分類別の盆踊り唄集 その3

●●● マッカセ(その1) ●●●

 1節2句の節を集めた。概ね、1節3句の節から中句を省いたものと見て差し支えないと思われる。地域ごとにいろいろな節があるも、個人差もあるかと思われるので細分化は控えた。安心院周辺の伝承。

 

1-1-1 盆踊り唄「マッカセ」 宇佐市麻生(麻生) <77・75一口>

☆梅のエー 小枝をサ 折りかけおいた(ソレマッカセマカセ)

 後で咲くやらソーラ(アラドスコイドスコイ)

 ヤレ咲かぬやら(トハーリハリ ヤーノエーイエー)

 

1-1-2 盆踊り唄「マッカセ」 院内町斎藤(院内) <77・77段物>

☆国はどこよと 尋ねて訊けば(ソレマッカセドッコイセ) 阿波の鳴門の

 (アラドスコイドスコイ) 徳島町よ(トハリハリ ヤーノヨイショヨイショ)

 

1-1-3 盆踊り唄「マッカセ」 院内町原口(東院内) <77・75一口>

☆何をくよくよサ 川端柳(ソレマッカセマカセ) 水の流れを

 (ハドスコイドスコイ) ソリャ待つばかり(トハリハリ ヤーノエイエイ)

☆何を言おうにも かを語ろうも 声が幼うで語られぬ

 

1-1-4 盆踊り唄「マッカセ」 院内町上納持(南院内) <77・77段物>

☆マカセマカセをサ しばらくやろか(ソレマッカセドッコイセ)

 マカセ踊りよで(ヨイトヨイト)

 そりゃ品がよい(トハーリハリ ヤーノヨイトヨイト)

☆時に天照皇大神宮 天岩戸におこもりなさる

 

1-1-5 盆踊り唄「マッカセ」 安心院町大仏(龍王) <77・75一口>

☆安心院盆地の不思議な話(ソレマッカセドッコイセ) 語り伝えて

 (ドスコイドスコイドスコイ) ヤレ七不思議(ヤーレハリハリ ヤーノエイエイ)

☆乳を貰いに五十里百里 岩に刻んだ生不動

 

1-1-6 盆踊り唄「マッカセ」 安心院町中山(龍王) <47・75一口>

☆コリャサ 参ろよりサ 御許に参れ(マッカセドッコイセ)

 御許元宮(ヨイトコドッコイ) ソリャ元社(トハリハリ ヤーノエイエイ)

☆すれども 姿は見えぬ 様は深野の きりぎりす

 

1-1-7 盆踊り唄「マッカセ」 安心院町下市(安心院) <77・75一口>

☆乳を貰いにサ 五十里百里(ソレマッカセドッコイセ) 岩に刻んだ

 (ドスコイドスコイドスコイ) ヤレ生不動(トハリハリ ヤーノエイエイ)

 

1-1-8 盆踊り唄「マッカセ」 安心院町佐田(佐田) <77・75一口>

☆宇佐の百段 百とはいえど(ソリャマッカセドッコイショ) 百はござらぬソーリャ

 (ヨイショヨイショ) ナント九十九段(トハリハリ ヤーノエイエイ)

 

1-1-9 盆踊り唄「マッカセ」 山香町浦篠(山浦) <77・77段物>

☆それじゃしばらくマカセでやろな(ソラマッカセドッコイセ) マカセマカセの

 (ヨイショヨイショ) お囃子頼む(ソレー ヤットハリハリ ヤーノエイエイ)

☆囃子一番、口説が二番 囃子なければ 口説かれませぬ

 

1-1-10 盆踊り唄「マッカセ」 安心院町楢本(津房) <77・77段物>

☆那須与一という侍は(ソリャマッカセドッコイセ) 背は小兵に

 (ヨイショヨイショ) ござそうらえど(トハリハリ ヤーノエイエイ)

 

1-1-11 盆踊り唄「マッカセ」 安心院町尾立(津房) <77・77段物>

☆国は関東 名は下野よ(ソレマッカセドッコイショ) 那須与一と

 (ヨイショヨイショ) いう侍は(トハリハリ ヤーノヨイヨイ)

 

1-1-12 盆踊り唄「マカセ」 別府市天間(南端) <77・77段物>

☆扇めでたやサ 末広がりの(ソレマッカセドッコイセ) 真名の長者のソラ

 (ドウシタドウシタ) ヤレ由来をきけば(アヨイヨイ チョイナハリハリ)

☆夏は帷子 冬着は袷 一重二重や三重内山の

 

1-1-13 盆踊り唄「マッカセ」 宇佐郡 <77・75一口> ※『俚謡集』より

☆マカセヨー マカセをしばらくやろな(ソレマッカセマカセ)

 マカセマカセを ソーリャ しばらくやろな(ヤートハリハリ ヤーノエーエー)

☆恋し小川の鵜の鳥ゅ見やれ 鮎をくわえて ヤレ瀬をのぼる

 

1-1-14 盆踊り唄「マッカセ」 宇佐郡 <77・75一口> ※『俚謡集』より

○エー どなたも(ヨイヨイ) マッカセをやろな(ドッコイドッコイ)

 いやさやらねば ノヤー 夜が明ける(ヤートハリハリ ヤヤノエー)

☆今宵行くぞと(ヨイヨイ) 目で知らすれば(ドッコイドッコイ)

 竹にゃ接ぎ穂で ノヤー 木がつかぬ(ヤートハリハリ ヤヤノエー)

 

1-1-15 盆踊り唄「マッカセ」 湯布院町荒木(北由布) <77・75一口>

☆さらばしばらくマカセでやろな(ソラマッカセマカセ)

 マカセ踊りよい(ヨイショヨイショ)

 ヤレ品がよい(ヤットハリハリ ヤーノエイエイ)

☆八百屋お七と国分の煙草 色で我が身を焼き捨てる

 

1-1-16 盆踊り唄「マッカセ」 湯布院町塚原(北由布) <77・77段物>

☆わしもヨー かてなれ 場所くれなされ(ソレマッカセドッコイセ)

 わしの音頭でコーリャ(アードスコイドスコイ)

 合うかは知らぬ(トハーリハリ チョーノエーイエイ)

 

1-2-1 盆踊り唄「マッカセ」 九重町東飯田(東飯田) <77・77段物>

☆国は豊後よ玖珠郡田野に(ソレマーカセマカセ)

 長者ござった朝日の長者(ヤットハレハレ ソレジャナイショナイショ)

 

1-2-2 盆踊り唄「マッカセ」 玖珠町日出生(日出生) <77・75一口>

☆行たら見てこいサ 名古屋の城は(ソレマッカセドッコイセ)

 金の 鯱(ドシタドシタ) ヨイト雨ざらし(トハリハリ ヤーノナイショナイショ)

 

1-3-1 盆踊り唄「マッカセ」 耶馬溪町深耶馬(柿山) <77・75一口>

☆待つがよいかよ別れがよいか(マッカセマカセ)

 嫌な別れよソーリャ(ヨイヨイ) ヨンデ待つがよい(ハレハレ ヤットエー)

 

 

 

●●● マッカセ(その2) ●●●

 1節3句の節を集めた。地域ごとにいろいろな節があるも、グループ分けをする明確な線引きに迷ったので全体を同一グループとして、番号で区分するにとどめる。1節2句の節と1節3句の節を取り混ぜて唄う例や、または2句目の後半を返す部類もここに加えた。宇佐から国東半島北浦辺、耶馬溪、玖珠、日田に及ぶ大流行であった。

 

2-1-1 盆踊り唄「マッカセ」 山香町向野(向野) <77・75一口>

☆今宵さよい晩 嵐も吹かで(ドッコイドッコイショ)

 梅の小枝も(ヨイショヨイショ) 小枝も梅の(ドッコイドッコイショ)

 梅の小枝も ノエー身を焦がす(ヤットハリハリ ヤーノエイエイ)

○梅の小枝も 折りかけおいた(ドッコイドッコイショ)

 後で咲くやら ノエー咲かぬやら(ヤットハリハリ ヤーノエイエイ)

 

2-1-2 盆踊り唄「マッカセ」 宇佐市北馬城(北馬城) <77・77・77段物>

☆揃うたエー 揃うたよ踊りの姿(ソリャマッカセマカセ)

 口説くコラ 盆唄(ヨイショヨイショ) しなよく踊れ(ドッコイドッコイナ)

 しなのよいのは母親ゆずり(ヤットハーリハリ ヤーノエ)

☆咲いた 咲いたよ踊りの花が いずれ劣らぬ 花から花よ 蝶になったそりゃよかろうに

 

2-1-3 盆踊り唄「マッカセ」 宇佐市南宇佐(宇佐) <77・77・77段物>

☆女房エー 持ちにて二人の子供(ソリャマッカセマカセ)

 二人子供は(ヨイショヨイショ) 伊達には持たぬ(ドッコイドッコイナ)

 二人子供のあるその中に(ヤットハーリハリ ヤーノエイ)

 

2-2-1 盆踊り唄「マッカセ」 宇佐市長洲(長洲) <77・77・77段物>

☆わしが出しますヤブから笹を(ソレマッカセドッコイショ)

 つけておくれよ(コラショイ) ナント短冊を(ヤホーイコリャ)

 それじゃこれから文句にかかる(ソレー ヤートハーリサテ ヤートホイ)

 

2-3-1 盆踊り唄「マッカセ」 宇佐市法鏡寺(駅館) <77・77・77段物>

☆しばしヨー 間は マカセでせろな(ソリャマッカセドッコイセ)

 しばしサ 間は(アラヨイショヨイショ) マカセでせろな(ヨイヨイ)

 マカセマカセのサ お囃子頼む(トハーリハリ ヤーノヨイショヨイショ)

 

1-3-2 盆踊り唄「マッカセ」 宇佐市四日市(四日市) <77・77・77段物>

☆花のサーマエー お江戸のそのかたわらに(ソリャマッカセマカセ)

 春はコリャ 花咲く(ヨイショヨイショ) 青山辺の(ドスコイドスコイドスコイ)

 鈴木主水という侍は(トハーリハリ ヤーノヨイショヨイショ)

 

2-4-1 盆踊り唄「マッカセ」 宇佐市四日市(四日市) <77・77・77段物>

☆エー お江戸のそのかたわらに(ソリャマッカセマカセ)

 花のお江戸の(ヨイショヨイショ) そのかたわらに(ドスコイドスコイドスコイ)

 花のお江戸のそのかたわらに(エー ヤートハーリハリ ヤーノエー)

 

2-4-2 盆踊り唄「マッカセ」 宇佐市横山(横山) <77・77・77段物>

☆しばしエー 間はマカセでせろな(ソラマッカセマカセ)

 しばし間は(オイオイ) マカセでせろな(ドスコイドスコイドスコイ)

 マカセマカセのコラエー お囃子頼む(ヤートハーリハリ ヤーノエー)

☆哀れなるかや石堂丸は 父を尋ねて高野へ上がる 母は麓の玉屋が茶屋に

 

2-4-3 盆踊り唄「マッカセ」 宇佐市天津(天津) <77・77・77段物>

☆国はエー 関東下野の国(ソリャマッカセドッコイショ)

 那須与一と(ヨイショヨイショ) いう侍は(ドッコイドッコイドッコイ)

 なりは小兵にござ候えど(トハーリハリ ヤーノヨイショヨイショ)

 

2-4-4 盆踊り唄「マッカセ」 中津市伊藤田(三保) <77・77・77段物>

☆マカセマカセをコラ しばらくやろな(ソレマッカセマカセ)

 わしが音頭よ(アヨイショヨイショ) 囃子でしまる(ドッコイドッコイドッコイ)

 誰もどなたもお囃子しゃんと(ヤートハレハレ イシヤノエー)

☆鈴木主水と 出かけてみましょ 花のお江戸の そのかたわらに

 聞くも珍し心中話

 

2-4-5 盆踊り唄「マッカセ」 三光村下深水(深秣) <77・77・77段物>

☆ここに哀れな心中話(ソレマッカセマカセ)

 所ヤッコラどこよと(イヤホイ) 尋ねてきけば(ドッコイドッコイドッコイ)

 所四谷の新宿町よ(ヤートハリハリ ヤーノエー)

 

2-4-6 盆踊り唄「マッカセ」 三光村森山(山口) <77・75一口>

☆マカセ踊りを習いたきゃござれ(ソレマッカセマカセ)

 マカセ踊りをノヤ(ハインヤホイ) 習いたきゃおいで マカセ踊りを

 (ドスコイドスコイドスコイ) 習いたきゃ教えよ(ヤートハレハレ ヤーノエイ)

☆盆の十六日踊らぬ者は 猫かネズミか ナントもぐらもち

 猫がネズミか ナントもぐらもち

 

2-5-1 盆踊り唄「マッカセ」 宇佐市長峰(長峰) <77・77・77段物>

☆エー花のお江戸のそのかたわらに(ソリャマッカセマカセ)

 春は花咲く(ヨイショヨイショ) 青山へんの(ドスコイドスコイドスコイ)

 鈴木主水という侍はナー(トハーリハリ ヤーノエー)

☆女房持ちにて二人の子供 二人子供の あるその中に

 日にち毎日女郎買いばかり

 

2-6-1 盆踊り唄「マッカセ」 湯布院町並柳(北由布) <77・77・77段物>

☆こぶるエー 稗餅ゃ ばらばらあゆる(ソレマッカセドッコイセ)

 あゆる稗餅ゃ(アーヤンシキドッコイ) いやりが運ぶ(ドスコイドスコイ)

 いやりそこのけ踏み殺さるる(トハーリハリ チョーノエーイエイ)

★声がエー 出ませぬ 蚊の鳴くほどに(ソレマッカセドッコイセ)

 誰かどなたか(アーヤンシキドッコイ) 声継ぎ頼む(ドスコイドスコイ)

☆先の 太夫さん 長々ご苦労 わしもここから 声継ぎしましょ

 あらさそらそら声継ぎしましょ

☆花の お江戸の そのかたわらに 聞くも珍し 心中話

 ところ四谷の新宿町の

○紺の暖簾に(アーヤンシキドッコイ) 桔梗のご紋(ドスコイドスコイ)

 音に聞こえし橋本屋とて(トハーリハリ チョーノエーイエイ)

○あまた女郎衆の あるその中に 御職女郎の白糸こそは

 

2-6-2 盆踊り唄「マッカセ」 湯布院町鮎川・津々良(南由布) <77・77・77段物>

☆マカセ踊りをしばらくやろな(ソレマッカセマカセ)

 マカセマカセで(ドスコイドスコイ) しなよくやろな(ソレドッコイドッコイセ)

 さらばそじゃそじゃ その調子にて(ヤートハーリハリ チョーノエーイエイ)

☆わしがみたよな田舎の矮鶏が 音頭とるとは 枯れ木に花よ

 枯れ木花なら 咲いたときゃ見事

 

2-7-1 盆踊り唄「マッカセ」 玖珠町塚脇(玖珠) <77・77段物>

☆合えばサー それよし合わないときは(ソレマッカセドッコイセ)

 そこらここらの(ヤレコノドスコイ) 姉さん方の

 そこらここらの姉さん方の(トハーレハレ ダレガナイショナイショ)

 

2-7-2 盆踊り唄「マッカセ」 玖珠町長野(玖珠) <77・77段物>

☆ここのサー 亭主のおうちでござる(ソレマッカセドッコイセ)

 聞けばお宅は(ハーヤレコノドスコイ) 初盆そうな

 聞けばお宅は 初盆そうな(トハーレハレ ダレガナイショナイショ)

○供養のサー 踊りを二舞い三舞い(ソレマッカセドッコイセ)

 しばし間の(ハーヤレコノドスコイ) 庭貸しなされ

 コラサー しばし間の 庭貸しなされ(トハレハレ ダレガナイショナイショ)

☆すぐの 承知でありがとうござる 庭を借りたる そのうえからは

 庭を借りたる そのうえからは

☆老いも 若きも踊りを頼む 年に一度の 供養の踊り

 年に一度の 供養の踊り

 

2-7-3 盆踊り唄「マッカセ」 玖珠町森(森) <77・75一口>

☆こぼれヨー 松葉はあやかりものよ(ソレマッカセドッコイセ)

 枯れて落ちても(ハーヨイショヨイショ) ホンニ二人連れ

 コラサ 枯れて落ちても ホンニ二人連れ

 (トハーレハレ ダレジャナイショナイショ)

 

2-7-4 盆踊り唄「マッカセ」 玖珠町中塚(八幡) <77・77段物>

☆わしがヨー 出しましょヤブから笹を(ソレマッカセマカセ)

 わしが口説で(ヨイショヨイショ) 合うかは知らぬ

 コラサ 合うかは知らぬ(トハーレハレ ソレガナイショナイショ)

○合えばヨー それよし合わないときは(ソレマッカセドッコイセ)

 そこらここらの(ヨイショヨイショ) 姉さん方の

 コラサ そこらここらの姉さん方の(トハレハレ ソレガナイショナイショ)

 

2-7-5 盆踊り唄「マッカセ」 玖珠町戸畑(北山田) <77・77・77段物>

☆国は関東 栃木の国に(マッカセマカセ)

 那須与一と(ヨイショヨイショ) 御侍は

 背は小兵でござ候えど(トハレハレ タレジャナイショナイショ)

 

2-7-6 盆踊り唄「マッカセ」 玖珠町四日市(北山田) <77・77段物>

☆井戸の中よりお菊が姿(ソレマッカセマカセ)

 そこでお菊が(ヨイショヨイショ) 申せしことにゃ

 コラサーコラサ 申せしことにゃ(トハリハリ タリジャナイショナイショ)

☆もうしこれいな鉄山様よ 世にも大事な宝の皿を 宝の皿を

 

2-7-7 盆踊り唄「マッカセ」 玖珠町浦河内(北山田) <77・77段物>

☆井戸の中よりお菊の姿(ソレマッカセマカセ)

 そこでお菊が(ヨイショヨイショ) 申せしことにゃ

 コリャサーコリャサ 申せしことにゃ(トハレハレ ダレジャナイショナイショ)

 

2-7-8 盆踊り唄「マッカセ」 九重町飯田東部(飯田) <77・77・77段物>

☆みんなサー どなたもマカセをやろな(マッカセマカセ)

 次に語るは(ヤレコノドスコイ) 朝日の長者 コリャサ

 次に語るは朝日の長者(トハレハレ ソレハナイショナイショ)

 

2-7-9 盆踊り唄「マッカセ」 九重町野上(野上) <77・77・77段物>

☆コリャサ どなたもしばしの間(マッカセドッコイセ)

 しばし間は(ヤレコノドスコイ) この手に限る コラサー

 この手に限る(ヤットハレハレ タレガドシタドシタ)

☆この手じゃマッカセがよかろ マカセ踊りは 気の浮く踊り 気の浮く踊り

 

2-7-10 盆踊り唄「マッカセ」 九重町後野上(野上) <77・77・77段物>

☆国はサー お江戸の コラそのかたわらに(マッカセドッコイセ)

 さてもめずらし(ヤレコノドスコイ) 心中話 コラサー

 ところ四谷のコラ 新宿町で(ヤットハレハレ タレガドシタドシタ)

 

2-7-11 盆踊り唄「マッカセ」 九重町町田(南山田) <77・77・77段物>

☆ここにエー 語るはコラ 九重町の(マッカセヨイヤセ)

 なぐら村にて(ヤレコノドスコイ) 千町無田の コラサ

 朝日長者のその物語(ヤートハリハリ タレジャナイショナイショ)

☆国は都でその名も高い 神宮皇后その人こそは 時は仲哀御代なる時に

 

2-7-12 盆踊り唄「マッカセ」 日田市羽田(東有田) <77・77段物>

☆国をナー 退き夫婦の願い(マッカセマカセ)

 神や仏に(ヨイショヨイショ) 心願かけて(コラマーヨイショ)

 心願かけて(トハレハレ ソレガナイショナイショ)

☆授け たまえやあの国次の 刀商売 研屋の店は 研屋の店は

 

2-7-13 盆踊り唄「マッカセ」 天瀬町高塚(馬原) <77・77段物>

☆国をヨー 立ち退き 夫婦の願い(アーマッカセマッカセ)

 神や仏に(ヨイショヨイショ) 心願かけて コラサノ

 神や仏に心願かけて(ヤットハレハレ タレジャナイショナイショ)

☆授けヨー 給えや あの国次の(アーマッカセマッカセマッカセ)

 刀商売(ヨイショヨイショ) 研屋の店も コラサノ

 心静めて目配せなさる(ヤットハレハレ タレジャナイショナイショ)

 

2-8-1 盆踊り唄「マッカセ」 本耶馬溪町樋田(東城井) <77・75一口>

☆わしが出します薮から笹を(マッカセマカセ)

 つけてコリャ おくれよ(アヨイショヨイショ) ヨイショ短冊を

 つけておくれよ(ヨンデ短冊を)

☆西へ西へとお月も星も さぞや東はさみしかろ さぞや東は(さみしかろ)

☆お月ゃ山端に操の鏡 私ゃ柄杓の水かがみ 私ゃ柄杓の(水かがみ)

 

2-8-2 盆踊り唄「マッカセ」 本耶馬溪町西谷(西谷) <77・75一口>

☆わしがナー 出しますコラサー 薮から笹を(アマッカセドッコイショ)

 つけてコリャコリャ おくれよ(アヨーイソラ) ナント短冊を

 つけておくれよ エーサ短冊を

☆西へ西へとお月も星も さぞや東はさみしかろ さぞや東はさみしかろ

 

2-9-1 盆踊り唄「マッカセ」 耶馬溪町平田(城井) <77・75一口>

☆マカセ踊りを習いたきゃござれ(マッカセマカセ)

 わしがコリャ世話して(ヨイヨイ) ソラ教えましょ

 わしが世話して(ヨンデ教えましょ ヤットハレハレ ナントドッコイドッコイ)

 

2-9-2 盆踊り唄「マッカセ」 耶馬溪町津民(津民) <77・75一口>

☆今宵やよい晩 嵐も吹かで(ソラマッカセマカセ)

 梅のコラ小枝も(ヨイヨイ) ソラ折りよかろ

 梅の小枝も(ヨンデ折りよかろ ヤットハレハレ ダレジャナイショナイショ)

 

2-10-1 盆踊り唄「マッカセ」 山国町守実(三郷) <77・75一口>

☆マカセ踊りにわしゅかてなされ(マッカセマカセ) わしもこの頃(ヨイヨイ)

 ヤンサ習うてきた 習うてきた(ヤットハレハレ ナントドッコイドッコイ)

 

2-11-1 盆踊り唄「マッカセ」 豊後高田市草地(草地) <77・77段物>

☆ありゃさ踊りはマッカセと変わる(ソリャマッカセマカセ) 東ゃ白んでも

 (ヨイヨイ) まだ夜は明けぬ(ドッコイドッコイショ) ヨーイナコラ

 まだ夜は明けぬ(ソラ ヤヤト ハーリハリ ヤヤノ ホーイソラ)

★肥後のエー 阿蘇山 南郷の手永(アラマッカセマカセ) 村を申さば

 (ヨイヨイ) 松山村よ(ドッコイドッコイショ) ここに千石

 庄屋がござる(ソラ ヤヤト ハーリハリ ヤヤノ ホーイソラ)

☆角の伊勢屋という町人は 肝が太うて大事を好む 大事を好む

 

2-11-2 盆踊り唄「マッカセ」 国見町櫛海(竹田津) <77・77段物>

☆ヤレーそうじゃなマカセにゃ変えた(ソリャマッカセマカセ)

 しばし間は(コラショイ) しゃんきりしゃんと(ヤ オイオイ)

 アヨーイサコリャ 踊りておくれ(ソリャ ヤートハリハリ ヤヤノホイホイ)

☆ヤレー嬉しや踊り子も揃うた

 稲の出穂よりゃ まだよく揃うた まだよく揃うた

 

2-11-3 盆踊り唄「マッカセ」 国見町伊美(伊美) <77・77・77段物>

☆金魚銀魚の鯉鮒生かす(ソラマッカセマカセ)

 まずは朝日の(コラセ) 御宝物は(インヤオイ インヤオイ)

 金の唐猫 まず一つがい(ソレヤートハリ ヤヤノオイ)

 

2-11-4 盆踊り唄「マッカセ」 国見町東中(伊美) <77・77段物>

☆金魚銀魚の鯉鮒生かす(ソーリャマッカセマカセ)

 まずは朝日の(コラショイ) 御宝物は(イヤホーイホイ)

 アヨーイサコリャ 御宝物は(ソリャ ヤットハーリハリ ヤヤノホーイホイ)

 

2-12-5 盆踊り唄「精霊送り」 蒲江町屋形島(蒲江) <77・77・77段物>

☆国は奥州仙台のこと(ソレマッカセマカセ) 牡丹長者の(コラショイ)

 由来をきけば(ヤホーイコリャ) 四方四面に蔵建て並べ

 (ソレエー ヤートハリサテ ヤートホイ)

 

 

 

●●● マッカセ(その3) ●●●

 中句前の囃子から始まって後ばやし「ヤットハレハレ…」云々を省き、短い節を繰り返していくものをあつめた。五馬方面のみの伝承で、局地的な流行のようだ。

 

3-1-1 盆踊り唄「三つ拍子」 天瀬町中釣(五馬) <77段物>

☆(ソレマーカセ ヨイヤセ) 国は播州(ヨイショヨイショ)

 姫路の御城下 コリャサ 姫路の御城下

☆昼の賑わい 草野もしゅげる 草野もしゅげる

☆夜はなおまた 城下の煙 城下の煙

 

 

 

●●● マッカセ(その4) ●●●

 1節3句の節から上句を省いたものを集めた。高田周辺の局地的な流行である。

 

4-1-1 盆踊り唄「マッカセ」 豊後高田市小田原(河内) <77・77段物>

☆踊るみなさん(ヨイヨイ) 厭いたよにゃござる(ドッコイドッコイショ)

 しなを変えましょこの次の句で(ヤットハーリハリ ヤーノエイエイ)

 

 

 

●●● エッサッサ(その1) ●●●

 上句を一気に唄うものを集めた。安心院から津房にかけての流行。

 

1-1-1 盆踊り唄「エッサッサ」 安心院町下市(安心院) <77・75一口>

☆宇佐に参るよりゃ御許にゃ参れヨ(アエッサッサー エッサッサ)

 御許 元宮 元社ヨ(ヤレコノセーノ ソリャほんかいな)

 

1-1-2 盆踊り唄「大津絵」 安心院町楢本(津房) <77・75一口>

☆鮎は瀬に住む鳥ゃ木にとまるヨ(アラエッサッサー エッサッサー)

 人は情けの下に住むヨ(ヤレコリャセーノ コリャドッコイセ)

☆山が高うて在所が見えぬ 在所恋しや山憎や

 

1-1-3 盆踊り唄「大津絵」 安心院町尾立(津房) <77・75一口>

☆行たら見てこい名古屋の城はヨ(アエッサッサー エッサッサー)

 金の鯱 雨ざらしヨ(イヤマカセーノ ソリャほんかいな)

 

 

 

●●● エッサッサ(その2) ●●●

 上句を2節に分けて唄うものをあつめた。こちらの方が単純な節で、より古いものかと思われる。長洲から国東半島北浦辺にかけての流行。

 

2-1-1 盆踊り唄「エッサッサ」 宇佐市長洲(長洲) <77・75一口>

☆嫌じゃ嫌じゃよ(ハドッコイショ) 畑の芋は 頭

 振る振る ホントニ子ができる

☆沖の暗いのに白帆が見ゆる あれは 紀の国 蜜柑船

 

2-2-1 盆踊り唄「エッサッサ」 真玉町潮見(西真玉) <77・75一口>

☆ハー わしが出しましょ(ハエッサッサ) お粗末ながら

 唄の文句は ヤレ知らぬけど(ハエッサッサ エッサッサ)

☆踊り踊るならしゃんきりしゃんと踊れ 品のよいのが嫁に行く

 

2-2-2 盆踊り唄「エッサッサ」 豊後高田市新城(東都甲) <77・75一口>

☆わしの若い時ゃ(ヨイヨイ) 夜の明けるまで

 盆の見合いで見合いをしたよ(エッサッサ エッサッサ)

☆空は日本晴れ国東半島 六郷満山よい日でござる

 

2-2-3 盆踊り唄「エッサッサ」 国見町櫛海(竹田津) <77・75一口>

☆わしが若い時ゃ(アラエッサッサ) 伊美の浜へ通うた

 道の小草を ホンマニなびかせた(アーエッサッサ エッサッサ)

☆様よ様よと恋いこがれても 末は添うやら 添わぬやら

 

2-2-4 盆踊り唄「エッサッサ」 国見町伊美(伊美) <77・75一口>

☆踊り踊るなら(エッサッサ エッサッサ) しなよく踊れ

 しなのよいのを ホンマニ嫁にとる(ハーエッサッサ エッサッサ)

 

2-2-5 盆踊り唄「エッサッサ」 国見町赤根(上伊美)、国東町赤松(豊崎) <77・75一口>

☆誰もどなたも(アエッサッサ) エッサッサにゃあいた

 あいたところで切り替えましょか(アエッサッサ エッサッサ)

 

 

 

●●● ヤッテンサン ●●●

 ごく単調な節にて、地域によって少しの差異はあるも別物扱いには及ばない。速見から国東半島にかけての流行。

 

1-1-1 盆踊り唄「セーロ」 山香町若宮(中山香) <77段物>

☆鈴木(セーロ) ア主水という侍は(ヤッテンセーロ)

☆女房持ちにて二人の子供

 

1-1-2 盆踊り唄「ヤッテンサン」 大田村小野(田原) <77段物>

☆しばし(ヨイショ) 間は踊りておくれ(ヤッテンサンノ)

☆いやれ(セーロ) そじゃそじゃ輪を崩さずに(ヤッテンサンノ)

 

1-1-3 盆踊り唄「ヤッテンサン」 大田村波多方・俣水(朝田) <77段物>

☆よいさ(セーロ) しばらくヤッテンサンでせろな(ヤッテンセーロ)

 

1-1-4 盆踊り唄「セーロ」 杵築市下司(杵築) <77・77段物>

☆鈴木(セーロ) ア主水という侍は (いう侍は)

★女房(セーロ) 持ちにて二人の子供 (ヤッテンセーロ)

 

1-1-5 盆踊り唄「セーロ」 杵築市王子(奈狩江) <77段物>

☆花の(セーロ) お江戸のそのかたわらで(ヤッチンセーロ)

 

1-1-6 盆踊り唄「ヤッテンサン」 安岐町大添(南安岐) <77段物>

☆かえた(セーロ) かえたよヤッテンサンにかえた(ヤッテンサンノ)

☆踊る 皆さんお手振りなおせ

 

1-1-7 盆踊り唄「ヤッテンサン」 安岐町西本(南安岐) <77段物>

☆しばし(ヤッサッサ) 間はヤッテンサンでせろな(ヤーレショドッコイショ)

☆一つ 手を振りゃ千部の供養

 

1-1-8 盆踊り唄「ヤッテンサン」 武蔵町糸原(武蔵) <77段物>

☆国は(セーロ) どこよと尋ねてきけば(ヤーレサドッコイナ)

 

1-1-9 盆踊り唄「ヤンテコ」 豊後高田市草地(草地) <77段物>

☆しばし(セーロ) しばらくヤンテコさんでやろな(ハ餅つくセーロ)

☆わしと あなたが二人でセーロ

 

1-1-10 盆踊り唄「ヤッテコサン」 豊後高田市一畑(東都甲)<77段物>

☆かえた(セーロ) かえたよヤッテコサンにかえた(ヤッテコサンノ)

 

1-1-11 盆踊り唄「セーロ」 日出町藤原南部(藤原) <77段物>

☆鈴木(セーロ) ア主水という侍は(ヤッテンセーロ)

☆女房 持ちにて二人の子供

 

1-1-12 盆踊り唄「セーロ」 日出町赤松(藤原) <77段物>

☆さても(セーロ) 豊後の藤原村の(ヤッテンサンノ)

☆ヤレナ(セーロ) ソウジャナ藤原村の(ヤッテンサンノ)

☆小字 畑内百姓の家の

☆ヤレナ ソウジャナ百姓の家の

 

 

 

●●● ネットサ(その1) ●●●

 上句、下句に同じ囃子がつくものをあつめた。下郷・三郷あたりの流行。

 

1-1-1 盆踊り唄「ネットサ」 耶馬溪町下郷(下郷)、山国町奥谷(三郷) <77・75一口>

☆ねっとさ踊りが習いたきゃござれヨネット(ハネッチョケ ネッチョケ)

 わしが手を取り ヤーハレサー教えましょ(ハネッチョケ ネッチョケ)

☆あなたみたよにご器量がよければ 五尺袂にゃ文ゃ絶えぬ

 

 

 

●●● ネットサ(その2) ●●●

 こちらは上句の囃子を省くかわりに、下句の囃子が長くなっている。明らかに「ネットサ」の系統の節なのだが、名称が異なるうえに「その1」は耶馬溪方面、「その2」は杵築と伝承地域が離れているため、同種のものと気づきにくい。

 

2-1-1 盆踊り唄「ベッチョセ」 杵築市加貫(東) <77・75一口>

☆あなた百まで わしゃ九十九までイネート

 ともに白髪のノーヤレサー 生えるまで

 (ベッチョセベッチョセ カンコロベッチョ タントタント)

☆様と別れて 松原行けば 松の露やら 涙やら

 

 

 

●●● サッサ ●●●

 かつて耶馬溪周辺で流行したが下火になって久しく、採集例が少ない。どれも節が違うが、音引きの多い節のため個人差の範疇との峻別に迷い、一応同一グループとして番号による区別にとどめた。

 

1-1-1 盆踊り唄「サッサ」 本耶馬溪町落合(上津) <77・75一口>

☆今宵ハンハー よい晩サ 嵐もヨーホーホンハ(ショイ)

 ヨホホンナー吹かぬ(ショイショイ)

 ヤッコラセー 梅の チョイトチョイト 梅のヨホホイ

 (小枝もヨーホン 折りよかろ)

☆梅の 小枝を 折りかけ おいて あとで あとで(咲くやら 咲かぬやら)

☆咲いた 桜に なぜ駒 つなぐ 駒が 駒が(勇めば 花が散る)

 

1-2-1 盆踊り唄「サッサ」 本耶馬溪町樋田(東城井) <77・75一口>

☆安倍のヨー 保名の 子別れヨホホーンオ(ショイショイ)

 ヨーホンホーリャよりも(ショイショイ)

 ヤトコリャセー 今朝の ホントチョイト 今朝のヨンオ

 (別れがヨー 辛うござる)

☆わしが 思いは 大貞 山よ ほかに ほかに(木はない 松ばかり)

☆秋の 耶馬溪は お洒落な ところ 山は 山は(紅葉で 化粧する)

 

1-3-1 盆踊り唄「サッサ」 耶馬溪町平田(城井) <77・75一口>

☆一つヨホホー 出します はばかりヨホホ(コリャコリャ)

 ヨホホンホーながら(サッサ)

 ヤーコラサノサー 唄の チョイト 唄のヨホホイ

 (文句はヨー 知らねども)

☆唄の 文句は よんべこそ 習うた 唄の 唄の(しまえぬ 夏の夜にゃ)

☆踊り 踊るなら お寺の 庭で 踊る 踊る(かたでに 後生願う)

☆後生は 願いなれ お若い とても 時は 時は(きらわぬ 無常の鐘)