座興唄「下ノ江節」(臼杵市下ノ江)

☆アー 下ノ江港にゃ碇はいらぬ(サノヨイヨイ)

 三味や太鼓で船繋ぐ(サノ サノヨイヨイ)

 ※下ノ江の遊郭に船乗りが通いつめて、船が出ない意

☆下ノ江可愛や金比羅様の 松が見えますほのぼのと

☆岩に松さえしげるじゃないか 添うて添われぬことはない

☆下ノ江女郎衆は碇か綱か 今朝も出船を二度とめた

☆船は出て行く煙はのこる 残る煙が三ッ子島

☆月が出ました下ノ江沖に 波に揺られて濡れながら

☆波はドンドと港に打てど 打つは仇波音ばかり

☆ナカギ・セイダロ・コジロが浜で 泣いて別れた節もある

☆鹿が鳴こうがもみじが散ろが わしが心にゃ秋は来ぬ

メモ:今では想像もつかないが、下ノ江には昔遊郭があり、大変賑わっていた。この唄は下ノ江遊郭の芸娼妓が唄った騒ぎ唄である。大分県の民謡の中では比較的よく知られていて、戦前に新橋喜代三が洋楽器伴奏でレコード化した。喜代三の唄い方は地元のものとはやや異なるが、今では両方とも親しまれている。

 

座興唄「じょうさ節」(臼杵市下ノ江)

☆泣いてくれるな出船のときに 烏鳴きさえ気にかかる(アコリャサッサ)

☆沖のとなかに御茶屋を建てて 上り下りのお茶どころ

☆波はどんどと港に打てど 打つは仇波音ばかり

 囃子「一反畑のぼうぶらが なる道ゃ知らいで這い歩く」

☆頼りない身に頼りができて できた頼りが頼りない

☆鮎は瀬に住む鳥ゃ木にとまる 人は情けの下に住む

☆月の出頃と約束したに 月は山端にわしゃここに

 囃子「下ん畑のさや豆が 一さや走ればみんな走る」

メモ:下ノ江節と同様、下ノ江遊郭の騒ぎ唄である。これは臼杵市以南の沿岸部で広く座興唄として親しまれたもので、宮崎県にも同様の唄が伝承されており、レコード化されている。

 

祝い唄「ションガエ」(津久見市保戸島)

☆サーヨイサヨイヤサー ナナヨイヤサー 嬉しやナー めでたや若松様は

 枝もナ チョイトセ 栄える葉も繁る ションガエー

 アラ一つは不吉じゃも一つやらんせ

☆正月二日の初夢に 白い鼠が三つ連れて また三つ連れて六つ下る

 こんな御家の御屋敷で 小判くわえて金運ぶ ションガエー

 アーめでたい めでたい

☆しょんがえで貰うた 千秋万歳思うこた叶うた 末は鶴亀 五葉の松

 ションガエー アーめでたい めでたい

☆しょんがえで貰うた めでためでたや めでたきことが重なりて 飲めや大黒

 唄えやエベス 中で酌する福の神 ションガエー アーめでたい めでたい

 ※エベス=恵比寿の転訛

☆三番叟が 三番叟が舞いくる 御手に鈴を持ち 左の御手に扇を持ちて

 チリリヤタラリでヤーオンワ はるは滝の水 日が照るとも 御家繁盛と

 舞い納め ションガエー アーめでたい めでたい

メモ:大分県の沿岸部で広く唄われた祝い唄。