唱歌「荻駅開通祝賀の歌」その1(荻町)

☆谷を埋めて山を貫き 大九州を中断の

 鉄路の工も早やなりて 文化を交わす豊肥線

☆大阿蘇 九重 祖母が嶺 眺め尽きせぬ我が村の

 荻駅こそはこの線の 一要駅と名も高し

☆葉タバコ年産七万円 耕地整理の大工事

 拓く田園四百町 何れも郡下第一位

☆君の大典の幸の年 豊肥の線も開通し 

 いやに励まん日々の業 天下になさん荻の名を


唱歌「荻駅開通祝賀の歌」その2(荻町)

☆天ざかる地の豊の国 火の国ざかい九州の

 山脈遠く見はるかす ああ繁栄の我が郷土

☆昭和三年の神無月 希望の駅は開かれて

 民草集い祝うなり ああ繁栄の荻の原

☆夕は広野に霰降り 明日はレールにみぞれ散る

 文化日に増し進みゆく ああ繁栄の我が郷土

☆御代の恵の尊さよ 我が駿鸞の夢醒まし 協力一致理想へと

 聖の御代をよくしなん ああ繁栄の荻の原 ああ繁栄の我が郷土

メモ:豊肥線の延伸により荻駅が新設された際の祝賀唱歌。同様の唱歌は豊肥線の各駅毎に歌われた。豊後大野市、大分市の項を参照してください。


唱歌「豊岡村の数え歌」(竹田市豊岡)

一つとせ 平村大根大きくて これは村の宝なり アラヤッコラセ ヤッコラセ

二つとせ 古城峠は十の 昔の戦を語るぞえ

三つとせ 三砂の里に出る竹は 日本国中飛んでるぞえ

四つとせ よその学校にないような トンネル廊下があるぞえな

五つとせ 今や五百のわれわれは いつも元気でいるぞえな

六つとせ むこうは岡藩城下町 広瀬神社もあるぞえな

七つとせ 中を貫く豊肥線 汽車もいっとき休むぞえ

八つとせ 山手の里に出る瓦 セメント瓦があるぞえな

九つとせ 熊本大分の中心地 豊後竹田もあるぞえな

十とせ 豊岡村の誇りはね まだまだたくさんあるぞえな

メモ:戦前、豊岡小学校で愛唱されていた唄。


新民謡「竹田小唄」(竹田市)

☆久住大船黒嶽かけて 霞たなびくほのぼのと

 川は稲葉の瀬の瀬の岩に さくら散る日の日の光

☆雌瀧しぶけば雄瀧もしぶく 恋の魚住 虹が立つ

 咲くやあやめのむらさきさびし 打つや魚板の碧雲寺

 ※魚住=魚住の滝のこと。昔は名瀑として広く知られていたが、ダムの建設で景観が損なわれた。

☆松は松風 今荒城の 夜半の月影さえわたる

 備前なまりは藩山さまか 霧に濡れゆく紅葉谷

☆ひたき来て啼く竹田荘の 真昼閑かや柿落葉

 雪が降る降る山下茶屋に 鐘が鳴る鳴るサンチヤゴ


新民謡「竹田民謡」(竹田市)

☆山の中でも七万石の 豊後竹田は城下町

☆竹田城址雀でさえも 竹に来て鳴く来てとまる

☆月は竹田の城址照らし 阿蘇の山々夜が更ける

☆稲葉白滝二つの川の 水も流れて末に逢う

☆滝は魚住 雄滝に雌滝 離れ離れて日を送る

☆竹田生まれは姿で知れる 花に例えりゃ桜花

☆久住大船 黒嶽かけて 秋が来るやら雲が行く


新民謡「竹田音頭」(竹田市)

☆ここは七万 中川領地 水と美人で名高い町よ

 一度来てみな竹田の町へ ヤートヤンソレ ヤンソレサー ソレサーソレサー

☆恋の魚住 二つの滝は 右と左に別れておれど 逢うて嬉しや あの十川ダム

☆山下公園 常葉の緑 昔の御茶屋 名残の跡に 立つは軍神広瀬の銅像

☆弥五兵衛坂のあの暮れ六つも 今はサイレン山から響く 阿蘇は夕焼け久住は小焼け

☆稲葉河岸 夏陽に暮れて 盆の十五夜 精霊の舟も 揚がる花火に あれ人の波

☆今宵逢いましょ祇園の宮で 月の十日は恵比寿の市よ 往くさ踊りのあの町娘

☆町の灯火 川面にうつり 山手河原の月見の草よ 河の瀬音に あれ河鹿鳴く

メモ:ゆったりしたテンポの静かな曲調に城下町の雰囲気がよく出ており、歌詞もよい。踊り方は、所作は簡単だが唄と踊りがピタリと合う(各節の頭と踊りの頭が合う)ため、始めの手に戻るまでがやや長い。昔はよく踊られていたが「かぼす音頭」等のより簡単な踊りに押されて衰退傾向にあった。しかし関係各者の努力により、近年、また盛んに踊られるようになってきている。


新民謡「竹田よいよい節」(竹田市)

☆一度おいでな豊後の竹田ヨイヨーイ 大分熊本アノ右左 ハー ヨーイヨーイ

☆阿蘇の煙も娘にゃなびく なびきゃ涙の久住は雨か

☆街の姿は碁盤の縞で 暮れて枕にアレ水の音

☆山のサイレン谷間に響きゃ 空はほのぼの朝餉の煙

☆街の朝霧ひそかに立つよ 今日も天気か お山が見える

☆お山見えるか朝霧立つか わしも行きたや豊後の竹田

メモ:竹田音頭と同様、ゆったりとしたテンポの静かな曲調。こちらの方が節が易しいが最後の「ハー、ヨーイヨーイ」のところで少し節をためて唄い、そこが聞かせどころになっている。踊り方は、やはり簡単だがこちらも唄と踊りの頭が合う関係で手数がやや多い。昔はとても人気の高い唄だったがひところ下火になっていた。近年復活。


新民謡「竹田人形小唄」(竹田市)

☆春さ久住の雪解け頃は やぐら炬燵にしょんぼりと

 かけし布団に気まぐれかかりゃ 夢を覚ました浮かれ猫

☆粋な絵描きのあの歌麿が 身をも焦がしたあぶな絵の

 猫が娘の衣裾引けば 里の春風さらさらと

☆泣いた思いもすらすらとけて 雨だればかり五月雨の

 竹田人形に思いをこめて 送る私が胸の内

☆昔中川入山公が 谷へ隠した姫君と

 恋の道行きあの山越えて 登りゃ大船 月が差す

☆夢の木枯らし吹くのか阿蘇よ 受けた気持ちの虎落笛

 雪は積む積む弥五兵衛坂に 昔憶えと下屋敷

☆行こか戻ろか竹田の町に 暗いトンネル気がもめる

 私ゃ来るとき一人で来たが 帰りゃ人形と二人連れ


新民謡「竹田小唄」(竹田市)

☆霧は山郷たちこめて 昇る煙もほの白く 町は岡藩 中川の

 豊後大藩 八百八門 水音恋しや竹田の里よ

 瀬音かじかに誘われて 稲葉流れの夕涼み


新民謡「竹田甚句」(竹田市)

☆豊後山里 竹田の町は 花がよいとこ 春は片ヶ瀬

 碧雲寺 コリャコリャサノ 花乙女

☆豊後山里 竹田の町は 水がよいとこ 夏は魚住 川遊び 河鹿鳴く

☆豊後山里 竹田の町は 紅葉よいとこ 秋は用作 観音寺 町娘

☆豊後山里 竹田の町は 偉い人には 画聖竹田 広瀬中佐 生まれの地

☆豊後山里 竹田の町は 山の中でも 五万石の 城下町 城下町

メモ:竹田音頭や竹田よいよい節とは違い、テンポが速く弾んだ調子で、年齢を問わず唄える簡単な唄である。唄の頭と踊りの頭がぴたりと合うが、一節が短いので手数もそう多くはなく、覚えやすい。


新民謡「新竹田甚句」(合併後の竹田市)

☆豊後山里 竹田の町は 春は桜の 花に浮かぶや岡城阯

 コリャコリャコリャサノ 花の城

☆豊後山里 久住の町は 夏の夏越の 山車でにぎわう山の町 飾り山

☆豊後山里 荻の町は 秋は紅葉を 水に浮かべる白水の滝 散紅葉

☆豊後山里 直入の町は 冬は長湯の 湯の香ほんのり湯上がり美人 お湯の花

☆豊後山里 竹田の町は 深山霧島 祖母と久住と湧く清水 里自慢

メモ:旧の「竹田甚句」に、新竹田市内の旧市町村を一つひとつ取り上げた新しい文句を乗せたもの。旧の「竹田甚句」とは踊り方が違い、こちらは鳴子踊りである。所作がごく易しく、誰にでも踊れる。


新民謡「城原音頭」(竹田市城原)

☆ハー 城原よいとこ住みよいところ 鮎を小籠に チョイト(聞き取れず)

 松がささやく 松がささやく子守唄

メモ:城原地区の新民謡で、春・夏・秋・冬の4節がある。残念ながらよく聞き取れなかった。しっとりとした短調の節回しで、親しみやすい。前奏の後、春・夏を続けて唄い、間奏、秋・冬を続けて唄う。唄の頭と踊りの頭がぴたりと合うのでやや手数が多い上に、前奏(間奏)のところは別の振りになっているのでやや覚えにくいが、所作の一つ一つはごく易しい。小学校の運動会でも踊られている。


新民謡「久住民謡」(久住町)

☆久住大船 朝日に晴れて 駒はいななく草千里

☆久住高原 芒に暮れて 阿蘇のいただき雲沈む

メモ:固有の曲は伝わっていないようで、祭文など字脚の合う好きな節で唄う。この「久住民謡」や「由布は見えぬか」等の小唄の下五字を繰り返して追分風の曲をつけたものが「久住高原の唄」として広く知られている。「久住高原の唄」は地域を限定しない唄なので「大分県の歌」(カテゴリ:大分県の歌<南海部・その他>)にて紹介している。


新民謡「久住小唄」(久住町)

☆空にほのぼの久住の山で 恋か情けか薄けむり

☆もえて紅蓮の火をドンとあげた 遠い昔の薄けむり

☆久住高原テントのかげに 夏はキャンプの旗が立つ


新民謡「長湯民謡」(直入町長湯)

☆長湯芹川 川真ん中の 離れ石にもお湯が湧く

☆長湯出てゆき虹滝越せば 袖も飛沫に湿りがち

☆内と外との蛇生瀬の滝の 水は底なし淵となる

☆久住山から来る雨だやら 夜は長湯に忍び来る

☆久住山から夜来る雨は 長湯濡らしに降るのやら

☆月は照る照る九重の峰に 河鹿鳴く鳴く夜は更ける


新民謡「下竹田炭焼音頭」(直入町)

☆山の煙は炭焼くかまど 群れた烏も寄って来る

☆炭木切る音こだまの山に 昇る煙は炭のかま

☆凍る夜空を炭焼く煙 こめて山男の汗となる

☆山で炭焼く楽しい日々は 狐狸も伽になる

☆村にゃおります小五郎さんが そしてまだまだ良い男

☆村の十字路通れぬほどに 運び出された炭の山

☆俺が村では炭焼く煙 阿蘇の山よりまだ広い

☆山と谷から煙が昇りゃ 今日も空は晴るるじゃろ

☆上るお月さん煙が靡きゃ 月さん顔がちょっと曇る

☆月が傾きゃ煙が招く 私ゃ焼けますかまの中

☆わしを呼ぶよに煙が招く 行ってみようかかまの人

☆山の煙が麓に靡きゃ せめてあの娘も靡くじゃろ

☆主の帰りを家にて待ちて 風呂を焚いたり燗したり

☆ダムができりゃ立ち退くからにゃ 山の煙で暮らすじゃろ


新民謡「長湯温泉ばやし」(直入町長湯)

☆長湯よいとこ皆おいで ハーヨイサヨイサ

 手拍子揃えて踊ろうよ ハーヨイサヨイサ

☆長湯よいとこお湯の町 昇る湯煙り自慢だよ

☆春は花咲く丸山で 飲んで唄えばこだまする

☆長湯よいとこ谷あいは 夏の今宵に蛍飛ぶ

☆長湯温泉お湯の里 お湯でのんびり湯の香り


新民謡「朽網音頭」(久住町都野)

☆朽網五千石昔も今も ほんに住みよいユートピア ヤーレヤーレヤンソレサ

☆春は咲きます霧島つつじ 山の地肌も見えぬほど

☆夏は黒岳紅葉の錦 下じゃ稲穂がゆらゆらと

☆冬はいろりに火をたきて 語る笑顔もにこにこと

☆朽網湯どころ遊びにおいで 聞くも懐かし七里田へ

☆朝な夕なに鋤鍬持つが 湯ぶそだちで玉の肌

☆朽網娘は美人のそろい それもそのはず湯で育つ

☆山へお登り大船山へ 朽網まる見え主の家

☆風は大船嶺より吹くが たまにゃ吹きます恋風も

メモ:朽網とは、久住町・直入町・庄内町の接するあたりの地域のこと


※ ほかに「長湯音頭」「かぼす音頭」「玉来音頭」などの新民謡がある。長湯音頭は演歌風のゆったりとした曲調で、途中に独特な所作が出てくるほか手数も多く難しいが町民に親しまれ、運動会でも踊られている。玉来音頭は最近(平成26年頃)に作られたごく新しい唄で、玉来地区内の12の行政区を順々に唄ったもの。テンポが速めで、唄も踊りもごく易しく、長く親しまれていくことと思う。


※ 下竹田地区の「甚吉口説」は、下関の新民謡「関門小唄」と節回しがほぼ同じであり、文句も新作なので新民謡といえば新民謡だが、伴奏が太鼓のみで、「祭文」等の一連の地踊りと同等の扱いを受けている。判断に迷ったが、盆踊り唄の項に掲載することにした。