゃもの これも山弥のヨイトコセ
メモ:市丸がレコードに吹き込んだ。この唄は、流し踊りよりも正面踊りに合うような曲調で、盆踊りでは使われていない。

新民謡「府内小唄」(大分市)
☆船は南蛮 積んだる宝 降ろす港が府内城
 府内城 これも三弥のヨイトコセ
☆粋なローマ服伊達には着らぬ 狭い豊後の主じゃなし 主じゃなし
☆豊後府内をいつ船出して いとし万千代がローマ入り ローマ入り
☆青いお目々のカビタン様よ 赤いお鬚が痛うござる 痛うござる
☆お主思えば涙に暮れる サンタマリアの日が暮れる 日が暮れる
メモ:豊後よさらに囃子言葉が類似しているが、この唄の方が古い。残念ながら今では全く唄われておらず、聴く機会がないため節回しがどの程度類似しているのかは不明である。

新民謡「大分小唄」(大分市)
☆ジャズの碩田橋セダンで行けば 暮れたサロンの赤い花
 ほんにそうじゃが そうじゃがえ
☆こちら弁天 向こう春日浦 ちらり別府の灯も見えて
☆意地のかんたんマドロス達は 今宵限りの通り船
☆揃うて竹ブラ シークな歩どり 流すイットは傘のうち
☆潮の出ばなの鶴橋来れば のぼる屋形に月がさす
メモ:イット、シーク、ジャズなど昭和初期のキーワードが出て来る。おそらく、東京行進曲や大阪行進曲、浪花小唄などに触発されて作られたと思われる。

新民謡「大分小唄」(大分市)
☆瀬戸の内海からりと晴れて 大分よいとこ南に受けて
 チャーラ 来んさい そうかんえ
☆昔ゃ大砲で鳴らした城も 今は赤屋根アスファルト
 チャーラ 見んさい そうかんえ
☆昔偲べば春日の浦にゃ ローマカビタンの船も来た
 チャーラ バレテン そうかんえ
☆阿蘇は夕焼け 高崎ゃ小焼け 月も焦がれて上野の丘
 チャーラ 月暈 そうかんえ
☆往こか仏崎・弁天島・小島 大分川原にゃ月見草
 チャーラ 逢いましょ そうかんえ
☆暮れりゃ懐かし二の日の夜市 ネオン灯影に竹ブラ情調
 チャーラ 寄んさい そうかんえ
☆恋の軌道は湯の町通い バスや電車で一走り
 チャーラ 別府へ そうかんえ

新民謡「大分音頭」(大分市)
☆ハー 大分よいとこ海から明けて ほんにそうじゃがえ
 木の香ほのぼの槌の音 映るいらかは日毎に増して
 由布も鶴見も日本晴れ サテヨイヨイヨイトサノ 日本晴れ
☆さあさ踊ろよ復興まつり ほんにそうじゃがえ
 はずむ足音 街の音 大分音頭にゃ太鼓はいらぬ
 波の響きが音頭とる 音頭とる

新民謡「府内おどり」(大分市)
☆宵の竹ブラ人波揺れりゃ いとしセダンはどこへ行く
 あなたゆえならお城の泥に 咲いた白蓮実がとまる
☆逢えば新川磯馴の松の 誘う風ありゃ片靡き
 あなたゆえならあの橋越えて 行こか弁天春模様

唱歌「高崎山宣伝歌」(大分市)
☆史跡 勝景 兼ね備う 九州東岸 名も高き
 別府 大分の中央に 霊峰雄大 崛峙せり
☆景行帝の御垂跡 君祖 豊門別 始めとし
 多くの国司 人傑は 皆この山の城に據る
☆なおも永亭二年に 支那の哲人 沈沢仙
 高崎山を指差して 立身出世の霊峰ぞ
☆彼方の嶺の東南に 四極を定む人出づと
 予言は正に適中し 大友宗麟 生まれけり
☆その活躍は世界的 大和文化の魁ぞ
 栄枯盛衰 変わるとも 余光浸潤 偉大なり
☆人は万の物の長 正直の心を本として
 進みて探れ海の幸 努めて拓け山の奥
☆軒の雫も年経れば 石の堅きを穿つぞよ
 登れ出世の梯子段 進むは出世の初めなり
☆国司宗麟 使節たる 青年団の一行は
 三十噸の小舟にて 世界を廻りし例あり
☆虎は死しても皮を留め 人は死しても名を遺せ
 ただ名を為すは小事にて 感化を遺すが大事なり
☆宗麟逝きて四百歳 今なお我らの胸に沁み
 刺戟を与え起しむる これぞ不朽の感化力
☆况して山水秀麗は 今も昔を物語り
 風光明媚の趣は 八景中にも優れたり
☆されば世の人いざここに 泉都に聳ゆる高崎の
 嶺の上にぞ集えかし 登れや登れ世の人よ
メモ:宣伝小唄ではなく宣伝歌というだけあって、文語体のいかめしい内容である。

 

新民謡「鶴崎小唄」(大分市鶴崎)

☆切れてしまえと吹くのか由布よ 様は気まぐれ日照雨

 鳴くかよしきり あの徳島に 見せぬ姿のすすき風

☆恋の遊船 あかりが灯りゃ やがて離るる影ふたつ

 泣いてしまえば忘れた月が 照らす逆杖 大銀杏

☆月を映して流るる川に 捨てた思いを誰が知ろ

 盆の踊りに夜更けた町を 知らぬ顔して振袖で

☆喧嘩太鼓にかついだ山車を 揺すりゃ男の子に花が散る

 祭り囃子を遠くに聞いて 枯れたすすきの大野川


新民謡「佐賀関音頭」(佐賀関町)
☆ハー 関の関崎 鳴門もはだし アリャサ 波におどるよ
 ヨイヨイヨイ 波におどるよ桜鯛 アリャサ
☆関のお関さま お祭りどきにゃ 蛇まで参るよ 蛇まで参るよ遥々と
☆関の煙突 日和見さまよ 時化の来るときゃ 時化の来るときゃ雲が湧く
☆色は黒いがおいらが腕にゃ 一丈五尺の 一丈五尺の櫓がしおる
☆黒い潮でも砕けて散れば 花と咲くぞえ 花と咲くぞえ白ヶ浜

新民謡「佐賀関小唄」(佐賀関町)
☆呼べば答えて岬は佐田か 豊後街道は春がすみ 虹の浮橋
 ほのぼの消えて 波の高島こち招く トコサイサイ こち招く
☆様は白浜わしゃ黒浜で 仰ぐ夜空の天の川
 灯る灯台 吹く木枯らしに 波はどんどと夜もすがら 夜もすがら
☆浜の真砂に陽炎もえて 海が唄うよ舟唄を
 吹くやそよ風 南をうけて 男素肌に鯛を釣る 鯛を釣る
日さえ月さえ煙をくぐる 関の煙突 雲が湧く
 北の港は 雲晴れ日和 国さ国さの船が来る 船が来る

新民謡「大在音頭」(大分市大在)
☆ハー 大在よいとこ海辺の里よ 昔ゃ海苔採り大漁網に
 今じゃ六号地 公共埠頭 産都大分の拠るところ
☆ハー 大在よいとこ緑の里よ 春は蜜柑の花盛り
 秋は丸大のかごの山 蜜柑大分の拠るところ

新民謡「大在民謡」(大分市大在)
☆由布の嵐が西から吹けば 関の煙が東に靡く
 海は大在 絵のような入江 波が囁きゃ気も揺れる
☆凍りつくよな志北の浜で 主の海苔摘みゃ着物の裾を
 風が嬲って小波が妬いて 沖の鴎がちょいと妬む
☆牛が下りるよ荷を積んだ牛が 辻の山から並んで下りる
 手綱とる娘の笑顔に聞けば 味は千両の蜜柑船
☆嫁に取るなら是非見ておくれ 夏の水汲みゃあの娘の舞台
 手甲脚絆にたすきをかけて つるべ引く手の科のよさ

 

新民謡「新稙田音頭」(大分市稙田)

☆ハー 春は霞の霊山さまよ 豊の街並み見下ろして

 嶷北の文化を守ってござる ほんに稙田は(ソレ)

 ほんに稙田は ソレソレソレ よいところ

☆萌える若葉の西寒田さまよ 皐月の鯉に藤の花

 桜囃子に浮かれて踊る ほんに稙田は ほんに稙田は よいところ

☆夏は高瀬の石仏さまよ 七瀬の川に蛍狩り

 かわいあの娘に情けをかける ほんに稙田は ほんに稙田は よいところ

☆秋は黄金の善神王さまよ 笛や太鼓でたつ祭り

 今年ゃ豊年 稲穂も揺れる ほんに稙田は ほんに稙田は よいところ


新民謡「臥龍梅音頭」(大分市吉野)
☆ハー 春よ三月 花なら桜 吉野は二月よ梅祭り
 一度はおいでよ梅見においで 臥龍の梅を見においで
 ソレ 臥龍の梅を見においで
☆染井桜が霞に舞うか 吉野は紅梅 舞い踊る
☆小鳥さえずる臥龍の里よ 花に浮かれて踊りだす
☆龍の化身かその木の姿 花にも負けない見所よ

新民謡「豊後街道」(大分市)
☆ハー 瀬戸は晴れたか街道は時雨ヨ 府内城下はヨイ
 府内城下は月の暈 トコマカサイサイ 洒落ちょるな

新民謡「大分港」(大分市)
☆昔恋しい南蛮船の 偲ぶ面影 神宮寺
 そりゃそじゃそじゃ そうじゃなあ

長唄「府内之楽」(大分市)
☆梓弓 引く豊国の春日浦 秋の瑞穂のそれならで 黄金の波を漂わせ
 舳艫銜める楼船は 府内の繁華を産み出だす 頃は天文十二年
 時の探題宗麟が 異国の文化を集めんと オランダ南蛮 国崩し
 さては虎像綾錦 武器の外にも種々の 珍奇を入れし貿易港
 府内の冨は幾倍し 西国一と謡われし 山弥長者と今もなお
 人の口端に残りける 今年卯月の始めつ方 市制施行の記念にと
 山と浜とに石碑を 建てて勲を長えに 伝えまつるぞめでたけれ
 伝えまつるぞめでたけれ

 

 

 

唱歌「高田の四季」(大分市高田)

☆梅は早や過ぎ桜は未だ 彼岸前なる氏神まつり

 雨の降るたび桑の芽摘んで 燕来る春 蚕も孵る

☆上がる蚕に桑株なおし 小麦大麦つづいて熟れて

 五月六月いくさのような 中を繭買い日ごとに通る

☆残る葉桑に秋蚕もしまい 盆の休みは踊りに施餓鬼

 二百十日もことなくすんで 粟の葉擦れに秋風渡る

☆小春日和に麦まき終えて 名寄せするころ引かれる大根

 馬車で積み出す畷の彼方 高田名産 掘り出す牛蒡

 

唱歌「奉耕圃奉仕舞踊歌」(大分市丹生)

☆遠く都に離れちゃおれど 神代ながらの豊の国

 古い御代から由緒は深い 丹い朱の出る丹生のむら さあめでたやな めでたやな

☆秋で野山が錦に染まりゃ 田には黄金の波が打つ

 恵み豊かなこの村中に 稔るお米が五千石 さあめでたやな めでたやな

☆五百つみすまる御国は長い 中に栄持つ丹生の村

 御代の恵みを寿ぐ民は 男女の四千人 さあめでたやな めでたやな

☆古い神代のその昔から 国の宝のこの粟穂

 稔る初穂にわしらの胸も 届きますぞえ大君に さあめでたやな めでたやな

メモ:昭和7年、新嘗祭にて唄われた。