新民謡「杵築民謡」(杵築市)

☆心細々細いの糸で 織り成す畳は青畳

 虫も託つか侘しい夜長 乙女心を織り込める

☆七島割き割き ただ割き悩む 心一つのやるせなさ

 ささだ男かささ紅仕様か 日和任せの青莚

☆込めた思いの七島積んで 船は出ますよアレ上げ潮に

 関の煙突 煙は沖へ 明日の日和が気にかかる

☆君のお宿は谷やら尾やら ほんに杵築は坂ばかり

 坂を上って上って下りて 赤いトンボに日が暮れる

メモ:主に芸妓等が宴席で唄ったものと思われる。

 

新民謡「杵築音頭」(杵築市)

☆豊の海から朝陽がさせば ほんに城山艶姿 招く桜にちょいと誘われて

 磯の千鳥も逢いに来る ソレ ヨイサ杵築はヨイヤサノサッサ

☆私ゃ東よあなたは北か ほんに弥栄(八坂)縁結び

 嬉し逢瀬は錦江橋で 月も微笑む水鏡

☆肌も色よいあの青莚 ほんに織る娘の品の良さ

 筬の響きは日に夜を継いで 栄え伸び行く大杵築

☆城下町なら昔の意気を ほんに見せましょ夏祭り

 奴姿に段尻囃子 街は沸き立つ威勢良さ

☆並みの鼓にかもめは唄い ほんに涼しい奈多の浜

 誰を待つやら松原辺り 咲いて愛しや月見草

☆名さえ若宮牛馬の市は ほんに天下の自慢物

 可愛い子馬のいななく度に 市ははずむよ人の波

メモ:杵築町、北杵築村、八坂村、奈狩江村が合併し杵築市となった記念に作られたもので、昭和30年頃のもの。供養踊りのときには「三つ拍子」「セーロ」などの昔からの踊りばかりで杵築音頭は普通踊られず、もっぱら市をあげての懸賞踊り(盆踊り大会)のときや、運動会などのイベントで踊られてきた。しかし懸賞踊りがなくなって久しく、運動会でも踊られなくなった。今では杵築お城祭りのときや梶ヶ浜の盆踊り大会のときくらいしか聴く機会も踊る機会がなく、踊れない人が増えていると思われる。この踊りは新民謡にしては踊り方がかなり難しい方で、なかなか優雅な所作ではあるがややハードルが高いようだ。

 

新民謡「杵築小唄」(杵築市)

☆杵築ナー 杵築よいとこ城下の町よ ヨイヤナー 人は優しく 海を抱いて

 海を抱いて山の幸 ソレ ヨイト杵築は ヨイト杵築はヨヨイトナー

☆いとし いとし思いを七島にこめて 織れば莚も

 ほんに青々 ほんに青々 艶を増す

☆夏は 夏は天神祭りの囃子 鉦と太鼓に

 熱い情けが 熱い情けがたぎり立つ

☆奈多の 奈多の浜なら白砂千里 誰を待つ風

 暑さ忘れの 暑さ忘れの波枕

☆黄金 黄金みかんに輝き渡る 朝陽うれしや

 沖にゃ大漁の 沖にゃ大漁の旗が立つ

☆あなた あなた北台わしゃ南台 恋の冨坂

 仲を取り持つ 仲を取り持つ谷町よ

メモ:これも杵築音頭と同時期に作られたと思われる。昔は市の懸賞踊りのときに踊っていたが、今は全く踊っていない。もはやこの唄を聴く機会もなく、すっかり忘れられている。

 

新民謡「杵築小唄」(杵築市)

☆磯は賑わう大鯛小鯛 光る鱗に夜が白む

 宵の涼みの錦江橋で 袂吹かれる対ゆかた

☆日がな明け暮れとんとんからり 豊後表を織る音が

 勇む小馬の手綱を曳いて 今日は馬市 町に出る

☆月は朧の城山桜 殿は譜代の松平

 下る冨坂あの草坪の 門の辺りの金魚売

☆築地続きの寺町行けば お信隠しの霧が降る

 両子山から来る小夜時雨 窓の灯りは東川居

 

新民謡「山香小唄」(山香町)

☆ゆかし山の香ほのぼの匂う 町は曙文化の香り

 萌えてめぐんでトロリコシャンと 日毎栄える ソレ理想郷

 山香よい町 平和な町よ ソレサヨイヨイ意気の町

☆山は紫おぼろに明けりゃ かすむ若宮八幡の杜に 花が咲くぞえ

 吉野桜の薄化粧 山香よい町 希望の町よ 若い町

☆峰はしぐれる峠は眠る 夢の虹橋よるべの池に 小松女院の

 歌が聞こえる恋の歌 山香よい町 情けの町よ 夢の町

☆招く城山みどりに映えて めぐる清流立石川に 影を浮かべて

 天神様の夕涼み 山香よい町 歴史の町よ 古い町

☆桧林の朝靄晴れて 森の静かな長田の里に 仁聞様の

 恵み果てない石の風呂 山香よい町 豊かな町よ 伸びる町

☆揺れる水面に月影淡く そぞろ歩きの日指のあたり 心はずむよ

 かわいあの娘に送られて 山香よい町 住みよい町よ 広い町

メモ:歌詞だけを見ると長調の、はずんだ曲調が思い浮かぶと思うが、実際は短調の、座敷唄としても使えそうなしっとりとした節回しで、一頃は人気を呼び山香町内で盛んに踊られていた。若宮商店街で流れていたほか、幼稚園や小学校の運動会でもよく踊ったものだが、平成15年頃より下火となり現在全く踊られていない。多分、立石町・中山香町・上村が合併した記念に作られたのだろう。

 

新民謡「大田音頭」(大田村)

☆大田よいとこ文化の里よ 朝日差します五重の塔も

 切れて流れる宝陀の鐘に 国東塔は エー何憶う

☆大田よいとこ俣水と田原 仲を取り持つ苣ノ木峠

 通う恋路に薄や尾花 おいでおいでと目で招く

☆大田よいとこ朝霧狭霧 晴れりゃ見えますあの山裾に

 絣モンペに茜の襷 娘かわいや お茶摘に

☆大田よいとこ朝霧踏んで わしと行かぬか朝草切りに

 なでて育てた手塩の牛も 明日は売られてどこへ行く

☆大田よいとこ桂の川に 浴衣涼しい夕べの集い

 誰が吹くのかあの笛の音は 団扇片手の艶姿

☆大田よいとこ真ん丸月夜 櫓太鼓に撥の音冴えて

 あの娘かわいや薄紅さした はずむ踊りは本調子

☆大田よいとこ稔りの秋よ 今年ゃ豊年稲穂も踊る

 祭囃子に濁酒くんで かわす笑顔は日本晴れ

☆太田よいとこお山は雪よ よしておくれよ横岳おろし

 一人で炭焼くいとしの主を 私ゃ夕食の庭に立つ

☆大田よいとこ両子も紅葉 秋蚕しもうて麦蒔き終えて

 川の鳴瀬と鹿鳴く声に 山の煙に暮れていく

☆大田よいとこ手に手を取って 明日の幸せ築くため

 力合わせて皆村づくり やがて花咲く大田村

メモ:もしかしたら運動会のときなどに踊っているのかもしれないが、少なくとも一般の盆踊り(供養踊り)のときには全く踊られていない。

 

新民謡「日出小唄」(日出町)

☆日出はよいとこ日の出を受けて お城下まで船がつく

☆日出はよいとこ深江を抱いて 浮津枕に寝た姿

☆浮きつ浮かれつ姿を映す 映す鏡は日出の海

☆海を見渡しゃ心も浮津 ここは竜宮かお城下

☆沖に見惚れりゃ日は暮れかかる 遠く霞むは四極山

☆日出と別府は棹差しゃ届く 橋をかけよか恋の橋

☆豊後富士さんちょいと出て招く 日出が見たいか恋しいか

☆殿は木の下わしゃお城下 月を待つ夜は気にかかる

☆殿の留守でも鰈はおじゃる 昔恋しいお城下

☆日出の名物ぁ城下鰈 殿も家来も舌鼓

☆鰈かわいやお城の下に 寝てて殿待つ果報者

☆日出の城下一度はおいで 釣りに網あげ鰈がり

☆浮いた鰈船浮かれたお客 海は浮津の城の下

☆恋の重荷を二人で乗せて 軽く浮かべた鰈船

 

新民謡「日出小唄」(日出町)

☆日出はほのぼの日の出に映えて 沖に浜辺に舟唄が

 けむる高崎夢見る岬 一目千両の海の色 日出の名物城下かれい

 潮の香りが身にしみる ホイサッサホイサッサ ホイサッサホイサッサ

☆殿は木下三万石の 築地つづきの紅つばき 青葉涼しや万里の墓へ

 通う野路の白い路 日出の名所は蘇鉄の寺よ 月の高さを雁わたる