木挽き唄(国東町)

☆大工さんよりゃ木挽きどんが憎い 仲のよい木を引き分ける

 アーショッキンショッキン

☆木挽き木挽きと一升飯ゃ食ろうて 松の枯節ゃ泣いてわく

☆山で床とりゃ木の根が枕 木の根はずせば石枕

 

マテ突き唄(国東町北江)

☆アリャ嫌じゃかかさんヨーイ マテ突きゃ嫌じゃヨーイ

 アリャドッコイショドッコイショ アリャ色も黒うなりゃヨーイ

 腰ゃかがむヨーイ アリャヨイコラヨーイヨーイヨーイ

☆豊後北江のマテ突き音頭 あとが続けば皆勇む

☆寒い北風 冷たいあなじ 吹いて温いのが まじの風

メモ:3拍子のリズムで、古い唄い方。マテ貝漁のときに唄われたもの。3拍子というか8分の6拍子というか、とにかくこのリズムは国東町や武蔵町、安岐町あたり独特のもので、盆踊り唄でも悠長な唄は3拍子化していることが多い。

 

マテ突き唄(国東町)

☆アリャいやじゃかかさんヨーイ マテ突きゃ嫌じゃ アリャ色も黒うなりゃ

 腰ゃかがむ コリャサッサノヤレコノヨーイヨーイヨーイ

☆豊後北江の突き音頭 あとが続けば皆勇む

☆泣いてくれるな出船の時は 烏鳴きでも気にかかる

メモ:こちらは、上記の3拍子のリズムのものを2拍子に整えたもの。レコードに吹き込まれたのはこちらの唄い方ばかりだったためか、現在はこちらの方が普及している。

 

ものすり唄(国見町千灯)

☆臼はヒョンなものつまんで入れて(ドッコイショ)

 入れて回せば粉が出来る(ヨイトサノ ヨイヨナー)

 ※一種のバレ唄。

☆なんとしましょかこの月ゃ三月 梅が食べたいスユスユと

☆わしが御門はひぐらし御門 見ても見飽かぬ添い飽かぬ

☆様よ来て見よ疑いあれば 一人丸寝の袖枕

 

ものすり唄(国見町千灯)

☆思い出すまいとは思えども 思い出しては袖絞る

☆ろくなこたないとは思えども 今にいてみよ 嫌じゃない

☆好いて好かれて行くのこ縁じゃ 親のやる先ゃ義理の縁

☆唄は唄えど心の内は 二十九日の深の闇

☆かわゆがらりょもまた憎まりょも ひとたあなたの心から

 

ものすり唄(国東町横手)

☆ものをすり来たすらせちゃおくれヨ

 小言細言聞きにゃ来ん(ヨイトサー アリャヨイヨナ アラキコンキコン)

☆あんたよう来たよう来ちくれた わしが思いの届いたか

☆ものをすらせちだらせち寝せち 後ぢ歯がゆがりゃきびが良い

☆ものをすり来ちすらんような奴は いっそ来なよい失すらよい

☆ものをするならやり来をしゃんと 押して回せば粉はすれる

☆裏の小池の鴨さや憎や 鴨が立たなきゃ人は知らぬ

☆俺がもとすりゃお前は裏を 調子揃えば臼はまう

メモ:だいたい、杵築市から国見町あたりにかけて唄われた「ものすり唄」は、どれも節回しが類似しているようだ。小麦など、いろいろなものを石臼でひくとき(大抵は夜なべ仕事だった)、隣近所の若い人たちが作業小屋に寄り集まったときにみんなで唄いながら仕事をしたのだろう。

 

ものすり唄(国東町大恩寺)

☆ものをすり来ちすらんような奴はヨ(ヨイヨイ)

 いんでくたわけ朝のため(ヨイトサー ヨーイヤナ)

☆これがこうじゃとわけさえ立つりゃ 坂を車を押すじゃない

 

ものすり唄(国東町見地)

☆おばんすり来たすらせておくれヨ おばんすりましょ 夜明けまで

☆おばんすり来てすらんよな奴は いんでくたわけ朝のため

☆小癪言うた竹んかえ包うじ 水の出端にゃかえ流せ

 

ものすり唄(国東町中田)

☆うちのおかかは所で名取ヨ 何が名取か高菜採り ヨイトサーノ ドッコイショ

 

ものすり唄(武蔵町糸原)

☆ヤレ出しましょ藪から笹をヨ(ヤレヨイ) つけておくれな短冊を(ヨイトナー ヤレヨイヨイ)

☆つけてあげましょ七月七日 思い思いの短冊を

☆わしが思いはあの山のけて ながの暮らしが眺めたい

☆ながの暮らしはいつ来てみても たすき前かけシュスの帯

☆臼はひょんなものつまんで入れて すればするほど粉ができる

☆できたその粉は誰が粉かわかるか 団子丸めて食うてしまえ

 

ものすり唄(武蔵町)

☆今は梅干じゃ 昔は花じゃヨ 鶯止まらせた節もある

 アドッコイサ よう来たな

☆今宵や良い晩 嵐も吹かで 梅の小枝も折りよかろ

 

ものすり唄(安岐町両子)

☆ものをすり来てすらない人はヨ(ヨイヨイ)

 早くお帰り朝のため(ヨーイトサーノ ヨーイヨナ)

☆ものをすり来た すらせておくれ 野越え山越え来たわいな

☆野越え山越え来るよな方は 村で人気のないお方

☆わしとあなたはアイコの松で ともに落ちても二人連れ

☆裏の窓からダイダイ貰うた 抱いて寝よとの判じ物

☆今日も朝から柱で頭 あいたかったと目に涙

 

ものすり唄(姫島村)

☆船に乗るとも高い帆は巻くな 風に情けはないほどに

 風に情けがないとは嘘じゃ 上り船には西がよい

☆西に吹かせて早う上らんせ またの下りを待つばかり

 様は下りたか百二十七艘 様もござろかあの中に

☆船は出て行く帆巻いて走る 宿の娘は出て招く

 娘招くなあの船とまらぬ 思い切れとの風が吹く

メモ:石臼をひくときの作業唄。こういった作業唄は7775の文句のものが多いのだが、この唄は珍しく7775の文句が対で1節となっている。もしかしたら流行小唄の類の転用なのかもしれない。

 

ものすり唄(姫島村西浦)

☆わしが思いはあの山のけて(ハヨーイヨーイ) 様の暮らしが見とうござる

☆様よ来てみよ疑いあらば ひとり丸寝の袖枕

☆わしは姫島荒浜育ち 色の黒いはごめんなれ

☆ごめんなれとはせがれのことか ごめんなるまいこのせがれ

☆雨の降る日にゃござるなよ殿御 濡れてござればなおいとし

☆一夜なりとも一日なりと お前女房と言われたい

 

田植唄(国見町千灯)

☆私ゃろうそく芯から燃える あなた松明 上の空

☆あなたよう来た何しに来たか わしに心根を持つのかえ

☆様は来るはず なぜ様遅い どこに心をとめたやら

☆好いておりゃこそ朝夕通う 嫌な思いをするじゃない

☆思いますぞや あなたのことを 山で木の数 茅の数

 

田植唄「しょおが婆さん」(姫島村)

☆しょおが婆さんな焼餅好きで ゆんべ九つ そうじゃろ

 中りもせねど 今朝の七つは アノ食中り

メモ:同様の文句が県内のみならず他県においても、座興唄や盆踊り唄に使われている。しょんがえ婆さん、しょうがえ婆さん等。他地域では「しょうがえ婆さん焼餅好きよ、ゆんべ九つ今朝七つ」という文句で唄うことが多い。姫島村では田植唄として唄われたようだが、もともとは座興唄(流行小唄)だったのではないだろうか。

 

田の草取り唄(安岐町糸永)

☆今度出たのをかいとらまえて(ヤレナーヨイヨイ)

 合うか合わぬかそりゃ知らねども(ヤレナー ヤレヨイヨイ)

☆合えば義経千本桜 会わにゃ高野の石堂丸よ

 

池普請唄「けんなん節」(国東町富来)

☆アリャガンゴリャナ コリャガンゴリャナ ホイ

 上がらにゃ下がらぬエンヤーエー エンヤーエンヤーエンヤーエー

 ヤーコーノサーンサーノ エーイソーリャ ヨイヤーサ ヨイヤーサ

☆鳶がナ 鳴きます ピンヒョロヒョーロと

☆沖のナ かもめに 潮時問えば

 

池普請唄「けんなん節」(国東町富来)

☆富来よいとこエー エーイヨエー ソレソレ アー一度はおいで

 日本三つの文殊ある ヤッシガシ アーヤッシガシ

☆沖のトナカにゃ白帆が見える あれは紀州のみかん船

☆姉と妹にゃ紫ょ着せて どちが姉やら妹やら

 

池普請唄「けんなん節」(国東町富来)

☆伊勢にゃヨー 七度(ヨイヨイ) 熊野にゃ三度(アラヨーイヨイ)

 アラ愛宕サー 様にはヤンレノ 月まいり

 (ソラヤートセー ヨーイヤセ アレワイセ コレワイセ ソラヤットコセー)

☆伊勢は津でもつ 津は伊勢でもつ 尾張名古屋は城でもつ

☆沖の瀬の背のあの根の鮑 人がとらなきゃ寝て暮らす

 

池普請唄「けんなん節」(安岐町両子)

☆今年ゃ豊年 ヨイヨイ 穂に穂が咲いて 道の小草にゃお米がなるよ

 (ソリャヨーイヨーイヨーイトナ アレワイサ コレワイサーノ ヨイトナ

 ヨイサ ドンドン ヨイサ ドンドン ヨイサ ヨイサ ヨイサ)

 

池普請唄「けんなん節」(姫島村)

☆先のお方は アーヨイヨイ 長々ご苦労 アーヨイヨイ

 先のお方にゃ お茶なとあがれ アヨーイヨーイヨーイトナ

 アレワイサ コレワイサ ヨーイトナ

☆それが嫌ならお煙草なりと それが嫌なら一間の奥で

メモ:池普請唄で、伊勢音頭の転用である。けんなんの語義は不明だが、宇佐地方では「けんちゃん節」という池普請唄が唄われていた。曲節は全く異なるものの、同じ池普請唄ということで「けんちゃん節」と呼んだのが、転訛して「けんなん節」となったのかもしれない。

 

池普請唄「地搗き唄」(国東町横手)

☆伊勢にゃナー 七度 熊野にゃ三度(アヨーイヨイ) 愛宕ナー さんには ヤレサ月参り

 (ソリャヨイトコセー ヨーイヤナ アレワイセ コレワイセ ソリャ ヨーイトーコセー)

☆土手を 搗くなら 杵を振り上げて どんと 搗くなら 土手ゃしまる

 

池普請唄「千本搗き」(国東町来浦)

☆神の始まりゃ出雲が元じゃ(ヨイヨイ) 寺の始まりゃ京都が元じゃ(ヨイヨイ)

 アーソリャ ヤットコセー ヨーイヨナー アレワイサ コレワイサ ササヤットコセー

☆船の始まりゃ讃岐が元じゃ 智恵の文殊は来浦が元じゃ

 

池普請唄「土手搗き唄」(国見町櫛来)

☆わしが若いときゃ伊美の浜ぇ通うた(ヨーイヨイ) 道の小草も アノなびかせた

 (ヤートコセーノ ヨーイヨナ アレワイサ コレワイサーノ ヨーイートナー)

☆殿御とられて泣くやたバカじゃ 甲斐性あるなら 取り返せ

☆嫁をとるなら竹田津女 婿をとるなら 島男

 

池普請唄(国見町伊美)

☆さあさどなたもやろではないか(アーヨイヨイ) やーれそじゃそじゃやろではないか

 (ソリャヤートコセ ヨーイトナ ハレワイセ コレワイセ ササナンデモセ

 ヨイショヨイショ ヨイショヨイショ)

☆一つしゅんめい 矢口の渡し 二つ船屋の頓兵衛どんは

☆三つみのせの六郎殿よ 四つ吉宗うてなを連れて

 

池普請唄「土手搗き唄」(姫島村松原)

☆船の船頭と娘のよいは 人が見たがる アリャ乗りたがる(ハーヨーイサッサ ヨイサノサ)

☆連れて行かんせ伊予中島に 伊予はみすぎの よいところ

 

地搗き唄(国見町小熊毛)

☆あーら嬉しや(ヨイヨイ) 調子が揃うた(ヨイヨイ) 揃うたところで何言いましょか

 (ソラヨートコセー ヨーイヨナ アレワイサ コレワイサデ ヨーイトナ)

☆ここにいうのは(ヨイヨイ) 源氏平家の御戦いに(ヨイヨイ) 平家方なる沖なる船の

 (ソラヨートコセー ヨーイヤナ アレワイサ コレワイサデ ヨーイトナ)

 そこ搗け(ヨッショ) そこ搗け(ヨッショ) そこ搗けそこ搗け

 ドッコイソージャナ 地搗きができる

 

地搗き唄(武蔵町)

☆伊勢はナ 津でもつ(ハーヨイヨイ) 津は伊勢でもつ(ハーヨイヨイ)

 尾張名古屋はヤンレ 城でもつ (ソリャソリャ ヤートコセー ヨーイヤナ

 アレワイセ コレワイセ ササナンデモセ ソラソラ ヨイヤサ ヨイヤサ ヨイヤサ)

 

地固め音頭(国東町見地)

☆祝いナー めでたや(ヨイヨイ) 若松様よ(ハヨーイヨイ)

 枝もナー 栄ゆりゃヤンレ 葉 葉もしげる

 (ソリャヨイトコセー ヨーイヨナ ハレワイセ コレワイセ ソリャヨイトコセー)

☆うちに 来るなら 裏からおいで 前は 車戸 お 音がする

☆裏の 小池の 鴨こそ憎い 鴨が 立たねば ひ 人知らぬ

 

地固め音頭(国東町下成仏)

☆祝いナー めでたや(ヨイヨイ) 若松様が(ハヨーイヨイ)

 枝もナー 栄ゆりゃ ヤレサナ アリャ葉も茂る

 (ソリャヨイトコセー ヨーイヨナ ハレワイセ コレワイセ ソリャヨイトコセー)

☆みんな どなたも 唄おうじゃないか 唄で ご器量が 下がりゃせぬ