臼すり唄(杵築市三川)

☆臼をすり来たすらせちゃおくれ(サノヨイ)

 私ゃやり木の番にゃ来ぬ(アーヨイトコリャサッサノ ヨイヤサノサイ)

☆色は竹田で情けは杵築 情けないのは日出府内

☆千里奥山あの水車 誰を待つやらくるくると

☆臼にゃ好かねど臼元様の 入れる手じなにわしゃ惚れた

☆惚れてみなされ器量こそ悪い 心吉野の最上一

☆今宵別嬪さんの臼する姿 枕屏風の絵にゃ欲しゅい

☆男ぶりよりゃ器量よりゃ心 心よいのに誰も好く

☆お月様のよな気のまん丸い 心冴えたる様欲しゅい

☆臼はすれすれ挽かねばならぬ 挽かでまうのは水車

 ※挽かでまうのは=挽かずに回るのは

メモ:隣近所の若者が集まって夜なべ仕事をするときなどに唄ったとのこと。同種の唄は東国東地方で広く唄われたようで、杵築市では池普請の作業のときにも唄われたらしい。

 

臼すり唄(大田村波多方)

☆来いよ来いよと待つ夜にゃ来んでヨ(ヨーイヨイ)

 待たぬ夜に来て門に立つ(ヨーイサーノ ヨヤサーノサ)

☆臼をすらしょどち袖引く手引く しまやご苦労と戸を立つる

☆風も吹かんのに豆ん木が動く どこかテレやんが来ちょるじゃろ

 

臼すり唄(大田村田原)

☆臼を摺りきて 摺らんよな奴はヨ(ハヨイヨイ)

 いんでくたわけ朝のため(サノナー ヨイトナサノサ)

☆臼を摺りきて 摺らせておくれ わしは山越え来たわしじゃ

 

臼すり唄(大田村田原)

☆臼を摺りにきた 摺らせておくれヨ(ヨイヨイ)

 臼がマ 重いかと言うてござれ(アーとんとこ富山の入れ薬)

☆臼はひょんなもの つまんで入れてヨ(ヨイヨイ)

 入れてマ まわせば粉がでける(アーうんとしてはらまにゃしょうけぼぼ)

☆様に別れて松原行けばヨ(ヨイヨイ)

 松のマ 露やらしずくやら(サノサー ドッコイショ)

 

ものすり唄(山香町広瀬)

☆臼をすり来たすたせておくれヨ(ヨーイヨイ)

 様の口説を聞きにゃ来ぬ(ヨーイヨーイ ヨイヤサノサ)

☆唄を唄いなれどなたも様も 唄でご器量が下がりゃせぬ

☆姿かたちは自慢にゃならぬ 味が自慢の吊るし柿

☆あんた嫌うてもまた好く人が なけりゃ私の身が持たぬ

☆わしの来るのは鶯のように 野越え山越え川渡り

☆唄の切れ間と殿御さんの留守は 寂しゅござんす唄いなれ

☆臼がまいます下臼までも 唄にあわせてよう回る

 

ものすり唄(日出町豊岡)

☆臼をすり来たすらせておくれヨ(ハヨーイヨーイ)

 小言こまごと聞きにゃ来ぬ(アラ ソーダワ ソージャロヨー)

☆様よ来てみて疑いあれば 一人丸寝の袖枕

☆思い返して来る気はないか 鳥も枯木に二度とまる

 

粉挽唄(日出町豊岡)

☆連れて行くなら一夜も早く(ハヨーイヨーイ)

 心変わりのせぬうちに(アラサー ヤレヨイヨイ)

☆連れて行くから髪をときなおせ 島田くずして丸まげに

☆連れて行ったとて難儀はみせぬ 着せて食わせて抱いて寝る

☆抱いて寝もせにゃ暇もくれぬ つなぎ船とはわしがこと

☆ついておいでよこの提灯に けっして苦労はさせはせぬ

 

桑摘み唄(山香町)

☆昼はとんとん床替えばかり 晩は桑摘み眠たかろ

☆蚕飼い上げまぶしにゃ入れて 様とおおぼの湯に行こや

☆花はいろいろ五色に咲けど 主に見返す花はない

☆花になりたやジュクロの花に 花は千咲く実は一つ

メモ:オヤマカチャンリン節と酷似した節である。山香町は昔、養蚕がかなり盛んだった。養蚕の仕事は5月から9月頃で、ちょうど稲作の農繁期と重なるため、養蚕をしている過程はこの時季目の回るような忙しさだったようで、夜なべ仕事も多かったとのこと。きっと、眠気覚ましや調子付けにこの唄を唄ったのだろう。

 

池普請唄「けんなん節」(杵築市)

☆誰もどなたも精出しなされ アラヨイヨイ 

 唄でやらんせアノやりましょな アヨイヨイヨーイヤナ

 アレワイセーノコレワイセーノナンデモセー

☆腰の痛さにこの土手長い 四月五月の日の長さ

☆腰の痛うても精出しなされ 精を出しゃこそ土ゃしまる

☆紺の前掛け松葉の散らし 待つに来んとは腹が立つ

☆来るか来るかと待つ夜にゃ来んで 待たぬ夜に来る憎らしや

メモ:池普請の作業唄で、伊勢音頭の転用。節回しには何の関連性も感じられないが、宇佐地方では「けんちゃん節」という池普請唄が唄われていた。或いは、同じ池普請唄ということで杵築あたりでも「けんちゃん節」と呼んだものが、「けんなん」に転訛したのかもしれない。

 

池普請唄「けんなん節」(大田村田原)

☆祝いめでたや若松さまよ(アーヨーイヨイ) 枝も栄ゆりゃ葉もしげる

 (アーヨーイヨーイヨーイトナ アレワイセ コレワイセーノナンデモセー)

☆国を申さば常陸の国に 小栗判官兼氏さまは

☆元は大名で家高けれど 今は世におうて哀れな暮らし

☆絵図を書いての渡世をなさる 一の家来に後藤左衛門よ

 

池普請唄「千本搗き音頭」(山香町内河野)

☆国はどこよと尋ねて訊けば(アーヨーイヨーイ) 国は奥州の

 (ヨーイヨーイヤナー ハリャリャ) ホイ(コリャリャ ヨーイサノセー)

☆国は奥州白石郡 坂田村にて

 

池普請唄「千本搗き音頭」(山田町山浦)

☆ヤ揃うたら棒とりなされ(アヨーイヨーイ) アラ揃うたらヨ

 (ヨーイヨーイヨナー アリャリャ) ホイ(コリャリャ) ソコ(ヨーイサノセー)

☆揃うたら出かけましょうか 揃うたら

 

池普請唄「棒打ち音頭」(山香町山浦)

☆揃うたら出ましょか ヨンヤサー(ヨンヤサッサー ヨーンヤサー)

☆ぼつぼつじわじわ

 

田植唄(山香町)

☆腰の痛さよこの田の長さ 四月五月の日の長さ 日の長さ

☆田植え小話ゃ田主の嫌い 唄うて植えましょ科よくに 科よくに

メモ:この手の唄はみんなで声をそろえて唄ったのではなく、作業が辛くなってきた頃に、その場にいた喉自慢・声自慢の人が気晴らしに唄ったものと思われる。隣近所の人が助け合って、全て手作業で田植えをしていた時代ならではの唄で、機械化が進むにつれてこの種の唄は全く廃絶してしまった。

 

田植唄(山香町立石)

☆わしがしばらく唄うてみろか(ヤレショー ヤレショー)

 イヤそうじゃな 唄うてみろか(ヨーイサー ヨイヨナー)

☆わしが口説は石橋土橋 飛んではまた先の石

 

田の草取り唄(大田村田原)

☆山は焼けても山鳥ゃ立たぬ コリャサノサ なんの立とうか子を捨てて

☆恋が九つ情けが七つ 合わせ十六わしの年

☆鳴くな鶏 まだ夜は明けぬ 明けりゃお寺の鐘が鳴る

 

田の草取り唄(山香町山浦)

☆唄いますぞえはばかりながら 当たり障りはソーラ さらごめん

☆切れた切れたよ音頭の綱が 腐れ縄かよまた切れた

メモ:切れた切れた…の文句は、適当な文句が思いつかなくなったときにその場しのぎで場をつなぐためのもの。私はもう文句が思い浮かばないので、誰か続きを唄ってくださいという気持ちが込められている。田の草取りは、手作業で行っていた時代はかなりきつい仕事だったようだ。

 

草切り唄(山香町山浦)

☆千夜通うたら一夜はなびけ 一夜情けは誰もある

 寄れ寄れ 右寄れ 左はホキじゃよ 危ないとこじゃよ

 ※ホキ=崖、または断崖を通した難所

メモ:草切り唄とあるが、草を切りながら唄ったのではない。飼料などに使う草を山に切りに行くとき道中で、またその帰り道に唄ったようだ。「寄れ寄れ右寄れ…」は、連れて行った牛への言葉。

 

木挽き唄(山香町山浦)

☆ヤーレ 三十三枚の大歯の鋸で アリャ挽くもお上の御用の板 ショロッキンショロッキン

☆木挽きぐらいが色しょた何か 似合うた松の木にゃ横止まり

☆木挽きゅ見ろどちゃ藪で目を突いた 木挽きゃ見まいもの身の毒よ

☆唄は節々ところでかわる 竹の節でさえ夜でかわる

 

駄賃取り唄(日出町豊岡)

☆馬よ励めよ ホイホイホイヨ この坂道を ホイホイ

 登りついたら 上は見渡すまんでえら ホイホイホラ

☆馬よそれ見よ はや海ゃ見えた 下がりついたら つぼ外す